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押し掛け生け贄は愛しの神様を助けたい

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 ワカアキの暮らす小さな村は、昔から山神様に守られてきた。災害に見舞われても大きな被害もなく今日まで村が平穏無事でいられたのは山神様のおかげだった。
 だがしかし、ここ数年は不作が続いている。村人達は毎日山神様に祈りを捧げた。しかし、状況は改善されない。今はまだやりくりできているが、もし災害などが起きた場合、乗り切る事ができないだろう。
 村人達の不安は日に日に大きくなっていく。
 そこで手を挙げたのはワカアキだった。

「俺が生け贄として山神様のところに行ってくる」

 そんな事を言い出した彼に、家族も村長も村人達もポカンとした。
 キリリと使命感に満ちた顔をするワカアキに、村長は言いにくそうに口を開く。

「いや、ワカアキ……。生け贄なんて今まで一度も差し出した事などないぞ……?」
「ああ。俺が生け贄第一号だな」
「いやいやいや……どうして生け贄なんて発想になったのだ?」
「本で読んだ。こういう時の解決法は生け贄が一番だと」
「……そうだとしても、生け贄っつーのは若くて儚げな美女が相場だろう……。お前はなんつーか、生け贄に相応しくないというか……」

 ワカアキは筋肉ムキムキの二十歳の男だ。長身で逞しく、顔はそれなりに整っているが儚げさは微塵も感じない。生け贄として相応しい部分は若さだけだ。
 体を鍛えるのが趣味で、暇さえあれば筋トレに励んでいる。そんな脳筋男が生け贄というのは如何なものか。
 村長はお前に生け贄は無理だと伝えたつもりだったが、ワカアキはそれに気づかず胸を張る。

「大丈夫だ。立派に生け贄としての役目を果たし、きっと村の危機を救ってみせる!」

 ワカアキは根拠のない自信に満ち溢れていた。
 彼の村を救いたいという気概は伝わってくる。しかしそれでどうして生け贄という結論を出してしまったのか。
 村人全員がそれとなく止めようとしたが、ワカアキは一度決めた事は覆さない性格だったので考えを変えることはなかった。
 家族に別れを告げ、ワカアキは山神様がいるという山の奥へ奥へと向かった。山道は険しく長い道のりだったが、体力だけは有り余っていたので苦労する事もなく目的の場所に辿り着けた。
 立派な門構えの御屋敷。山の奥深くにそれはあった。
 ここに山神様がいるのだろうと予想し、ワカアキは門の中へ足を踏み入れる。なんとなく神聖な空気を感じる気がした。

「だ、誰ですか……!?」

 驚きの声と共に、屋敷の中から誰かが現れる。
 その人物を目にし、ワカアキは僅かに目を瞠った。
 小柄で可憐な少女だった。透き通るような肌。艶やかな長い髪。おどおどとワカアキを見つめる大きな瞳。
 彼女の何もかもが愛らしく、ワカアキの心を鷲掴みにした。
 ワカアキは感情豊かだが、それが表情には表れない。だから心の中では目の前の少女の愛らしさに転げ回り飛び跳ねていたが、実際はほぼ無表情に少女を見つめるだけだった。

「あ、あの……何のご用で……?」

 声も可愛らしい。ワカアキは少女の声音にうっとりしつつ、口を開いた。

「山神様に話があって来たのだが」
「ここの、神は……私です……」

 少女はおずおずと言った。

「そうだったのか。俺はワカアキという」
「あ、私はユユといいます」
「俺は山神様の生け贄になりに来たんだ」
「生け贄……!?」

 ユユという名の山神は、ぎょっとしたように裏返った声を上げる。

「な、な、何故!? 私、生け贄なんて催促した覚えは……」
「ああ。催促はされてないが、是非生け贄に使ってくれ」
「何故!?」
「焼くなり煮るなり食うなり好きにしてもらって構わない」
「い、いや、そんな、困ります……!」

 ぐいぐい身を乗り出すワカアキを、ユユはぶんぶん首を振って拒否する。

「だが、村では不作が続いている。これをどうにかするには生け贄が最適だろう?」
「うっ……村の事は、私も重々承知してます。彼らの祈りは毎日届いていますから。苦労をかけ、申し訳ないと思っています……」
「それなら、遠慮なく俺を生け贄に……!」
「生け贄なんて必要ありませんから!」

 ずいっと近づくワカアキの分厚い胸板を、ユユは小さな手で押し返す。

「代替わりしたばかりで、私は神としてまだ力が足りないんです。でも、もう少し時間が経てば……そうすれば力を引き出す事ができて、村の不作も終わります……!」
「俺を生け贄にして、今すぐ解決できないのか?」
「できません!」

 きっぱりと言い切り、ユユはワカアキを押して門の外へ追い返そうとする。しかし小柄なユユでは、全身筋肉の塊のようなワカアキを一ミリも動かす事はできなかった。

「そういう事ですので、生け贄は結構です! お帰りください!」

 顔を真っ赤にして力一杯自分を押してくるユユを見下ろし、ワカアキは胸をときめかせた。こんな可愛い生き物がこの世にいるなんて。神だけれど。

「いや、俺はもう帰れない」
「何故!?」
「村を救うと約束し、家族に今生の別れを告げてきた手前、一日も置かずに何もせずのこのこ帰るのはさすがに恥ずかしい」

 恥じらいなど微塵も持ち合わせていないような無表情でワカアキは言う。
 実際のところそういう気持ちもなくはなかったが、それよりもこの愛らしい神の傍にいたいというのが本音だった。
 こんな気持ちははじめてだった。筋トレにしか興味がなく、同年代の女性に魅力を感じた事もなく両親に心配されるほどだった。
 ユユを見ていると胸が締め付けられ、抱き締めて頬擦りして自分の腕に閉じ込めておきたい、そんな気持ちになる。沸き上がるこの感情はなんなのだろう。
 とにかく、ワカアキは彼女とこのまま別れるつもりはなかった。必要ないと言われても、自分はもう彼女の傍にいると決めたのだ。勝手に。

「ここにいれば、俺が何か役に立つ事もあるかもしれない。好きに使ってくれて構わない」
「ええっ……!?」
「今日からよろしく頼む」
「ま、待ってください、困りますってば……!」

 ユユは必死に止めようとするが、ワカアキはそれを無視して屋敷の中へと入っていく。
 こうしてワカアキは押しかけ生け贄として山神様の御屋敷に居座る事になった。





 神の住む御屋敷だが、何だか寂れている感じがした。広い庭に生える木々には、葉も花もない。
 それらもユユの力が足りないせいなのだという。ユユに力が満ちれば、御屋敷も庭も生気を取り戻すらしい。
 彼女は力不足な自分を不甲斐なく思っているようだ。村人達の山神様への祈りは全て彼女に届いている。「どうか村をお守り下さい」と、毎日彼らの祈りを聞き、自分のいたらなさに胸を痛めているのがわかった。
 そんな彼女を見守りながら、ワカアキは筋トレに励む。他にする事がないからだ。村にいた時はそれなりに役に立っていたが、ここでは筋肉など何の役にも立たない。
 どれだけ鍛えようとただの人間でしかないワカアキでは、ユユの力になれない。
 その事実に落ち込みながらもじっとしている事はできず、寧ろだからこそ体を動かしていないと落ち着かず毎日ひたすら筋肉を鍛えた。
 ここに居着いて数日が過ぎた時、ワカアキは庭に倒れているユユを発見した。

「ユユ様……!」

 慌てて駆け寄り、傍らに膝をつく。彼女はぐったりとしていた。
 ワカアキはそっと、慎重に彼女を両腕に抱き上げる。腕に抱き、思う。自分と比べるとあまりにも小さくて細くて軽い。顔は青白く儚げで、すぐにでも消えてしまいそうで怖かった。
 部屋に運び、布団を敷いて寝かせる。
 しかしそれからどうすればいいのかわからない。うんうん頭を悩ませていると、ユユは目を覚ました。

「ユユ様、大丈夫か!?」
「……ここは?」
「庭で倒れていたから部屋に運んだんだ」
「そうだったのですか……。すみません、ありがとうございます……」
「これくらい気にしなくていい。それより一体どうしたんだ? 病気か? 神様も病気になるのか?」
「いえ……違います……」

 ユユは申し訳なさそうに眉を垂れる。

「力を無理やり引き出そうとして……それで……」
「何でそんな事を……」
「だ、だって……村の人達は、毎日不安に思ってます。早く安心させてあげたくて……」
「だからって、倒れるような無理をするなんて……」

 ユユは日々、村人達の事に心を砕いている。
 祈りは届いているのに応えられない事に落ち込み苦しんでいる。
 そんな彼女の姿を見て、何もできない自分が歯痒かった。彼女の力になれるのなら何でもするのに、ワカアキにできる事は何もないのだ。それが辛い。
 ワカアキは彼女の手を握った。ワカアキの手が大きいので、掌にすっぽりと収まってしまう。小さくほっそりとした彼女の手を慈しむように優しく握り込んだ。
 ユユは動揺し目を丸くする。 

「な、ど、どうしたんですか……?」
「頼むから、もう、そんな無茶な事はしないでくれ」
「え……?」
「倒れているユユ様を見て、心臓が止まるかと思った……」
「そんな……大袈裟ですよ」
「大袈裟なんかじゃない。顔も青白くて、ぐったりして……もう二度と目を覚まさないで、このまま消えてしまうんじゃないかと……すごく怖かった……」
「ワカアキさん……」

 肩を震わせ切実に訴えるワカアキに、ユユは小さく笑みを浮かべる。

「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。これでも私は神ですから。そんなに簡単に消えたりしません」
「神様でも、無理をすれば倒れるんだろう?」
「それは……」
「神様だからって、倒れるような無理を続けていいわけがない。ユユ様の気持ちもわかるが、頼むから自分の事をもっと大事にしてくれ。俺の為にも」

 ワカアキが本気で心配しているのだとわかってくれたのか、ユユは頷いた。

「わかりました。もう無理やり力を引き出すような事はやめます」

 ワカアキはほっと胸を撫で下ろすが、ユユは少し不満そうだ。

「でも、本当に心配し過ぎですよ。私、そんなにやわじゃないんですから」
「だが、ユユ様はこんなに小さいし……」
「私が小さいというか、ワカアキさんが大きいのだと思いますけど……。言っておきますが、代替わりしたばかりとはいえ、私はワカアキさんよりも長く生きているんですからね」
「そうなのか……? というか、俺の年齢を知っているのか?」
「もちろんです。村で産まれて村で暮らす人達の事はちゃんと把握していますよ」

 やはり彼女は村を守る山神様なのだ。
 彼女の言葉に改めて実感する。
 神が、ただの人間に過ぎない自分に手助けなど求める事はないのだろう。
 それでもワカアキは、彼女の力になりたい。彼女を守りたい、と強く思った。





 一晩経てば、ユユはすっかり回復した。顔色もよくなり、元気に動いている。
 しかしワカアキは心配で目が離せず、ユユの後をついて回った。
 ゴツくてデカイ男がつけ回してもユユは嫌がらず寛容に受け入れてくれた。
 机に向かい、半紙に筆で文字を連ねていく彼女を見つめる。

「それは……手紙なのか? まさかラブレターじゃ……!?」
「違います! 他の神に手紙で近況を報告するんです!」

 嫌な想像に思わず身を乗り出せば、ユユは声を大にして否定した。

「なるほど、そうなのか」

 見られても問題はないようなので、ワカアキはそっと覗き込む。

「綺麗な字だな。……と言っても、俺は字が読めないんだが」
「そうなのですか?」
「ああ……」

 読み書きができたら、もしかしたらユユの為にできる事があったかもしれないのに。そう考えてワカアキは落ち込んだ。
 無表情だがワカアキの纏う空気が沈んだのを感じ取り、ユユは控え目に声をかける。

「よろしければ、私が教えましょうか?」
「えっ……!? それは、嬉しいが……でも、ユユ様の邪魔にはなりたくない……」
「別に邪魔になんてなりませんよ。空いた時間に教えるだけですから」

 ユユの言葉に、ワカアキの瞳は輝いた。

「それなら是非! お願いする!」

 無表情だが感情が豊かなワカアキはわかりやすく喜んだ。
 つられるように、ユユも笑みを零す。
 ユユの笑顔に胸をきゅんきゅんさせながら、彼女の為に一生を捧げようとワカアキは一人心に誓った。





 それから、筋トレだけのワカアキの一日にユユとの勉強の時間が組み込まれた。

「ユユ様のように綺麗に書けないな……」
「ワカアキさんは力が入りすぎなんだと思います。もっと力を抜いて大丈夫ですよ」

 ユユに文字の読み書きを教わる時間はワカアキにとって幸せなひとときだった。彼女の声は聞いていて心地よく、とても心が癒される。
 しかし、自分ばかりが与えられ、彼女に何もできない事がやはり申し訳ない。文字の読み書きを覚えれば、何か役に立てるだろうか。ワカアキは彼女の為に何かできることはないか、そればかりを考えていた。

「次は本を読んでみましょうか」

 読み書きを覚えはじめて数日後、ユユはそう言ってワカアキを書物の置いてある部屋へ連れていった。
 部屋に並べられた本棚にぎっしりと書物が詰まっている。

「すごいな、こんなに本が……」
「先代の神達が集めたものです」
「俺が読んでも大丈夫なのか?」
「ええ。普通に、人の世界に出回っている本ですから」
「そうか……」

 本の多さに圧倒されつつ、ワカアキは何気なく一冊の本を手に取った。ぺらりとめくり中を見れば、裸の男女が絡み合う絵がたくさん描いてあった。

「この本は?」

 ユユに本を見せる。覗き込んだ彼女は、

「わあああああ!!」

 顔を真っ赤にして絶叫した。ワカアキの手から本を奪い取る。

「違いますから!!」
「うん?」
「これは趣味とかそういう理由でこんな本があるわけではなく!!」
「うん」
「必要はないですけど、もしもの時の為にと先代が用意したもので!!」
「つまり?」
「つまり、私達神は人間と同衾する事で人間の生気を分けてもらい力にする事ができるんです!!」
「…………」
「これはその時の為の本といいますか……。念のために用意された本で、決してこういう内容が好きだからこの本があるわけではなく……!」

 耳まで赤く染めて必死に説明するユユの肩を掴み、真顔で詰め寄る。

「つまり、セックスすればユユ様に生気を分ける事ができて、ユユ様の力になるって事なのか?」
「せっ!? ……は、はい、そうですが……」
「じゃあしようすぐしよう今すぐ」
「えっ? ひゃっ……!?」

 ワカアキはユユを小脇に抱え部屋を移動する。

「わっ、ま、待ってください……っ」
「何でもっと早く教えてくれなかったんだ? 俺は生け贄としてここに来たって言っただろう。生気ならいくらでも分けるのに」

 移動した先の部屋で、押し入れから布団を出す。片手にユユを抱えているので、放り投げるように床に敷いた。

「だ、ダメっ、ダメです……!」

 小脇に抱えられた状態で、ユユはじたばたと暴れた。

「神と体を繋げてしまったら、相手の人間はその神の眷属になってしまいます!」
「眷属? になったらどうなるんだ?」
「神から離れられなくなってしまいます! 神と同じ時間を生きなければならなくなるんです!」

 ワカアキはカッと目を見開いた。

「なんだと……? じゃあ今すぐセックスしよう」

 願ってもない事だと、やる気に満ち溢れるワカアキにユユは慌てふためく。

「何故!? ままま待って待ってダメです!! もう二度と家族にも会えなくなってしまうんですよ!?」
「構わない。既にそのつもりで別れは済ませてきた」
「いやいや、別れる必要ないんですよ!? これからも人間として家族と過ごせるんですよ!?」
「俺はユユ様の傍にいたい」
「ひぇっ……!?」

 真っ赤な顔で奇声を上げるユユを布団に押し倒す。

「あ、あの、待って、冷静に……落ち着いて話し合いましょう……っ」

 震える声を紡ぐ彼女の唇を唇で塞ぐ。
 考えるよりもまず行動するワカアキが止まる事はもうなかった。





「あ゛っ、あ゛~~~~~~っ」

 はしたない嬌声が部屋に響き渡る。
 布団に押し倒され裸に剥かれ、それからユユはずっと喘がされていた。全身をくまなく愛撫され、もうワカアキが触れていない箇所などないであろうというくらいだ。
 特に膣穴は執拗に指で弄られた。まずは彼の太い指一本で何度も掻き回され、二本目が入るようになれば更に時間をかけてぐちょぐちょにされた。三本目が入る頃には、ユユはもういきすぎてヘロヘロになっていた。
 膣内は愛液でびちょびちょで、ワカアキが指を動かすたびに卑猥な粘着音を立てていた。
 四本目が入り、ごりゅごりゅと中を擦られればユユは潮まで噴いた。布団はユユの漏らした体液でぐっしょりと濡れそぼっていた。
 強い快感と羞恥にユユは涙を流し身悶えた。
 充分過ぎるほど解され、ワカアキは漸く指を抜いた。しかしそれで終わりではなく、寧ろそこからまた快楽地獄がはじまったのだった。
 ワカアキも全裸になり、彼の下肢が露になる。腹につくほど反り返り先走りを垂らす肉棒の大きさにユユは目を剥いた。
 指が四本入るまで緩んだけれど、それでもワカアキの陰茎は太すぎて受け入れるのはキツかった。ミチミチと隘路を押し広げ、胎内を圧迫される。
 苦しいのに痛みはなくて、ゆっくりと挿入される陰茎に膣壁を擦られるだけでユユは絶頂を迎えてしまう。
 ひたすらに気持ちよくて、だが快楽は続けば続くほどユユを責め苛む。いってもいっても終わらない快感の連続に耐え兼ね、もうムリだとワカアキに哀願するも、彼は止まらなかった。
 可愛い可愛いと蕩けた瞳でユユを見下ろし、淫らな言葉でユユを辱しめ、興奮に息を荒げながらユユの胎内を犯すのだ。
 深く唇を重ねられ、大きな体に閉じ込めるように抱き締められ、やがてワカアキはユユの中に精液を吐き出した。
 彼の生気が流れ込んでくるのを確かに感じた。
 だから、これで漸く終わったのだと思ったのにまだ終わらなかった。

「すまない、ユユ様の中が気持ちよすぎて激しくしてしまった。今度はユユ様を気持ちよくできるよう頑張るから」
「ひぃっ……」

 充分に気持ちいい。気持ちよすぎるから辛いのに、再びワカアキは動き出した。先ほどとは違うゆっくりとした動きでユユの敏感な箇所を亀頭でねっとりと擦るのだ。
 そんな事をされたら、ユユはまた快楽の波に揉みくちゃにされてしまう。
 身をくねらせあられもない声を上げ、愛液を漏らし潮を噴き、思考は快感で埋め尽くされていく。
 二度目の精を受け入れて、それでもまだ終わらない。

「ユユ様のおまんこ、俺のちんぽに馴染んできたな。これならもう激しく動いても大丈夫だろう」

 そう言って今度はユユをうつ伏せにし、後ろから激しく胎内を突き上げた。
 それが終われば、次はキスをしながらがいいと言って対面座位でユユの唇を舌でぐちゅぐちゅに掻き回し、下からじゅぽじゅぽと陰茎を抜き差しした。
 そうしてワカアキは、体位を変えつつ何度も何度もユユを抱いた。

「ひっ、おっ、おんっ……も、むりっ、むりれすっ、もお、いらにゃ、あっあっ、せいき、もういらなひ、れすぅっ」

 既に有り余るほどの生気を分けてもらった。もう充分なのだ。だというのに。

「遠慮しなくていい。俺はもうユユ様のものだから。命も、何もかも。生気でも何でも、持っていってくれ……っ」
「へあぁっ、また、出てるぅっ……おなか、もお、いっぱいなのにぃ……っ」

 どぷどぷと際限なく精液を注がれ、ユユの腹が満ち満ちていく。

「はひっ、ひ、うぅっ……も、からだ、うごかな、あ゛っ、あっ、あ~~っ」
「ユユ様は動かなくて大丈夫だ。俺に任せてくれ」

 ヘロヘロのユユを抱え、ワカアキは絶えず快楽を与えてくる。
 もう休ませてほしいのに、すっかり快感に溺れきった体は与えられれば与えられるだけ受け入れ悦んでしまう。

「ひぅっ、んぅぅぅっ、んくっ、おなか、ぐちゅぐちゅ、なるぅぅっ」
「可愛い、ユユ様……。ユユ様の為に、何でもしたい……何もかも捧げる……ユユ様……」
「んっんっ、ん゛ん゛~~っ」

 ユユの口腔内を舌で犯しながら、ワカアキの陰茎が胎内をぬちゅぬちゅと擦り上げる。
 小さな胸の真ん中にある、ぷっくりと赤く膨らんだ乳首を指で捏ね回されて、ユユの体はびくびくと痙攣した。そこはワカアキの太い指で弄られる快感を覚え、じんじんと熱を持っている。
 胸を突き出すように背中を反らせれば、指先でカリカリと優しく引っ掻かれた。

「んぉっ……んぁぁんんんっ」

 じゅるじゅると舌を吸われながら絶頂を迎える。
 彼から与えられる愛撫の全てが気持ちよくて、何をされても達してしまう。
 気づけば外は明るくなっていた。この行為がはじまったのは夕方頃だった。一体何時間こうして体を繋げているのだろうか。未だ終わる気配がない事にゾッとする。
 長い時間体を繋げ、確かに彼の生気を分けてもらっているというのに全く疲労を感じさせないのはどういう事なのだろう。ユユはもうくたくたで、ワカアキの方が疲れていなくてはおかしいのに彼は寧ろイキイキしている。

「わ、ワカアキしゃ、も、やめましょ……おっんっ……こんなに、したら、ワカアキしゃんが、倒れちゃいます、んうっ、あっあっ」
「俺の心配をしてくれるなんて優しいな、ユユ様は……。でも大丈夫だ。鍛えてるからな。まだまだ体力は有り余ってるから、安心してくれ」
「そ、そんな……っ」

 というか、どれだけ鍛えればこんな体力魔神になるのだ。

「はあっ……ユユ様のおまんこ、俺の精子でたぷたぷだな……っ」
「くひぃっ、んんっ……もぉっ、おっきくしなひれぇ……っ」
「っふ……おまんこきゅんきゅん締め付けて……気持ちいいんだな、ユユ様……嬉しいよ……」
「ん゛ぁあっ、おっきいの、こすれるぅっ」

 体力だけでなく、精力も半端ない。一体どれだけユユの中に精を吐き出すつもりなのだろう。

「ん? ユユ様、もしかして庭が……」
「はへぇ……?」

 ワカアキは何かに気づいたように動きを止めた。そして体を繋げたままユユを抱えて立ち上がった。
 筋骨隆々のワカアキは小柄なユユなど簡単に持ち上げられてしまう。

「んひぃい゛っ」

 ごりゅぅっと最奥を亀頭で抉られ、ユユは目を見開き全身を痙攣させる。

「ひやぁあっ、やっ、ぬいて、お゛っ、らめっ、いれたまま、あるいちゃ、ぁあ゛っ、──~~~~っ」
「大丈夫だ、絶対落としたりしないから」

 そういう問題ではない。というか寧ろ落としてくれとユユは思った。
 しかしユユの思いは届かず、ワカアキはそのまま一歩一歩足を進める。ずんっずんっと深く奥を穿たれ、そのたびにユユは絶頂を迎えた。
 ワカアキは襖の前に立ち、ユユを片手で支えもう片方の手で開けた。襖の向こうはすぐ庭が広がっている。

「ああ、やっぱり……。ユユ様、見てくれ。庭が見違えるようだ」

 ワカアキにそう言われても、ユユは絶賛それどころではない状態だ。

「ほら、ユユ様」
「ひぉおお゛……っ」

 縁側に座ったワカアキに、陰茎を挿入されたまま体を反転させられる。ぐりゅぅっと膣内を抉るように擦られ、ユユはガクガクと震えた。
 霞む視界に映る庭は鮮やかに色づいていた。葉っぱの一枚すらついていなかった木々には桜が咲き乱れ、庭一面色とりどりの花の絨毯で埋め尽くされていた。
 ユユの神としての力が満たされ、寂れた雰囲気だった屋敷自体が生まれ変わったようにピカピカに輝いていた。

「すごい、これが山神様の、ユユ様の力なんだな」

 ワカアキはその変わりように「すごいすごい」と感心している。しかしユユは落ち着いて庭を見ることもできない。

「すごいな、ユユ様は……。これで村も安心だな」

 ワカアキはすりすりとユユの頭のてっぺんに頬擦りする。

「俺の生気、もっともっと持っていっていいからな」
「も、いらにゃ、んひぃ゛~~!?」

 後ろから回されたワカアキの手が、ユユの陰部に触れる。溢れた愛液と精液にまみれた陰核を指の腹でぬちゃぬちゃと擦られ、痺れるような快感が全身を駆け抜けた。

「っ、お゛っ、──~~~~~~っ」

 脚を大きく広げ、背中を仰け反らせながらユユは潮を噴く。ぷしゃぷしゃと体液が庭に飛び散った。

「やめへぇっ、しょこっ、やらぁっ、おっんおっ、でるっ、またもれる゛う゛ぅ゛~~っ」

 激しく胎内を締め付けながら、ユユは潮を撒き散らす。内腿がピクピクと痙攣し、はしたないほど広げられた脚は閉じられない。

「っく……俺も、イくっ……」

 肉襞に搾り取るように陰茎にしゃぶりつかれ、ワカアキも耐えきれないというように射精した。

「んあ゛っ、また、いっぱい、でてるぅ……」

 ユユは陶酔したような顔で腹の奥に熱い体液が溜まっていくのを感じていた。

「まだまだ、たくさんあげるからな、ユユ様」
「ひうぅ……っ」

 もういらない、というユユの心の叫びは声にならなかった。





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