聖女のち性欲処理からの

よしゆき

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「あの、でも、僕にも僕の生活があって……そんなに長く仕事を休むわけにも……」
「そこは私がなんとかします!」
「わぁっ!?」

 なにもない空中に突然、パッとユリアルマが現れビクッとする。

「ゆ、ユリアルマさん、どうしたの……」
「ユリアルマでいいですよ。それより、蒼さんの生活の話です」
「え、き、聞いてたの……?」
「それはもちろん。蒼さんが暴行されるようだったら止めなくてはいけませんから」
「あ、そうだったの……」

 蒼は殴られるつもりで来たのだが、ユリアルマはそうなったら止めるつもりだったようだ。

「えっと、僕の生活の話って……」
「はい。私が向こうの世界に蒼さんのコピーを作っておきます。そのコピーに向こうで蒼さんとして生活してもらいます」
「こ、コピー……?」
「ええ。蒼さんと同じ思考で行動する、コピーです。コピーですがきちんと蒼さんとして生活して蒼さんとして仕事もこなせます。蒼さんが向こうの世界に戻れば自動的に蒼さんに同化されて、コピーが得た記憶が全て蒼さんに引き継がれます」
「な、なるほど……?」

 ならば、問題はないだろうか。仕事さえちゃんとしてくれて、その記憶が蒼に引き継がれるのなら。蒼が向こうへ戻ったとき、浦島太郎状態になることはないだろう。

「時間は戻せないの? 前は戻ってたよね?」

 前回は元の世界に戻ったとき、時間はこちらの世界に来る直前の時間に戻っていた。
 ユリアルマは申し訳なさそうに眉を下げる。
 
「戻せるのは数時間だけなんです」
「そ、そっか……」
「コピーは蒼さんの不利になるような行動は決してしません! 私も問題が起きないよう、きちんと監視しています」
「う、うーん……」 
「だから私からもお願いします、蒼さん。テオドールの性欲処理を!」
「うぅ……」
「いい加減、旅立ってもらわないと困るんですよ~。このままじゃ、勇者がはじまりの町から一歩も出ないで世界が滅んでしまいます~!」

 ユリアルマは泣きそうな顔で必死に頼み込んでくる。

「わ、わかった……」

 逡巡の末、蒼は頷いた。
 なんであれ、やはり責任は取らなくてはならない。 それにきっと、テオドールはすぐに飽きるだろう。蒼はそう考えていた。旅立てば、行く先々で色んな女性と顔を合わせることになる。出会い、接していくうちに、女の子の方がいいと思いはじめる。そして蒼になど見向きもしなくなる。地味でつまらない男より、女の子を相手にする方がいいとテオドールもすぐに気づくはずだ。
 そう考えた蒼は性欲処理の役目を受け入れた。
 ユリアルマはパッと笑顔になる。

「本当ですか!? ありがとうございます、蒼さん!」

 何度も礼を言い、それから彼女は蒼に掌を向けた。

「それでは蒼さんに大精霊の加護を与えますね」
「え、なにそれ……?」
「性欲処理をスムーズに行えるように、魔王討伐の旅路に影響が出ないように、蒼さんの体に特典を付与します」
「特典……?」
「私にはこんなことくらいしかできませんから」

 そう言って、ユリアルマは勝手に加護を授けたようだ。特になにも変化がないので、どんな特典を付けられたのかわからない。

「その加護はこの世界にいるとき限定です。元の世界に戻れば、加護は自然に消えますので安心してください」
「おい、チビ」

 今まで黙っていたテオドールが、痺れを切らしたように口を開いた。

「いい加減消えろ。邪魔だ」
「はいはい、わかりましたよ。言っておきますけど、明日は必ず旅に出てもらいますからね! 絶対この町を出ますから、そのつもりでいてくださいよ! テオドールの言う通り私は蒼さんを連れてきましたし、蒼さんは貴方の性欲処理をすることを承諾してくださったんです。これ以上魔王退治に行きたくないなんて我が儘は言わないでくださいよ!」
「わかってる。さっさと行け」

 ぷんぷん怒るユリアルマをテオドールはぞんざいにあしらう。

「まったくもう、可愛げのかの字もないんですから! 少しは蒼さんの慎み深さを見習ってほしいものですね!」

 ぶつぶつ文句を言いながら、ユリアルマは姿を消した。
 蒼はテオドールと二人きりになる。静まり返った室内で、蒼はベッドの上でテオドールに押し倒された状態だ。
 彼に視線を向ければ、二人の目が合った。
 捕食者の欲を孕んだ彼の瞳が、獲物をとらえるように蒼にまっすぐ向けられている。
 また、彼に抱かれるのだ。
 性欲処理をすることを引き受けたものの、蒼はあまり深く考えていなかった。
 今になって、それがどういうことなのかを実感する。
 一週間前のように、また、あんな風にセックスするのだ。
 思い出すと、一気に体の熱が上がった。
 もしかして、自分は本当にビッチの素質があるのかもしれない。だって、体が期待してしまっている。抱かれることを喜んでいる。求めている。あの目も眩むような快楽を。恋人でもない、年下の青年に欲情しているのだ。
 恥ずかしくて俯けば、顎を掴まれた。
 顔が近づけられ、キスされそうになって、蒼は慌ててそれを止める。

「あっ、待っ、だ、ダメだよ……っ」
「あ?」

 テオドールの口を掌で塞げば、じろりと睨まれた。
 ただの性欲処理なのに、キスなんてしてはいけない。きっと彼は後悔する。この先、好きな人ができたときに。童貞は蒼が奪ってしまったが、キスくらいははじめては好きな子としてほしい。キスがはじめてなのかどうか知らないけれど。
 そう思って止めたのだが、テオドールは不機嫌になる。ぐいっと、蒼の手を口から外す。

「嫌なのかよ?」
「え、いや、そういうわけじゃ……」
「俺のチンコ以外は興味ねーのか」
「ちちち違うよ……っ」
「だったら抵抗すんな」

 抵抗したつもりはなかったのだが、蒼の態度がお気に召さなかったようだ。
 というか、テオドールこそ嫌じゃないのだろうか。男とキスをするなんて。もしかしたら、キスははじめてではないのかもしれない。けれど、はじめてじゃないからと言って、好きでもない男としても不快になるだけだと思うのだが。
 蒼の心配をよそに、テオドールは躊躇いなく唇を重ねた。
 蒼にとってははじめてのキスだ。だから、どうすればいいのかよくわからない。されるがまま、重ねられる唇を受け入れた。
 ぴったりと触れ合う唇の感触にドキドキする。と思えばばくりと唇を食べられた。舌で唇をこじ開けられ、口腔内を蹂躙される。

「んむぅっ……ふ、ぅ、んんっ」

 息の仕方がわからず息苦しさに大きく口を開けば、呼吸さえ許さない勢いで貪られる。動き回る舌に、流れ込んでくる唾液に、蒼はただ戸惑い翻弄された。
 はじめてのキスはあまりにも激しく、けれど触れ合う粘膜は心地よく、蒼の瞳は潤みとろとろに蕩けていく。体が火照り、後孔が疼いた。
 やがて唇を離される。蒼の口の周りはべとべとに濡れていた。
 口を解放され懸命に酸素を取り込む蒼のTシャツを、テオドールが首元まで捲り上げる。勃ち上がりかけたペニスと平らな胸が露になった。
 男の体を目にしたら、萎えるのではないだろうか。
 蒼はTシャツを下ろして体を隠そうとした。けれどそれはテオドールに止められる。

「なに隠そうとしてんだ」
「え、僕、男だから……胸とかないし、つまらないから……」
「なに言ってんだ。こんなエロい乳首しやがって」
「ひゃんっ」

 ピンっと乳首を指で弾かれ、背中が仰け反る。

「ほら、感じてんじゃねーか」
「あっ、違、んっ、あっ、あぁんっ」

 テオドールが男の胸なんか触ってもつまらないだろうと言いたかったのだ。
 チクニー経験者の蒼の乳首はもちろん、敏感で感じやすくなっている。軽く擦られるだけでも過剰に反応してしまうほどに。

「ひぁっ、あっあっあっあんっ」
「感じすぎだろ。どんだけ慣らされてるんだよ」

 誤解なのに、どんどんビッチ疑惑が深まっていく。
 否定したいが、喘ぎ声しか出せなかった。

「あっあっ、んんっ、ん、ひっ」
「少し弄っただけで、すげー反応」
「あっ、ご、ごめんなさ、あっ、あっ、ごめんなさぃ……っ」
「なに謝ってんだよ」
「だ、だって、ひんっ、テオドールくんの、性欲処理、なのに、僕が、気持ちよくなっちゃって……ご、ごめ、なさ、あっあっ」

 ぐりぐりと乳首を押し潰されてまともに言葉を紡げないが、必死に謝った。
 この行為はテオドールの性欲を発散させるための行為なのに、浅ましく快楽を得てしまう自分の体が情けなかった。
 ぐすりと鼻を啜る蒼を、感情の読めない顔でテオドールはじっと見下ろす。それからぽつりと言った。

「その呼び方やめろ」
「え……?」

 脈略のない発言に、言われたことがわからなくて聞き返す。

「だから、「くん」なんて付けて呼ぶなって言ってんだ」
「あ、名前……? ごめんね、君の方が年下だったから……テオドールさんって呼んだらいい?」
「呼び捨てにしろ。普段そんな呼ばれ方しねーから慣れないんだよ」
「え、あ、うん、わかった、テオドール」

 別に異論はないので、蒼は素直に頷いた。
「それから」、とテオドールは話をつづける。

「気持ちいいなら、そのまま感じてろ。変に我慢したりするなよ」
「んあっ」

 きゅっと乳首を摘ままれ、「わかったな」とテオドールに念を押され、こくこくと首を振る。
 それを確認してから、テオドールは顔を伏せた。赤く色づく乳首を、ぱくりと口に含む。

「ひぁっ……!?」

 びくんっと蒼の肩が跳ねた。
 散々自分で弄ってきたが、指でしか触ったことがない。口で愛撫されるのは勿論はじめてで、指とは違うその感覚に蒼は目を見開いた。
 固く尖った乳首をねぶられ、しゃぶられ、味わったことのない快感が身体中を走り抜ける。

「あぁっあっあっあっ、あんっ、あっ」
「すげー声。そんな気持ちいいのか?」
「いいっ、気持ちいい、そこ、舐められるの、きもちいっ、あぁっ、吸われるの、好きぃ、あっあっ」

 舌で嬲られるたび、びくんびくんと体が顕著に反応を示す。
 その反応を面白がるように、テオドールは一層激しく乳首を愛撫した。
 ぢゅううっと乳輪ごと吸い上げられ、もう片方も指でこりこりと捩られ、蒼はあられもないよがり声を上げる。

「ひあぁっ、い、いくっ、いっちゃ、あっあっあっ、あ──っ!」

 はしたなく腰を浮かせ、呆気なく欲望を吐き出した。精液が下腹に飛び散る。
 ねっとりと糸を引きながら、テオドールは口を離した。

「はっ……乳首だけでイくとか、ほんと淫乱だな」
「ご、ごめん、なさ……っ」

 嘲笑に否定もできず、謝る。
 乳首だけで射精できるのは前からだが、いつもはこんなに速くはないのだ。舐められたりするのがはじめてだったから、すごく感じてしまったのだ。速さはどうあれ、淫乱には変わりないが。
 こんな恥ずかしい思いをすることになるのなら、もっと自慰を控えるべきだった。
 そんな意味のない後悔を抱いていると、テオドールが蒼の脚を開いた。
 露になった後孔が、期待に蠢いているのがわかる。というか、先程から変な感じがする。中がじわじわと潤んでいくような、はじめての感覚だ。
 視線を自分の下半身へ向けようとして、テオドールの膨らんだ股間が目に入った。まだズボンに収まっているが、明らかにきつそうだ。
 彼は早く突っ込みたいのかもしれない。しかし、慣らしもしないで彼の陰茎を受け入れられるほど蒼のアナルは緩くない。まずは指で解さなくては無理だ。
 だから蒼はいつものように自分で準備をしようとした。

「あの、ちょっと待ってくれる? 一回指で解してからじゃないと、無理なんだ。ごめんね、男だから、準備が必要で……」
「前回はいきなり突っ込んでたよな? 俺のところに来る前に、別の男とヤッてたのか?」

 あらぬ誤解を受け、蒼はもげそうなほどの勢いで首を横に振った。

「まさか! 違うよ! 自分で! 一人で! その、弄ってたから……」

 テオドールの疑わしげな視線が突き刺さる。

「ほんとだよ! ほんとに自分で、こうやって……っ」

 証拠を示すために実践しようとして、アナルに手を伸ばす。指で触れると、くちゅりと音が鳴った。まるでローションのような感触に、慌ててそこを確認する。

「え、なんで、濡れて……」

 濡れているような感じはしていたが、実際に濡れているとは思っていなかった。けれど見れば透明な体液がアナルから漏れている。
 腸液かと思ったが、今まで何度も尻を弄ってきたが一度もこんなことはなかった。まるで女性器から分泌される膣液のようだ。
 アナニーのし過ぎでおかしくなってしまったのかと愕然としたが、そこでユリアルマの言葉を思い出した。
 これが大精霊の加護なのか。性欲処理をスムーズに行えるように、と言っていた。それはこういうことなのか。
 確かに有難いといえば有難いのかもしれないが、蒼はなんとも言えない気持ちになる。
 気を取り直して、蒼は指を挿入した。テオドールが待っているのだ。早くしなくては。

「こ、こうやって、自分で、弄ってた、だけだから……っ」

 指をくちゅくちゅと出し入れしながら、蒼は誤解を解こうと必死だった。本当は指で弄っていただけではなくディルドを突っ込んでいたのだが、そこまで詳しくさらけ出すのは恥ずかしい。いや、自分のアナルに指を入れて掻き回している姿を見られているだけで充分恥ずかしいのだけれど。

「へえ……」

 一つ相槌を打って、テオドールは手を伸ばした。
 蒼の指を受け入れているそこへ、テオドールの指が差し込まれる。

「ひあっ……」
「すげ、濡れてる……」
「あっ、ち、違うから、これは、ユリアルマのせいだから、あっあっ」
「ああ、さっき言ってたやつか」
「あんんっ」

 ぬぷぬぷっと、テオドールの指が奥まで進んでくる。
 彼の指は蒼のそれよりも男らしく節榑立っていて長い。自分のものとは違うその指が動き回る感覚に、蒼は戸惑いと快感を感じた。
 テオドールの指が内部を探るように動き回り、蒼は自分の指を動かせなくなっていた。

「あっあっ、そん、な、動かし、ちゃ、あっあんっ」
「ん?」
「んひっ」

 テオドールの指が前立腺を掠め、蒼の背が仰け反る。
 それを見て、テオドールはその膨らみを擦りはじめた。
 蒼は腰を捩り、快感に悶える。再び頭を擡げたペニスの先端から、とろりと蜜が滴った。
 蒼の痴態に、テオドールの視線が絡み付く。

「ケツの穴、指で穿られてチンコ勃たせるのか」
「ひんっ、あっ、……ってぇ、そこ、気持ちい、から、あっあっあっ」
「ここ? ここが気持ちいいのかよ?」
「あっ、そこ、そこ、きもちぃ、のっ、そこぉっ、ぐりぐり、されると、あっあっ、いっぱい、しちゃ、やあぁっ、きもち、よすぎて、おかしく、な、あっ」
「嫌じゃねーだろ。自分で腰振ってんじゃねーか、淫乱が」
「あっ、ごめんなさ、あっ、ひぁんっ」

 ぬぽっと、蒼の指ごとテオドールの指が引き抜かれた。
 刺激を与えられ、中途半端に放り出されたアナルは、物欲しげにひくついている。そこは分泌された蜜でぐしょぐしょだった。

「ちんぽ欲しがって涎垂らしてんな……。男好きのエッロい体しやがって……」
「ちちちちがぁ、あっあっああぁっ」

 ずぶぶっと、反り返った男根が埋め込まれる。

「っく……ぬるぬるだな……っ。ほら、ここ、だろっ」
「んあぁっ、あっあっ、そこ、そこ、きもちいいのっ、ああんっ」
「はっ……きっつ……っ」

 ごりごりと亀頭で前立腺を擦られ、蒼の悲鳴じみた喘ぎ声が室内に響く。
 ぎゅうぎゅうとアナルが締まり、テオドールが耐えるように歯を食い縛った。

「ちんぽ好きの淫乱が……っ」
「ひぁっ、あっ、ごめんなさ、きもちぃのっ、おちんぽきもちぃっ、いくっ、おちんぽでぐりぐりされて、いっちゃうぅっ」

 硬いエラで敏感な箇所を抉られ、蒼は絶頂に達する。
 快楽の余韻に痙攣する蒼の体を見下ろし、テオドールは嘲笑を零した。

「はっ、お前、射精しないでイッたのかよ……」

 彼の言う通り、蒼のペニスは精を吐き出さず勃起したままふるふると震えている。

「あっ、あっ、ごめんなさい、お尻気持ちよくて、あっ、あんっ、ごめんなさいぃっ」

 謝りながらも、直腸は彼の陰茎に絡み付き、貪欲に快感を求めている。制御できない自分の体のはしたなさに、蒼はぽろぽろと涙を流した。

「言っただろ、気持ちいいなら、我慢しないで、そのまま感じてろって……っ」
「ひぅんっ」
「はっ、ただし、途中でへばんなよ、俺が、満足するまで、付き合わせるからなっ」
「んあっあっあっ、ぅんっ、うん、あっ、ひんっ」

 蒼はこくこくと頷いた。
 テオドールは蒼の体を押さえ、激しく腰を振り立てる。
 容赦なく中を擦られ、突き上げられ、蒼は快楽の波にさらわれ、なす術もなく溺れた。
 それでも意識だけは手放さず、性欲処理としての自分の役目を果たした。
 外が白みはじめた頃に解放され、そのまま気絶するように眠りに落ちた。そしてその数時間後、ユリアルマに起こされた。
 あんなに体を酷使したのに、目を覚ませば疲労は全く残っていなかった。ほんの数時間しか寝ていないのに、眠気もなく頭はスッキリとしている。これも大精霊の加護だ。
 これは大変有り難かった。向こうの世界に帰れば消えてしまうなんてもったいない。
 勇者であるテオドールも、少し休めばすぐに回復できるようだ。
 なので予定通り、身支度を整えてから家を出た。
 魔王討伐の旅がはじまったのだ。

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