BL短編まとめ(現) ①

よしゆき

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ストーカー天使

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ストーカーのような天使に溺愛される男子高校生の話。ただのエロです。
攻めはかなり無理やり受けを抱きます。
攻めが女性に暴言を吐きます。
攻めが一方的に受けを溺愛しています。
えっちの最中攻めが気持ち悪いことをペラペラ喋ります。淫語多用してます。
受けが快楽に弱いです。

現代 無理やり 淫語



──────────────


 放課後の、人気のない夕日に染まる校舎裏に七々音ななとはいた。目の前には、校内で可愛いと噂の同級生の女の子。

「好きなの、七々音くん。私と付き合って」

 彼女いない歴=年齢の七々音の心は、その言葉に歓喜した。
 呼び出されたとき、もしや、とは思ったけれどあまり期待はしていなかった。
 七々音はなかなかに可愛い顔立ちをしている。女子の友達も多い。けれど、友達止まりなのだ。彼氏にはしたいと思われない。女子は七々音を可愛い小動物のように扱い、全く男として意識していない。そしてそんな彼女達を、七々音も友達としてしか見られなかった。
 女の子を可愛いと思うし、好きだし彼女は欲しいけれど、親しくはなれても恋人には進展しない。そんな状況のまま今日まで過ごしてきた。
 だからまさか本当に告白されるだなんて、思っていなかったのだ。
 女友達は多いけれど、告白されるのははじめての七々音は真っ赤になってどぎまぎする。
 なにも言わない七々音に、彼女は不安げに顔を曇らせた。

「だめ、かな……?」
「まさか!」

 食いぎみに否定する。
 もちろん返事はイエスだ。これで漸く、彼女いない歴更新を止められる。
 今すぐにでも返事をしたいのに、緊張してうまく言葉が出てこないのだ。
 ごくりと唾を飲み込み、口を開いた瞬間、

「だめーーーー!!」

 叫び声と共に、目の前に男が現れた。
 七々音はぎょっと目を剥く。彼は今、どこから現れたのだろう。上から降ってきたように見えたのは見間違いだろうか。
 すらりと背の高い、七々音よりも少し年上に見える青年が、必死の形相でこちらを見下ろしている。
 そんな表情だけれど、彼の顔はやたらと整っていた。人間離れした美貌で、キラキラと輝いて見える。そして彼の背中に純白の羽が見えるけれど、それはきっと幻覚だろう。天使のように綺麗だから、天使のように見えるのだ。これが脳の錯覚というやつだ。
 突然現れた美しい青年を、七々音はぽかんと見上げた。

「ダメだよ、七々音! こんな女と付き合うなんて!」

 青年は、七々音に告白してきた女子を指差して言った。
 青年に見惚れていた女子生徒は、その物言いにひくりと頬を引きつらせる。
 七々音に告白してくれた貴重な女の子になんてことを言うのだろう。

「な、なんだよ、お前……」

 きっとこの青年は七々音と違いモテモテで、今まで散々女遊びをしてきたのだろう。だからそんなことが言えるのだ。
 ムッとする七々音に、青年は捲し立てるように言う。

「こんな女と付き合ったらろくなことにならないよ!」
「なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだよ!」
「七々音の為を思って言ってるんだよ! こんなビッチと付き合ったら、めちゃくちゃに弄ばれてヤり捨てられるだけだよ! そんなの絶対許せない! 僕の七々音が、七々音の純潔が、こんなヤリマン尻軽クソビッチに奪われるなんて耐えられない!」

 あまりの暴言に七々音は言葉を失う。
 暴言を吐かれた女子生徒は、顔を真っ赤にしてぶるぶると肩を震わせていた。
 その様子を見て、七々音はおろおろと口を開く。

「お、お、おま、な、なんてこと言うんだよ、謝れよ……!」
「僕は事実を言っただけだよ。目を覚まして、七々音。はじめて告白されて舞い上がってるのはわかるけど、初心で童貞の七々音が生まれてはじめて女の子に告白されて喜んじゃうのはわかるけど、こんなビッチと付き合っちゃダメだよ。純情そうな振りして、心の中ではどうやって童貞の七々音を食ってやろうかって、そんなことしか考えてない女だよ。そんなの女にずっと大切に見守ってきた可愛い七々音の純潔を奪われるなんて、絶対絶対嫌だ!!」

 子供が駄々をこねるかのように叫んで、ガクガクと七々音の肩を揺さぶる。

「いい加減にしてよ!!」

 それまでなにも言えずにいた女子生徒が、我慢の限界を迎えたようだ。
 大声を上げ、こちらを睨み付ける彼女に七々音は怯えた。憎悪すら感じる視線にあわあわする。

「あ、あの……」
「もういい。私、帰る」
「えっ……。で、でも、まだ、返事……」
「いらない。さっきの聞かなかったことにして」
「ええっ……」
「じゃあね、さよなら」

 冷たく吐き捨て、彼女は一度も振り返らずに去っていく。
 七々音は呆然とそれを見送ることしかできなかった。

「よかった。七々音を守れて」

 ほう……と安堵の息を漏らす青年に、一気に怒りが沸き上がる。
 肩を掴む彼の手を力いっぱいはね除けた。

「なんてことしてくれんだよ、このクソ野郎!!」

 頭に血が上り、感情のままに言葉を吐き出す。

「せっかく告白してくれたのに! お前のせいで俺がフラれたみたいになったじゃねーか! お前が邪魔しなきゃ、あの子と付き合えたのに! どうしてくれんだ、バカアホイケメン滅びろ!」
「えっ、七々音、僕のことカッコいいって思ってくれてるの?」

 ポッと頬を染めて嬉しそうに口元を緩める青年に、更に怒りが募った。

「そんなこと言ってねーだろ!」
「だってイケメンって」
「うるせー! なんなんだよ、お前! っていうか誰だよお前!」

 よくよく考えれば、本当に誰なのだろう。七々音にこんな美形の知り合いはいない。初対面のはずだ。それなのに彼は七々音の名前を知っていた。七々音のことを前から知っているように色々と言ってくる。童貞だとか、告白されたのがはじめてだとか、なぜそんなことをこの青年が知っているのだ。
 突然現れて、好き勝手言いまくってめちゃくちゃに引っ掻き回して七々音とあの子の恋路の邪魔をした。だが、それはなんのためなのだろう。
 今更ながら、この青年の怪しさに気づいた。驚きと怒りで冷静に考えられずにいたが、怪しすぎるではないか。背中の羽の幻覚は未だに消えないし。学校の関係者には見えない、どう考えても不審者だ。
 胡乱げな視線を向ける七々音に、彼はにっこりと微笑んだ。

「僕は真白ましろ。天使だよ」

 やはり不審者だ。頭のおかしいヤバい奴なのだ。
 天使と名乗るということは、背中の羽は幻覚ではなく作り物を背負っているのだろう。本格的な不審者だ。
 七々音は無言で背を向けて歩きだした。

「あっ、待ってよ、七々音~」

 真白と名乗った青年は追いかけてくる。
 ついてくるな、と怒鳴りたいが、相手は不審者だ。下手に刺激するとなにをしてくるかわからない。既に散々怒鳴り散らしたあとだけれど。
 七々音は無視して早足で彼から離れる。しかし真白はついてくる。
 七々音は走り出した。全力疾走で彼を引き離し、家に着く頃にはへろへろになっていた。
 けれど無事に不審者を撒くことができた。
 ぜいぜいと息を切らせながら、家の中に入る。親は仕事でいないので、まっすぐに自室へと向かった。
 部屋のドアを開けた瞬間、七々音は叫んだ。

「うわあああぁ!!」

 部屋の真ん中に、撒いたはずの不審者が立っていたのだ。恐怖体験が見せる幻覚かと、ごしごしと目を擦るが彼の姿が消えることはなかった。

「な、なん、なん、なん……っ」
「おかえりー、七々音」

 青ざめる七々音に、真白はにこにこと朗らかに笑う。笑顔が余計に怖い。

「なんで、ここに……どうして、どうやって入ったんだよ!」
「僕は天使だからね。こんなの簡単だよ」

 胸を張る不審者に、七々音は震える手でスマホに手を伸ばす。
 この青年は上級の不審者だ。とても自分の手には負えない。警察に助けを求めなければ。
 しかし焦るあまり、手が滑ってスマホを落としてしまう。
 床を滑るスマホを、真白が拾い上げた。

「あっ……」
「今は僕と話してるんだから、こんなの弄っちゃダメだよ」
「か、返せよ……っ」
「だーめ。人と話してるときにスマホなんて、相手に失礼でしょ」

 不審者に常識的なことを言われると無性に腹が立つ。不法侵入の犯罪者に言われたくはない。
 七々音はキッと真白を睨み付ける。

「なんなんだよ……なにが目的だ……!」
「七々音が心配なんだ。純粋無垢な七々音は可愛いけど、いつあばずれに騙されて童貞を奪われちゃうか、気が気じゃないよ」

 やはりこの不審者の言っていることが全く理解できない。
 頭が痛くなり、七々音はこめかみを押さえた。

「まず、なんでお前は俺の名前を知ってるんだよ」
「そりゃあ、七々音が生まれたときから七々音を見守ってきたからね。名前だけじゃなくて、七々音のことならなんでも知ってるよ」

 得意気にどや顔する真白に、ぞわっと悪寒が走った。
 この不審者の正体は、もしや七々音のストーカーだったのだろうか。ただのストーカーでも嫌なのに、天使を名乗るストーカーなんて、完全に頭のおかしい奴ではないか。
 警戒心を募らせる七々音に、真白は笑顔で話を続ける。

「僕たち天使は、一人一人人間を見守っているんだよ。この世に生まれ落ちた瞬間からね。ずーっと片時も離れず見守り続けて、その人間が寿命を迎えたとき、魂を天界まで送り届ける。それが天使の仕事なんだ」

 七々音は遠い目をして話を聞いていた。
 正直、どうしたらいいのかわからなかった。スマホは奪われてしまった。今すぐここから逃げ出して、警察に駆け込むべきだろうか。でも、先回りして平然と不法侵入を果たすような相手だ。警察に駆け込む前に捕まる可能性が高い。そして捕まってしまえば、逃げた七々音に逆上して襲いかかってくるかもしれない。
 しかし同じ空間にいるのも怖い。
 身動きが取れずにいる七々音に構わず、聞いてもいないのに真白はペラペラといらない説明を聞かせてくる。

「僕は新米の天使で、七々音が僕のはじめての担当なんだ。七々音がこの世に誕生した瞬間に立ち会って、天使よりも天使のように愛らしい七々音を一目見た瞬間から、七々音のことを一生見守り続けるって心に誓ったんだよ」
「……っつーか、見守ってなくないか? なんで見守るのが仕事なのにしゃしゃり出てきてんだよ」

 思わず突っ込んでしまった。しかしこの矛盾は見過ごせない。自分で設定を考えたなら、きちんとそれに則って行動するべきだ。頭のおかしいストーカーに言っても通じないかもしれないが。

「だってそれは、七々音があんな尻軽あばずれビッチと付き合おうとするから!」
「やめろよ、そういうこと言うの! 最低だぞ!」
「あの女は童貞食いの雌豚なんだよ! 童貞を食いまくってるビッチなんだ! 童貞を美味しくいただいて、軽く遊んで飽きたら捨てるあばずれだよ! あんな女と付き合ったら、七々音なんてめちゃくちゃに蹂躙されてボロ雑巾みたいにすぐに捨てられちゃうよ!」
「適当なこと言うなよ! あんな純情そうな女の子が、そんな……」
「ほら、騙されてる! 騙されやすいのが七々音の可愛いところでもあるけど、七々音が純潔を奪われてボロボロに陵辱されてずたぼろに傷つけられてショックのあまり廃人のような人生を送ることになるなんて、そんなの黙って見ていることなんてできないよ!」
「いや、さすがにそんなことにはならないだろ……」
「大体、七々音は自慰だって満足にできないでしょ!」
「んなっ……!?」

 とんでもないことを言われ、七々音は真っ赤になって絶句する。

「初心でエッチなことに疎い恥ずかしがり屋の七々音は、父親にも友達にも自慰のやり方を訊けなくて、自分で調べることもできなくて、周りの下ネタを聞き齧っただけでよくわからないままオナニーして、でも全然うまくできなくてもどかしくて泣いちゃいそうになって」
「うぎゃあああ!! やめろおおぉ!!」
「泣きそうな顔で真っ赤になっておちんちん握ってる七々音はそりゃあもう頭がおかしくなりそうなくらい可愛くて可愛くて僕が七々音のおちんちんくちゅくちゅ扱いてぺろぺろ舐めてしゃぶってエッチなミルクを啜ってあげたくなるくらい愛らしいけど」
「うっとりしながらキモいこと言うなああぁ!!」
「でもあの童貞食いの女は、きっと七々音のこと嘲笑って貶すに決まってるよ! そんなことされたら、繊細な七々音はトラウマになって不能になっちゃうよ! そんなの絶対ダメだよ! 七々音の可愛いおちんちんが、まだ僕が七々音のエッチなミルクを味わってないのに勃たなくなっちゃうなんて!」
「もうやめろおぉ……!!」

 七々音は誰にも知られていないはずの己の秘密を暴かれ精神に多大なるダメージを負った。
 確かに七々音は自慰が下手だ。なんとなく耳に入ってきた情報を頼りに行っているため、正しいのかもわからず、かといって誰かに訊くことも自分で調べることもできず今日まで過ごしてきた。
 それを、なぜこの男が知っているのだ。
 この男はストーカーだ。部屋にカメラを仕掛けられているのかもしれない。
 思わず部屋の中をキョロキョロと見回す。
 己の恥を指摘された羞恥に涙を滲ませる七々音の肩を、真白が優しく撫でた。

「泣かないで、七々音。もう大丈夫。七々音の純潔は僕が守るからね」

 七々音は彼の手を振り払った。
 激しい羞恥は怒りへと変化する。

「うるせえぇ!! 余計なお世話なんだよ! 俺が誰とどうなって廃人になろうがヤリチンになろうがお前に関係ねーだろーがああぁ!!」
「か、関係ない……!?」

 真白はカッと目を見開く。

「関係なくないよ! 僕は七々音が生まれたときからずっと見守ってきたんだよ! 可愛くて可愛くて目に入れても痛くない食べちゃいたいくらい可愛い七々音をぺろぺろすりすりなでなではむはむしたいのを我慢してずぅーっと見守り続けてきたんだよ! それなのにぽっと出の七々音のこと愛してもいないクソビッチに僕が今まで大切に大切に見守ってきた七々音の大事な大事な童貞を奪われるなんて冗談じゃないよ!」

 興奮した真白に大声で捲し立てられる。その内容に七々音はドン引きだ。

「あんな女にくれてやるために、見守ってきたんじゃない……」

 真白の目が据わっている。
 様子がおかしいことに気付き、七々音は嫌な予感に襲われた。
 咄嗟に逃げようとする七々音の腕が、それを見越したように素早く掴まれる。

「七々音を一番に愛してるのは僕なのに……あんな女に奪われるくらいなら……そうだ、七々音はこんなに可愛いんだ、あんな女一人追い払ったって意味ない……放っておいたら、きっとその辺の変態に襲われてめちゃくちゃにされちゃう……」

 ぶつぶつと呟く真白の異様な雰囲気に、ぞわりと寒気に襲われる。
 逃げたいのに、ガッチリと腕を掴まれ振りほどけない。

「それならいっそ、僕が七々音の純潔を奪っちゃえばいいんだ……」

 聞こえてきた不穏なセリフに、本格的に身の危険を感じた。
 どろりと暗い欲を孕む濁った瞳が、七々音を見つめる。
 ねっとりとした視線が絡み付き、肌が粟立った。

「ひっ……」
「七々音、僕の七々音……好きだよ、愛してる……」

 熱に浮かされたように囁いて、真白は強引に七々音の体を掻き抱く。

「や、やだ、離せっ」
「七々音七々音七々音七々音」

 拒絶の言葉を無視してむぎゅーっと七々音を抱き締め、すりすりと頬擦りする。

「ああ、七々音だ、七々音の匂い、七々音の体温、七々音の感触、はあっ、七々音、ずっとずっとこうして七々音を感じたかった、はあはあっ」
「やややめろぉっ、変態っ、変質者っ」

 懸命に暴れるけれど、真白の腕は鋼鉄のように七々音に絡み付き離れない。それどころか更に体を密着させ、ぐりぐりと全身を擦り付けてくる。

「うわあっ、やめろ、キモい、離れろぉっ」

 体を引き離そうと、真白の背中に腕を回す。真白の服を引っ張ろうとして、手に触れたのはふわりと柔らかい感触だった。
 まるでシルクのようになめらかな手触り。その気持ちよさに思わず撫で回す。

「あっ、七々音ってば、意外と大胆なんだね。僕がリードしようと思ってたのに、そんなに積極的に触れてくれるなんて。もちろん嬉しいからもっと触ってくれていいよ」

 ぽっと頬を染める真白の背中の羽がぱたぱたと動く。
 彼の言葉など耳に入らず、七々音は手を動かす。
 七々音が触れているのは彼の背中の羽だ。ボリュームがあってみっしりと羽根が密集しふわふわでもふもふで温かくて、とても作り物には感じられない。
 背中に背負っているのだと思っていたが、肩ベルト的なものが見当たらない。
 ごそごそと背中を探れば、服に穴が開いていた。肌が露出していて、そこから羽が生えている。
 そう、生えているのだ。羽の付け根を念入りに触ってみると、生えているとしか思えない。接着剤で貼り付けているのではない、生えている。

「ああっ、七々音にそんないやらしい手つきで触られたら……っ」

 なにやら興奮気味の声が頭上から聞こえてくるが、七々音はそれどころではない。
 ぱたぱたと羽の動きに合わせて、真白の背中の筋肉も動いている。
 純白の羽。映画や漫画に出てくる天使の背中にある羽。

「え、マジか……」

 七々音は呆然と呟く。
 いやあり得ない。あり得ないけど、でも、この羽は確かに本物だ。
 天使? この変態が? やっぱりあり得ない。天使が雌豚だのクソビッチだの言うはずがない。しかしただの変態ストーカーだとしたらこの羽の説明がつかない。
 七々音は首を反らし、真白の顔を見上げた。
 人間離れした、綺麗な顔。

「…………天使?」
「そうだよ」

 にこりと、天使の微笑みが七々音に向けられる。
 慈愛に満ちた瞳は、まさしく天使だ。
 七々音はその笑顔に思わず見惚れた。
 しかし清廉に見えたのはほんの数秒だった。清らかだった双眸はすぐに欲望にまみれた。

「はあはあっ、七々音の円らな瞳でそんなに見つめられたら、もう我慢できないっ」
「うわっ……」

 息を荒げた変態に、あっという間にベッドに押し倒された。
 はあはあしながら体をまさぐられ、七々音は悲鳴を上げる。

「ひいぃっ、やめ、やめろっ、触るなって!!」
「照れなくていいよ。僕にこうしてほしくて可愛く誘ってくれたんだよね? たくさん可愛がってあげるからね」
「違うぅ! 照れてないっ、誘ってないっ、やだばかばか離せぇっ」
「照れてるななたん可愛い過ぎるよ。涎じゅるじゅるしちゃうよ」
「んぎゃあぁっ」

 涎を垂らさんばかりの緩んだ顔で迫られて、七々音はめちゃくちゃに暴れた。力の限り抵抗するけれど、真白はそれを全く意に介さず好き勝手に七々音の体を触り、制服を脱がせていく。

「はあっ、ななたんの真っ白い肌、すべすべで気持ちいい、可愛い、可愛い、美味しそう」
「やだやだ、やめっ……」

 服を脱がせながら、真白は七々音の頬をぺろぺろと舐める。

「はあはあ、ななたんのほっぺぷにぷにやわらかおいひぃ」
「やだぁっ」

 犬のように顔中を舐め回され、涎でべとべとにされた。
 必死に暴れているのに、それを押さえながら真白は器用に七々音を裸に剥いていってしまう。
 七々音は疲れてどんどん体力が奪われ、もう弱々しい抵抗しかできない。
 くたりとする七々音を、全く疲れを見せない真白がいいように舐めたり触ったりしている。
 気づけば七々音は全裸にされていた。

「はあっ、ななたん可愛いななたん、もうななたんマジ天使、こんな可愛いななたんを見て触ったり舐めたりしゃぶったり齧ったりできるのはななたんを一番に愛してる僕だけだよね、はあはあはあはあ」
「やだ、も、離っ……」
「七々音、七々音、愛してる」
「んんーっ」

 ぶちゅっと唇を重ねられた。
 はじめてのキスを奪われたショックに七々音は固まる。

「はあはあっ、ななたんの唇柔らかくておいし……はむっ」
「んーっ」

 はむはむと唇を食まれ、形を辿るように舐め回される。
 七々音は必死に唇を噛み締めた。
 固く閉ざされた唇を、舌でつんつんとつつかれる。

「七々音、お口開けて? 七々音のお口の中ペロペロさせて、舌ちゅっちゅさせて?」
「んんーっ」

 七々音は決して開けてなるものかと、口を引き結んでかぶりを振った。

「はあっ、はじめてのキスに怯えてるななたん可愛い、怖がらなくて大丈夫だよ、すぐにお口の中気持ちよくなるからね」
「んんんーっ」

 ぶんぶんぶんっと首を振って拒絶する七々音に、なぜか真白はどんどん興奮していく。

「はあはあっ、ななたんに焦らされるのたまんない、可愛いななたんななたん好き」

 真白の舌は七々音の唇から離れ、頬を舐め上げながら耳へと移動した。
 熱い吐息が耳にかかり、擽ったさに肩を竦める。

「はあはあはあ、ななたんの可愛いお耳、ちゅうちゅうさせてね」
「っ……」

 制止の声を上げたいが、口を開ければ口腔内を隈無く蹂躙されてしまうだろう。
 七々音は我慢して唇を噛んだ。
 真白の舌が耳の縁をねっとりと舐める。裏側も内側にも舌を這わせ、耳朶をパクリと口に含んでちゅぱちゅぱと吸い上げた。

「んんぅっ、ふ、んんっ……」

 ぞくぞくする感覚に、七々音は上がりそうになる声を懸命に堪えた。
 しかしぬるりと舌が耳の中まで差し込まれ、その瞬間声が漏れてしまった。

「ひあぁっ」

 その隙を見逃さず、真白の指が口の中に突っ込まれた。

「ああ、ななたんの口の中……熱くてぬるぬるで気持ちいい、ななたんのちっちゃい舌可愛いね」
「ひぁっ、あっ、ひゃへあぅ……っ」

 指で舌を挟んでくにくにと揉まれ、七々音は言葉にならない声を上げる。口を閉じることができず、たらりと唾液が零れた。

「あっ、ななたんの涎、もったいないっ」

 そう言って真白は垂れた唾液に吸い付く。そのまま、指でこじ開けた七々音の口内に舌を差し入れた。
 指が引き抜かれた代わりに舌が挿入され、強引に重ねられた唇が口を塞ぎ、閉じることを許されない。

「んあぁっ、や、んんっ」

 差し込まれた舌が、味わうように口内を隅々まで舐め回す。

「はあっ、ななたんのお口おいし、ずーっとちゅうちゅうしてたい……っ」
「ふむぅっ、んんぁ、ん、んゃぁっ……」

 やめろと声を上げたいのに、大きく口を開けば角度を変えて唇を重ねられ、更に奥へと舌を捩じ込まれる。
 動き回る舌に上顎を擦られると、ぞくぞくと背筋が震えた。
 呼吸もままならず、息苦しさに顔を背けようとするが顎を掴まれてそれも叶わない。

「逃げちゃダメだよ、七々音」
「やぁ……って、くるひ……っ」
「じゃあお口開けて」

 唇が離れ、七々音は酸素を求めて大きく口を開けた。

「舌出して、いっぱい伸ばしてごらん」
「んはぁ……は、あ……」

 酸欠で頭の回らなくなった七々音は、言われるままに舌を伸ばした。自分がどれだけだらしない顔をしているのか自覚もなく、てらてらと唾液にまみれた舌を突き出す。

「ああもう、ななたんどんだけ可愛いのっ」
「んむぅっ……」

 息を荒げた真白が、七々音の舌にむしゃぶりついた。
 彼の口内へ引きずり込まれた舌がべろべろに舐めしゃぶられ、吸い上げられ、甘噛みされる。

「はふっ、ななたんのちっちゃい可愛い舌、んふぅっ、美味しい、はむっ」

 舌を伝って、だらだらと真白の唾液が口の中に流れ込んでくる。吐き出すこともできず、七々音は涙を流してそれを嚥下した。
 長い時間をかけ、しつこく唇を貪られた。散々に吸われて食まれた唇は、すっかり赤く腫れてしまった。

「んは、ぁ……もう、やぁ……っ」
「ああ、泣かないでななたん、ごめんね、ななたんが可愛くていっぱいちゅうしちゃった、はじめてだったからびっくりしちゃったね」

 火照った頬を撫でられて、それだけで体がびくびくと反応してしまう。

「はあはあっ、敏感ななたん可愛い、全身ペロペロしたい」
「んやあぁっ」

 首筋を舐められ、甘ったるい声が七々音の口から漏れる。
 べとべとになるまで首もとを舐めて吸われて、肩に噛みつかれ鎖骨をちゅうちゅうしゃぶられ、絶え間なく愛撫を繰り返されて七々音は喘ぐことしかできなかった。

「ななたんななたん、ななたんのおっぱい、はあはあはあっ」
「やあぁっ」

 平らな胸を両手でむにむにと揉まれる。女の子のように扱われ、七々音は羞恥に悶えた。

「はあっはあっ、ななたんの乳首……可愛い乳首……ふにふに……はあはあっ」
「や、やめっ、そこ、やだぁっ」

 乳輪ごと指で挟んで摘ままれ、くにくにと感触を楽しむように捏ね回される。

「ああ、固くなってきた、ななたんの乳首こりこりしてきたよ、可愛い可愛い可愛い」
「あっあっ、あぁんっ」
「ぷっくり膨らんで、指で押し潰すと弾力が伝わってきてぷりぷりして気持ちいい、指を離すとつんってまた突き出して、はああっ、ななたんのえっちな乳首すっごく美味しそう、食べさせてね」
「ひやあぁっ」

 パクリと胸の先端を口に含まれる。熱くぬめった粘膜に敏感な突起を包まれ、七々音は背を仰け反らせて身悶えた。

「やだ、あぁっ、だめ、だめぇっ」
「はあっ、ななたんのこりこり乳首おいし……」

 乳首に舌が絡み付き、ぐにぐにと転がされる。じゅるじゅると音を立てて吸われ舐めてしゃぶられ甘噛みされ、本当に食べられているような感覚だった。

「やだぁっ、食べるの、やっ、あんっ」
「ふーっ、かわい……乳首ちゅぱちゅぱ気持ちい?」
「んやぁっ、あっ……もちく、ないぃっ」
「ふふ、乳首で感じちゃうの恥ずかしい? 大丈夫だよ、乳首であんあん鳴いちゃう七々音は可愛いよ、恥ずかしがらないでいっぱい感じていいからね」
「ひゃうぅんっ」

 もう片方の乳首にもむしゃぶりつかれ、七々音は感じたくもない快感に腰をくねらせる。
 真白が満足するまで弄り回され、乳首は真っ赤に染まってじんじんと熱を帯びていた。
 真白はまた七々音の体を舌で辿る。左右の腕に舌を這わせ、指先の一本一本をしゃぶって味わった。腋を舐めて脇腹を舐めて、腹を舐めて臍を舐める。
 それから真白はうっとりとした視線をぺニスに向けた。

「はあはあはあはあっ、ななたんのおちんちん、可愛い桃色おちんちん」
「やだぁっ」

 やだやだ言いながらもしっかり勃起しているぺニスを凝視され、七々音は真っ赤になって身を捩る。そうすれば動きに合わせてぺニスが揺れ、余計に真白の目を楽しませる結果となった。

「おちんちん気持ちよくしてあげるからね」
「ひぁんっ」

 きゅっとぺニスを握り込まれ、自慰にすら慣れていない七々音は強すぎる刺激に怯えた。
 真白の手が、優しく七々音のぺニスを擦り上げる。

「ほら、おちんちんこうすると気持ちいいでしょ? こうやって手で握って、上下に擦るんだよ」
「んあぁっ、あっあっあっ」
「でも、これからは毎日僕が七々音のおちんちん気持ちよくするから、七々音はもうオナニーする必要はないね。僕におちんちん擦られて真っ赤になってる可愛いななたんを毎日見られるなんて嬉しいな、ずっとずっと七々音に触りたかったんだよ、こんなことならもっと早くこうしてればよかった」
「ああっ、や、やらっ」
「嫌じゃないでしょ、七々音のおちんちん気持ちいいって言ってるよ」
「やあぁっ、怖いぃっ」
「今までまともにオナニーできてなかったもんね、いきなり気持ちよすぎて怖い? 大丈夫だよ、体から力抜いて、気持ちいいのは怖くないよ、そのままいっぱい感じて気持ちよくなって」
「ひああぁっ」

 先走りの滲んだ先端を撫でられ、痺れるような快感が全身を走り抜ける。びくんびくんと腰が跳ね、真白の手から逃れようと藻掻いた。

「やら、やらぁっ、先っぽ、らめぇっ」
「ななたん、気持ちよくて泣いちゃうの? はあっ、可愛い……先っぽくちゅくちゅ気持ちい? お口ぱくぱくしてきたね、もういきそう? 精液出ちゃう?」
「あぁっ、でる、でるぅっ」
「いいよ、我慢しなくていいからね」
「ひあっ、でる、いくっ、あっ、~~~~!」

 七々音のぺニスから、ぴゅくっと精液が噴き出した。

「はあはあ、イきそうになってるななたんも、イってるときのななたんも、イった後のななたんも全部可愛い、なんでそんなに可愛いの」
「んはぁっ、は、あっ……」

 体から力が抜け、七々音はくたりとシーツに沈む。
 放心した状態の七々音の姿を目に焼き付けながら、真白は自身の手に吐き出された七々音の精液を舐め取った。一滴残らず舌で拭い、味わい飲み込む。

「はあっ、ななたん、七々音、七々音……」

 愛する七々音の体液に、真白の瞳は酩酊したように蕩けた。

「今度は直接味わわせてね」

 そう言って、真白は七々音の下腹に顔を埋めた。
 射精の余韻にぼんやりしていた七々音は、生温かい粘膜にぺニスを包まれてびくりと体を竦ませる。

「ひやっ、なに……!?」

 顔を下半身に向け、目を見開く。
 自分のぺニスが他人の口に咥えられている光景は、七々音には刺激が強すぎた。

「やだぁっ、なんで、やめ、離してぇっ」

 腰を捩ろうと身動げば、それを阻むようにぺニスに舌を這わされた。途端に快楽に支配され、抵抗などできなくなる。

「はあっ、ななたんのおちんちん美味しい……ぷりぷりでつるつるで、はむっ」
「ひぅんっ」
「んはっ、色も形も大きさも、全部可愛い、たまんない」
「ひあぁっ、あっ、はぁんっ」

 裏筋を舐め上げられ、先端の割れ目を舌先で擦られ、目も眩むような快感に七々音はひっきりなしに嬌声を上げる。はしたなく腰が揺れてしまうのを、止めることができない。
 卑猥な音を立てながら、飴玉でも味わうように先端を舐めしゃぶられる。七々音の漏らす先走りと真白の唾液で既にぺニスはべちょべちょに濡れていた。

「七々音の可愛いおちんちん、あーんするからね。僕の口にいっぱい精液出してね」
「ひぁっ、そんな、の、やだぁっ、あっ、あぁんっ」

 ぺニスを口に含まれ、裏筋を舌で擦りながらじゅぽじゅぽと出し入れされる。ぬかるんだ口腔内に全体を包まれ吸い上げられ、七々音は強烈な快楽に翻弄されるだけだった。
 限界はすぐに訪れる。知識も経験もないに等しい七々音は刺激に弱すぎた。

「やらぁっ、もうでる、でちゃうぅっ」
「んっ、いいよ、精液でもおしっこでも潮でも、僕が全部飲み干すから」
「ぃやあぁっ、らめっ、あっあっ、らめぇっ」

 首を振り立てて拒否するが、真白が口を離してくれることはなかった。それどころか射精を促すように口淫は激しくなり、七々音はあっけなく絶頂を迎えた。

「あぁっ、あっあっ、あ────!」

 耐えることもできず真白の口内に吐精する。
 真白は喉を鳴らしてそれを嚥下し、先端に吸い付き残滓まで残らず飲み干した。

「はあっ、ななたんのミルク美味しい」
「やっ、も、離し……あっ、やだぁっ」

 精を吐き出して縮んだぺニスに、真白はしつこくキスをしてくる。
 七々音は解放を求めて懸命に四肢を動かすけれど、すっかり体から力が抜けていて弱々しい抵抗にしかならない。
「はあはあっ、ここもマシュマロみたいで可愛いね」
「ひぅっ」

 真白がはむりと口に含んだのは七々音の陰嚢だった。口の中で味わうように転がされる。

「んあっ、あっ、やだ、そこ、あっあんっ」
「んちゅっ、七々音の体はどこも甘くて美味しいね」

 ちゅぽっと口を離される。いやらしい音に七々音の羞恥心が煽られた。
 唾液でぬるぬるになった陰嚢を辿り、真白は内腿を舐め上げる。ちゅっちゅっと吸い付き、柔らかな肌に優しく歯を立てた。

「やっ、やぁっ」

 両方の脚の付け根をぬめぬめに舐められ、七々音は思わず脚を閉じた。そうすると脚の間にいた真白の顔を脚で挟むことになる。

「はあはあはあはあっ、ななたんの太股に挟まれてる! 左右に柔らかすべすべななたんの太股、目の前にはぷにぷに可愛いななたんのおちんちん、こここそが天国っ」
「うわぁっ」

 鼻息荒く気持ち悪いことを言われ、七々音は素早く脚を開いた。

「ああ、ななたんが恥じらいながら自分から脚を広げて僕に体を差し出してるみたい、いやらしくて可愛いななたんこういうのを絶景って言うんだね」
「もういやだぁ……!」

 七々音がなにをしてもこの変態を興奮させてしまうようだ。七々音は子供のように泣き喚いてしまいたい気持ちになった。でもそうすればまた変態を興奮させることになるだけだと思ったのでやめた。

「はあはあっ、ななたんの脚も美味しいね」

 太股、ふくらはぎから爪先まで、また余すところなく舐められた。
 足の指も手と同様に一本一本丁寧にしゃぶられる。

「やめっ、そんなとこ、汚いってぇ……」
「汚くない! ななたんに汚いところなんてないから!」

 キリッとした顔で断言され、ふやけるほどに舐め尽くされた。
 擽ったさと羞恥に七々音は全身を震わせていた。
 爪先まで舐められて、もう終わったかと思えば今度は体を反転させられた。そしてまた同じことを繰り返される。

「ひゃうっ、あっ、もうやだ、もうむりだからぁっ」
「はあはあっななたんななたん」

 七々音の声も無視して、真白は夢中で舌を這わせる。
 うなじを経由し肩から背中、腰から臀部へ。こんなに舐めて、舌が疲れないのだろうか。

「はあっ、ななたんの綺麗な背中、きゅっと締まった腰、そして白くてなめらかなお尻、はあはあはあっ」

 背後から聞こえてくる荒い息遣いが怖かった。
 尻の肉を両手で鷲掴みされ、もにもにと揉まれる。

「ひっ……」
「お尻……ななたんのお尻……柔らかくてむにむにでしっとりとした手触りのななたんのお尻はあはあはあはあっ、もう我慢できないっ」
「ひゃあぁっ」

 ガバッと臀部に顔を埋められ、七々音はびくりと体を震わせる。

「やだやだ、やめ……っ」

 必死に体を捩るけれど、ガッチリと腰を掴まれて逃げられない。

「すーはーすーはー、はあはあはあっ、ななたんななたん」
「ひいぃぃっ」

 尻臀を揉みしだかれ、べろんべろんに舐められる。
 膝を立たされ腰を突き上げるような体勢にさせられ、脚を開かれた。そうすると自然と双丘の狭間が露になる。

「はあはあはあはあはあっ、ななたんのおまんこ……っ」
「なに言ってんだ、変態ぃ……!」

 七々音の罵声は理性をなくしている変態には届かない。
 こんな変態が本当に天使なのだろうか。七々音の思い描く天使のイメージからあまりにもかけ離れている。これが本当の天使というものなのか。天使とは変態なのか。

「ひいぃっ」

 べろりとアナルを舐められ、びくっと体が跳ねた。
 七々音はじたばたと暴れるが、真白の舌はくっついているかのようにそこから離れない。

「やだやだやだやめっ、汚いからぁっ」
「ななたんのおまんこが汚いわけないよ、寧ろ綺麗だよ、ピンク色で艶々でぷりっとしてて甘くておいし……んんっ」
「嘘つけぇっ、あっ、やだって、っていうか、お、お、おま……ん、とか、変なこと言うなぁっ、あぁっ」

 そこは決して女性器ではない。断じてない。
 天使がこんな下品な発言をするなんて信じられない。天使とは淫語を連発するのが普通なのか。七々音の思う天使のイメージはガラガラと崩れ落ち粉々に吹き飛んでいった。
 襞を丁寧に執拗にしつこく舐められ唾液でぬるぬるにされる。アナルだけでなく会陰もべちゃべちゃに舐められた。

「やだぁ、もっ、やめぇ……っ」
「ななたんのここ、ふやけてきたね、そろそろ指入れるね」
「は……? えっ、あっ、ひっ、やだぁっ」

 かけられた言葉の意味を理解する前に、ぬぷっと指を差し入れられた。
 七々音は愕然と目を見開く。
 アナルに力を入れて拒もうとするけれど、丹念に濡らされたそこはさして抵抗もなく指を受け入れてしまう。

「やだ、やだぁっ、なんで……っ」

 あまりの衝撃にぽろぽろと涙が零れる。

「泣かないで、七々音、大丈夫だよ、七々音のおまんこに僕のおちんぽ入れられるように慣らしてるだけだからね」
「ひぁっ、なに、なに言って……!?」

 サッと血の気が引いていく。
 なにかとんでもないことを言われた。嘘だと思いたい。信じたくない。けれどその間にも差し込まれた指が動いて中を解していく。

「うそっ、やだ、やだってぇっ、そんなのしないでぇっ」
「大丈夫だよ、ちゃんと中まで解して僕のおちんぽ入れられるようにするからね」

 なにも大丈夫ではない。しかし真白は七々音の意思など全く考慮せず勝手に行為を続行する。
 ぐに……っと指でアナルを左右に広げ、開いた孔に唾液を垂らして注ぎ込む。

「やあぁっ、ぬるぬる、入れるの、やだぁっ」

 たらたらと滴る唾液が流れ込んでくる感覚に、七々音はいやいやとかぶりを振る。

「はあはあっ、ななたんのおまんこ、僕の涎でくちゅくちゅしてあげるね」
「いやっ、やぁっ、くちゅくちゅ、しないでっ」
「はあはあはあはあっ、ななたん可愛すぎるよななたん」

 唾液を塗り込めるように指が中を掻き回す。入り口が解れると、今度は舌を挿入された。

「ひあぁっ、だめぇっ、中、ぬるぬるするのやあぁっ」

 唾液を送りながらぬぽぬぽと舌を出し入れされる。充分に濡れると、また指が埋め込まれた。
 そうして舌と指を交互に使って後孔を柔らかく蕩かされていく。
 気づけば三本の指がスムーズに動き回れるまでになっていた。
 自分の体を作り替えられていくような恐怖に七々音は怯えた。

「はあっ、ななたんのおまんこ、ぐちゅぐちゅやわやわおまんこになってきたね」
「違うぅっ、そんなんじゃ、ないっ、あっあっあっ」

 ぐるりと探るように動く指が、腸壁の膨らみを擦り上げる。その瞬間、突き抜けるような快楽に襲われた。

「ひあぁっ、な、なにっ、あっあっ、ひっ」
「七々音の気持ちいいところだよ」
「はひっ、ひ、ま、待って、待って、そこだめっ」

 七々音の制止の言葉を、真白は当然のように無視する。

「いっぱい擦ってあげるから、たくさん気持ちよくなってね」
「ひぃっ、やだ、そこやめっ、あっあっ、ああぁっ」

 指でぐりぐりと擦られ、強烈な快感に七々音は身悶えた。

「はあはあっ、純粋無垢なななたんが快楽に蕩けちゃってる、体ぷるぷる震えて腰がくがく揺れて、えろくて可愛くてもう我慢できない、犯したいめちゃくちゃにしたい僕なしじゃいられないくらいでろでろの快楽浸けにしたい、そうすればもうななたんは僕から離れられないし他の奴に取られる心配もなくなるもんね、僕だけのななたんにできるもんね」
「やら、やらぁっ」

 与えられ続ける快感のせいで真白の言っていることの半分も理解できなかったが、不穏な空気を察知して七々音は力を振り絞って抵抗する。
 しかし子猫のように弱々しい抵抗など変態を煽ることしかできず、くるんとまた体をひっくり返され、のし掛かられた。
 頬を紅潮させ、はあはあと息を乱す真白に真上から見下ろされ、七々音は捕食される小動物の気持ちになった。
 瞳はギラギラと情欲にまみれているのに、やはり顔は天使のように美しく、その背中には純白の羽が輝いている。

「はあはあ、ななたんななたん、今から僕のおちんぽ、ななたんのおまんこに奥までずっぽり嵌めてぐちゅぐちゅしてななたんを僕の体にメロメロにしてもう僕以外の誰にも目移りしないように徹底的にななたんの体に快楽を教え込むからね」
「ひっ……」

 頭のおかしいことを言いながら真白は自身の性器を取り出す。
 勃起したそれは色こそ綺麗だが凶悪なほど大きかった。先走りが滴り、てらてらと光る先端がアナルにぐちゅりと押し付けられる。

「ま、待っ、むり、むり……っ」

 七々音は青ざめ、どうにか変態の暴挙を止めようと藻掻く。
 しかし抵抗も虚しく、ぐぬっ……と亀頭が捩じ込まれた。

「ひっ、は、あっ、あっ……」
「ああ、すごい、七々音のおまんこに、僕のちんぽが吸い込まれていく……っ」

 結合部を凝視しながら、真白は感嘆の声を上げる。
 七々音も七々音で下肢から目が離せなかった。歪に形を歪めながら、巨大な男根が埋め込まれていく自分の後孔を呆然と見据える。
 あんな大きなものを挿入されているのに、さして痛みを感じないことが信じられなかった。ただ胎内を押し広げられるような圧迫感に息苦しさを感じるだけだ。

「やだぁっ、俺の、中、あっ、入ってきて……っ」
「はあっ、そうだよ、ななたんの中に僕のちんぽが入ってるの感じる? ななたんのおまんこ、ぎゅうって締まって、美味しそうに僕のちんぽもぐもぐ食べていってるよ」
「違っ、違うぅっ、そんなこと、してな、あっ、あぁっ」

 ずりゅんっと、張り出した雁が前立腺を擦った。
 快楽に喘ぐ七々音を見て、真白はうっとりと微笑む。

「ここ、七々音の気持ちいいところ、僕のちんぽでいっぱいごりごりしようね」
「ひあっ、やめ、あっあっあっ、やらぁっ」

 真白は腰を前後に振り、抉るように亀頭で前立腺を何度も擦る。
 強すぎる快楽に、七々音は涙を零して首を振り立てた。

「やぁっ、やらぁっ、そこ、そんなにしちゃ、あっあっ、らめ、らめぇっ」
「はあはあっ、気持ちよくて舌足らずになっちゃってるななたんきゃわい……はあはあっ、お顔蕩けちゃって、おちんちんもとろとろになって、はあっ、ななたんおまんこぐりぐりされてイきそう? 僕のちんぽでイっちゃう?」
「やあぁっ、しないれっ、ぐりぐり、やめてぇっ」
「はあはあっ、真っ赤になって泣いちゃうななたん可愛すぎて意地悪しちゃうの止めらんない、はあはあはあっ、ねぇ、イって? ちんぽでおまんこ気持ちよくされてイってるななたん見せて?」
「んやあぁっ、あぁっ、あっ、らめ、いくのやぁっ、いきたくな、あっあっ、やらぁっ」

 容赦なく敏感な膨らみを嬲られ、心とは裏腹に体はどんどん絶頂へと上り詰めていく。

「ひあぁっ、あっあっあっあっ、ぐりぐり、らめぇっ、あっあっ、いくっ、らめ、いくの我慢できないぃっ」
「ああ、ななたん可愛いななたん、内腿ぷるぷるしてるね、イきそう? イっていいよ、ほら」
「ああぁ──っ」

 ごりゅっと嵩の部分で前立腺を押し潰され、七々音は呆気なく達した。
 体を震わせながらぺニスから精を吐き出す七々音の痴態を、真白は瞬きもせずに凝視する。

「はあはあっ、おまんこ穿られておちんちんからミルクぴゅーぴゅーしちゃうななたん尊い、エロさと可愛さの絶妙なバランスさすが僕のななたん、おまんこ痙攣してちんぽちゅうちゅうしてるのも最高、そんなに煽られたら僕我慢できなくなってななたんのこと壊しちゃうよ、ななたんの可愛さは罪だよ」

 真白がなにか言っているが、息を整えるのに必死の七々音は聞いていなかった。
 射精と同時にアナルがきゅっと締まり、そうなると自然とまた前立腺が肉棒に擦られ、達したばかりの敏感な体は再び反応してしまう。快感から逃れようと腰を動かせば、中が擦られて余計に感じてしまった。

「あっ、あぁんっ」
「はあはあはあはあはあっ、ななたんが僕のちんぽでオナニーしてる……っ」
「ちがっ……んあぁっ」
「そんなことされたらもうたまんないよ、純粋なななたんも可愛いけど淫乱なななたんありがとうございます、もっともっと淫乱になっていいからね、僕がいつでもおちんぽ突っ込んであげるから、おまんこむずむず疼いちゃっておちんぽ欲しがるななたんとか想像しただけで鼻血出そうだよ、ななたんななたんっ」
「ひぁっ、あっあっあっ」

 小刻みに腰を揺すられ、七々音はされるがままに喘ぐことしかできなくなる。
 
「ななたんのおまんこでちんぽごしごしされて、僕ももうイきそうっ、ななたんの中に出すからね、ななたんのおまんこ僕の精子でたぷたぷにしちゃうよ、そしたらななたん妊娠しちゃうね、僕の子供孕んでね、ななたんの子供なら天使みたいに可愛いよ楽しみ、一緒に育てようね」
「いやあぁっ、やら、中、出しちゃらめぇっ、妊娠、やらぁっ、あぁっあっあっ」

 そんなわけがないのに、快楽で頭が正常に働いていない七々音は孕まされてしまうという恐怖に怯えた。
 怖がる七々音を、真白は恍惚とした表情で見つめる。

「ななたんはあはあはあはあっ、大丈夫だよ、責任取るからね結婚しよう、幸せになろうねななたん、愛してるよ」
「ひやああぁっ」

 どぷどぷっと、胎内で熱が弾けるのを感じる。腹の奥にじわりと熱い体液が注がれる。
 真白は腸壁に精液を擦り付けるように腰を回した。

「やらぁっ、なか、くちゅくちゅ、しないれぇっ」
「はあはあっ、ななたんのおまんこに僕の精子たっぷり染み込ませようね」
「ぃやあぁっ、もぉ、ぬいてぇっ」
「ななたんが可愛くてななたんのおまんこ気持ちよくて、僕のちんぽ全然萎えないよ」

 達したにもかかわらず、真白の陰茎は硬度を保ったままだ。

「ななたんのおちんちんもまだ元気だね、お口ぱくぱくさせて気持ちいいって言ってるよ」
「やらぁっ、なんでぇ……っ」

 七々音のぺニスは頭を擡げ、蜜をたらたらと漏らしている。
 壊れてしまったかのように貪欲に快楽を貪る自分の体に七々音は絶望した。
 ひくひくと喉を震わせ涙を流す七々音を、真白は優しく抱き締める。けれど、彼の優しさは七々音にとっては迷惑でしかなかった。

「大丈夫だよななたん、もっともっと気持ちよくしてあげるからね、いっぱいミルク出しておちんちん苦しいの直そうね」

 そんなこと誰も望んでいないのだが、七々音の気持ちなど彼は最初から全く考慮していないので勝手に行為を続行する。
 下半身を繋げたまま七々音の体を抱き上げ、真白はベッドの上に座る。繋がったままなので、七々音は彼に跨がる体勢になった。
 力の入らない七々音は、自分で体を支えることもできない。

「ひあっ、ああぁっ」

 ずぶずぶっと、自重で楔に内部を貫かれた。
 全て埋め込まれたと思っていたものが、半分も入っていなかったのだと七々音は気づく。先程よりも更に奥まで肉棒が突き刺さり、目も眩むような衝撃に襲われた。

「ふぁっ、あっ、はひっ……」
「ああ、すごい、ななたんのおまんこの奥に僕のちんぽ飲み込まれてる……っ」

 中で出された精液のぬめりで、奥へ奥へと埋め込まれていく。

「ひっ、やらぁ、むり、そんな、あひぃっ、おくぅ」
「あはっ、ななたんのおまんこの奥、きゅうきゅうって僕のちんぽに吸い付いてる、気持ちよすぎてもうずっとこうしてたい……っ」
「ひあっ、らめ、うごいちゃらめぇっ」
「だってななたんのおまんこが、僕のちんぽちゅぽちゅぽするから……はあっ、そんなことされたら、我慢できないよっ」

 ぐちゅっぐちゅっと下から突き上げられ、亀頭に奥の入り口を抉じ開けられる。
 頭がおかしくなりそうなほどの暴力的な快楽に、七々音は真白にしがみつく。七々音は彼に助けを求めるしかなかった。それが余計に相手を高ぶらせる結果になるのだと気づかないまま。

「ひやっ、おねがい、おくこわいぃっ、ゆるひて、はいってこないでぇっ」
「はあはあっ、ななたん、七々音七々音っ」
「んんぅっ」

 貪るように口付けられた。唇をしゃぶられ、口腔内を舐め回される。

「はあっ、ななたんのふにふにの唇可愛い、ななたんお口開けて、ななたんの涎飲ませて」
「んあ……っ」

 口に指を突っ込まれ、抉じ開けられる。閉じられない七々音の口の中に、じわじわと唾液が溜まっていく。
 恍惚とした表情を浮かべた真白が、再び唇を重ね、溜まった唾液を音を立てて啜り上げた。

「んんぁっ、ん、ふぅっ」
「はあっ、おいし、ななたんの味……」

 じゅるじゅると七々音の口を味わいながら、真白は緩く腰を動かし続けた。狭く閉ざされていた肉壁が、徐々に真白の剛直に馴染んでいく。
 激しい口づけに翻弄され、七々音は気づいていなかった。
 七々音の唇の端から零れた唾液を追い、真白の舌が顎をなぞる。そのまま下へと下りていき、赤く染まり尖ったままの乳首に触れた。

「ひあぁんっ」

 すっかり敏感になってしまった乳首は、舌が掠めただけで痺れるような感覚が走り抜ける。

「やあぁっ、そこらめぇ、じんじんするからぁっ」
「気持ちいい? ななたんのぷにぷにこりこり乳首、美味しいね、はむっ」
「あぁんっ」
 
 ちゅぱちゅぱと吸われ、背中が仰け反る。
 突き出すような形になった胸に、真白は嬉々としてむしゃぶりついた。唇と指で飽きることなく嬲り続ける。
 腰の動きはどんどん大きくなっていき、下半身から生まれる刺激に七々音は漸く気づいた。

「んひっ、や、おく、やらっていってぅのにぃっ」
「ごめんね、七々音のおまんこ気持ちよすぎてもう止めらんないの、ほら、七々音のおまんこが美味しい美味しいって僕のちんぽ食べてるよ、僕のちんぽ気持ちいいって悦んでる」
「ひがっ、してな、そんなのしてなひぃっ」

 首を振るが、蠕動する肉筒が真白の言葉を肯定するように内部を締め付ける。
 ごちゅっと奥を貫かれた瞬間、快楽が全身を駆け抜けた。

「ひ、っ~~~~!」

 七々音は自覚もないままに射精していた。
 飛び散った精液を指にとり、真白はそれを美味しそうに舐める。

「またおまんこでイっちゃったね、気持ちよかった、七々音?」
「はっ、ひ、あひっ……」

 七々音はもうなにを言われているのかもわからず、なにも答えられない。
 快楽に酔っている七々音の体を抱き締め、真白は激しく揺さぶった。

「ひにゃっ、あっあっあっ、あうぅっ」
「はあっ、ななたんのとろとろおまんこ気持ちいいっ、僕もまた出すよ、奥に種付けするからねっ」
「んひあぁあっ、あっ、はげしっ、ひはぁんんっ」

 何度も奥を穿たれ、真白が達する前にまた七々音のぺニスから精が放たれた。肉筒を擦られる刺激で、勝手に射精してしまうようになってしまっていた。
 七々音の体ががくがくと痙攣し、直腸が収縮する。その刺激に、真白も大量の精を吐き出した。

「はひっ、おく、あちゅいの、でてうぅ……っ」

 熱い体液を注がれ、七々音はぶるりと震えた。
 七々音の額に浮かぶ汗を舐め取りながら、真白は一滴残さず中に放った。

「気持ちいいね、七々音」
「んあぁっ、あっあんっ」

 二度精を放った真白の陰茎は、それでもまだ萎える様子がない。腰を揺すってぐちゅぐちゅと内部を掻き混ぜ、蕩けた肉襞の感触を楽しむ。

「はあっ……ほんと、ななたんのおまんこ最高、僕の精子まみれになってるのほんと滾る、ななたんのおまんこに入れてたら、おちんぽずっと勃起したままかも、精子出なくなっても勃ってるかも、もうずっと入れっぱなしにしたい、いいよねななたん、おちんぽ嵌めっぱなしにされたら、おまんこ嬉しいよね」
「ひっ、あっあっあっあひっ」

 気絶こそしていないものの殆ど放心状態の七々音は、揺さぶられるままただ喘ぎ声を漏らし続ける。

「ななたんのお腹の中、僕の精子でいっぱいにするからね」

 天使のように綺麗な笑顔を浮かべながら囁かれたえげつない言葉は、もう七々音には理解できない。

「ひあっ、あっあっあっ、んあああぁっ」

 いつの間にか全裸になっていた真白に背後からのし掛かられ、蕩けた肉筒を激しく陵辱される。
 もう何度も精を吐き出した七々音のぺニスは突き上げに合わせてぷるぷると揺れるだけになっていた。射精はできないのに絶頂は訪れ、七々音は強烈な快楽に悶え続ける。

「んひっ、いく、いくぅっ、ひにゃあぁっ」
「あはっ、ななたんすごい声、メスイキきもちい?」
「ひあぁあっ、いく、また、あっ、~~~~!!」
「っ締め付けすご、搾り取られる……っ」
「ああぁっ、おにゃか、くるひいぃっ」

 もう何度胎内で射精されたのか、たぷたぷのお腹にまた精を放たれる。収まりきらず溢れた精液で七々音の太股もシーツもどろどろに汚れていた。
 何時間も揺さぶられ快楽を与えられ続け、七々音の頭も体ももうふらふらだ。
 真白は七々音の体を背後から抱き締め、繋がったまま体勢を変えた。
 座る真白の膝に乗せられ、下から剛直に貫かれるような状態になる。苦しくて七々音は身動ぐが、その動きはあまりにも弱々しかった。もう指一本動かすのさえ億劫だ。
 真白が七々音の顎を掴み、顔を横に向けさせる。
 涙と唾液でぐちょぐちょになった七々音の顔を覗き込み、真白は愛おしげに瞳を細めた。

「はあっ、可愛い七々音、もっと早くこうして僕のものにしておけばよかった……」

 囁きと共に口づけが落とされる。
 ぱたぱたと羽ばたく純白の羽が視界の隅で揺れていた。
 こんな男が天使だなんてあり得ない。これはきっと悪い夢だ。
 自分に言い聞かせるように念じながら、七々音は意識を手離した。






 願いは叶わず、目を覚ますとにこにこと微笑む真白の顔が視界を埋め尽くしていて七々音は絶望的な気持ちになった。
 あれだけの無体を働いておいてなんの罪も犯したことのないようなキラキラ輝く彼の笑顔に心の底から苛ついた。
 殴り飛ばしてやりたいが腰が立たずベッドから起き上がることさえ不可能だった。
 憎しみを込めて真白を睨み付けていると、彼の背中の羽がなくなっていることに気づく。

「実は、お前は天使失格だーとか神様に言われて、羽を没収されちゃったんだよねー」

 あははと悪びれることもなく笑いながら真白は言った。
 それを聞いてよかったと胸を撫で下ろす。天使が全員真白のような変態ではないのだということに七々音は安堵した。こんな天使が蔓延る世界などもう終わっている。

「もう天使としては七々音の傍にいられないから、これからは人間として七々音の傍にいるね」

 にっこりと笑顔で綴られる真白の言葉に、七々音は硬直した。

「今までは遠くから七々音のことを見守るだけだったけど、これからは一番近くで七々音を守り続けるね。七々音に近づく危険人物から守ってあげる。七々音の身も心ももう僕のものだからね」

 一番の危険人物が、蕩けるような笑顔を浮かべて七々音を見つめる。
 その瞳の奥にドロリと粘つく熱を感じ、背筋に悪寒が走った。
 全力で逃げたいけれど、動くことさえままならない。

「嬉しいな、今までは僕が七々音を見つめるだけだったけど、これからはこうして七々音が僕を見てくれて、抱き締めたりキスしたり、好きなだけ愛し合うことができるんだから」

 伸ばされた腕に抱き締められる。
 七々音はまるで頑丈な檻に閉じ込められたような気分だった。捕らわれたら二度と逃げ出すことができない檻の中に。

「大好きだよ、七々音。ずーっと一緒にいようね」

 ねっとりと甘くて押し潰されそうに重い囁きが耳の中に吹き込まれる。
 受け止めきれない現実から逃げるように、七々音は白目を剥いて気絶した。





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