呪われた婚約者と結婚した話

よしゆき

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「あんな地味な女と結婚なんて最悪だ」

 聞こえてきた声に、クロエは足を止める。そっと向こうを覗き見れば、思った通り、そこにいるのは自分の婚約者であるサイラス・オールストンとその友人達だった。
 声から、先程の発言は自分の婚約者のものだとわかった。

「結婚しても絶対同じベッドでは寝ない。好みじゃない女と同衾なんてごめんだ」

 婚約者であるサイラスは意気揚々とそう言ってのけ、友人達は同調するように笑い声を上げていた。
 クロエは静かに、気づかれないように踵を返す。
 サイラスは明らかに婚約者のクロエを見下し嘲笑していた。
 そんな彼の言動に、クロエがショックを受ける事はない。
 所詮は親の決めた結婚で、クロエもサイラスに好意を抱いているわけではなかった。
 クロエの両親も愛のない政略結婚だった。両親は必要最低限の言葉しか交わさず、まるで他人のように相手に無関心だ。
 そんな両親を見て育ったクロエは、子供の頃から結婚に期待などしていなかった。
 愛のない結婚など当たり前。結婚に理想もなく期待もしていない。
 婚約者にサイラスが選ばれたと知った時も、特に何も思わなかった。
 サイラスは誰もが見惚れるような美貌の持ち主だ。顔だけでなく体つきも美しい。男性が羨み、女性が恋慕う、大勢の憧れの的だ。
 そんな彼は、女遊びが激しい事でも有名だった。毎回のように違う女性と一緒にいる。そしてそれは決まって目を引くほど綺麗で華やかで色気のある女性だった。
 そんな女性を好むのならば、彼がクロエとの結婚を最悪だ、と言うのも頷ける。
 クロエは全くもって華のない、地味な女だった。黒髪黒目にオシャレとは無縁の服装。いつも落ち着いた暗い色の服ばかり選び、肌を露出する事もない。
 そんなクロエはサイラスの好みとは真逆なのだろう。
 クロエはただ冷静にその事実を受け入れる。
 傷つく事も悲しむ事もない。クロエは彼に愛されたいと思っているわけでもないのだ。
 だから、サイラスと結婚すれば両親のような夫婦になるのだろうな、と思った。お互いに干渉する事なく、他人のような夫婦になるのだろうと。
 クロエはそれでよかった。夫となる人に求める事と言えば、暴力を振るわない、という事くらいだ。
 それ以上の事は求めないし、期待もしない。
 サイラスが何人愛人を作ろうが、何日家を開けようが、どれだけ放置され続けてもクロエは気にしない。寧ろ放っておかれた方が気が楽だ。
 だから、もしかしたらサイラスとの結婚生活は揉め事も起こらずうまくいくのではないかとクロエは考えていた。互いに干渉し合わなければ仲が良くなる事はないが、悪くなる事もない。喧嘩をする事もない。平和な生活を送れるはずだ。
 クロエはそんな風に考えていた。
 そんなある日の事だった。
 サイラスが遊び相手の女性に呪いをかけられたという話がクロエの耳に届いた。
 呪いはどうやら精神的ではなく、肉体的なものらしい。そして彼の美貌を著しく損なうものだったというのを、クロエは噂で聞いた。
 実際に見ていないので、呪いで彼の顔がどのように変化したのかはわからない。けれど頻繁にパーティーやお茶会に参加していたサイラスが、それ以降屋敷から一歩も出なくなったという事は、人前に出るのを躊躇うようなものなのだろう。
 サイラスは完全に引きこもりになってしまった。
 そうなると困るのは婚約者のクロエだ。彼が部屋に引きこもっているので、結婚の話が全く進まない。何の音沙汰もない。
 もしかしたら、彼はもうクロエと結婚するつもりがないのかもしれない。
 彼の意思を確かめるため、クロエはサイラスのいる屋敷に向かった。
 会ってもらえないのではないかと思ったが、意外にもあっさりと部屋へ通された。
 サイラスと顔を合わせるのは約一ヶ月ぶりだ。
 彼はソファに座り、足を組み不遜な態度でクロエを待っていた。
 クロエは彼の対面のソファに腰を下ろす。真正面から彼を見た。
 サイラスの顔は、右半分が焼け爛れたようになっており、皮膚も赤黒く変色していた。そして右目がギョロギョロと忙しなく動いている。恐らく彼の意思とは関係なく。
 クロエは彼をまっすぐに見つめて口を開いた。

「サイラス様は、私との結婚をどうなさるおつもりなのでしょう?」

 そう尋ねれば、彼ははっと自嘲するように笑う。

「回りくどい言い方はよせ。俺との婚約を解消したいのなら、はっきりとそう言えばいいだろう」

 クロエはきょとんとしながらきっぱり言う。

「いえ、私はサイラス様との婚約を解消したいと思っておりません」
「……は? 何だって?」
「私はサイラス様との婚約を解消したいと思っておりません」
「……なら君は、俺と結婚したいとでも言うのか?」
「はい。私はサイラス様と結婚したいと思っています」

 それはクロエの本心だ。彼との婚約が解消されてしまえば、また新たに結婚相手を捜さなくてはならない。すぐに見つかるとも限らないし、見つけて、顔合わせをして、婚約して……それをまた一からと考えると億劫だ。なのでできればこのままサイラスと結婚したい。
 サイラスは信じられないというような目でクロエを見る。

「冗談だろう? こんな化け物みたいな顔になった俺と結婚したいだなんて……」

 サイラスはそう言うが、そもそもクロエは彼の顔になど興味はなかった。

「言っておくが、この顔は自然に治ったりしないぞ。呪いをかけた人物にしかこの呪いは解けない。だから、俺の顔は一生このままだ」
「別に構いません。どのようなお姿になっても、私はサイラス様と結婚したいと思っております」

 クロエははっきりとそう言った。言葉の通じない理性を失くした化け物にでもなったのならさすがに婚約は解消してもらっただろうが、ただ見た目が少し変わったくらいクロエは何も気にしない。
 サイラスはハッと息を呑み、まじまじとクロエを見つめる。それから我に返ったようにクロエから視線を外し、ゴホンと一つ咳払いをする。

「まあ……君がそこまで言うならいいだろう」
「私と結婚して下さるのですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」

 クロエはホッと胸を撫で下ろす。これで一から婚約者を捜し直すという事態は避けられた。

「ところでサイラス様、右目を閉じる事はできないのですか?」

 気になっていた事を口にすれば、サイラスの表情はみるみる不機嫌なものへと変化する。

「ははっ、なんだ? 気味が悪いから閉じていろとでも言いたいのか?」

 嫌味たっぷりの彼の発言に、そんな風に解釈されるとは思わずクロエはすぐに否定する。

「いいえ。ただ先程から右目は瞬きをしていないので、目が乾燥してしまうのではないかと気になったのです」
「………………乾燥?」
「はい。瞬きをしないと、目が乾いてしまうので……。余計なお世話でした。気に障ったのでしたら謝ります。申し訳ございません」

 頭を下げれば、サイラスは拍子抜けしたような顔を見せる。

「あ……や……いや、今のは俺が穿ち過ぎただけだ……」

 気まずそうに視線をさ迷わせ、それからクロエの質問に答えた。

「確かに、右目は閉じられない。というか、自分の意思ではどうにもならない。右目は見えないし、感覚もないから乾燥しているかどうかもわからない」
「そうなのですか。感覚がないという事は、乾燥していても気づけないのですね。定期的に目薬を差した方がいいかもしれません」
「…………そう、だな……」

 サイラスの微妙な反応に、クロエはまた失言してしまったのかと思った。

「すみません、失礼な事を言ってしまいましたか?」
「いや……そうじゃない……。ただ、俺のこの顔を見て目の乾燥を心配するやつなんてはじめてだったから……反応に戸惑っただけだ」
「はあ……」

 それはつまり、クロエは変な事を言ってしまったという事だろう。
 もう余計な発言は控えた方がいいかもしれない。機嫌を損ねて婚約を解消されたら困る。
 何はともあれ、それから数ヵ月後クロエはサイラスと結婚する事になった。
 彼の希望により、結婚式は身内だけで行われた。最小限の人数で式場はがらんとしていた。
 大勢の前に出るのが苦手なクロエとしてはそれが有り難かった。寧ろ式自体無理に挙げなくてはいいのではないかと思ったが、サイラスは「一生に一度の事だから」と挙げる事を選んだ。
 式が終わった後は、クロエはサイラスと一緒に彼の暮らす屋敷へと帰る。彼の両親はこことは別の場所で暮らしているので、この屋敷の主はサイラスだ。
 既にクロエの部屋は用意されている。室内には必要なものも全て揃えられていた。
 けれど、ベッドがない。
 結婚しても絶対同じベッドでは寝ないと彼は言っていた。だから、個別にベッドが用意されていると思っていた。
 用意が間に合わなかったのだろうか。
 風呂を使い寝間着に着替えたクロエは自室と隣接する夫婦の寝室に入った。そこには二人で寝れる大きさの広いベッドがある。
 もしかしたらサイラスの自室に彼専用のベッドがあり、彼はそちらで寝るのかもしれない。さすがに夫婦の寝室に女性を連れ込んだりはしないだろう。それとも、女性のところに外泊するのか。
 どちらにしろ、サイラスはこの寝室には来ないはずだ。という事は、こんな大きなベッドをクロエ一人で使っていいのだろうか。
 何だか贅沢な気がするが、クロエはここ以外に寝る場所がない。
 まっすぐベッドに向かい、横になる。シーツの肌触りが気持ちのいい、とても寝心地のよいベッドだった。
 結婚式という一大イベントを終えて疲れていたクロエは、すぐに眠りに落ちていった。
 それから暫くして部屋にやって来たのは、緊張した面持ちのサイラスだ。
 今夜は初夜。クロエは当然処女だろう。きっとそわそわしながら夫がやって来るのを待っているに違いない。
 そう思って寝室に入ったのに、クロエの姿が見当たらない。もう遅い時間だ。ひょっとして彼女はここに来ないのでは……と不安になりかけるが、ベッドの上に膨らみを見つける。
 まさかと思い近づけば、そこには熟睡しているクロエがいた。
 まあ……結婚式で疲れてしまったのだろう。仕方ない。サイラスが遅れて来たのも悪い。きっと待ちくたびれてしまったのだ。
 すやすやと気持ちよさそうに眠る妻を起こすような真似はしまい。
 しかし、彼女はベッドのど真ん中で寝ている。充分な広さはあるので、寝られないわけではないが。
 何となく隣で寝づらいな、と思いながらベッドに上がる。
 キシリ……とマットが沈むのを感じ、クロエは目を覚ました。
 ぼんやりと瞼を開ければ、そこにはサイラスがいた。寝惚けた頭で、わざわざ挨拶に来たのだろうか……と考える。

「おやすみなさい、サイラス様……」

 半分寝ながら挨拶し、クロエは寝返りを打って彼に背を向ける。
 再び彼女の寝息が聞こえ、固まっていたサイラスはまたゆっくりと動き出す。
 目を覚ましたクロエがサイラスの姿を見た瞬間、彼女は飛び起きるのではないかと思った。先に眠ってしまった事を謝ってくるのではないかと。それから初夜を仕切り直す展開になるのではと一瞬期待したのだが。
 きっと彼女は余程疲れているのだろう。今夜が初夜である事を忘れてしまうほどに。
 サイラスは静かに彼女の隣に横になる。
 寝起きにサイラスの醜く呪われた顔を見ても、彼女は一切動じなかった。
 誰もがこの顔を見て嫌悪や恐怖をあらわにした。両親ですらそうだった。長年オールストン家の屋敷で働くベテランの使用人も、まともにサイラスの顔を見れないでいる。
 それなのに、クロエはまっすぐにサイラスを見る。まるで以前と何も変わっていないかのように。彼女と接していると、呪いが解けているのではないかと錯覚しそうになる。
 それほどまでに、彼女の態度は普通だった。嘲笑するでもなく、憐れむでもなく、ただ事実を受け入れている。
 女遊びが原因で呪われ、自業自得であるのにクロエに八つ当たりのようにきつい態度をとってしまった。
 それなのに彼女はサイラスを一言も責める事なく、あろうことか結婚したいと言ってきた。
 呪われてこんな顔になったら、今まで言い寄って来ていた女性達は全員サイラスに近づく事もなくなった。顔すら合わせなくなった。悲鳴を上げて逃げ出す女性もいた。
 皆、サイラスの顔にしか興味がなかったのだ。
 だが、クロエは違う。彼女だけは、顔だけではない、自分の全てを受け止めてくれたのだ。
 と、サイラスは思っていた。
 隣にクロエが寝ている。それを意識すると心臓が高鳴った。
 眠気は一向に訪れない。寧ろ目が冴えていく。
 耳に届く彼女の寝息にドキドキし、彼女の小さな身動ぎにもドキドキする。
 色んな女性とベッドを共にしてきて、こんな事ははじめてだ。
 サイラスは眠れぬ夜を過ごした。





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