無能と罵られパーティーを追放された勇者、実は最強

10話 昇格試験開始

司会の試験開始の合図がされた途端、前で俺のことを見ているクレイから
今まで感じたことのない気迫を感じた。それに驚いて一瞬体が固まった。
そして気づいた時にはクレイは、先ほどまでいた場所にはいなく
自分の左前にいて自分の腹には、クレイの右拳のパンチを食らっていた
クロウは直径50メートルほどの闘技場の壁に打ち付けられた
すぐに立ち上がろうと動いた時にはクレイはすでに動き始めていた

くっ、早すぎる！早すぎて冷静な判断ができないっ！
自分が覚醒してから初めてこんなに素早い人に会ったから
さすがにまだ目が慣れない。

クロウはクレイがもう近くに来ているため
転移を使ってクレイとは反対側に転移し体制を整える。
クロウは少し自分の力に自惚れていたため、相手の観察などしていなかった。
今よく観察してみるとクレイは体つきはとてもよく、
無駄な筋肉がついていない冒険者が憧れる体つきだった。
そして、腰には短剣が2本あった。

まだ目が慣れていないためしばらくの間は防御に徹することにする。

クレイの拳が右から、左から、正面と、何度も自分に向けられているうちに目が慣れてきて、攻撃を正確に避けれるようになってきた。

「よしっ、ここから反撃開始だ！」

そういってクレイの右側から来た拳を受け止め、クレイの腹に本気で一発。
クレイは勢いよく吹っ飛び壁に打ち付けられ、口から少し血を吐き出していた。

だが、クロウはそんなこと気にせず吹っ飛んだ。
クレイの腹に2発目をくらわせるすると、クレイは、動かなくなってしまった。
クロウは殺してしまったか？！そう思い確認しに行くと
気絶していただけだった。

「よ、よかったぁ」

殺していなくて安心したのでクロウはその場に座り、
強く殴りすぎたことを反省しながら、自分が与えた傷を
下位神聖魔法のパーフェクトヒールを使ってクレイを治したら
突然会場がざわつきはじめ、先ほどまで司会を担当していた
物から話しかけられた。

「あなたは、古代魔法を使えるのですか？！」
「古代魔法？なんですかそれ」
「さっきクレイ様を治したときに使った魔法です！」
「あぁ、あれか、あれは神聖魔法で古代魔法ではないよ？」
「はぁ、あなたはほんとに常識というものがありませんね」

司会をしていた人がそういっているが
俺はそれなりに常識はあるんだと思うんだけどなぁ

「古代魔法というのは、神聖魔法など今の時代ではあまり使えるものがおらず
　大昔には使用していたものが多かったといわれている魔法のことです」
「へー、そんなのあったんだ。ってことはさっきから言ってる古代魔法って
　パーフェクトヒールのこと？」
「そうです！なんで使えるんですか！」

そういわれてもなぁ、自分でもなんで使えるようになったか詳しくはわかんないから
うまく説明できないんでよなぁ。こういう時は自然に話を切り替えよう！

「そういえば、ギルドマスターを倒したのでSランクに昇格になるんですか？」
「はぁ、言いたくないんならいいんですけど、たぶん昇格になると思いますよ
　まぁ、昇格を決定するのはギルドマスターなのでまだわかりません」
「そうですか、ではまた明日にギルドのほうに向かいますので
　その時にこの試験の結果を教えてください」

そういってクロウはアウロラと合流するために闘技場から出た