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104. 事情を聞く俺
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ジルとシャリエルは、どこで知り合ったのか?
この質問に答える為に、ジルは後日時間を作り、シャリエルだけでなくニーデリアも呼んで、応接室で話をすることになった。
「…え、そんなに重要な話だった…?」
実はこんなことがあって~、という程度の話かと予想していたミカエルは、大事になってしまい焦ったが、ジルはぴったりとソファで隣に座りながら、軽く笑った。
「シャリエルにとっては重要かな。俺にとってはどうでもいいこと。ニーデリア様は…どうですか?」
ニーデリアは困惑と笑みの中間のような、微妙な表情をしていた。
「そうねぇ。予定外ではあったわねぇ」
「だ、そうだよ」
「うん、よくわからない」
「だよね。じゃ、シャリエルに話してもらおうね」
魔道具ケトルでお湯を沸かし、今日はミカエルが作ったインスタントコーヒーの試飲を兼ねて、マグカップにお湯を注いで行く。
魔道具ケトルのお湯の容量は、前世で一般的な容量として普及していた、八百ミリリットルにしていた。
量を増やすとケトルが大きくなり、沸くまでに時間がかかる。
それより少ないと、四人分、ティーカップに注ぐ量の確保が出来ないのだ。
考えて作られていたんだな、と、自分が実際に作ってみて実感した。
マグカップ四人分だと量が足りないので、ケトルは二つ用意した。
「話の前にインスタント?コーヒーを飲んでみよう!」
「どうぞ!」
ジルが香りを確認し、口を付ける。
「コーヒーは普段あまり飲まないけど、香りもしっかりあるのねぇ」
「はい!」
ニーデリアも興味深そうにマグカップを覗き込み、口をつけた。
製法は、前世のフリーズドライを再現した。
マイナス四十度以下、というのが最難関かと思われたが、魔道具は不可能を可能にしてくれた。
Bランクの魔石が必要だったが、Bランク自体は高価ではあっても市場に出回っているので、商品の量産は可能と思われる。
フリーズドライ製法が確立されれば、インスタントスープやドライフルーツ、野菜チップやその他保存食も作れる、ということだった。
可能性と商機が一気に広がる、革命的な技術である。
試作品を完成させるまでに、何十杯飲んだことか。
朝起きて一杯のコーヒーはすでに日課になっており、休息日には何杯も飲んだし、完成間近になるとダンジョンにも持ち込んで、シャリエルにはたくさん飲んでもらって意見ももらった。
ダンジョンで、気軽に飲める物が欲しかった。
マジックバッグに入れておけばどんな飲み物も気軽に飲めることは理解していたが、まだまだマジックバッグの普及率は低く、大抵の冒険者は水のまま飲むか、火を熾し、湯を沸かしてスープを作ったり、乾燥させた茶葉を放り込んで煮出した茶を飲んだり、もしくは酒を飲んでいた。
インスタントコーヒーは、お湯を注ぐだけで完成する。
簡単に作れる飲み物の選択肢は、色々あっていいじゃないか。
そんな思いで、魔道具を作ってみたのだった。
ようやく納得行く物が出来、今日を迎えたのである。
コーヒー自体は、この国ではあまり普及していなかった。
南方大陸のカノラド連邦が主要な輸出国であり、帝国とは国交がない為、他国を経由して入って来るので高価である。
それでも、ミカエルは飲みたかったのだ。
前世では、紅茶よりも飲み慣れた物だったから。
「…香りはいいけど、苦いね…」
「苦いわね…」
ジルとニーデリアの呟きに、シャリエルが静かに頷いていた。
ブラックの良さは、まだおわかり頂けませんか~。
ミカエルは、ワゴンに用意してもらっていた砂糖とミルクをテーブルに並べて、お好きにどうぞと勧めた。
「…どれくらい入れるものなの?ミカエル」
「まずは砂糖、ティースプーン一杯から試してみて。それでも苦かったら、二杯とか」
「わかった。ミルクは?」
「好きなだけ入れていいよ」
「…ミカエルちゃんは、入れないの?」
「僕はもう慣れちゃったから、ブラックのままで大丈夫です」
「えっ」
「えっ」
二人が驚いている隙に、シャリエルは砂糖を三杯、ミルクをたっぷり入れていた。
二人もそれに倣って砂糖とミルクを入れて飲み、目を瞬いて呟く。
「あら、美味しいわ…」
「ホントだ、飲める」
「うんうん、良かった。カノラド連邦で売ったら売れるかなぁ」
コーヒーの本場だし。
それに、とても上手く出来たのだ。
ルシュディーは絶対、喜んでくれると思う。
「えっ…待って。何でカノラドで売るの。うちで売ればいいのに…」
マグカップをテーブルに置いて、ジルがミカエルの両肩を掴んで縋るような目を向けてくる。
「いや、それはもちろんそうなんだけど、コーヒーを飲む文化、まだないでしょ?」
「文化なんて作ればいいよ。国交も開けばいいし。うちだけでなく、カノラドでも工場造ろう。…あの国を奪るには時間がかかるから…」
「なんか怖いこと言ってる」
「これは売れる。間違いない。すぐ契約書作るから!」
「…うん、わかった。じゃぁ、お願いします」
魔道具を作りさえすれば、後の手続きは全てジルが請け負ってくれる。
ミカエルは、自分がとても幸運であると思った。
「やった!ミカエル天才!」
「ジルの方が天才だよ」
「えっ俺、ミカエルに愛されてる…!?」
「ジル、落ち着きましょうねぇ。ミカエルちゃんが困っちゃうから」
「うっ…はい」
ニーデリアに窘められ、ジルは大人しく座り直した。
「契約書は後で用意するね。先にシャリエルの話を聞こうか」
元々はそちらがメインの集まりであったはずなのに、出鼻を挫いてしまう形になってしまった。
ミカエルは、シャリエルに謝罪した。
「ごめんなさい、シャリエルさん。重要なお話なんですよね」
「…ああ、まぁ、私にとってはな。だが、おまえが気にすることはない。気軽に聞いてくれ」
「はい」
シャリエルさんは、いい人だ。
コーヒーを飲みながら、シャリエルが話し出す。
「私が婚約者と魔族を殺した時に、皇帝が来てな」
「待って。それ全然気軽に聞ける話じゃないっ!!」
コーヒーは、後にすべきだった。
ミカエルは心から反省した。
この質問に答える為に、ジルは後日時間を作り、シャリエルだけでなくニーデリアも呼んで、応接室で話をすることになった。
「…え、そんなに重要な話だった…?」
実はこんなことがあって~、という程度の話かと予想していたミカエルは、大事になってしまい焦ったが、ジルはぴったりとソファで隣に座りながら、軽く笑った。
「シャリエルにとっては重要かな。俺にとってはどうでもいいこと。ニーデリア様は…どうですか?」
ニーデリアは困惑と笑みの中間のような、微妙な表情をしていた。
「そうねぇ。予定外ではあったわねぇ」
「だ、そうだよ」
「うん、よくわからない」
「だよね。じゃ、シャリエルに話してもらおうね」
魔道具ケトルでお湯を沸かし、今日はミカエルが作ったインスタントコーヒーの試飲を兼ねて、マグカップにお湯を注いで行く。
魔道具ケトルのお湯の容量は、前世で一般的な容量として普及していた、八百ミリリットルにしていた。
量を増やすとケトルが大きくなり、沸くまでに時間がかかる。
それより少ないと、四人分、ティーカップに注ぐ量の確保が出来ないのだ。
考えて作られていたんだな、と、自分が実際に作ってみて実感した。
マグカップ四人分だと量が足りないので、ケトルは二つ用意した。
「話の前にインスタント?コーヒーを飲んでみよう!」
「どうぞ!」
ジルが香りを確認し、口を付ける。
「コーヒーは普段あまり飲まないけど、香りもしっかりあるのねぇ」
「はい!」
ニーデリアも興味深そうにマグカップを覗き込み、口をつけた。
製法は、前世のフリーズドライを再現した。
マイナス四十度以下、というのが最難関かと思われたが、魔道具は不可能を可能にしてくれた。
Bランクの魔石が必要だったが、Bランク自体は高価ではあっても市場に出回っているので、商品の量産は可能と思われる。
フリーズドライ製法が確立されれば、インスタントスープやドライフルーツ、野菜チップやその他保存食も作れる、ということだった。
可能性と商機が一気に広がる、革命的な技術である。
試作品を完成させるまでに、何十杯飲んだことか。
朝起きて一杯のコーヒーはすでに日課になっており、休息日には何杯も飲んだし、完成間近になるとダンジョンにも持ち込んで、シャリエルにはたくさん飲んでもらって意見ももらった。
ダンジョンで、気軽に飲める物が欲しかった。
マジックバッグに入れておけばどんな飲み物も気軽に飲めることは理解していたが、まだまだマジックバッグの普及率は低く、大抵の冒険者は水のまま飲むか、火を熾し、湯を沸かしてスープを作ったり、乾燥させた茶葉を放り込んで煮出した茶を飲んだり、もしくは酒を飲んでいた。
インスタントコーヒーは、お湯を注ぐだけで完成する。
簡単に作れる飲み物の選択肢は、色々あっていいじゃないか。
そんな思いで、魔道具を作ってみたのだった。
ようやく納得行く物が出来、今日を迎えたのである。
コーヒー自体は、この国ではあまり普及していなかった。
南方大陸のカノラド連邦が主要な輸出国であり、帝国とは国交がない為、他国を経由して入って来るので高価である。
それでも、ミカエルは飲みたかったのだ。
前世では、紅茶よりも飲み慣れた物だったから。
「…香りはいいけど、苦いね…」
「苦いわね…」
ジルとニーデリアの呟きに、シャリエルが静かに頷いていた。
ブラックの良さは、まだおわかり頂けませんか~。
ミカエルは、ワゴンに用意してもらっていた砂糖とミルクをテーブルに並べて、お好きにどうぞと勧めた。
「…どれくらい入れるものなの?ミカエル」
「まずは砂糖、ティースプーン一杯から試してみて。それでも苦かったら、二杯とか」
「わかった。ミルクは?」
「好きなだけ入れていいよ」
「…ミカエルちゃんは、入れないの?」
「僕はもう慣れちゃったから、ブラックのままで大丈夫です」
「えっ」
「えっ」
二人が驚いている隙に、シャリエルは砂糖を三杯、ミルクをたっぷり入れていた。
二人もそれに倣って砂糖とミルクを入れて飲み、目を瞬いて呟く。
「あら、美味しいわ…」
「ホントだ、飲める」
「うんうん、良かった。カノラド連邦で売ったら売れるかなぁ」
コーヒーの本場だし。
それに、とても上手く出来たのだ。
ルシュディーは絶対、喜んでくれると思う。
「えっ…待って。何でカノラドで売るの。うちで売ればいいのに…」
マグカップをテーブルに置いて、ジルがミカエルの両肩を掴んで縋るような目を向けてくる。
「いや、それはもちろんそうなんだけど、コーヒーを飲む文化、まだないでしょ?」
「文化なんて作ればいいよ。国交も開けばいいし。うちだけでなく、カノラドでも工場造ろう。…あの国を奪るには時間がかかるから…」
「なんか怖いこと言ってる」
「これは売れる。間違いない。すぐ契約書作るから!」
「…うん、わかった。じゃぁ、お願いします」
魔道具を作りさえすれば、後の手続きは全てジルが請け負ってくれる。
ミカエルは、自分がとても幸運であると思った。
「やった!ミカエル天才!」
「ジルの方が天才だよ」
「えっ俺、ミカエルに愛されてる…!?」
「ジル、落ち着きましょうねぇ。ミカエルちゃんが困っちゃうから」
「うっ…はい」
ニーデリアに窘められ、ジルは大人しく座り直した。
「契約書は後で用意するね。先にシャリエルの話を聞こうか」
元々はそちらがメインの集まりであったはずなのに、出鼻を挫いてしまう形になってしまった。
ミカエルは、シャリエルに謝罪した。
「ごめんなさい、シャリエルさん。重要なお話なんですよね」
「…ああ、まぁ、私にとってはな。だが、おまえが気にすることはない。気軽に聞いてくれ」
「はい」
シャリエルさんは、いい人だ。
コーヒーを飲みながら、シャリエルが話し出す。
「私が婚約者と魔族を殺した時に、皇帝が来てな」
「待って。それ全然気軽に聞ける話じゃないっ!!」
コーヒーは、後にすべきだった。
ミカエルは心から反省した。
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