【完結】前世ハイスペックブサメンの俺、今世ではイージーモードを歩みたい

影清

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190. 夜を迎える俺3※

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「魔力の処理方法はあるんだ」
「え?」
「あるんだけど…」
「…?」
 室内の残存魔力も、溢れる体内魔力も、同時に処理できる方法は、一つだけある。
 
 はー…マジクソゲー。
 何このエロゲ仕様。
 あ、この世界、十八禁だった。

 …アルヴィスがこんな状態でなかったら、もっとスムーズに話は進んだことだろう。
 この状況だと、なんだかミカエルが、アルヴィスに同情してるみたいじゃないか。
 
 今まで拒んで来たのに、ここで許しちゃうのかぁ、みたいな。
 違うんだけど。

 一人思い悩むミカエルに、アルヴィスの手が触れた。
 頬を撫でられ視線を上げると、気遣わしげな顔があった。
「問題があるのか?無理はしなくていい」
「えっと…問題はないんだけど」
「そうか」
 離れようとするアルヴィスの手を、掴んだ。
 手のひらを上向かせ、その上に自身の手のひらを重ねた。
「…魔力、流してみて」
「?ああ」
 じわりと手のひらが温かくなる感覚があり、ミカエルの中にアルヴィスの魔力がゆっくりと流れ込んでくる。
 量はたいしたことはない。
 皮膚接触での魔力譲渡は、非効率極まりない。
 
 そう、「魔力譲渡」という概念は、存在する。

 ただし、誰も彼もが魔力を持っていることが当たり前の世界で、おまけに他人の魔力とは反発するもの、だった。
 「魔力譲渡」は本当に稀に、事故や病気で死に直面した者が、魔力を失った時に使われる治療法の一つである。
 
 年に一人もいるかどうか?

 聖教会で治療として行われるのは、当然皮膚接触での魔力譲渡だが、一般的ではなかった。
 そもそも、他人に魔力を渡すには、緻密で繊細な魔力の制御が出来る、高ランク者でなければならない。
 
「…魔力、減った?」
「……。……なるほど」
 やや沈黙は長かったが、アルヴィスが理解したように頷いた。
 ミカエルは顔を上げられなかったが、左手が伸びてきて、顔を上向かされた。
「…俺の魔力を譲渡するなら、キスだけでは足りないが」
「う、…そ、そうだね…」
「いいのか?」
 自分の命がかかっているというこの期に及んでなお、意志を尊重しようとするアルヴィスは、本当に俺のことを大切にしてくれているのだと、ミカエルは思った。
 かと言って、抱いていいよと答えるのはなんだか偉そうだし、抱いて下さいは違うと思うし、ヤろうぜ!と軽く言うのも、この場にはそぐわなかった。
 
 こういう場で言うべき言葉なんて、知らないのだ。

 女性向けの物語はだいたい、男側がリードするものだった。
 こっちから声をかけるって、どうすりゃいいんだ。
 
 粘膜接触が一番効率が良い、なんて設定考えた人、すごいよ。
 もう、恥ずかしいよ。

「い…嫌だって言ったことなんて、一度もないし」
 散々迷って、減らず口のようなことを言ってしまった。

 うわぁぁもう、やり直したい!!
 穴があったら入りたい!
 
 頬が熱くなり、顔を背けようとしたが、顎を固定されて出来なかった。
「ちょ、アル…」
「そういえば、言われたことはなかった」
 至近で瞳を覗き込みながら言われても、真面目か、とツッコミも入れ辛い。
 とても嬉しそうに笑われたら、もう何も言えなかった。
「…ちゃんとプロポーズ、してくれるんでしょ」
 婚前交渉お断りの乙女のようなことを言ってしまったが、特にこだわりがあるわけではなかった。
 単なる負け惜しみというか、素直に頷くのにほんの少し、抵抗があっただけだ。
 だがアルヴィスは、真面目に頷いた。
「もちろんする。…何が欲しい?」
 この世界のプロポーズは、家同士が決めた婚約でもない限り、一般的にはエンゲージリングを差し出してするものだった。
 花束や、他にプレゼントを用意したりもする。
 ミカエルは言葉で言ってくれれば十分だったが、この世界においては「自分の本気度を表現する」為に、贈り物を用意することが習慣だった。
 アルヴィスもそのつもりでいるようだし、ならば、とミカエルは無難な方向で希望を言った。
「エンゲージリングはいらないかな。マリッジリングはお揃いでつけたいから、魔石がいいな」
 マリッジリングをお揃いでつけるのは、前世からの夢だった。
 幸せな夫婦、の象徴のような気がしていた。
「魔装具用か。わかった。両方用意しよう」
「…いや両方は、って…っんん…っ!」
 最後まで言う前に、唇を塞がれた。
 初手から魔力を流され、ミカエルの身体が跳ねた。
 舌を舌先でくすぐられ、絡め取られて吸われる。
 押し込まれる魔力は、身体に染み渡るように広がっていくが、残ることなく消えていく。
 ただ、残滓が快感として奥底で燻っていくのが問題だった。
「は、…っん、」
「…やっぱり、キスでは足りないな…」
 唇を舐められ、身体が震える。
 唇が離れたと思った時には、アルヴィスに抱き上げられ、寝室へと向かっていた。
 ここ最近の日課となっていたからか、もはや何の躊躇いもなく手慣れており、ベッドに降ろす時も静かで、マットレスで身体が跳ねることもなかった。
「…途中で止めるのは無理だ。…本当にいいんだな?」
 上からのし掛かって来るアルヴィスの表情に、あまり余裕はなさそうだった。

 …大丈夫。
 ちゃんと心は決めてきた。

 ミカエルは両手をアルヴィスの首に回し、まっすぐ見つめた。
「…愛してるよ、アル」
「……っ」
 羞恥心を振り切って言葉を絞り出し、自分からアルヴィスに口づけた。
 それ以上聞いてくることはなかった。
 
 やっぱやめる、って言ったら、アルヴィスは絶対我慢しただろう。
 というより、そもそもアルヴィスを生かしたいなら、やめる、なんて選択肢はありえないのだが、それでも確認してくるアルヴィスはどれだけ、…。

 どれだけ俺のこと好きなんだよ、っていう。

 なんて思っていたが、ミカエルは予想外の事態に、アルヴィスを止めていた。
「っ、あ、…っあ、ぁっ、ま、…っだ、動かないで…!」
「っ…は、どうした…?」

 初めてなのに、挿入されてイッちゃうとか、俺おかしいでしょ!
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