婚約破棄、喜んで承りますわ! 『真実の愛』に生きるって素晴らしいですもの!

隅野せかい

文字の大きさ
4 / 12

側近の方々? ああ、そんな方々もおりましたね。

しおりを挟む
 カトリーナ嬢が現れて全てが変わりましたわ。ほんとうに全てが。

 おふたりの相乗効果で、それはもうすごいんですのよ。
 今だって背後に華麗なお花畑が出現してますもの。わたくしには見えますの。
 赤い薔薇、白い百合、水仙にシクラメン、舞い散るは百花繚乱の花びら。

 ああ、なんて、お美しいおふたり!
 キラキラですわ! クラクラしますわ。天上界の音曲が鳴り響いておりますわ!
 おふたりが並んでいると神話の英雄と女神のようですわ! お姿だけは本当に!
 知性も教養も品性も礼儀もない破落戸ゴロツキ同然の方々だなんて思えませんわ!

 ですからわたくし、この一年はただひたすら、殿下がその麗しい御容姿にふさわしいカトリーナ嬢と結ばれるように願っておりましたもの。

 さきほどの得意絶頂で幸せいっぱいのおふたりは本当にステキでしたわ!
 わたくしも願いが叶って、幸せのおすそわけをいただきましたわ!
 ご馳走様でした! ああ眼福!

 こんなにおふたりの姿を褒め称えるわたくしが、どうしてカトリーナ嬢をいじめなどするでしょう? するはずありませんわ。美術品に嫉妬などしませんわよね。


 え? 元側近の方々をわたくしが排除したと? 最近姿を見ない?

 排除ではなく、掃除をしただけですわ。

 当然ですわ。
 うつくしいものを守るためには、それ相応の手間をかけねばならないですもの。

 美しいおふたりのあいだにお生まれになるお子に、万が一でも美しくない血が入ったら人類史に残る悲劇ですわ。
 あのゴミもとい側近の方々は、あまりにカトリーナ嬢と距離が近かったので、万が一があってはなりませんもの。

 わたくし大したことはしてませんのよ。
 カトリーナ嬢と側近の方々が身も心も深く密着し絡み合い親密にしている写真を、側近の方々の婚約者である御令嬢の方々に送っただけですの。

 まぁ! カトリーナ嬢、その青ざめた顔もお美しいですわ! 美人はどんな顔でも美人ですわね!

 そうしたら、どの御令嬢方もあっさり婚約解消なさいましたわ。
 側近の方々の御実家も、彼らを残らず後継者から外したうえに断種なさったようですわね。

 当然ですわね。
 どこで種を蒔いてくるか判らぬ子息などお家騒動の火種にしかなりかねませんもの。

 社交界から消えた彼らの行方ですか?
 さぁ? 関心がないので。
 美しさでは殿下の足元にも及ばないくせに、殿下と負けず劣らず無能で低劣な方々なんてどうでもいいですもの。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

エメラインの結婚紋

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――

平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました

ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」  その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。  王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。  ――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。  学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。 「殿下、どういうことでしょう?」  私の声は驚くほど落ち着いていた。 「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」

処理中です...