婚約破棄、喜んで承りますわ! 『真実の愛』に生きるって素晴らしいですもの!

隅野せかい

文字の大きさ
5 / 12

そういうわけで心置きなくお励み下さい

しおりを挟む
 あと、カトリーナ嬢の孤児院時代からの幼なじみとかいう平民の方にも、ご退場していただきましたわ。

 特待生でもないのに平然とこの学園に出入りしてカトリーナ嬢の部屋へ何度も忍び込んでおりましたから。
 しかもその度に、カトリーナ嬢のおからだを辱めていましたのよ。

 ええ、そうなんですのよ殿下。
 殿下は少なくとも御容姿だけは素晴らしいのに、その男は側近の方々よりもブサなんですのよ。
 それなのにカトリーナ嬢を辱めて子供を孕ませようとしていたなんて身の程知らずですわ。

 わたくし、初めて現場写真を見たとき、怒りの余り引き裂いてしまいましたわ。
 カトリーナ嬢が殿下以外の種で孕む危険は徹底的に排除しなければなりませんもの。

 あらカトリーナ嬢? どうしてお怒りになるのかしら?
 まさかとは思いますが、殿下との『真実の愛』があるのに、あの賊と合意の上でことに及んでいたなどありえませんわよね?

 うふふ。そうですわよね。そんなことあるはずが御座いませんわね。
 あの賊は単なる犯罪者。排除したのを感謝こそされ恨まれる筋合いはありませんわ。

 え、退場とはどういうことか、とお聞きに?
 ああ、カトリーナ嬢! わたくしを睨むそのお顔もステキですわ! 皆さん撮ってくださってますわよね?

 わたくし、大したことはしておりませんの。学園当局に通報しただけですわ。
 相手は許可なく高貴な人々のみが通える学園に侵入してくる賊ですもの。
 しかも寮に侵入しては男爵令嬢であるカトリーナ嬢を幾度となく辱めた性犯罪者ですわ。
 即日捕らえられて、凶悪犯用の牢に入れられましたわよ。

 ご安心になって、賊は収監中にで亡くなったそうですから、二度と不埒な真似をしませんわ。

 ああ、あのお方、トーマスというお名前でしたの。存じませんでしたわ。

 いいですわその泣きそうなのをこらえるお顔! カトリーナ嬢はどんな顔でもステキですわ!

 そういうわけで邪魔者は徹底的に掃除しておきましたので、おふたりで励んで珠のようにうつくしいお子をお作りになってくださいな。
 おふたりとも励むのは大好きで御座いましょう。

 カトリーナ嬢のお腹に既におひとりめがいるのは存じておりますわ。
 月のものが止まってから確か既に2ヶ月でしたかしら。
 側近の方々も、あの犯罪者も排除した後ですから、殿下のお子であることは間違いありませんわ。
 おふたりのいいとこどりとかたまりませんわ。
 想像しただけでじゅる……おほん。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました

ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」  その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。  王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。  ――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。  学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。 「殿下、どういうことでしょう?」  私の声は驚くほど落ち着いていた。 「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

婚約破棄を伝えられて居るのは帝国の皇女様ですが…国は大丈夫でしょうか【完結】

恋愛
卒業式の最中、王子が隣国皇帝陛下の娘で有る皇女に婚約破棄を突き付けると言う、前代未聞の所業が行われ阿鼻叫喚の事態に陥り、卒業式どころでは無くなる事から物語は始まる。 果たして王子の国は無事に国を維持できるのか?

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました

ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」  大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。  けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。  王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。  婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。  だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。

悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした

ゆっこ
恋愛
 豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。  玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。  そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。  そう、これは断罪劇。 「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」  殿下が声を張り上げた。 「――処刑とする!」  広間がざわめいた。  けれど私は、ただ静かに微笑んだ。 (あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)

エメラインの結婚紋

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――

処理中です...