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102。元奥方はどこまでもメンクイ
しおりを挟む マリーが訊いた。
「ニコライは、いつあなたに接触して来たの?」
「ヒース氏が任地へ行ってから一週間くらい経ってからだったかな? いきなり押しかけて来て、なんか家から奉公人まで用意が出来ていて」
「いきなりなの? なんの相談もなく?」
「いきなり。自分が顔さえ見せれば、絶望してるわたしはコロッといくと思ってたんじゃないですか?」
すごいな。
前の彼氏とはいえ、滅茶苦茶突き放した言い方。
「ああ、判る判る。あの人、自信家っぽかったものね」
「でも、その頃には、わたしは新しい家にも、ヘレン達にもすっかり慣れていて。今更、周りの人を変えたくなくなってたんです」
「どうしたの?」
「ニコライの申し出は断りました。なんかすごく意外そうな顔をしてましたね」
断ったのか。
「それでも彼は、ヒース氏が用意した奉公人は、ヒース氏に通じてるかもしれないから変えたほうがいい。って、しつこく言ってきて……変えませんでしたけど」
「ニコライに惚れてたんでしょ?」
「そうだったんですけど。でも、だんだん冷めてきたんです」
「どうして?」
「わたしはヘレン達が気に入っていたから変える気はなかったし、ヒース氏が送金してくれるお金とはいえ、わたしが彼女らを雇っているわけじゃないですか。なんでそれに口出しされなきゃいけないんだろう、って」
マリーが、ぽん、と手を叩いた。
「ここで言いなりになったら、更に図に乗って来て、口だしてくるって感じ?」
「そうそう! 判りますか!」
「判る! すごく判る!」
なぜかマリーと元奥方は判りあえてしまったようだ。
「それに、こうも思ってしまったんです。ニコライが連れてきた奉公人は、ニコライに通じてるってことですよね」
「うん。当人の理屈からしてなっちゃうよね!」
「ですよねー」
オレはふと疑問に思い、
「どうしてオレの手配した人たちが、オレに通じてないって思ったの?」
元奥方は、ころころと笑った。
「だって、あなたは、わたしに関心がなかったじゃありませんか」
「……なるほど」
『白い結婚』する男だものな。
「そんなわけで、わたしにはわたしのために動いてくれる人がいる状態になったわけです。そうすると、自分で出来ちゃうことも増えるわけです。特にこのヘレンはとっても優秀」
「いえ。そこまででは。私より優秀な者などいくらでも」
「またまた。官吏採用試験でトップ合格した人がよくいう」
「「ええっ」」
オレとマリーは同時に声をあげてしまった。
あの面倒な試験で。
しかも下駄をはかせてもらえないどころか、下手すれば点を引かれかねない女性の身で、トップ!?
「ヘレンはすごいんですよ。それで配属されたところで愛人になるように迫られて、その相手を叩きのめしちゃったんですから」
「お、お恥ずかしい……」
そんな人がなんで口入屋でメイドとして。
あ。そうか。
叩きのめした相手は多分、それなりに爵位のある貴族の子弟。
女に叩きのめされたとなれば、恥ずかしくて口外は出来ないだろう。
でも、実家から除籍させたり。
いいところへ就職するのを妨害はできるものな。
「彼女がいたお陰で、仕事的には、ニコライに頼る必要が余り、というかほとんどなくなっちゃったんですよ。あなたのお陰で自由に動かせるお金もあったし」
オレの手配と送金が、ニコライから立場を奪っていたとは……。
「あ。判った。この人いなくても大丈夫じゃない? とか思ったんでしょ」
「うわ。マリーさんってばお見通しですね。そうなんですよ。でも、向こうもそれを感じちゃったらしくて」
「もしかして、頼んでもいないのに、他の業者の参入を妨害してくれた、とか?」
「そうそう! でもね。相手の倉庫が都合よく燃えるとか、やりすぎですよ」
「それだけ必死だったんでしょ」
「ですけど、『わたしのためにライバル商会に放火まで……胸がキュンと来ちゃう』とはならないです」
「引くよね」
「引きますよ」
マリーと元奥方は、うんうんと頷きあう。
「しかも、そういうことのあった次の日あたりには、さりげない風を装って、新聞記事を見せてくるんです」
「オレ、君のために頑張ってるんだアピール?」
「そうそうそうです! でも、そんなこといちいちやられると……」
二人はまたも顔を見あわせて、
「引くよね」
「引きますよ」
元奥方の後ろで、ヘレンさんもうなずいている。
「だんだん。わたしの行動や事業に、全方面的に介入してきたがるようになって、自分のおかげだぜアピールが鼻につくようになったんです」
「でも、ニコライって人は、そういうのを悪いとか、いやがられる、とか思わない人じゃない?」
「そうなんですよ!」
「あーわかる。できる、と自分では思っている類の男」
「そうなんです! もしかしてマリーさんもそういうので苦労した?」
「前の職場がね。能力ないのに、家柄だけよくて、しかも自分達を優秀だと思ってる男ばっかりだったんだ。奴ら働いてもいないのに! 書類も読めないのに!」
「うわ。それはお気の毒さま。まぁ、そこまでニコライはひどくなかったけど、本質はおんなじでした」
ヘレンさんもうなずいている。
というか、なんかオレって話の輪に入れてないぞ。
さびしい。
美男と目があった。
こいつも同じことを感じているようだ。
向こうの盛り上がった共感の輪と違って、さびしい共感だった。
「まぁそんな感じになっていたので。夢のお告げとか、あてにならないなって感じるようになって」
「離れたくなった?」
「いくらこっちの助けになってはくれても、競争相手に破壊工作をする人って、ちょっと」
二人はまたも顔を見あわせて、
「引くよね」
「引きますよ」
元奥方の後ろで、ヘレンさんもうなずいている。
「しかも、事業が拡大してくと、いろいろな人を雇うようになって。その頃には資金の余裕も出来てて。ニコライの援助も全く必要がなくなって……そんな時に彼が面接に現れて」
元奥方は、夢見るような口調で続けた。
「会った瞬間に、この人です! って……」
一目ぼれとは。
美男はなんだか照れくさそうにもじもじしている。
確かに、この男、イケメンだけど。
ニコライ金髪バージョンだけど。
顔か。顔なのか。
顔が、このレベルなら誰でもいいのか。
「この人のほうが誠実だし、まともだし」
一応、顔だけではないらしい。
でも、ニコライ……お気の毒に。
こんなにさっくりと見切られて乗り換えられてたなんて……。
「ニコライは、いつあなたに接触して来たの?」
「ヒース氏が任地へ行ってから一週間くらい経ってからだったかな? いきなり押しかけて来て、なんか家から奉公人まで用意が出来ていて」
「いきなりなの? なんの相談もなく?」
「いきなり。自分が顔さえ見せれば、絶望してるわたしはコロッといくと思ってたんじゃないですか?」
すごいな。
前の彼氏とはいえ、滅茶苦茶突き放した言い方。
「ああ、判る判る。あの人、自信家っぽかったものね」
「でも、その頃には、わたしは新しい家にも、ヘレン達にもすっかり慣れていて。今更、周りの人を変えたくなくなってたんです」
「どうしたの?」
「ニコライの申し出は断りました。なんかすごく意外そうな顔をしてましたね」
断ったのか。
「それでも彼は、ヒース氏が用意した奉公人は、ヒース氏に通じてるかもしれないから変えたほうがいい。って、しつこく言ってきて……変えませんでしたけど」
「ニコライに惚れてたんでしょ?」
「そうだったんですけど。でも、だんだん冷めてきたんです」
「どうして?」
「わたしはヘレン達が気に入っていたから変える気はなかったし、ヒース氏が送金してくれるお金とはいえ、わたしが彼女らを雇っているわけじゃないですか。なんでそれに口出しされなきゃいけないんだろう、って」
マリーが、ぽん、と手を叩いた。
「ここで言いなりになったら、更に図に乗って来て、口だしてくるって感じ?」
「そうそう! 判りますか!」
「判る! すごく判る!」
なぜかマリーと元奥方は判りあえてしまったようだ。
「それに、こうも思ってしまったんです。ニコライが連れてきた奉公人は、ニコライに通じてるってことですよね」
「うん。当人の理屈からしてなっちゃうよね!」
「ですよねー」
オレはふと疑問に思い、
「どうしてオレの手配した人たちが、オレに通じてないって思ったの?」
元奥方は、ころころと笑った。
「だって、あなたは、わたしに関心がなかったじゃありませんか」
「……なるほど」
『白い結婚』する男だものな。
「そんなわけで、わたしにはわたしのために動いてくれる人がいる状態になったわけです。そうすると、自分で出来ちゃうことも増えるわけです。特にこのヘレンはとっても優秀」
「いえ。そこまででは。私より優秀な者などいくらでも」
「またまた。官吏採用試験でトップ合格した人がよくいう」
「「ええっ」」
オレとマリーは同時に声をあげてしまった。
あの面倒な試験で。
しかも下駄をはかせてもらえないどころか、下手すれば点を引かれかねない女性の身で、トップ!?
「ヘレンはすごいんですよ。それで配属されたところで愛人になるように迫られて、その相手を叩きのめしちゃったんですから」
「お、お恥ずかしい……」
そんな人がなんで口入屋でメイドとして。
あ。そうか。
叩きのめした相手は多分、それなりに爵位のある貴族の子弟。
女に叩きのめされたとなれば、恥ずかしくて口外は出来ないだろう。
でも、実家から除籍させたり。
いいところへ就職するのを妨害はできるものな。
「彼女がいたお陰で、仕事的には、ニコライに頼る必要が余り、というかほとんどなくなっちゃったんですよ。あなたのお陰で自由に動かせるお金もあったし」
オレの手配と送金が、ニコライから立場を奪っていたとは……。
「あ。判った。この人いなくても大丈夫じゃない? とか思ったんでしょ」
「うわ。マリーさんってばお見通しですね。そうなんですよ。でも、向こうもそれを感じちゃったらしくて」
「もしかして、頼んでもいないのに、他の業者の参入を妨害してくれた、とか?」
「そうそう! でもね。相手の倉庫が都合よく燃えるとか、やりすぎですよ」
「それだけ必死だったんでしょ」
「ですけど、『わたしのためにライバル商会に放火まで……胸がキュンと来ちゃう』とはならないです」
「引くよね」
「引きますよ」
マリーと元奥方は、うんうんと頷きあう。
「しかも、そういうことのあった次の日あたりには、さりげない風を装って、新聞記事を見せてくるんです」
「オレ、君のために頑張ってるんだアピール?」
「そうそうそうです! でも、そんなこといちいちやられると……」
二人はまたも顔を見あわせて、
「引くよね」
「引きますよ」
元奥方の後ろで、ヘレンさんもうなずいている。
「だんだん。わたしの行動や事業に、全方面的に介入してきたがるようになって、自分のおかげだぜアピールが鼻につくようになったんです」
「でも、ニコライって人は、そういうのを悪いとか、いやがられる、とか思わない人じゃない?」
「そうなんですよ!」
「あーわかる。できる、と自分では思っている類の男」
「そうなんです! もしかしてマリーさんもそういうので苦労した?」
「前の職場がね。能力ないのに、家柄だけよくて、しかも自分達を優秀だと思ってる男ばっかりだったんだ。奴ら働いてもいないのに! 書類も読めないのに!」
「うわ。それはお気の毒さま。まぁ、そこまでニコライはひどくなかったけど、本質はおんなじでした」
ヘレンさんもうなずいている。
というか、なんかオレって話の輪に入れてないぞ。
さびしい。
美男と目があった。
こいつも同じことを感じているようだ。
向こうの盛り上がった共感の輪と違って、さびしい共感だった。
「まぁそんな感じになっていたので。夢のお告げとか、あてにならないなって感じるようになって」
「離れたくなった?」
「いくらこっちの助けになってはくれても、競争相手に破壊工作をする人って、ちょっと」
二人はまたも顔を見あわせて、
「引くよね」
「引きますよ」
元奥方の後ろで、ヘレンさんもうなずいている。
「しかも、事業が拡大してくと、いろいろな人を雇うようになって。その頃には資金の余裕も出来てて。ニコライの援助も全く必要がなくなって……そんな時に彼が面接に現れて」
元奥方は、夢見るような口調で続けた。
「会った瞬間に、この人です! って……」
一目ぼれとは。
美男はなんだか照れくさそうにもじもじしている。
確かに、この男、イケメンだけど。
ニコライ金髪バージョンだけど。
顔か。顔なのか。
顔が、このレベルなら誰でもいいのか。
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