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エピローグ
「そう言えば、お城を出る前にお母さまと鏡が話しているところをみてしまいました」
ブランシュは、おそるおそる王妃さまに伝えます。
「ああ、アレをみてしまったのね……」
王妃さまは、きまり悪そうに目を反らします。
「『鏡よ鏡、鏡さん。この国で一番可愛くて美しいのは誰?』そうしたら鏡は答えたわ__『この国で一番可愛くて美しいのは……ブランシュ姫です』って」
「ええ、聞こえました。そうしたら、お母さまが『やっぱり、何回聞いてもブランシュ!』と」
その様子をみて、ブランシュはお城から出ていくことを決めたのです。
「……そうね、そう言ったわ。そして、その後こう言ったのよ。『そうよね!ブランシュが一番可愛いわ!!』って」
王妃さまの頬が、恥ずかしそうに赤く染まります。
「あのあと……そうだったんですね。てっきり、私はお母さまに嫌われていると思って……ました」
ランシュが最後まで王妃さまと鏡の会話を聞いていたら、少なくとも城から出ようという決意はしなかったでしょう。
「きちんとあなたと向かい合わなかった私が悪いの……嫁いですぐの頃の事とはいえ、あなたに嫉妬していたのは事実だし、どうあなたと接したら良いか分からなかったのよ。だから、あなたが森の中に逃げたとわかった時、少しホッとしたの」
その言葉に、ブランシュはわずかに目を見開きました。
「だけど、陛下はすぐにあなたがいなくなったことに気がついて、探し始めたわ。私は鏡の力でで、あなたが森の中に居るのを知っていたから、森の入口でこの方に、あなたを国外へ逃がしてもらおうと思って『この森の中に、ものすごく可愛い女の子がいるはずだから、探して追い出して』とお願いしたの」
王妃さまが、チラリとライに目を向けます。
けれど、ブランシュは森から出て行くことはありませんでした。そのままライと小人たちと穏やかな生活を続けていたのです。
「貴方でしたら、連れて逃げてくれると思ったのに……」
王妃さまの言葉に、ブランシュは首をかしげました。まるでライの人柄を知っているような口ぶりだったのです。
「もしかして、ブランシュは知らなかったのですか?」
ブランシュの様子をみて、王妃さまは逆に驚いた顔をしました。
「え?」
「この方は……」
「待って下さい、自分で説明します」
王妃さまの言葉を遮ったのはライでした。
ライは、ブランシュに真面目な顔で向き直ります。
「ごめん、ブランシュ。僕の本当の名前はライハルト。この森の向こう側にある国の王子なんだ」
「えっ……!?」
驚きでブランシュは目を見開きます。
言われてみれば、ライは狩人にしてはどこか気品を感じさせる雰囲気を持っています。
それに、狩人なのにお肉のさばき方も分からなかったり、火を起こせなかったりしたのも納得がつきます。
「僕は第三王子で、王位継承には全く興味がなかったんだけど、兄たちの争いに巻き込まれそうになってさ。それが嫌で、森に逃げてきてたんだ」
「そうだったんだ……」
「ブランシュを国に連れていけば、きっとまた面倒なことになると思ったし……それに、森での暮らしが楽しかった。小人たちと一緒に、君と穏やかに過ごす毎日が好きだったんだ。このままずっと続けばいいって、心から思ってた」
そして、小人たちがライを守護する精霊たちだったということです。
「ボクたちはライを守るために、一緒に住んでいたんだ!」
その日、王妃さまは城へと戻っていきました。
「陛下には、ブランシュは毒にあたって亡くなったと伝えます」
そう言った王妃さまの顔は、どこかスッキリとしたものでした。
「いまさら、こんなお願いをするのは間違っていると思っているのだけど……」
王妃さまは一息ついてから、静かに続けました。
「陛下の心は壊れてしまって、もう国を導く力はないわ。このままでは、国が傾いてしまうのも時間の問題……私は陛下を離宮に移す計画を進めているの。だから、ほとぼりが冷めたら……あなたに、またお城に戻ってきてほしいの」
「お母さま……はい。よろこんで」
ブランシュは笑顔でうなづきました。
それから数年後。
城には、ブランシュの姿がありました。
そこにはライや小人たちの姿もあります。
ブランシュはライ__ライハルトと結婚したのです。
ブランシュとライと小人、そして王妃さまは、にぎやかだけど、穏やかな日々を送ったのでした。
ブランシュは、おそるおそる王妃さまに伝えます。
「ああ、アレをみてしまったのね……」
王妃さまは、きまり悪そうに目を反らします。
「『鏡よ鏡、鏡さん。この国で一番可愛くて美しいのは誰?』そうしたら鏡は答えたわ__『この国で一番可愛くて美しいのは……ブランシュ姫です』って」
「ええ、聞こえました。そうしたら、お母さまが『やっぱり、何回聞いてもブランシュ!』と」
その様子をみて、ブランシュはお城から出ていくことを決めたのです。
「……そうね、そう言ったわ。そして、その後こう言ったのよ。『そうよね!ブランシュが一番可愛いわ!!』って」
王妃さまの頬が、恥ずかしそうに赤く染まります。
「あのあと……そうだったんですね。てっきり、私はお母さまに嫌われていると思って……ました」
ランシュが最後まで王妃さまと鏡の会話を聞いていたら、少なくとも城から出ようという決意はしなかったでしょう。
「きちんとあなたと向かい合わなかった私が悪いの……嫁いですぐの頃の事とはいえ、あなたに嫉妬していたのは事実だし、どうあなたと接したら良いか分からなかったのよ。だから、あなたが森の中に逃げたとわかった時、少しホッとしたの」
その言葉に、ブランシュはわずかに目を見開きました。
「だけど、陛下はすぐにあなたがいなくなったことに気がついて、探し始めたわ。私は鏡の力でで、あなたが森の中に居るのを知っていたから、森の入口でこの方に、あなたを国外へ逃がしてもらおうと思って『この森の中に、ものすごく可愛い女の子がいるはずだから、探して追い出して』とお願いしたの」
王妃さまが、チラリとライに目を向けます。
けれど、ブランシュは森から出て行くことはありませんでした。そのままライと小人たちと穏やかな生活を続けていたのです。
「貴方でしたら、連れて逃げてくれると思ったのに……」
王妃さまの言葉に、ブランシュは首をかしげました。まるでライの人柄を知っているような口ぶりだったのです。
「もしかして、ブランシュは知らなかったのですか?」
ブランシュの様子をみて、王妃さまは逆に驚いた顔をしました。
「え?」
「この方は……」
「待って下さい、自分で説明します」
王妃さまの言葉を遮ったのはライでした。
ライは、ブランシュに真面目な顔で向き直ります。
「ごめん、ブランシュ。僕の本当の名前はライハルト。この森の向こう側にある国の王子なんだ」
「えっ……!?」
驚きでブランシュは目を見開きます。
言われてみれば、ライは狩人にしてはどこか気品を感じさせる雰囲気を持っています。
それに、狩人なのにお肉のさばき方も分からなかったり、火を起こせなかったりしたのも納得がつきます。
「僕は第三王子で、王位継承には全く興味がなかったんだけど、兄たちの争いに巻き込まれそうになってさ。それが嫌で、森に逃げてきてたんだ」
「そうだったんだ……」
「ブランシュを国に連れていけば、きっとまた面倒なことになると思ったし……それに、森での暮らしが楽しかった。小人たちと一緒に、君と穏やかに過ごす毎日が好きだったんだ。このままずっと続けばいいって、心から思ってた」
そして、小人たちがライを守護する精霊たちだったということです。
「ボクたちはライを守るために、一緒に住んでいたんだ!」
その日、王妃さまは城へと戻っていきました。
「陛下には、ブランシュは毒にあたって亡くなったと伝えます」
そう言った王妃さまの顔は、どこかスッキリとしたものでした。
「いまさら、こんなお願いをするのは間違っていると思っているのだけど……」
王妃さまは一息ついてから、静かに続けました。
「陛下の心は壊れてしまって、もう国を導く力はないわ。このままでは、国が傾いてしまうのも時間の問題……私は陛下を離宮に移す計画を進めているの。だから、ほとぼりが冷めたら……あなたに、またお城に戻ってきてほしいの」
「お母さま……はい。よろこんで」
ブランシュは笑顔でうなづきました。
それから数年後。
城には、ブランシュの姿がありました。
そこにはライや小人たちの姿もあります。
ブランシュはライ__ライハルトと結婚したのです。
ブランシュとライと小人、そして王妃さまは、にぎやかだけど、穏やかな日々を送ったのでした。
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