3 / 13
3 夜の森
しおりを挟む
女の子から逃げ帰って数時間すると、森は暗くなりました。
木々が繁っているので、夕方になるとすぐに暗くなってしまうのです。
夕ごはんを食べながら、ディークは昼間の女の子のことを思い出しました。
「もう、帰ったよね」
追いかけてくる気配はなかったので、帰ったはずです。
「でも、ちゃんと森から出られたかな?」
考えてみれば、この森の深い場所から外に出るためには、かなり歩かなければなりません。ここまで来るのだって、朝早くに森に入ってもたどり着くのはお昼くらいになってしまいます。
「ここまで来るのに疲れてるだろうし……無理じゃないかな?」
女の子の足では暗くなる前に森を抜けるのは難しいのではないかということに、ディークは気がつきます。
夜の森は危険でいっぱいです。
夜行性の動物たちがたくさん居ます。
ふくろうやモモンガなどの小動物は特に人間を害することはないので大丈夫だと思います。
問題は、肉食の動物たちです。
あんな、か弱そうな女の子なんて、襲われたらひとたまりもありません。
「僕には関係ないことだ」
ディークは人間に関わりたくありません。
「……でも」
しかし、気がついてしまうと、気になってソワソワと落ち着かなくなります。
何度も外を見てしまいます。
外は、もう真っ暗です。
ディークは首を振って、女の子のことを頭の中から追い出そうとします。
気分転換に読書をしよと本を開きますが、気がつけばページをめくる手が止まり、外を見てしまいます。
ならば体を動かしてみようと、床に寝そべって腹筋を始め何回か数えてみますが、集中できず数字を忘れてしまいます。
ディークは腹筋をやめて、大の字に寝そべり目を瞑ります。
関わりたくないのに、頭から離れてくれない女の子に苛立ちます。
自分を探しに来た(かもしれない)者がが危険な夜の森にいると思うと、落ち着きません。もし襲われでもしたら、自分のせいみたいではありませんか。
「──ああ、もうっ!」
ディークは、ヤケ気味に大声を出して起き上がると、コートを羽織って外に飛び出しました。
そう、外に出るにはコートを羽織るくらい肌寒いのです。
肉食の動物たちだけではなく、人間にとっては寒さも命取りになってしまいます。
ディークは、女の子と会った場所まで駆けていきました。
キョロキョロを辺りを見渡しますが、女の子が居る気配はしません。
「ここには居ないか」
女の子が同じ場所に留まっているとは限りません。
念のためディークは、もう少し森の中を探してみることにしました。
(なんで、僕は人間を探したりしているんだろう? でも、死なれても目覚めが悪いし……もう、襲われてたりしないよね?)
そんなことを考えながら探していると、パチパチを何かが小さく爆ぜる音が微かにしました。獣人は耳が良いのです。
ディークは音のする方に行ってみました。
少し木々の開けた場所に焚き火が見えました。
そして、大きな木の穴の中に横たわる女の子を見つけます。
スヤスヤと微かな寝息を聴こえてきて、女の子が生きているのを確認したディークは、ホッと胸を撫で下ろしたのでした。
木々が繁っているので、夕方になるとすぐに暗くなってしまうのです。
夕ごはんを食べながら、ディークは昼間の女の子のことを思い出しました。
「もう、帰ったよね」
追いかけてくる気配はなかったので、帰ったはずです。
「でも、ちゃんと森から出られたかな?」
考えてみれば、この森の深い場所から外に出るためには、かなり歩かなければなりません。ここまで来るのだって、朝早くに森に入ってもたどり着くのはお昼くらいになってしまいます。
「ここまで来るのに疲れてるだろうし……無理じゃないかな?」
女の子の足では暗くなる前に森を抜けるのは難しいのではないかということに、ディークは気がつきます。
夜の森は危険でいっぱいです。
夜行性の動物たちがたくさん居ます。
ふくろうやモモンガなどの小動物は特に人間を害することはないので大丈夫だと思います。
問題は、肉食の動物たちです。
あんな、か弱そうな女の子なんて、襲われたらひとたまりもありません。
「僕には関係ないことだ」
ディークは人間に関わりたくありません。
「……でも」
しかし、気がついてしまうと、気になってソワソワと落ち着かなくなります。
何度も外を見てしまいます。
外は、もう真っ暗です。
ディークは首を振って、女の子のことを頭の中から追い出そうとします。
気分転換に読書をしよと本を開きますが、気がつけばページをめくる手が止まり、外を見てしまいます。
ならば体を動かしてみようと、床に寝そべって腹筋を始め何回か数えてみますが、集中できず数字を忘れてしまいます。
ディークは腹筋をやめて、大の字に寝そべり目を瞑ります。
関わりたくないのに、頭から離れてくれない女の子に苛立ちます。
自分を探しに来た(かもしれない)者がが危険な夜の森にいると思うと、落ち着きません。もし襲われでもしたら、自分のせいみたいではありませんか。
「──ああ、もうっ!」
ディークは、ヤケ気味に大声を出して起き上がると、コートを羽織って外に飛び出しました。
そう、外に出るにはコートを羽織るくらい肌寒いのです。
肉食の動物たちだけではなく、人間にとっては寒さも命取りになってしまいます。
ディークは、女の子と会った場所まで駆けていきました。
キョロキョロを辺りを見渡しますが、女の子が居る気配はしません。
「ここには居ないか」
女の子が同じ場所に留まっているとは限りません。
念のためディークは、もう少し森の中を探してみることにしました。
(なんで、僕は人間を探したりしているんだろう? でも、死なれても目覚めが悪いし……もう、襲われてたりしないよね?)
そんなことを考えながら探していると、パチパチを何かが小さく爆ぜる音が微かにしました。獣人は耳が良いのです。
ディークは音のする方に行ってみました。
少し木々の開けた場所に焚き火が見えました。
そして、大きな木の穴の中に横たわる女の子を見つけます。
スヤスヤと微かな寝息を聴こえてきて、女の子が生きているのを確認したディークは、ホッと胸を撫で下ろしたのでした。
3
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
転生妃は後宮学園でのんびりしたい~冷徹皇帝の胃袋掴んだら、なぜか溺愛ルート始まりました!?~
☆ほしい
児童書・童話
平凡な女子高生だった私・茉莉(まり)は、交通事故に遭い、目覚めると中華風異世界・彩雲国の後宮に住む“嫌われ者の妃”・麗霞(れいか)に転生していた!
麗霞は毒婦だと噂され、冷徹非情で有名な若き皇帝・暁からは見向きもされない最悪の状況。面倒な権力争いを避け、前世の知識を活かして、後宮の学園で美味しいお菓子でも作りのんびり過ごしたい…そう思っていたのに、気まぐれに献上した「プリン」が、甘いものに興味がないはずの皇帝の胃袋を掴んでしまった!
「…面白い。明日もこれを作れ」
それをきっかけに、なぜか暁がわからの好感度が急上昇! 嫉妬する他の妃たちからの嫌がらせも、持ち前の雑草魂と現代知識で次々解決! 平穏なスローライフを目指す、転生妃の爽快成り上がり後宮ファンタジー!
下出部町内漫遊記
月芝
児童書・童話
小学校の卒業式の前日に交通事故にあった鈴山海夕。
ケガはなかったものの、念のために検査入院をすることになるも、まさかのマシントラブルにて延長が確定してしまう。
「せめて卒業式には行かせて」と懇願するも、ダメだった。
そのせいで卒業式とお別れの会に参加できなかった。
あんなに練習したのに……。
意気消沈にて三日遅れで、学校に卒業証書を貰いに行ったら、そこでトンデモナイ事態に見舞われてしまう。
迷宮と化した校内に閉じ込められちゃった!
あらわれた座敷童みたいな女の子から、いきなり勝負を挑まれ困惑する海夕。
じつは地元にある咲耶神社の神座を巡り、祭神と七葉と名乗る七体の妖たちとの争いが勃発。
それに海夕は巻き込まれてしまったのだ。
ただのとばっちりかとおもいきや、さにあらず。
ばっちり因果関係があったもので、海夕は七番勝負に臨むことになっちゃったもので、さぁたいへん!
七変化する町を駆け回っては、摩訶不思議な大冒険を繰り広げる。
奇妙奇天烈なご町内漫遊記、ここに開幕です。
瑠璃の姫君と鉄黒の騎士
石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。
そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。
突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。
大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。
記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる