6 / 7
お月さまとお星さま
しおりを挟むお空にうかぶ、黄色くて、まんまるで、とっても大きいお月さま。ゆめにまで見たお月さま。それが、こんなにこんなに、リィナの近くに。
お日さまとちがって、あわくて、やさしくて、ふんわりした光。お月さまにリィナの町をてらしてもらったら。新しい夜を、てらしてもらったら。リィナはワクワクする気持ちが止まりません。
かみさまのまほうで、リィナとガルーダは、高い所もスイスイととんでいきます。とっても楽しくて、リィナはキャアキャアとはしゃぎながらお月さまの元へとむかいました。
「お月さまー! お月さまー!」
「スヤスヤ……」
「お月さまー?」
「スヤスヤ……」
「……あれれ?」
お月さまは気持ち良さそうにねむっていました。それでも、お月さまのかがやきはステキなものです。
「お月さま? ねむっているの?」
「起こしちゃダメだよ」
「そうだよ、ダメだよ」
「えっ? だぁれ?」
はじめて聞く声がします。だれだろう、と、ふりむいてみると、そこにはふたごのお星さまがいました。
「ボクは星だよ」
「わたしも星よ」
「わぁ! お星さま! お星さまもやっぱりキラキラなのね!」
近くで見るのは、お月さまだけではありませんでした。
「キミはだぁれ?」
「あなたはだぁれ?」
「リィナはリィナよ。こっちはガルーダさん」
「リィナだね、よろしく。ガルーダさんもよろしく」
「リィナね、よろしくね。ガルーダさんもよろしくね」
「うん、よろしく!」
「キィキィ!」
起こしちゃダメって言われたから、おこられるのかな? と思っていたリィナ。お星さまのごあいさつに、ホッとしました。
「どうして、お月さまを起こしちゃいけないの?」
「お月さまはね、もうすぐ起きるよ。今は元気をためているんだ」
「そうだよ。今は元気をためているの。もうすぐ起きるから、そおっとしといてあげてね」
「んー……でも、リィナ、お月さまにおねがいがあるの。リィナの町に来てほしいの。夜をふんわりキラキラてらしてほしいの」
お星さまたちは、顔を見合わせました。
「リィナの町に、やぁっと夜が来たの。でも、お月さまが来てくれなかったら、まっくらになっちゃう。お月さまだけじゃなくて、お星さまにもきてほしいの」
リィナはきゅうにかなしくなって、なき出しそうになりました。弱虫ではないけれど、かなしくなる気持ちはちょっぴり苦手です。
「じゃあ、先にボクたちが行くよ!」
「えぇ、わたしたちが行くわ!」
「お友だちもよぼう!」
「待っててね!」
お星さまたちは、自分たちのまわりの光を少しだけ切り取って、風にのせました。フワフワととんでいく、キレイな光。とおく見えなくなったと思ったら、今どは光がおんで行った方から、もっと明るい光が見えました。
「お友だちだね」
「お友だちだよ」
それは、たくさんのお星さま。お友だちを光でよんだのです。空を流れる川のように、お星さまたちはキラキラピカピカ。
「お星さまの川だ! リィナうれしい!」
「みんなで行くからね」
「お月さまには、お手紙を書いておこうね」
「うん!」
お星さまは、光で文字を書きました。
『今から、はじめての夜をむかえる、リィナの町に行きます。お月さまも、起きたら来てくださいね。一緒にお空をてらしましょう。 星たちとリィナより』
「これでだいじょうぶだよ」
「これでだいじょうぶね」
「ありがとう!」
「暗いと見づらいでしょう? 夜のなかった町は知っているから、ついてきてね」
「お友たちの流れにのってね、ついてきてね」
「はぁい!」
リィナは星の川をわたります。今にも空からこぼれおちそうなくらいたくさんの星たち。それは、まっすぐとリィナの町へとのびていきます。
お星さまは川の流れにのって、リィナの町へむかっていると、なんだかリィナも、お星さまになった気分になりました。
「ここだろ?」
「ここでしょう?」
そこは、まちがいなくリィナの町。せっかく夜が来たのに、くらくて光のない町でした。
「おお! おかえりリィナ。おや、そっちはお星さまたちじゃないかね。お月さまは、どうしたんじゃ?」
「お月さまはねてるよ」
「もうすぐ起きるわよ」
「先にお星さまがきてくれたんだよ」
「そうかねそうかね。それなら少し待とうかね。そのほうが、ステキな夜になるじゃろうて」
「リィナ待つよ!」
お月さまが来るまで、みんなお空で待ちました。その間、ピカピカじゅんばんに光るお星さまと追いかけっこをしました。
追いかけっこはやがて流れ星になり、だれかのねがいごとを受け止めます。
「お星さまって、本当にキレイね」
「ありがとう! うれしいよ」
「ありがとう! うれしいわ」
お月さまが来るよりも前に、リィナの町にたくさんの人が見えました。きっとみんな、きゅうに町がくらくなったから出てきたのでしょう。お星さまのほうをゆびさして、じぃっと見ている、と、お星さまが教えてくれました。
「お月さままだかな。リィナ待ちくたびれたよぉ」
「もうすぐだよ」
「もうすぐだわ」
ガルーダもどこかねむたそうです。リィナもねむたくなってきました。
「まだごはん食べてないのに。……夜ごはんの時間になっちゃう!」
リィナはすっかりわすれていました。お母さんに『夜ごはんの時間までには帰ってくるのよ』と言われていたことを。
「おーい! おまたせ!」
やっとやっと、お月さまがやってきました。ここからが夜の本番です。
0
あなたにおすすめの小説
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
生まれることも飛ぶこともできない殻の中の僕たち
はるかず
児童書・童話
生まれることもできない卵の雛たち。
5匹の殻にこもる雛は、卵の中でそれぞれ悩みを抱えていた。
一歩生まれる勇気さえもてない悩み、美しくないかもしれない不安、現実の残酷さに打ちのめされた辛さ、頑張れば頑張るほど生まれることができない空回り、醜いことで傷つけ傷つけられる恐怖。
それぞれがそれぞれの悩みを卵の中で抱えながら、出会っていく。
彼らは世界の美しさを知ることができるのだろうか。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
ノビの大活躍――いくら丼の奇跡【トランザニヤ物語SS】
楓 隆寿
絵本
*カクヨムさんでも掲載中です。
異世界冒険譚【トランザニヤ物語】のSS
絵本にしてみました。
いくら(丼)をフィーチャーした作品です。
この世に、神の涙と呼ばれる食材がある。その正体は、東の国「ヤマト」の古文書に記された「いくら丼」だった!
氷に覆われた王国を救うため、若き料理人ノビは、氷の姫リュミナと共に大冒険へ旅立つ。
魔導鍋を武器に海竜の守護を突破し、氷の大地で幻の穀物を収穫。そして、火山の麓で魂を込めた器を創り上げる。
はたしてノビは、すべての難題を乗り越え、絶望に閉ざされた王国に奇跡を起こせるのか?
料理の力と、小さな勇気が紡ぐ、心温まるファンタジー冒険譚。
#AIイラスト
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる