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6.未来に向けて
2.オッドアイの公表
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「ルーク。手紙は見たし、だから期限よりも前に攻めることになったわけだが、詳しく聞きたい」
「分かりました」
チャールズが頼むと、ルークは一度ミアを見て頷いたのを確認してから、エスト王国での生活で見たものを話した。
魔術師のレッドの目を外科的手術で入れ替えて、片目が他の魔術師の目となることを人工オッドアイと呼んでいた。成功して生きているのはこの場にいるオルディスのみで、旧エスト王国にいる魔術師は極端に少ないこと。
オルディスも完全な一種類の魔力ではなく、なぜか二種類の魔力を持ったままであること。ルークは魔力暴走を起こし、完全に飲まれる前にミアと交わり助かったこと。
(番以外と交わったことは、ミアもいるし話したくないだろうな…)
「…ご苦労だった」
ルークの話を聞いていたチャールズは、その一言を発するのが精一杯だった。国王目線では、やはりこの一年はセントレ王国の平和にとって大きかった。ルークとミアの犠牲で、セントレ王国には攻撃の来ない日々が訪れる。ふたりの一年を犠牲にするだけで、そのほか大勢の年月が救われたのだ。
ただ、友人としては思うところが多々ある。まだ新婚と呼んでもいい期間だったふたりには、明らかに重い任務だった。離れ離れでなかっただけよかったとか、感情を推し量るのすらおこがましい。
ルークのことだ、ミアが居るこの場で全てのことを話しているとも限らないし、隠していることをチャールズに話すかどうかも分からない。ルークが旧エスト王国で再度魔力暴走を起こしたことは事実で、それだけでも心が重くなる。
その間、ミアはどう過ごしたのだろう。ジョンが助けに入るまでの期間は、短かったのだろうか。聞いてみたいことも多いが、今日は他にも話すことが多い。ルークにとって思い出すのも酷かもしれないが、日数が経ってもまだ折り合いがつかなければ、問うことを許されるだろうか。
☆
「…これからオルディスをどう扱っていくのかを決めなければならないが、急ぎではない。魔力制限がかかっていれば何もできないだろうし、あの様子なら何かしようとも思わないだろう」
「同意します。ここにはオッドアイが三人います。何かしても抑えられることも分かっていると思います」
ルークは、変わらず結界を突いたり手のひらを当てたりして遊んでいるオルディスを見た。その表情からは狂気的なものは感じず、囚われているにもかかわらず、吹っ切れたように明るい楽し気な表情だった。
魔力に触れて、使うのが楽し気な子どもが、そこにいた。ただし、見た目は相応に大人で、こればかりは話を聞いてみないと分からない。
会話が一度落ち着くと、皆が紅茶や焼菓子に手を伸ばす。その隙に、チャールズが使用人を呼び温かい紅茶や追加の焼菓子を持って来させた。背を向けて立ち去る使用人に、ジョンが忘却魔術をかける。
「…それから、ルークとミアがオッドアイ魔術師であることを、全国民が知ることになった。旧エスト王国が、人工オッドアイに手を出すことになった理由は、貴重で強力な魔術師を手に入れたかったからであると、報道されるだろう。そのための魔術講師として、ふたりが派遣された。人工オッドアイの講師になれるのは、本物のオッドアイだけなことも分かるだろうし、男女の魔術師が派遣されたとなれば、魔術師にはルークとミアが番であることも予想できる。稀有なオッドアイ魔術師であることが、公になってしまった」
そうなるだろうなとは、想定していた。近隣の一国が滅ぶ事態に、平和慣れした国民も危機感を持ったのではないか。もうすでに脅威は去っているが、しばらく世間の話題から消えることはないだろう。
そして、そんなセントレ王国の危機を救ったのがまたルークであることも、しばらくは語られる。今回は、ミアについても話題となってしまう。
人工オッドアイに関わる脅威を、騎士であるルークとその妻ミアが探りに行っていたのは不自然すぎる。ふたりともが魔術師だと明らかになるほうが自然なのは間違いない。
チャールズは国王として、報道される内容に関しては前もって目を通している。報道官や文官によって、チャールズが許可した範囲でしか情報は公開されない。
ただ、情報というものは厄介で、いつどこから漏れているか分からないものだ。基本的にはジョンの結界の中でのみ、情報の伝達をしているため何事もないのだが、万一もある。
「分かりました」
チャールズが頼むと、ルークは一度ミアを見て頷いたのを確認してから、エスト王国での生活で見たものを話した。
魔術師のレッドの目を外科的手術で入れ替えて、片目が他の魔術師の目となることを人工オッドアイと呼んでいた。成功して生きているのはこの場にいるオルディスのみで、旧エスト王国にいる魔術師は極端に少ないこと。
オルディスも完全な一種類の魔力ではなく、なぜか二種類の魔力を持ったままであること。ルークは魔力暴走を起こし、完全に飲まれる前にミアと交わり助かったこと。
(番以外と交わったことは、ミアもいるし話したくないだろうな…)
「…ご苦労だった」
ルークの話を聞いていたチャールズは、その一言を発するのが精一杯だった。国王目線では、やはりこの一年はセントレ王国の平和にとって大きかった。ルークとミアの犠牲で、セントレ王国には攻撃の来ない日々が訪れる。ふたりの一年を犠牲にするだけで、そのほか大勢の年月が救われたのだ。
ただ、友人としては思うところが多々ある。まだ新婚と呼んでもいい期間だったふたりには、明らかに重い任務だった。離れ離れでなかっただけよかったとか、感情を推し量るのすらおこがましい。
ルークのことだ、ミアが居るこの場で全てのことを話しているとも限らないし、隠していることをチャールズに話すかどうかも分からない。ルークが旧エスト王国で再度魔力暴走を起こしたことは事実で、それだけでも心が重くなる。
その間、ミアはどう過ごしたのだろう。ジョンが助けに入るまでの期間は、短かったのだろうか。聞いてみたいことも多いが、今日は他にも話すことが多い。ルークにとって思い出すのも酷かもしれないが、日数が経ってもまだ折り合いがつかなければ、問うことを許されるだろうか。
☆
「…これからオルディスをどう扱っていくのかを決めなければならないが、急ぎではない。魔力制限がかかっていれば何もできないだろうし、あの様子なら何かしようとも思わないだろう」
「同意します。ここにはオッドアイが三人います。何かしても抑えられることも分かっていると思います」
ルークは、変わらず結界を突いたり手のひらを当てたりして遊んでいるオルディスを見た。その表情からは狂気的なものは感じず、囚われているにもかかわらず、吹っ切れたように明るい楽し気な表情だった。
魔力に触れて、使うのが楽し気な子どもが、そこにいた。ただし、見た目は相応に大人で、こればかりは話を聞いてみないと分からない。
会話が一度落ち着くと、皆が紅茶や焼菓子に手を伸ばす。その隙に、チャールズが使用人を呼び温かい紅茶や追加の焼菓子を持って来させた。背を向けて立ち去る使用人に、ジョンが忘却魔術をかける。
「…それから、ルークとミアがオッドアイ魔術師であることを、全国民が知ることになった。旧エスト王国が、人工オッドアイに手を出すことになった理由は、貴重で強力な魔術師を手に入れたかったからであると、報道されるだろう。そのための魔術講師として、ふたりが派遣された。人工オッドアイの講師になれるのは、本物のオッドアイだけなことも分かるだろうし、男女の魔術師が派遣されたとなれば、魔術師にはルークとミアが番であることも予想できる。稀有なオッドアイ魔術師であることが、公になってしまった」
そうなるだろうなとは、想定していた。近隣の一国が滅ぶ事態に、平和慣れした国民も危機感を持ったのではないか。もうすでに脅威は去っているが、しばらく世間の話題から消えることはないだろう。
そして、そんなセントレ王国の危機を救ったのがまたルークであることも、しばらくは語られる。今回は、ミアについても話題となってしまう。
人工オッドアイに関わる脅威を、騎士であるルークとその妻ミアが探りに行っていたのは不自然すぎる。ふたりともが魔術師だと明らかになるほうが自然なのは間違いない。
チャールズは国王として、報道される内容に関しては前もって目を通している。報道官や文官によって、チャールズが許可した範囲でしか情報は公開されない。
ただ、情報というものは厄介で、いつどこから漏れているか分からないものだ。基本的にはジョンの結界の中でのみ、情報の伝達をしているため何事もないのだが、万一もある。
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