経験豊富な将軍は年下医官に絆される

垣崎 奏

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<4>エンリルの趣向

 
「シャマシュ」
「はい、エンリル様」

 執務室にて、薬瓶の確認と整理をしていたシャマシュを呼ぶ。絶対に振り向いてくれるその唇に、口付ける。
 あえて、シャマシュの背中側から抱き寄せ、ぎゅっと密着する。シャマシュの方が頭ひとつ分は背が低いため、すっぽりと収まってしまう。

「……黙っていたことがある」
「はい」

 後方からのエンリルの言葉にシャマシュは身構えるが、耳元で囁けば身体は反応する。びくんと、跳ねるのだ。

 エンリルは今まで、シャマシュの経験に合わせて発散を行ってきた。エンリルの趣向は、こんなものではない。

「拘束しても、いいか?」
「エンリル様のお好きに」
「ここも少し縛らせてもらう」
「……っ」
「さすが医官だ、何が起きるかは分かってるんだな」

 まだ勃ち上がっていないシャマシュの陰茎に触れながら言えば、はっきりと分かってくれるだろう。
 射精をしたくても、縛られていると出せなくなる。すっきりとした事後感を味わえないまま、悶絶することになるらしい。

 エンリルは、いつもハッティにその我慢を課していて、苦悶の中の恍惚さを見るのが好きだった。シャマシュは、どんな表情を見せてくれるだろうか。

「エンリルさま……」
「少し、怖いか?」
「……いえ」
「苦しければ言っていい。壊したいわけではない」
「はい」

 唇を寄せると、シャマシュの瞳が潤んで見えた。それすら期待感だと思えてしまうエンリルは、相当に滾っている。

 シャマシュが、口を開いて、すぐ閉じる。何か言いたげだが、言葉を選んでいるのだ。頬に唇を寄せ、促してやる。

「……ずっと、我慢を?」
「我慢ではないな。シャマシュが整うのを待っていた」

 それを我慢というのではと、表情だけで表すシャマシュが愛おしい。つるんとして髭も生えない頬に、再度口付ける。

「自分に染められることほど、優越感のあるものはない。分かっていると思うが、俺はもう担当医官を替えたくない。壊すわけないんだ」
「存じておりますし、信じております」

 普段通り、シャマシュを抱き上げ寝台へ下ろした。
 シャマシュの両手を、頭の上で縛る。両足はそれぞれ曲げた後、局部が見えるよう大きく開き、全ての縄をシャマシュの背中に回して縛れば、身動きを取ることはできない。

「ふっ」
「うう……」

 ついでに少し脇に触れてやると、シャマシュは身を捩る。いつものようには逃げられないのが、身をもって分かっただろう。

 興奮し始めている陰茎と陰嚢にも、強く締め付けすぎないよう気を遣いつつ、新しい縄を這わせる。何せ、エンリルがこの準備をするのはハッティぶりなのだ。シャマシュの様子は注視しなければならない。

「苦しいところはないか」
「はい……」
「むしろ、縄が擦れるか?」
「っ、はい……」

 エンリルが触れる度、シャマシュは身体を捻る。縄が食い込み、敏感な皮膚を刺激するのだろう。シャマシュは自らの過敏さに苦笑いを浮かべながら、すでに快感を拾っている。

「シャマシュ……」
「はい、あっ!」

 背中を支えてやりながら、首筋を一気に舐め上げる。耳の形を辿る間、シャマシュの口に親指をしゃぶらせる。

「いつもみたく、腰が浮かないなあ、シャマシュ」
「あっ……」

 浮かせられないばかりか、縄が擦れ、普段以上の刺激となっているはずだ。おそらく、エンリルの親指を含んでいなくとも、口が開き涎を垂らしていた。唇を合わせ舐めとった後、首筋から鎖骨、腋へと順に舌を滑らせる。

「あっ、ああっ……」

 腋は、シャマシュが特に触れられるのが好きな部位だ。もちろん、乳首や局部など、より感じられるところはあるが。その窪みに舌を埋めると、シャマシュの嬌声は大きくなる。
 濡れた肌に息を吹き掛ければ、すっとした感覚にシャマシュが反応する。何をしても感じてしまう担当医官を、手放したくない。

「気持ちいいだろう。この調子なら、すぐ果てそうだな」

 シャマシュの顔が一瞬凍った。それを見逃すエンリルではない。何か懸念があるなら、聞いてやるだけだ。シャマシュも、エンリル相手に隠せるとは思っていない。

「……エンリル様」
「うん?」
「僕が、そこまで気持ちよくなっていいのですか」
「いい、俺も満たされる。ただし目は開けていろ。気絶されるのは困る」
「かしこまりました……、あの、自信はないです」
「だろうな」

 一日執務室で仕事を片付けていた日は、シャマシュと話しながらまったりと過ごせるが、討伐終わりなど、エンリルがシャマシュを抱き潰し堕としてしまうことは数度あった。

 シャマシュが自覚しているかは分からないが、シャマシュはいつも、エンリルに密着し陰茎を押し付けて腰を揺らす。エンリルが触れずに焦らしていると、シャマシュは一種の自慰行為をエンリルの身体で行うのだ。
 今回は、拘束することでそれを封じている。エンリルが調整してやればシャマシュが堕ちることはないが、難しいだろう。

 乳首には触れず、周囲をくるくると回る。舌も同じだ。興奮を強く与える場所には、まだ触れない。

「ん、んっ、エンリルさまっ」
「まだだ」
「んんっ」

 陰茎を勃起させながら、シャマシュが懇願するようにエンリルを呼ぶ。普段なら、一度は吐き出して楽になっていただろう。その声を聞きたいがために、エンリルはシャマシュを苛めている。

 シャマシュの腕に手を這わせると、シャマシュの両手は縄を掴み、快感に耐えようとしていた。普段はエンリルにしがみついているシャマシュだ、上手くいなせないのだろう。


 ◇


 シャマシュの局部と足の縄を解き、とっくに滾った陰茎を押し当てる。毎日のように挿れている後孔は、エンリルを待ち望んでひくついていた。

「よく頑張ったな、シャマシュ」
「んっ、ふうっ」

 ゆっくりと最奥まで沈めた後、手の拘束も外してやる。エンリルからの焦らしに、シャマシュがとっくに限界を迎えていたのは分かっている。だが、甘く触れてやればシャマシュは喜び、嬌声を上げ先走りを流した。そんな姿を見て、止められなかった。

 不快だったのなら、言ってくるだろう。それができる信頼関係は築けている。そうでなければ、シャマシュの尊厳に関わるこの提案は、見送るべきだった。問題ないと思えたから、この行為を頼んだのだ。

 涙でぐしゃぐしゃの顔を拭うこともせず、真っ直ぐにしがみついてくる。縋られるのは、素直に気分がいい。征服欲もあるが、人肌の温かさが直接触れ、身体全体に満ちるのを感じられるのは、本当に心地がいい。

 ぎゅっと抱き留める腕に力を入れ、頬を擦り付ける。唇を奪いながら、ゆるゆると腰を揺らすと、シャマシュの身体が小刻みに震え始める。

「シャマシュ。果ててもいいが、俺はまだかかるぞ」
「ん、んああっ!」
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