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<6>任務を終えて
「……シャマシュ」
「はい、エンリル様」
「どこまで知っているか分からないが……、大将からの呼び出しがあった。当日はここで眠れない」
「子作り、ですね」
シャマシュから自然とその言葉が出たことに、エンリルは安堵した。全てを話す必要はない。シャマシュは、エンリルが何を行うのか分かっている。
「知っていたか」
「僕はエンリル様と共に入りますが、一切の射精を許されません。元の生まれが異なるので」
「ああ、やはり……」
「エンリル様のお手伝いはさせていただきます」
「そうか」
シャマシュにはその覚悟がすでにあった。担当医官は通常、上官と共に軍部の次世代を遺さなければいけない立場だが、シャマシュにはその資格がない。こればかりは、エンリルにも変えようがなかった。
◇
エンリルの執務室に、当然シャマシュと共に戻ってきた。陽は昇っているもののまだ早朝だ。誰にもすれ違うことなく入り、扉を閉めるなり、シャマシュを抱き締める。驚いたのか、シャマシュが鞄から手を離し、空瓶の入った鞄はその重みでその場に直立する。
「え、エンリル様……」
「ただ見ているだけは辛かっただろう」
シャマシュは女の中に出さないだけでなく、あの部屋で一切果てなかった。射精ができないとは言っていたが、生理現象でもある。エンリルが黙っていれば、誰にも事実が漏れることはない。エンリルと抜き合って、女の中に出さなければいいと考えていた。
エンリルを勃てるだけ勃て、上官としての任務をこなせるよう助けてはくれたが、それだけだった。エンリルがシャマシュに触れることを、シャマシュが拒んだ。普段の様子を知っている分、相当に我慢したのだろう。
エンリルの様を見て、シャマシュの下穿きが膨らんでいたのも分かっていた。あの部屋では何もさせてくれなかった。鞄で隠しながら歩いていたのも、当然見えていた。
「いえ、これも仕事ですので」
「素直になっていい、もうふたりきりだ」
「ま、まってください」
シャマシュは担当医官で、武官のエンリルとは比べ物にならないほどに軽い。さっと抱き上げ、寝台に下ろした。
「感情の乗らない情事など、苦痛でしかない」
「んっ……」
大将の執務室へ呼ばれる際、日程は決まって数日後だ。女を確実に孕ませるために、子種を貯める必要がある。その数日、上官と担当医官は射精を禁じられ、媚薬を使ってまで全てを女へ注ぐ。これが、強力な軍部を繋ぐために必要な任務だ。
シャマシュは女の元では出せないのだから、「抜いてやる」とエンリルは声を掛けていた。結局、湯浴みや触れ合いすら断られ、今溜まっているのはシャマシュだけだ。
行為を始めてしまえばエンリルが果てるまで終わらないと、シャマシュには分かっていたのだろう。
口付けると、すぐに唇が割れる。その隙間から舌をねじ込み貪っていく。初めは抵抗しようとするものの、シャマシュはすぐに快楽に堕ちていく。
「ん……、エンリル、さま」
「我慢するなよ」
「ん、あっ、っ……」
シャマシュの医官着を剥ぎ、その綺麗な身体を眺める。先ほどまで組み敷いていた女とは異なり、骨ばった男の身体で、大きく勃起した陰茎も見える。
寝台脇には当然のように、香油の瓶が置かれている。指に塗りつけ、シャマシュの足を肩に担ごうとする。
「辛ければ、先に一度抜くか?」
「お好きに」
「そうか」
シャマシュの陰茎が滾りに滾って、赤黒く濡れている。段々と陽が昇ってくるところで、その形をはっきりと照らしていた。
シャマシュの両手を頭の上で敷布に押し付け、孔を確認するように撫でてから、指を沈めていく。数日空いただけではあるが、使っていないと狭まってしまう。
シャマシュは調剤室に戻らない、エンリルの執務室で生活する担当医官で、一日の間で離れるのはエンリルが討伐の打ち合わせや報告に出る時のみだ。そのわずかな間にシャマシュがひとりで解していたとしても、エンリルの大きさとは似つかない。
今回の呼び出しの前まで毎日のように挿入していたシャマシュの孔は、やはり狭かった。
「きつくないか」
「んっ、それよりも、エンリル様……、んあっ!」
エンリルはすでに数度、果てた後だ。シャマシュを前に再度勃てているとはいえ、シャマシュよりははるかに余裕があった。
待ちに待った刺激に、シャマシュが跳ねる。こりこりと目立つシャマシュの前立腺を刺激し、つるつるすべすべとした首を舐める。
「あ、あっ……」
「いいぞ、もっと聞かせてくれ」
小さい粒のような乳首もとっくに勃っていて、刺激を待ち望んでいるようだった。孔への指を増やしつつ、乳首に舌を這わせる。
「ん、あ、っ……ああ!」
「平気か? 続けるぞ」
「……はい」
シャマシュも予想していただろうが、それ以上の快感が突き抜けたらしい。背中を反りエンリルに身体を押し付けてくる。
腹部を汚しながらびくびくと震える身体を支えつつ、舌と指を休めることはない。孔を解しつつ、乳首を意識が向くように弄んでやる。甘噛みしたり少し潰したりすると、シャマシュはよく啼く。
「シャマシュ」
「っ、エンリル、さまっ」
久しぶりの行為ではあるが、シャマシュはエンリルの担当医官として、エンリルが自ら育てている。シャマシュがこの程度で満足できないことを、エンリルは当然知っている。
口を吸いながら、焦らすように、わざとシャマシュが一番快感を拾う部分を避け、広げることを意識する。射精した後でもシャマシュは萎えることなく硬さを維持していて、待ち望んでいるのも分かっているが、傷付けたいわけではない。
「っ、エンリル様、僕、もう……」
「欲しいか」
「はい……」
シャマシュは甘え上手になった。エンリルがシャマシュを匿い、そう仕向けたからに違いないが、今日のシャマシュは溜め込み過ぎていて、普段よりもエンリルを求めるのが早かった。
「広がり切ってない気もするが……、いいんだな?」
「はい」
シャマシュの孔から指を抜き、足を広げ、滾った陰茎を宛がう。普段と比べ凶悪さは鳴りを潜めているものの、シャマシュの体格に対して大きいことに変わりはない。
「んんっ」
「辛いか?」
「いいえ……っ、あ、ああ」
「当たって気持ちいいな」
「あ、まって、そこばっかり……、あ、んああ!」
がくがくと震えながら、シャマシュが身体を反り、腹部がさらに汚れた。腰を支えてやりながらも、律動は止めない。
「あ、あ、まって、僕まだ……っ」
「我慢しただろう、果てていいぞ」
「あ、ん、んんっ!」
シャマシュの震えが治まらないのを見ると、エンリルも余計に滾ってくる。入口まで引き抜いて最奥を狙って突き刺せば、その動きに合わせてシャマシュが顔を背ける。逃げる腰を捕まえつつ、休憩するように留まり、未だ硬さを残す陰茎を握った。
「っ……!」
「まだ出るだろう?」
きゅっと、孔が締まる。シャマシュはエンリルの欲に付き合うため、一日に数度射精することに慣れている。だが、この数日間は触れて抜かせることすら許してくれなかった。
先走りや精液を馴染ませながら、ゆっくりと扱いていく。シャマシュの可愛らしい陰茎に血が集まり、その質量を増す。
「っ、ああ……」
「悦いか?」
「はい、とても」
その返答からは、余裕が感じられる。シャマシュの陰茎に触れたまま強く腰を揺らし、その最奥へと吐き出した。
◇
「エンリル様」
「なんだ?」
互いに手拭で身体を軽く拭い、敷布を換えた後、寝台へ寝そべった。シャマシュを引き寄せ抱え込もうとしたが、神妙な表情でエンリルを覗き込んできた。
「……今でも、ハッティ様のことを思い出されますか」
シャマシュがこの執務室に訪れてから、すでに一年近くが経つだろうか。ふとした時に過ぎることもあったが、シャマシュに言われるまで、気付かなかった。ハッティを懐かしむことはあっても、側にいないのを悲しく思うことはなくなっていた。
「……俺は薄情か?」
「いいえ、ハッティ様が望まれていたことです」
柔らかい髪を撫でると、シャマシュはエンリルの胸に頬を摺り寄せてくる。
「シャマシュは、幸せか?」
「はい。エンリル様の元に来てから、満たされる感じがします。子どもの頃に戻ったみたいです」
「そうか」
縋ってくるシャマシュを強く抱き締め、エンリルは目を閉じた。
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