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木製の船
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気づくと、見覚えのない場所にいた。船の甲板のような場所で、木製のため茶一色だった。掃空が行き届いていないのか、はたまた、気が滅入るような曇天だからか、今にもネズミが話しかけてきそうな雰囲気だ。霧も出ていて、まるでとある海賊映画のワンシーンみたいだ。残念ながら、身に付けているのはかっこいい海賊服ではなく、剣も持っていないし、バンダナも巻いていない。どういう状況下なのかを確認するためにあたりを見回すと、ちらほらと人がいる。何をしているわけでもなく、だた立っているだけの人だ。顔から感情は読み取れず、楽しそうでもつらそうでもない。虚構を見つめているようでなんだか怖かった。しかし、一人だけ笑顔の人物がいた。こんな場所で何がうれしいのだろうか。話しかけるためにその人に近づこうとしたとき、その奥に人影が見えた。その影はどんどん近づいてきた。暗かったため最初はどんな人物かわからなかったが、距離が近くなるにつれて正体があらわになった。その人物はなんと、体に爆弾を巻き付けて歩いてきていた。それを認識した瞬間、俺の体は反射のように走り出した。いつもよりも速いスピードで走っている気がする。しかし、体感速度と爆弾人間との距離は比例しない。一生懸命走っているのになぜがその距離は広がらず、むしろ縮まっているような妙な感覚だ。さらにおかしなことに、俺以外の人物は逃げることせず、も焦る様子もない。いつ爆発するのかもわからない危険物が迫ってきているのにおかしいんじゃないのか。俺は得体のしれない気持ち悪さに襲われながら必死に走り続けたが、状況は一向に変わらない。しびれを切らし俺は船の甲板から海に飛び込んだ。思いのほか大きかったその船から、水面にたたきつけられる瞬間を恐れて俺は目をぎゅっとつむった。
はっという声とともに俺は起き上がった。白い壁に反射した、窓からの光が俺の目に差し込んで思わず目をつむる。
「なんだ、ゆめか…」
汗を吸ったTシャツが朝の低い気温を強調する。最悪の目覚めだ。
はっという声とともに俺は起き上がった。白い壁に反射した、窓からの光が俺の目に差し込んで思わず目をつむる。
「なんだ、ゆめか…」
汗を吸ったTシャツが朝の低い気温を強調する。最悪の目覚めだ。
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