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とある国の開拓者
仕事と運命とデスゲーム
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《2237年・8月21日》
「はぁ...暑いな...なんでこんな時に働かなきゃならないんだ...」
俺は、真夏の炎天下の下で草をむしっていた。
「ほらそこ!ちゃんと働け!終わったら飯にするから真面目に仕事しろ!!」
班長からの罵声が飛んできた。こっちは死ぬほど暑いんだよ!こんなのブラック企業じゃねぇか...安易に会社を決めるんじゃなかった...
俺が大学を卒業した頃、就職先はデスゲームの運営会社が人気だった。死体の掃除など、大変な仕事も多いので給料が良く、運営には多くの人員を必要とするので、面接すれば大体受かる。そんな会社があるならと、大学生の俺は何も調べずに、「エクセレントスポーツ」という運営会社に入社した。
...実際は「デスゲーム開拓者」って呼ばれることに憧れて入社したんだけどな。
デスゲーム運営会社の社員の中でも、仕事が別れている。今俺が所属しているのは「整備班」と呼ばれる、デスゲームが行われるフィールドの掃除や整備などを請け負う班である。誰が言い始めたのか知らないが、この班に属する人は、どの会社かに関わらず「デスゲーム開拓者」と呼ばれている。
俺も前は名刺に「役職:デスゲーム開拓者」と書いていたが、
「マジであんなダサい名称使ってるやついるのかよ!」と馬鹿にされたのは苦い思い出だ。
かっこいいと思うんだけどなぁ...
ちなみに俺は今、孤島の整備をしている。
この孤島は砂浜、森、廃墟から構成されているフィールドである。このフィールドは来年のデスゲーム世界大会、「ワールデッド」で使用される。いわばオリンピックみたいな物だ。昔はある国でしかデスゲームは行われていなかったらしいが、今は全世界で行われてる、れっきとしたスポーツだからな。
★
ふぅ...ざっとこんなものかな。周囲の草もむしり終わったしな。この作業が終わったら昼食って言われてたし班長に確認してもらうか。
「班長!こっちの作業終わりました!」
叫んでみるが返事がない。あの野郎なにしてんだ?
だが、周囲を見渡してみても、どこにも班長の姿は見当たらなかった。
「増崎、班長どこにいるか知らないか? 」
側にいた同期の添山に聞かれた。
添山はメガネをかけてて仕事の出来るやつだ。あと彼女がいる。なんとも腹立たしい。
「俺も探してたんだ、いないのか?作業が終わったから確認してもらおうと思ったんだが。」
添山は少し考えて、
「もしかしたら休憩テントで休憩してるんじゃないか?」と答えた。
「確かにそうかもな。行ってみるよ。」
俺は森の横にある休憩テントに向かった。
テントは白いテントで、人が3、4人入ってもゆとりがあるほどの大きなテントだ。
「班長ー?いませんか?」
声を掛けて入ってみるも、そこに班長の姿は無かった。
「マジでどこにいるんだよ...」
諦めてもう少し作業続けようかと外に出ようとしたとき、
「痛っ!」
何かにつまづいて転んでしまった。
起き上がって見てみると、それは手のひらサイズのスイッチだった。ものすごく重い。
上に赤いボタンが付いている。そしてその横に、『押さないでください』と書いてある。
...押したい。すごく押したい。
てかなんでわざわざ押すなとか書いてあるんだよ!
こう書かれると押したくなるじゃねぇか!
...押す?いいよな。このくらい押してみても...
「いや、やっぱりダメだ!」
そう叫んでからテントの床に置いて元の場所に走って帰る。
その場にいるとどうしても押したくなってしまう。
理性が保てるうちに戻らないとな。
戻ってみると、皆は昼食をとっていた。
「おう!増崎、飯だぞ。早く喰って働け!」
班長はそう言って皿に盛ってあるカレーを突き出してくる。
「班長どこ行ってたんですか?探しましたよ?」
少し苛立ちながらも聞いてみる。
「そりゃすまねぇな。ちょっとあるものを探しにな。」
「あるものってなんですか?」
俺はそう言いながらカレーを受け取ろうとした。
その時だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!
いきなり地面が大きく震え始めた。立っていられなくなり、カレーを取り落として後ろに倒れる。
何があったんだ!?
確認しようとするも、砂埃が巻き上がって見えない。
他の皆も「助けて!」だの「伏せるんだ!」だの叫んでいる。
しばらくすると、地震が止まり、砂埃もおさまった。
落ち着いてみると目の前に壁があることに気がついた。
「なんだこの壁は!?」
続く
「はぁ...暑いな...なんでこんな時に働かなきゃならないんだ...」
俺は、真夏の炎天下の下で草をむしっていた。
「ほらそこ!ちゃんと働け!終わったら飯にするから真面目に仕事しろ!!」
班長からの罵声が飛んできた。こっちは死ぬほど暑いんだよ!こんなのブラック企業じゃねぇか...安易に会社を決めるんじゃなかった...
俺が大学を卒業した頃、就職先はデスゲームの運営会社が人気だった。死体の掃除など、大変な仕事も多いので給料が良く、運営には多くの人員を必要とするので、面接すれば大体受かる。そんな会社があるならと、大学生の俺は何も調べずに、「エクセレントスポーツ」という運営会社に入社した。
...実際は「デスゲーム開拓者」って呼ばれることに憧れて入社したんだけどな。
デスゲーム運営会社の社員の中でも、仕事が別れている。今俺が所属しているのは「整備班」と呼ばれる、デスゲームが行われるフィールドの掃除や整備などを請け負う班である。誰が言い始めたのか知らないが、この班に属する人は、どの会社かに関わらず「デスゲーム開拓者」と呼ばれている。
俺も前は名刺に「役職:デスゲーム開拓者」と書いていたが、
「マジであんなダサい名称使ってるやついるのかよ!」と馬鹿にされたのは苦い思い出だ。
かっこいいと思うんだけどなぁ...
ちなみに俺は今、孤島の整備をしている。
この孤島は砂浜、森、廃墟から構成されているフィールドである。このフィールドは来年のデスゲーム世界大会、「ワールデッド」で使用される。いわばオリンピックみたいな物だ。昔はある国でしかデスゲームは行われていなかったらしいが、今は全世界で行われてる、れっきとしたスポーツだからな。
★
ふぅ...ざっとこんなものかな。周囲の草もむしり終わったしな。この作業が終わったら昼食って言われてたし班長に確認してもらうか。
「班長!こっちの作業終わりました!」
叫んでみるが返事がない。あの野郎なにしてんだ?
だが、周囲を見渡してみても、どこにも班長の姿は見当たらなかった。
「増崎、班長どこにいるか知らないか? 」
側にいた同期の添山に聞かれた。
添山はメガネをかけてて仕事の出来るやつだ。あと彼女がいる。なんとも腹立たしい。
「俺も探してたんだ、いないのか?作業が終わったから確認してもらおうと思ったんだが。」
添山は少し考えて、
「もしかしたら休憩テントで休憩してるんじゃないか?」と答えた。
「確かにそうかもな。行ってみるよ。」
俺は森の横にある休憩テントに向かった。
テントは白いテントで、人が3、4人入ってもゆとりがあるほどの大きなテントだ。
「班長ー?いませんか?」
声を掛けて入ってみるも、そこに班長の姿は無かった。
「マジでどこにいるんだよ...」
諦めてもう少し作業続けようかと外に出ようとしたとき、
「痛っ!」
何かにつまづいて転んでしまった。
起き上がって見てみると、それは手のひらサイズのスイッチだった。ものすごく重い。
上に赤いボタンが付いている。そしてその横に、『押さないでください』と書いてある。
...押したい。すごく押したい。
てかなんでわざわざ押すなとか書いてあるんだよ!
こう書かれると押したくなるじゃねぇか!
...押す?いいよな。このくらい押してみても...
「いや、やっぱりダメだ!」
そう叫んでからテントの床に置いて元の場所に走って帰る。
その場にいるとどうしても押したくなってしまう。
理性が保てるうちに戻らないとな。
戻ってみると、皆は昼食をとっていた。
「おう!増崎、飯だぞ。早く喰って働け!」
班長はそう言って皿に盛ってあるカレーを突き出してくる。
「班長どこ行ってたんですか?探しましたよ?」
少し苛立ちながらも聞いてみる。
「そりゃすまねぇな。ちょっとあるものを探しにな。」
「あるものってなんですか?」
俺はそう言いながらカレーを受け取ろうとした。
その時だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!
いきなり地面が大きく震え始めた。立っていられなくなり、カレーを取り落として後ろに倒れる。
何があったんだ!?
確認しようとするも、砂埃が巻き上がって見えない。
他の皆も「助けて!」だの「伏せるんだ!」だの叫んでいる。
しばらくすると、地震が止まり、砂埃もおさまった。
落ち着いてみると目の前に壁があることに気がついた。
「なんだこの壁は!?」
続く
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200年以上未来なのに、スマホやインターネットなんだなあ、と残念に思いました。
続きが楽しみです。
確かにネット媒体は新しい物にした方が良かった気もしますね...
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これからも応援よろしくお願いいたします!