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作戦会議前の顔合わせといきましょう
生贄探し1
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「無理」
私は頑として受け入れようとしない彼に向かって、そんなことない、と真剣な顔で訴えた。
「君ならできる」
「できない」
「諦めたらそこで試合終了」
「無表情で熱血スポーツマンみたいな台詞言うの辞めてもらえる?」
「崖っぷちありがとう、最高だ」
「引用の仕方間違ってんぞお前」
「知るか黙ってやらないとどうなるか分かってんだろうな」
「急に脅迫の流れに持ってくの女以前に人としてどうかと思うわ」
あーもう、と私は目の前の男のものである机を叩いた。
机上に散らばっていた筆記用具たちが宙に浮いて、乾いた音を立てて床に落ちる。
ったくこの馬鹿力女は、と悪態をつきながら慌ててそれらを拾うこの男は、今井遼。
真っ黒の短髪に至って平凡な顔立ちのこれは、一応私の幼馴染に当たる。
頭は弱いが運動神経は並外れて良く、今年の春の体育祭で団員を務めていた彼が身代わりに相応しいと判断した訳だ。タフそうだし。馬鹿だし。
「良いじゃん健康安全委員会。体育祭とか好きにやれるよ」
「そういう問題じゃない。つーか健安ってそれだけじゃねぇし、給食関係とか細かいのあるし」
「そこは寛容な心で受け入れろ」
「なんで何気に命令口調なんだよ」
「良いってことよ」
「お前日本人だよな?日本育ちの純日本人だよな?日本語が標準語だよな?」
本当にこいつはツッコミが鋭すぎて鬱陶しい。
だーかーら、と前のめりになる私。
「器ちっさいからモテないんだよ?委員長になったらわぁ遼くん大胆だわぁカッコいいってモテるよ、彼氏にしたい男1位だよ」
「すんごい適当なこと真顔で言うなし」
「もー良いじゃん面倒くさいな、私が頭下げてんだよ?」
「さっきから真顔で真っ正面から命令口調のやつが何言ってんだ」
「はーめんどいわ…」
「なんでそんなに必死なんだよ」
私がため息をつくと、遼は怪訝そうな顔をして軽く首を傾げた。
「………まどかに頼まれたからに決まってるでしょ」
私の答えを無視して唸ると、あ、と手を打つ。
「お前俺のこと自分の為に差し出そうとしてね?」
「は?なに、何を言ってんの?幼馴染の男子差し出すとかマジありえないっしょ」
「そんなに目泳がして何言ってんだ」
疲れ切った顔で言う遼。
「だってしょうがないじゃん!私が委員長と勘弁だし、断ったらかわりに2人差し出さないと強制立候補なとか脅してくるし!あの悪魔許せないわ…」
「まさかの逆ギレ?そもそもそれを俺に言うな」
恨みがましく言う私に向かって、呆れたように言いながら溜息を吐く遼。
思案げな表情に変わった彼に向かって、やけくそで説得を再開する。
「ともかくやる!ほら委員長になったら他の委員長とか執行部とかと関わるから、まどかとか亜美とか美少女と関わる機会増えるよ。そして何かの間違えが起きたらモテるかもしれないし」
そういうと即座に否定せず、うーんと何やら考え込む遼。
…これは、結構効いた感じか?
「お前さ、2人目の当てあんの?1人じゃ結局お前委員長じゃん」
期待の目で見つめる私に向かって見当違いな質問をしてくる。
何が、と聞き返すと生贄、と返された。
「人聞き悪いこと言わないでよ、身代金だよ」
「人を人とも思わない人間の血が通ってない化け物だな。つーかはよ質問答えろ」
「無いよ!全く無いよ!そうだけどでも探すから一旦お前はなっとけ生贄第1号!」
「お前実は先祖悪魔だろ?」
真顔で何か言っている遼を無視して、私はもう一度両手を机に勢いよくつけてぐっと顔を近づけたそしてぎょっとしている顔にビシッと指を突きつける。
「いいから、やれ!」
すると彼は私の圧に負けたのか知らないが、
「…まぁ、別にいいけど」
とボソッと言うと渋々頷いた。
心の中で全力でガッツポーズする私。
取り敢えず1人確保っと。
私は頑として受け入れようとしない彼に向かって、そんなことない、と真剣な顔で訴えた。
「君ならできる」
「できない」
「諦めたらそこで試合終了」
「無表情で熱血スポーツマンみたいな台詞言うの辞めてもらえる?」
「崖っぷちありがとう、最高だ」
「引用の仕方間違ってんぞお前」
「知るか黙ってやらないとどうなるか分かってんだろうな」
「急に脅迫の流れに持ってくの女以前に人としてどうかと思うわ」
あーもう、と私は目の前の男のものである机を叩いた。
机上に散らばっていた筆記用具たちが宙に浮いて、乾いた音を立てて床に落ちる。
ったくこの馬鹿力女は、と悪態をつきながら慌ててそれらを拾うこの男は、今井遼。
真っ黒の短髪に至って平凡な顔立ちのこれは、一応私の幼馴染に当たる。
頭は弱いが運動神経は並外れて良く、今年の春の体育祭で団員を務めていた彼が身代わりに相応しいと判断した訳だ。タフそうだし。馬鹿だし。
「良いじゃん健康安全委員会。体育祭とか好きにやれるよ」
「そういう問題じゃない。つーか健安ってそれだけじゃねぇし、給食関係とか細かいのあるし」
「そこは寛容な心で受け入れろ」
「なんで何気に命令口調なんだよ」
「良いってことよ」
「お前日本人だよな?日本育ちの純日本人だよな?日本語が標準語だよな?」
本当にこいつはツッコミが鋭すぎて鬱陶しい。
だーかーら、と前のめりになる私。
「器ちっさいからモテないんだよ?委員長になったらわぁ遼くん大胆だわぁカッコいいってモテるよ、彼氏にしたい男1位だよ」
「すんごい適当なこと真顔で言うなし」
「もー良いじゃん面倒くさいな、私が頭下げてんだよ?」
「さっきから真顔で真っ正面から命令口調のやつが何言ってんだ」
「はーめんどいわ…」
「なんでそんなに必死なんだよ」
私がため息をつくと、遼は怪訝そうな顔をして軽く首を傾げた。
「………まどかに頼まれたからに決まってるでしょ」
私の答えを無視して唸ると、あ、と手を打つ。
「お前俺のこと自分の為に差し出そうとしてね?」
「は?なに、何を言ってんの?幼馴染の男子差し出すとかマジありえないっしょ」
「そんなに目泳がして何言ってんだ」
疲れ切った顔で言う遼。
「だってしょうがないじゃん!私が委員長と勘弁だし、断ったらかわりに2人差し出さないと強制立候補なとか脅してくるし!あの悪魔許せないわ…」
「まさかの逆ギレ?そもそもそれを俺に言うな」
恨みがましく言う私に向かって、呆れたように言いながら溜息を吐く遼。
思案げな表情に変わった彼に向かって、やけくそで説得を再開する。
「ともかくやる!ほら委員長になったら他の委員長とか執行部とかと関わるから、まどかとか亜美とか美少女と関わる機会増えるよ。そして何かの間違えが起きたらモテるかもしれないし」
そういうと即座に否定せず、うーんと何やら考え込む遼。
…これは、結構効いた感じか?
「お前さ、2人目の当てあんの?1人じゃ結局お前委員長じゃん」
期待の目で見つめる私に向かって見当違いな質問をしてくる。
何が、と聞き返すと生贄、と返された。
「人聞き悪いこと言わないでよ、身代金だよ」
「人を人とも思わない人間の血が通ってない化け物だな。つーかはよ質問答えろ」
「無いよ!全く無いよ!そうだけどでも探すから一旦お前はなっとけ生贄第1号!」
「お前実は先祖悪魔だろ?」
真顔で何か言っている遼を無視して、私はもう一度両手を机に勢いよくつけてぐっと顔を近づけたそしてぎょっとしている顔にビシッと指を突きつける。
「いいから、やれ!」
すると彼は私の圧に負けたのか知らないが、
「…まぁ、別にいいけど」
とボソッと言うと渋々頷いた。
心の中で全力でガッツポーズする私。
取り敢えず1人確保っと。
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