杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

第2章 拠点開発

第49話 神の御使い

「神の御使い……ねえ。この大蛇が？」

「シュー？」

「はい。昔、それこそ我らの先祖がこの地に住み着くほど前の事です。先祖がこの地の生態系に淘汰されそうな時に大蛇様が現れ、先祖がこの地で生きていけるよう助けて下さったと聞き伝わっています。」

「「優しいね！えらいえらい！」」

「シュー」

　ゾンとルアを背中に乗せ、今撫でられて喜んでるこいつが本当に神の御使い？まあ双頭で全身が白い大蛇なんて滅多にいないだろうし、助けられたっていうのも相まってそんな大袈裟な名前が付いたのかもしれない。大蛇からしてみればそこに助けるつもりがあったのか、もしくは気まぐれだったのかは分からないが本人たちが上手く関係性を気付けているのならそれで良いか。

「それにしても貴方たちの先祖も元からこの地に住んでいた訳では無いのか。元はどこから来たんだ？それなりに勉強して来たつもりではあるが貴方たちほど背が大きい種族など聞いたこともないが。」

「元がどこに住んでいたのかは分かりません。ただ元から人数が多い訳でもなかったのでひっそりと暮らしていたそうです。そこに戦争の戦力として他種族から力を利用されそうになったそうです。このままでは争いに巻き込まれると、争いが嫌いな先祖たちはこの地に移住する事を決めたと聞いております。」

「なるほどな。確かに貴方たちを戦力として利用したがる国はあっただろうな。だがそんな貴方たちでもこの地の生物は荷が重かった訳か。」

「ええ、先の件もありますし正直今でも安全に過ごせているとは言えませんが。あなた様方もあちらの方向に住んでいるとおっしゃっていましたが、この地の生物は脅威では無いのですか？」

「ああ、この森に来た6年ほど前は死にかけたが今は特に脅威となる魔物はいないな。」

「なんと、いやはや見た目で判断出来ない力をお持ちのようですね。」

「この一帯の魔物よりテンの方が強いからな。」

「キュキュイ！」

　僕の言葉に気分をよくしたテンが自慢気に胸をはっているのを見て思わず頬が緩んでしまう。

「それほどの力をお持ちとは……」

　この方たちなら我らが歯が立たなかったあの魔物も討伐出来るのでは？……いや、我らとは無関係な者を巻き込む訳にはいかぬか。

「あなた達が襲われたという魔物、良ければ僕たちが討伐しましょうか？」

「良いのですか……？」

「ああ構わない。この大蛇は僕らの仲間でもある。そんなこいつが守って来た存在たちをみすみす見捨てることも出来ないさ。」

「ありがとうございます！なんと感謝申し上げれば。」