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第3章 身代わり
第85話 生命への冒涜
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テンの感覚を信じ慎重に進んでいく。10分ほど進んだがいまだに何も感じない。
テンの感知範囲が広いと言えど、生き物の気配に関して言えば僕とテンの感知範囲はそこまで変わらない。
ここまで進んでも僕の感知範囲に入らず、しかしテンの様子は進むごとに険しくなっていく。
今までに無かった様子のテンに僕自身この先に待ち構えている何かに全く見当のつかない。張り詰めた緊張のまま進んでいく。
「うっ」
「なにこれー?」
「気持ち悪い空気。」
テンが感じていたのはこれか。何かが視界に入った訳でもない、何かが匂ってきた訳でもない。ただ自分の肌に降りかかってくる空気感が重く伝わり生物として拒否反応を起こすかのような嫌悪感をもたらす。
なんとも気持ちの悪い空気が前方から漂ってくる。本能的に進むことを拒否したくなるが、なんとかそれを理性で抑え込み進んでいく。後ろにいるゾンとルアも不安を感じたのか僕の服を掴む。
進むごとに嫌悪感の増していく空気に耐える。そして周囲に樹がなく開けた場所、そこにあるものを見つけて今までに感じたことのないほどの嫌悪感を、吐き気をもよおした。
ゾンとルアは僕の服を掴む手がさらに強まるが特段様子が変わった様子はない。テンもそうだ。
ただ命の光が見える僕にはどうしてもその異常性に気持ち悪さを抱かざるを得ない。
普段僕が目にする命の光というのは、色や大小様々なれど綺麗に光り輝いている。
だが目の前にあるモノの命の光はドスグロく、光り輝くどころか周りの光を吸収するかのように真っ黒だ。
通常の生物では絶対にあり得ない命の光を放つソレに既視感を抱く。
確かあれはいつだったか…そうだ、テンが進化し3尾になった時に得られた能力を試した時のことだ。
新しく得られた能力を近くの岩へと放ってみたものの、攻撃性は見られず狩りの時に試したのだ。獲物へと放った魔法はやはり直接的な被害を与える事はなく、そもそも相手を攻撃するための魔法ではなく回復魔法のような系統かと思った時だった。
魔法を放った魔物が急に暴れ出したのだ。眼を血走らせ、涎を撒き散らしながら手当たり次第に周りの樹々へと体当たりをする。そして僕たちを視界に入れた途端怒り狂ったように突進してきたのだ。
本来その魔物は臆病な性格をしており、こちらを視界に入れたとてすぐに襲いかかってくることなどない。
当時はこのままにするのはまずいとすぐに魔物を倒したが、一瞬見えた命の光は通常と違っていたのを覚えている。
その魔法は確証は持てなかったが、呪術師たちが扱う呪いと言われている魔法とにていた。テンがどうして呪いの能力を手に入れたのかは分からなかったがそれ以降はその魔法を扱うことを禁止としたのだった。
あの魔法はとても生物に使っていい魔法ではない。あれはまさに生命への冒涜だった。
そんな呪いがどうしてこんな所に…?
テンの感知範囲が広いと言えど、生き物の気配に関して言えば僕とテンの感知範囲はそこまで変わらない。
ここまで進んでも僕の感知範囲に入らず、しかしテンの様子は進むごとに険しくなっていく。
今までに無かった様子のテンに僕自身この先に待ち構えている何かに全く見当のつかない。張り詰めた緊張のまま進んでいく。
「うっ」
「なにこれー?」
「気持ち悪い空気。」
テンが感じていたのはこれか。何かが視界に入った訳でもない、何かが匂ってきた訳でもない。ただ自分の肌に降りかかってくる空気感が重く伝わり生物として拒否反応を起こすかのような嫌悪感をもたらす。
なんとも気持ちの悪い空気が前方から漂ってくる。本能的に進むことを拒否したくなるが、なんとかそれを理性で抑え込み進んでいく。後ろにいるゾンとルアも不安を感じたのか僕の服を掴む。
進むごとに嫌悪感の増していく空気に耐える。そして周囲に樹がなく開けた場所、そこにあるものを見つけて今までに感じたことのないほどの嫌悪感を、吐き気をもよおした。
ゾンとルアは僕の服を掴む手がさらに強まるが特段様子が変わった様子はない。テンもそうだ。
ただ命の光が見える僕にはどうしてもその異常性に気持ち悪さを抱かざるを得ない。
普段僕が目にする命の光というのは、色や大小様々なれど綺麗に光り輝いている。
だが目の前にあるモノの命の光はドスグロく、光り輝くどころか周りの光を吸収するかのように真っ黒だ。
通常の生物では絶対にあり得ない命の光を放つソレに既視感を抱く。
確かあれはいつだったか…そうだ、テンが進化し3尾になった時に得られた能力を試した時のことだ。
新しく得られた能力を近くの岩へと放ってみたものの、攻撃性は見られず狩りの時に試したのだ。獲物へと放った魔法はやはり直接的な被害を与える事はなく、そもそも相手を攻撃するための魔法ではなく回復魔法のような系統かと思った時だった。
魔法を放った魔物が急に暴れ出したのだ。眼を血走らせ、涎を撒き散らしながら手当たり次第に周りの樹々へと体当たりをする。そして僕たちを視界に入れた途端怒り狂ったように突進してきたのだ。
本来その魔物は臆病な性格をしており、こちらを視界に入れたとてすぐに襲いかかってくることなどない。
当時はこのままにするのはまずいとすぐに魔物を倒したが、一瞬見えた命の光は通常と違っていたのを覚えている。
その魔法は確証は持てなかったが、呪術師たちが扱う呪いと言われている魔法とにていた。テンがどうして呪いの能力を手に入れたのかは分からなかったがそれ以降はその魔法を扱うことを禁止としたのだった。
あの魔法はとても生物に使っていい魔法ではない。あれはまさに生命への冒涜だった。
そんな呪いがどうしてこんな所に…?
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