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第23話 命無き命
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「つまり、どういうことだ?」
『ハイ。ますたークリューはワタシのますたートシテ登録ガ完了シマシタ。ナンナリトゴ命令ヲ』
「…………全く分からん」
青い髪と、金色の瞳。汚れているが、白い肌と白いワンピース。服だけはボロボロで使い物にならなかった為、クリューの上着を借りている。
サスリカ、と名乗った人形の少女。彼女はクリューにべったりと『付きまとって』いた。
「お前は一体何なんだ?」
『ハイ。家庭版汎用防衛しすてむデス』
「それが何か分からん」
『ツマリハますたーの「オ手伝イ」ヲシマス。ナンナリトゴ命令ヲ』
「聞き取りにくいからもっと流暢に喋ってくれ」
『……努力、しマス』
傍から見れば、女の子に妙に懐かれてしまった男である。取り敢えず来た道を戻りながら、後ろを歩くオルヴァリオがリディへ耳打ちする。
「……ありゃなんだ? どうなってる」
「あたしだって分かんないわよ。ますたー、とか言ってたから、ご主人様なんでしょ」
「何のだよ」
「知らないわよだから。ねえクリュー!」
リディが前方のクリューへと声を掛ける。
「その子、あたしが見付けたんだからね! 独占は駄目よ!」
「いや、そんなつもりは一切無いんだがな」
『リディ様と、オルヴァリオ様。ますたーノゴ友人デス』
「そうだが……。いやそれよりお前のことだ。本当に機械なのか?」
サスリカは基本的ににこにことしている。そうプログラムされているのだろうが、クリュー達には分からない。
『ハイ。ワタシはますたーのお手伝いヲスルタメに作られマシタ。時代が移り変わっテモ、その使命は変わりマセン』
「……徐々に流暢になってきてるな……」
恐らくマスターというのは、その人間の血液を摂取することで登録するのだろう。今はクリューがマスターになってしまっている。
「この遺跡には、お前だけなのか?」
『……遺跡、デスカ』
「ああ。家だったかは知らんが、この時代では遺跡として扱われてる。何せ1万年前だからな」
『…………』
サスリカから、キューンという機械音がする。この音の時は何かの処理中、つまり考えている最中であるらしい。
『……ワタシはこんな場所を知りマセン。恐らくワタシがシャットダウンしてから、運び込まれたノデショウ』
「そうなのか」
『当時のますたーの最後の命令も遂行デキナイまま。……サスリカはぽんこつデス』
笑っているかと思えば、今度は目を俯かせてしょんぼりと項垂れた。これが機械であるならばどれだけ精巧に、人間に似せたのだとクリューは恐ろしく思う。
「どんな命令だったんだ」
『ますたーの、お子様をお守りするトイウ命令でシタ。……どうなったのかは分カリマセンが、今とナッテハもう、誰も彼も亡くなってしまっているでしょう』
「…………そうか」
『ますたー。今度は頑張りマスノデ。サスリカを棄てないでクダサイ』
「……」
今度は目を潤ませて、懇願するような表情を見せた。本当に棄てられたくないと思っているかのような表情を。
「……よく分からんが、仲間が増えることはありがたい。お前からは色々と訊きたいこともあるしな」
思わず頭を撫でてしまった。
機械人形である筈なのに。
『ますたー……』
「……だとさ。これは売れないんじゃないか? リディ」
「むっ」
少女そのものである。まさか命の無い人形だとは思えない。そうだと知っていたとしても。クリュー達の目にはサスリカは、ちょっと変な女の子として映っている。
『う。売るのですか。ワタシを』
「…………そうね」
怖がる素振りを見せるサスリカの側へ、リディもやってきて。
同じように頭を撫でた。
「買うわよ? あたしなら。あんたから」
「……100億だ」
『ヒエッ』
「あははっ。冗談だったら。ていうか別に誰の所有物でも無いわよ。生きてるんだから」
生きてる。
『ロボット』という概念の無い彼らからすれば、このサスリカはそう表現して間違いではない。これはもうひとつの命として扱うべきものだと。
『ハイ。ますたークリューはワタシのますたートシテ登録ガ完了シマシタ。ナンナリトゴ命令ヲ』
「…………全く分からん」
青い髪と、金色の瞳。汚れているが、白い肌と白いワンピース。服だけはボロボロで使い物にならなかった為、クリューの上着を借りている。
サスリカ、と名乗った人形の少女。彼女はクリューにべったりと『付きまとって』いた。
「お前は一体何なんだ?」
『ハイ。家庭版汎用防衛しすてむデス』
「それが何か分からん」
『ツマリハますたーの「オ手伝イ」ヲシマス。ナンナリトゴ命令ヲ』
「聞き取りにくいからもっと流暢に喋ってくれ」
『……努力、しマス』
傍から見れば、女の子に妙に懐かれてしまった男である。取り敢えず来た道を戻りながら、後ろを歩くオルヴァリオがリディへ耳打ちする。
「……ありゃなんだ? どうなってる」
「あたしだって分かんないわよ。ますたー、とか言ってたから、ご主人様なんでしょ」
「何のだよ」
「知らないわよだから。ねえクリュー!」
リディが前方のクリューへと声を掛ける。
「その子、あたしが見付けたんだからね! 独占は駄目よ!」
「いや、そんなつもりは一切無いんだがな」
『リディ様と、オルヴァリオ様。ますたーノゴ友人デス』
「そうだが……。いやそれよりお前のことだ。本当に機械なのか?」
サスリカは基本的ににこにことしている。そうプログラムされているのだろうが、クリュー達には分からない。
『ハイ。ワタシはますたーのお手伝いヲスルタメに作られマシタ。時代が移り変わっテモ、その使命は変わりマセン』
「……徐々に流暢になってきてるな……」
恐らくマスターというのは、その人間の血液を摂取することで登録するのだろう。今はクリューがマスターになってしまっている。
「この遺跡には、お前だけなのか?」
『……遺跡、デスカ』
「ああ。家だったかは知らんが、この時代では遺跡として扱われてる。何せ1万年前だからな」
『…………』
サスリカから、キューンという機械音がする。この音の時は何かの処理中、つまり考えている最中であるらしい。
『……ワタシはこんな場所を知りマセン。恐らくワタシがシャットダウンしてから、運び込まれたノデショウ』
「そうなのか」
『当時のますたーの最後の命令も遂行デキナイまま。……サスリカはぽんこつデス』
笑っているかと思えば、今度は目を俯かせてしょんぼりと項垂れた。これが機械であるならばどれだけ精巧に、人間に似せたのだとクリューは恐ろしく思う。
「どんな命令だったんだ」
『ますたーの、お子様をお守りするトイウ命令でシタ。……どうなったのかは分カリマセンが、今とナッテハもう、誰も彼も亡くなってしまっているでしょう』
「…………そうか」
『ますたー。今度は頑張りマスノデ。サスリカを棄てないでクダサイ』
「……」
今度は目を潤ませて、懇願するような表情を見せた。本当に棄てられたくないと思っているかのような表情を。
「……よく分からんが、仲間が増えることはありがたい。お前からは色々と訊きたいこともあるしな」
思わず頭を撫でてしまった。
機械人形である筈なのに。
『ますたー……』
「……だとさ。これは売れないんじゃないか? リディ」
「むっ」
少女そのものである。まさか命の無い人形だとは思えない。そうだと知っていたとしても。クリュー達の目にはサスリカは、ちょっと変な女の子として映っている。
『う。売るのですか。ワタシを』
「…………そうね」
怖がる素振りを見せるサスリカの側へ、リディもやってきて。
同じように頭を撫でた。
「買うわよ? あたしなら。あんたから」
「……100億だ」
『ヒエッ』
「あははっ。冗談だったら。ていうか別に誰の所有物でも無いわよ。生きてるんだから」
生きてる。
『ロボット』という概念の無い彼らからすれば、このサスリカはそう表現して間違いではない。これはもうひとつの命として扱うべきものだと。
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