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第27話 盗難事件
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「は? なんだって?」
美術館は立ち入り禁止となっており、大勢の警察官が居た。一般人は入れない。何か事件があったのだろうか。オルヴァリオが、新聞を買ってくる。
「だから、盗まれたんだよ」
「何をだ?」
「『グレイシア』だよ」
「はぁ!?」
一面にデカデカと、それが記されていた。『氷漬けの美女』——通称『グレイシア』が、夜間に美術館に侵入した何者かによって盗難されたと。
つい昨晩の出来事であった。
「なんだと……! 誰にだ!」
「知らねえよ。まだ分かってねえんだと」
「…………!!」
オルヴァリオも驚くくらい、クリューは激怒していた。やっと、解かせるかもしれなかったのだ。100億は、置いておいても。
「……そもそもなんで今盗まれるのよ。『グレイシア』が話題になったのって10年前でしょ? そりゃ、この都市の人達からしたらシンボルだけどさ。普通の人はもう興味失せてるわよね」
「許さん」
「えっ。クリュー?」
クリューは美術館へと歩を進め始めた。何をするつもりなのか。
「おい。行ってどうするんだよ。俺達は部外者どころか、外国人だぞ。下手をしたら怪しまれるだろ」
「許さん」
「いや聞けって」
そこへ。
近付いていくと、別の喧騒が聞こえてきた。入口の辺りで、口論している男性が数人居た。
「おいふざけんなよ! 警備は! セキュリティは万全じゃなかったのかよ!」
「そう申し上げております。ですから、あの警備を掻い潜った犯人が異常なのです」
「んなもん言い訳だろうが! 俺は! お前達が『飾りたい』『研究したい』と言うから! 『絶対に安全だ』と言うから置いてやったんだ! 俺の! 『俺のグレイシア』だぞ! どう責任を取るつもりだ馬鹿野郎!」
スーツを着て、恐らく美術館関係者であろう小太りの男性と。物凄い勢いで捲し立てる赤髪の男性。彼は身の丈ほどの大剣を背負っており、服装はトレジャーハンターのものだった。
「あいつ、なんだ? 俺のグレイシアとか言ってるけど」
「……あんた、知らないの?」
「え」
リディは知っている。自国ルクシルアの『英雄』だからだ。トレジャーハンター好きのオルヴァリオが知らなかったのは、ルクシルア以外では有名では無いからだ。
「あの人が『グレイシア』の発見者。ルクシルア最高のトレジャーハンター『エフィリス』よ。人呼んで——」
「!」
クリューはその目に焼き付けた。『彼』が、所有者だ。『彼』から買うのだ。『彼』から、手に入れるのだ。
燃えるように揺れる、赤い髪。
「『炎のエフィリス』」
「…………なるほど」
「えっ?」
リディは、慌てて振り向いた。クリューが居なくなっている。否。
説明を聞いた直後に。彼はエフィリスの所へと向かっていた。
「あいつ何を!?」
「馬鹿クリュー……!」
ふたりも追うが遅い。クリューは既にエフィリスに接近している。
「100億。それが貴方の提示した額だ」
「はあ?」
もう話し掛けた。エフィリスはぐるりと首を回して、クリューを睨み付けた。
「なんだお前」
「俺が、『氷漬けの美女』を買う。その宣言をしておかなければ」
「……お前が犯人が?」
「違う。俺も腹を立てている。地の果てまで追い詰めてやるつもりだ」
「ああ?」
エフィリスは、見た目30代前半ほどの男性だ。若い頃よりハンターをしていたならベテランだろう。10年前にバルセスの遺跡で『氷漬けの美女』を発見したのだ。とは言えまだ若い。英雄に相応しい現役のトレジャーハンター。
「館長! 警察の人が呼んでます! 手掛かりが見付かったとか!」
「!」
ふたりが睨み合っていると、館内から職員がやってきた。居心地が悪くなっていた小太りの館長は助け船が来たとばかりにそそくさと中へ向かう。
「で、では私はこれで……」
「待て館長。犯人の手掛かりが見付かったなら俺にも教えろ。盗まれたのは『俺の』トレジャーだぞ。じゃあなクソガキ」
「いや、俺も行く。犯人は必ず捕まえる」
「いやお前部外者だろうが」
「ウチにはサスリカがいる」
「はあ?」
『ハイ』
呼ぶと、既にサスリカはクリューの隣に立っていた。オルヴァリオとリディもやってくる。
『ワタシは「氷」を解かす技術を知っています』
「!!」
美術館は立ち入り禁止となっており、大勢の警察官が居た。一般人は入れない。何か事件があったのだろうか。オルヴァリオが、新聞を買ってくる。
「だから、盗まれたんだよ」
「何をだ?」
「『グレイシア』だよ」
「はぁ!?」
一面にデカデカと、それが記されていた。『氷漬けの美女』——通称『グレイシア』が、夜間に美術館に侵入した何者かによって盗難されたと。
つい昨晩の出来事であった。
「なんだと……! 誰にだ!」
「知らねえよ。まだ分かってねえんだと」
「…………!!」
オルヴァリオも驚くくらい、クリューは激怒していた。やっと、解かせるかもしれなかったのだ。100億は、置いておいても。
「……そもそもなんで今盗まれるのよ。『グレイシア』が話題になったのって10年前でしょ? そりゃ、この都市の人達からしたらシンボルだけどさ。普通の人はもう興味失せてるわよね」
「許さん」
「えっ。クリュー?」
クリューは美術館へと歩を進め始めた。何をするつもりなのか。
「おい。行ってどうするんだよ。俺達は部外者どころか、外国人だぞ。下手をしたら怪しまれるだろ」
「許さん」
「いや聞けって」
そこへ。
近付いていくと、別の喧騒が聞こえてきた。入口の辺りで、口論している男性が数人居た。
「おいふざけんなよ! 警備は! セキュリティは万全じゃなかったのかよ!」
「そう申し上げております。ですから、あの警備を掻い潜った犯人が異常なのです」
「んなもん言い訳だろうが! 俺は! お前達が『飾りたい』『研究したい』と言うから! 『絶対に安全だ』と言うから置いてやったんだ! 俺の! 『俺のグレイシア』だぞ! どう責任を取るつもりだ馬鹿野郎!」
スーツを着て、恐らく美術館関係者であろう小太りの男性と。物凄い勢いで捲し立てる赤髪の男性。彼は身の丈ほどの大剣を背負っており、服装はトレジャーハンターのものだった。
「あいつ、なんだ? 俺のグレイシアとか言ってるけど」
「……あんた、知らないの?」
「え」
リディは知っている。自国ルクシルアの『英雄』だからだ。トレジャーハンター好きのオルヴァリオが知らなかったのは、ルクシルア以外では有名では無いからだ。
「あの人が『グレイシア』の発見者。ルクシルア最高のトレジャーハンター『エフィリス』よ。人呼んで——」
「!」
クリューはその目に焼き付けた。『彼』が、所有者だ。『彼』から買うのだ。『彼』から、手に入れるのだ。
燃えるように揺れる、赤い髪。
「『炎のエフィリス』」
「…………なるほど」
「えっ?」
リディは、慌てて振り向いた。クリューが居なくなっている。否。
説明を聞いた直後に。彼はエフィリスの所へと向かっていた。
「あいつ何を!?」
「馬鹿クリュー……!」
ふたりも追うが遅い。クリューは既にエフィリスに接近している。
「100億。それが貴方の提示した額だ」
「はあ?」
もう話し掛けた。エフィリスはぐるりと首を回して、クリューを睨み付けた。
「なんだお前」
「俺が、『氷漬けの美女』を買う。その宣言をしておかなければ」
「……お前が犯人が?」
「違う。俺も腹を立てている。地の果てまで追い詰めてやるつもりだ」
「ああ?」
エフィリスは、見た目30代前半ほどの男性だ。若い頃よりハンターをしていたならベテランだろう。10年前にバルセスの遺跡で『氷漬けの美女』を発見したのだ。とは言えまだ若い。英雄に相応しい現役のトレジャーハンター。
「館長! 警察の人が呼んでます! 手掛かりが見付かったとか!」
「!」
ふたりが睨み合っていると、館内から職員がやってきた。居心地が悪くなっていた小太りの館長は助け船が来たとばかりにそそくさと中へ向かう。
「で、では私はこれで……」
「待て館長。犯人の手掛かりが見付かったなら俺にも教えろ。盗まれたのは『俺の』トレジャーだぞ。じゃあなクソガキ」
「いや、俺も行く。犯人は必ず捕まえる」
「いやお前部外者だろうが」
「ウチにはサスリカがいる」
「はあ?」
『ハイ』
呼ぶと、既にサスリカはクリューの隣に立っていた。オルヴァリオとリディもやってくる。
『ワタシは「氷」を解かす技術を知っています』
「!!」
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