72 / 99
第72話 ネヴァン武僧兵長
しおりを挟む
古代都市。遺跡である。いくら高度な文明であったとしても、1万年も保存状態良く保てていることは無い。古代人達は、建築の際に1万年後のことなど見据えていなかったからだ。
オルヴァリオ・ギドーの父親である現ネヴァン商会指導者のグロリオ・ギドーがこの場所に辿り着いたのは、30年前である。
彼らはずっと、機会を窺っていた。教祖であるカナタ・ギドーの宿願を果たす機会を。
『氷漬けの美女』が発見された10年前から、虎視眈々と狙っていた。ルクシルアに近いラビアに家を移し、計画を練っていた。ラビア王国に居を構えながらゴルザダ平原へ頻繁に向かっていた為に家になかなか寄り付かず、子オルヴァリオとの確執はそこで生まれた。
「……その『氷漬けの美女』と『オルヴァリオ坊っちゃん』の合の子が、次代のネヴァンを導く『御子』となる訳かァ」
「そうだ。古代文明を再興し、そこの頂点に君臨する。世界はより良く発展し、我々はそこで高い地位を得る訳だ」
「ふーふふん♪ 良ーわね! この戦争さえ勝てばもう人を殺さなくて良いし、平ーわな世界で贅ーたくできる♫」
彼らは遺跡を改修し、都市に生まれ変わらせた。現代人が居住できるようにし、ネヴァン信者を入植させた。そこでは労働も最低限で食糧に困らず、特級トレジャーの力で現世界最高の暮らしを与えられた。信者はさらにネヴァンを信仰するようになり、加えてグロリオの持つトレジャーの能力で、『何でも言うことを聞くようになった』。
信者の中から精鋭を選び、訓練を施し、強力な武器になるトレジャーを与えて。
その中で最も強力な兵士を3人、都市の警備に当たらせていた。
『ネヴァン武僧』兵長の3人。男性ふたりに、女性ひとり。
「で、『氷漬けの美女』の解凍にはあの人型古代遺物の力が必要で、起動させるのにァ『クリュー・スタルース』が必要だと」
「ふふーん♪ そいつを坊っちゃんが今から連れてくるのよね!」
「ああ。グロリオ様によれば——」
3人は、都市の中心部にある巨大な黄金で建てられた城の中に居る。窓から、昇降機の入口が見える。
「ご報告します!」
「?」
その部屋に、武僧がひとり入ってきた。
「昇降機の無認可稼働を確認! 下からの定期連絡も途絶えています! 侵入者の可能性が!」
「——グロリオ様によれば、『お仲間』全員で来るらしい。『クリュー・スタルース』以外は」
「殺して良し♫ でしょ!」
「ふっ。違うな」
窓から外を見れば、確かに昇降機が動いている。今は夜だが、この都市は現代にはまだ発明されていない『電気』が使われており、夜でも活動でき、遠くも見える。つまり作戦として『奇襲』は、サーガが思うほどの成果は見込めなかった。
「必ず殺せ、だ」
「良ーね! 了ーかい♪」
情報の不足。ネヴァン商会が持つトレジャー全ては、オルヴァリオも把握していない。信者でないオルヴァリオに、グロリオはそこまで情報を与えていない。これまで30年間、ネヴァン商会が誰にも見付からずに活動できていたのは、圧倒的な『情報力』があったからだ。オルヴァリオが裏切り、『炎のエフィリス』の側に付いたことなど既に筒抜けである。否、『裏切ること』は予測されていた。
「武僧兵長『黄金水のリシス』」
「『電光のビェルマ』」
「『海割りのミェシィ』」
3人は立ち上がる。それぞれの持つ『特級トレジャー』を手に、部屋から出た。
「やり方はお任せかァ?」
「そうだ。速攻で潰しても良いし、遊んでも良い。まあ、油断して負けるようなら死刑だがな」
「あはーは♪ そーんなお馬鹿、居ないっしょ♫ 武僧のキミ、一般信者はしっかりお家に入れて、出ないようにしてね♫」
「かしこまりました!」
「危ないからね♪」
オルヴァリオ・ギドーの父親である現ネヴァン商会指導者のグロリオ・ギドーがこの場所に辿り着いたのは、30年前である。
彼らはずっと、機会を窺っていた。教祖であるカナタ・ギドーの宿願を果たす機会を。
『氷漬けの美女』が発見された10年前から、虎視眈々と狙っていた。ルクシルアに近いラビアに家を移し、計画を練っていた。ラビア王国に居を構えながらゴルザダ平原へ頻繁に向かっていた為に家になかなか寄り付かず、子オルヴァリオとの確執はそこで生まれた。
「……その『氷漬けの美女』と『オルヴァリオ坊っちゃん』の合の子が、次代のネヴァンを導く『御子』となる訳かァ」
「そうだ。古代文明を再興し、そこの頂点に君臨する。世界はより良く発展し、我々はそこで高い地位を得る訳だ」
「ふーふふん♪ 良ーわね! この戦争さえ勝てばもう人を殺さなくて良いし、平ーわな世界で贅ーたくできる♫」
彼らは遺跡を改修し、都市に生まれ変わらせた。現代人が居住できるようにし、ネヴァン信者を入植させた。そこでは労働も最低限で食糧に困らず、特級トレジャーの力で現世界最高の暮らしを与えられた。信者はさらにネヴァンを信仰するようになり、加えてグロリオの持つトレジャーの能力で、『何でも言うことを聞くようになった』。
信者の中から精鋭を選び、訓練を施し、強力な武器になるトレジャーを与えて。
その中で最も強力な兵士を3人、都市の警備に当たらせていた。
『ネヴァン武僧』兵長の3人。男性ふたりに、女性ひとり。
「で、『氷漬けの美女』の解凍にはあの人型古代遺物の力が必要で、起動させるのにァ『クリュー・スタルース』が必要だと」
「ふふーん♪ そいつを坊っちゃんが今から連れてくるのよね!」
「ああ。グロリオ様によれば——」
3人は、都市の中心部にある巨大な黄金で建てられた城の中に居る。窓から、昇降機の入口が見える。
「ご報告します!」
「?」
その部屋に、武僧がひとり入ってきた。
「昇降機の無認可稼働を確認! 下からの定期連絡も途絶えています! 侵入者の可能性が!」
「——グロリオ様によれば、『お仲間』全員で来るらしい。『クリュー・スタルース』以外は」
「殺して良し♫ でしょ!」
「ふっ。違うな」
窓から外を見れば、確かに昇降機が動いている。今は夜だが、この都市は現代にはまだ発明されていない『電気』が使われており、夜でも活動でき、遠くも見える。つまり作戦として『奇襲』は、サーガが思うほどの成果は見込めなかった。
「必ず殺せ、だ」
「良ーね! 了ーかい♪」
情報の不足。ネヴァン商会が持つトレジャー全ては、オルヴァリオも把握していない。信者でないオルヴァリオに、グロリオはそこまで情報を与えていない。これまで30年間、ネヴァン商会が誰にも見付からずに活動できていたのは、圧倒的な『情報力』があったからだ。オルヴァリオが裏切り、『炎のエフィリス』の側に付いたことなど既に筒抜けである。否、『裏切ること』は予測されていた。
「武僧兵長『黄金水のリシス』」
「『電光のビェルマ』」
「『海割りのミェシィ』」
3人は立ち上がる。それぞれの持つ『特級トレジャー』を手に、部屋から出た。
「やり方はお任せかァ?」
「そうだ。速攻で潰しても良いし、遊んでも良い。まあ、油断して負けるようなら死刑だがな」
「あはーは♪ そーんなお馬鹿、居ないっしょ♫ 武僧のキミ、一般信者はしっかりお家に入れて、出ないようにしてね♫」
「かしこまりました!」
「危ないからね♪」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
氷結の夜明けの果て (R16)
ウルフィー-UG6
ファンタジー
Edge of the Frozen Dawn(エッジ・オブ・ザ・フローズン・ドーン)
よくある異世界転生?
使い古されたテンプレート?
――そうかもしれない。
だが、これはダークファンタジーだ。
恐怖とは、姿を見せた瞬間よりも――
まだ見えぬまま、静かに忍び寄るもの。
穏やかな始まり。ほのかな優しさ。
だが、石の下には、眠る獣がいるかもしれない。
その時が来れば、闇は牙を剥く。
あらすじ
失われた魂――影に見つめられながら。
だが、英雄とは……本当に常に“光”のために戦う者なのか?
異国の大地で、記憶のないまま、見知らぬ身体で目を覚ます。
生き延びようとする本能だけが、彼を前へと突き動かす。
――英雄か、災厄か。それを分けるのは、ただ一つの選択。
冷たく、謎めいた女戦士アリニアと共に、
彼は武器を鍛え、輝く都市を訪れ、古の森を抜け、忘れられた遺跡へと踏み込んでいく。
だが、栄光へと近づく一歩ごとに、
痛みが、迷いが、そして見えない傷が刻まれていく。
光の道を歩んでいるかのように見えて――
その背後で、影は静かに育ち続けていた。
――これは、力と希望、そして自ら築き上げる運命の物語。
🔹 広大で容赦のない世界が、挑む者を待ち受ける。
🔹 試練と沈黙の中で絆を深めていく、二人の仲間。
🔹 「居場所」を探す旅路の果てに待つものとは――。
ヴェイルは進む。
その選択はやがて、一つの伝説を生み出すだろう。
それが光か、闇か。――決めるのは、あなた自身だ。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる