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第1話
しおりを挟む彼女と喧嘩をした
これで何度目だろう
結婚を見据えたうえで
彼女と同居を始めたのだが
気がつくと
些細な事で、お互いぶつかり合い
時には、けなし合い
時には、憎み合って…
他人同士が、ひとつ屋根の下で暮らすのだから
お互いを理解する為に、喧嘩をするのは当たり前だと
人は言うけれど…
僕は介護士である
彼女も介護士で
同じ小さな介護施設で働いている
僕達は、その施設で出会いました
この施設は
足が不自由な人、耳が遠い人、認知症の人
どこも悪くないのに、面倒を見れないからという理由で、大人達(息子、娘)が施設に預ける人など
いろいろな理由で預ける人がいます
本来なら
家族が面倒をみるのが、その人(老父母)にとって望ましい事なのだが
時代は移り変わりました…
灰色の、もくもくと染まった雲から
優しい小雨達が舞い落ちてます
小雨は、紫陽花(あじさい)の大きな手の上から
まるで、子供達がウォータースライダーから
楽しそうに滑り落ちるように流れては
それがいつしか、小さな水滴の塊になって
重力の力に引き寄せられ
逆らう事もせず
葉脈(はみゃく)に沿って、着地点へと
つるんっ
と、楽しそうに落ちてます
ピチョン
玄関先で
足にちゃんとフィットさせるために
水色のNIKEのウォーキングシューズに
蛍光色の黄色の紐を器用に結び直して
キュッ
喧嘩の真っ最中なので
小声で
『行ってきます』
そう言って、玄関のドアを静かに開けて
雨に濡れないよう
水色の傘を開き
静かに、職場へと向かった
バタンッ
今日は、新しい人を向かい入れる大切な日
82歳の男性で
身内の人が、面倒を見れなくなったからという理由で入ってくる
その他にも、足がだいぶ弱っているので
車椅子を利用しないといけないという
なので、一番力のある
若手の僕(施設の中では一番若いという意味)が、担当する事になった
中学、高校とサッカーをやっていたので
体力には自信がある
いまだに毎朝、5キロのランニングを欠かさず行っている
でも、今日は生憎の天気
濡れてもいいように、防水加工されたウィンドブレーカーを着て
ランニングに出掛けようとした時に
喧嘩が始まってしまったのだ
『雨の日くらい、ゆっくりできないの?』
彼女の、この言葉が
喧嘩の原因でした
つづく
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