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卯島希という女。
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平成も終わる昨今の世の中。
自分の生きる意味を理解して、
目標を持ち、自らの生に価値を
見出だせる若者が、
果たしてどれだけいるだろう。
ただ漠然と勉学に興じ、
ただ漠然と友人と過ごし、
そしてただ漠然と、生を謳歌する。
「…これって死んでるのと
何か違いがあるのかねぇ?」
そんな良く言えば哲学的な、
悪く言えばただの中二病のような
自問自答を繰り返すこと数年。
日頃からそんなひねくれた事ばかり
考えているうちに、私もずいんぶんと
ひねくれた女子高生になってしまった。
私こと、『卯島 希』は
有り体に言ってしまえば退屈している。
たかだか女子高生ごときが人生に
退屈など、生意気なことを。とお思いだろうが
それは仕方のないこと。
なにせ私はこの世に17年しかいないのだ。
10年、20年先に楽しいことがあるのに。
と、言われたとしても、大事なのは今だし
今退屈してしまっているのは
どうにも解決していないじゃないか。
明日は明日の風が吹く、と言うように
今日は今日の風しか吹かないのだ。
と、ここまでで私が相当の
ひねくれ者であることは
分かって頂けただろうか。
学校へ行き、勉学に励み、談笑し、
家に帰り、ご飯を食べて、風呂に浸かり、
明日の準備をして床につく。
世は事もなし、万事平凡かつ平和。
「私の人生こんなもんかぁ。」
徐々に重くなる瞼と意識が綱引きをしながら
私はポツリと願ってしまった。
そう、願ってしまったのだ。
(あぁ、神様。どうか私に充実を。)
「………どこだ、ここは。」
どうにも私は夢の中にいるらしい。
いや、確証は無いのだけれど目の前に
広がる景色がこれは夢だと語っている。
目の前にあるもの。
それは、コンビニだった。
コンビニエンスストアだけだった。
周りはなんとも説明しがたいモヤに
覆われていて何もない。
ただポツリと見馴れたコンビニだけが
眩しい光をこちらへもらしている。
「夢なんて久々に見るなぁ。
やけに意識もハッキリしてるし
なんか夢じゃないみたい。」
だけども夢としか思えない。
先程までパジャマでお布団だったのに、
目覚めれば学校の制服姿で謎過ぎる
立地にあるコンビニの前なのだ。
「とりあえず、入るしかないよなぁ。」
私はこのときの事を、恐らく死ぬまで
忘れることはないだろう。
まぁ死ぬまで、といっても。
このあとすぐ死んだんだけど。
「お邪魔しまー…ぐえっ?!
なんだ…急に左胸が……え?
………これ…血じゃ……え?え?」
突然左胸に刺さるような痛みが襲う。
追いかけるように赤く制服が染まり
私はその場に崩れ落ちた。
夢だ。これは夢のハズだ。
なのに、なのに。
痛い、痛い。痛い、痛い。痛い!!!
『っ!?オイ!待てっ!!タンマ!!!
一時休戦だっ!流れ弾が新人に当たった!』
どこからか渋い男の声が聞こえた。
でも内容が全く掴めない。
流れ弾?新人?なんのこっちゃだ。
あれ、ヤバい。
これ、夢だよね?
めちゃくちゃ、、、苦しいんだけど、、。
しかも、、めっちゃ寒い。
なんか、、視界が、、。
「コヒュー……コヒュー……」
『あちゃあ、こりゃヒデぇな。駄目だ。』
『弾が左胸をそのまま貫通してる。
どうせなら頭に当たってれば……
トラウマになってしまう前に
楽にしてあげようよ。』
……あれ…二人に増えた?
……ちょっと…待ってよ。
なにもかもが…ワケわかんないって。
まず助けようとか……してくださいよ。
楽にしてあげようよじゃなくて。
『そうだな。』
そうだなじゃねぇわ。
『じゃあなおっぱいデカイ嬢ちゃん。
次はハンドガンくらいそのおっぱいで
跳ね返せるように頑張んな。』
「……死…ね……セクハ…ゴホッ…!」
こんな状況で顔も見えない男に
セクハラを受けるとか酷すぎない?
と、そんな冷静なツッコミとは
裏腹に、意識はどんどん遠退いていく。
『じゃあな嬢ちゃん、
また明日ここで会おうぜ?』
額にひんやりとした何かが
当てられた次の瞬間、私の意識は
完全にそこで途絶えてしまった。
「……ッ!?ハッ!!ハッ!ハッ!…ハァ。」
目が覚めるとそこは、見馴れた
自分の部屋、ベットの上だった。
ウサギの目覚まし時計は
午前6時を指している。
どうやら大量の汗をかいたらしい。
パジャマが気持ち悪いほどに湿っている。
「…………はぁ~…ぁ…。」
疲れた。本当に疲れた。
これほど疲れる夢は見たことがない。
そしてとてつもなく、リアルだった。
恐らくだが私はコンビニに入った
瞬間何かに左胸を撃たれたのだろう。
本当に撃たれたような、いや。
もちろん本当に撃たれたことなど
ありはしないのだけれど、
撃たれたとしたのなら確実に。
アレと同じ痛みが襲ってくるに違いない。
「……恐ろしいこともあるもんだ。」
とにかくこのままの格好では
風邪を引いてしまうかもしれない。
ついでに朝シャワーでも浴びてしまおう。
汗くさいまま学校へは行けんし。
私はヒタヒタのパジャマを脱ぎ
姿見をチラリと見た時、言葉を失った。
「……………は?」
あれは夢の中の出来事のハズだ。
ならばなぜ。
私の左胸には、昨夜夢の中で
撃たれた場所と同じ箇所に
1㎝ほどの赤黒い痣があるのだろうか。
自分の生きる意味を理解して、
目標を持ち、自らの生に価値を
見出だせる若者が、
果たしてどれだけいるだろう。
ただ漠然と勉学に興じ、
ただ漠然と友人と過ごし、
そしてただ漠然と、生を謳歌する。
「…これって死んでるのと
何か違いがあるのかねぇ?」
そんな良く言えば哲学的な、
悪く言えばただの中二病のような
自問自答を繰り返すこと数年。
日頃からそんなひねくれた事ばかり
考えているうちに、私もずいんぶんと
ひねくれた女子高生になってしまった。
私こと、『卯島 希』は
有り体に言ってしまえば退屈している。
たかだか女子高生ごときが人生に
退屈など、生意気なことを。とお思いだろうが
それは仕方のないこと。
なにせ私はこの世に17年しかいないのだ。
10年、20年先に楽しいことがあるのに。
と、言われたとしても、大事なのは今だし
今退屈してしまっているのは
どうにも解決していないじゃないか。
明日は明日の風が吹く、と言うように
今日は今日の風しか吹かないのだ。
と、ここまでで私が相当の
ひねくれ者であることは
分かって頂けただろうか。
学校へ行き、勉学に励み、談笑し、
家に帰り、ご飯を食べて、風呂に浸かり、
明日の準備をして床につく。
世は事もなし、万事平凡かつ平和。
「私の人生こんなもんかぁ。」
徐々に重くなる瞼と意識が綱引きをしながら
私はポツリと願ってしまった。
そう、願ってしまったのだ。
(あぁ、神様。どうか私に充実を。)
「………どこだ、ここは。」
どうにも私は夢の中にいるらしい。
いや、確証は無いのだけれど目の前に
広がる景色がこれは夢だと語っている。
目の前にあるもの。
それは、コンビニだった。
コンビニエンスストアだけだった。
周りはなんとも説明しがたいモヤに
覆われていて何もない。
ただポツリと見馴れたコンビニだけが
眩しい光をこちらへもらしている。
「夢なんて久々に見るなぁ。
やけに意識もハッキリしてるし
なんか夢じゃないみたい。」
だけども夢としか思えない。
先程までパジャマでお布団だったのに、
目覚めれば学校の制服姿で謎過ぎる
立地にあるコンビニの前なのだ。
「とりあえず、入るしかないよなぁ。」
私はこのときの事を、恐らく死ぬまで
忘れることはないだろう。
まぁ死ぬまで、といっても。
このあとすぐ死んだんだけど。
「お邪魔しまー…ぐえっ?!
なんだ…急に左胸が……え?
………これ…血じゃ……え?え?」
突然左胸に刺さるような痛みが襲う。
追いかけるように赤く制服が染まり
私はその場に崩れ落ちた。
夢だ。これは夢のハズだ。
なのに、なのに。
痛い、痛い。痛い、痛い。痛い!!!
『っ!?オイ!待てっ!!タンマ!!!
一時休戦だっ!流れ弾が新人に当たった!』
どこからか渋い男の声が聞こえた。
でも内容が全く掴めない。
流れ弾?新人?なんのこっちゃだ。
あれ、ヤバい。
これ、夢だよね?
めちゃくちゃ、、、苦しいんだけど、、。
しかも、、めっちゃ寒い。
なんか、、視界が、、。
「コヒュー……コヒュー……」
『あちゃあ、こりゃヒデぇな。駄目だ。』
『弾が左胸をそのまま貫通してる。
どうせなら頭に当たってれば……
トラウマになってしまう前に
楽にしてあげようよ。』
……あれ…二人に増えた?
……ちょっと…待ってよ。
なにもかもが…ワケわかんないって。
まず助けようとか……してくださいよ。
楽にしてあげようよじゃなくて。
『そうだな。』
そうだなじゃねぇわ。
『じゃあなおっぱいデカイ嬢ちゃん。
次はハンドガンくらいそのおっぱいで
跳ね返せるように頑張んな。』
「……死…ね……セクハ…ゴホッ…!」
こんな状況で顔も見えない男に
セクハラを受けるとか酷すぎない?
と、そんな冷静なツッコミとは
裏腹に、意識はどんどん遠退いていく。
『じゃあな嬢ちゃん、
また明日ここで会おうぜ?』
額にひんやりとした何かが
当てられた次の瞬間、私の意識は
完全にそこで途絶えてしまった。
「……ッ!?ハッ!!ハッ!ハッ!…ハァ。」
目が覚めるとそこは、見馴れた
自分の部屋、ベットの上だった。
ウサギの目覚まし時計は
午前6時を指している。
どうやら大量の汗をかいたらしい。
パジャマが気持ち悪いほどに湿っている。
「…………はぁ~…ぁ…。」
疲れた。本当に疲れた。
これほど疲れる夢は見たことがない。
そしてとてつもなく、リアルだった。
恐らくだが私はコンビニに入った
瞬間何かに左胸を撃たれたのだろう。
本当に撃たれたような、いや。
もちろん本当に撃たれたことなど
ありはしないのだけれど、
撃たれたとしたのなら確実に。
アレと同じ痛みが襲ってくるに違いない。
「……恐ろしいこともあるもんだ。」
とにかくこのままの格好では
風邪を引いてしまうかもしれない。
ついでに朝シャワーでも浴びてしまおう。
汗くさいまま学校へは行けんし。
私はヒタヒタのパジャマを脱ぎ
姿見をチラリと見た時、言葉を失った。
「……………は?」
あれは夢の中の出来事のハズだ。
ならばなぜ。
私の左胸には、昨夜夢の中で
撃たれた場所と同じ箇所に
1㎝ほどの赤黒い痣があるのだろうか。
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