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第4章 旅立ち
Ⅲ
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「青の神木を守護する巫女、僕の母様エレノアール・コーウェルの様にそれぞれの神木には必ず巫女となる存在が居るって、母様からは聞いてるんだけど? ルアルの鬼人族にもいるはずなんだけどな?」
シンジの言葉を聞いたルアルは、走るのを止め立ち止まった。
「私の国は確かに赤の森の守護を任されているけど、巫女が誰なのかは不明だったんだ」
「それはどうして?」
レアイアもいつの間にかシンジ達の側に居て話を聞いていたようだ。
「我が王家でも王を継承した者以外は知る事は許されていなかったの。当然私も知らないわ。だから大精霊様に会ってみたいとずっと思ってた」
ルアルが昔を思い出しながら語るその表情はどこか寂しそうに見える。
「そうか。まあこの青の森もずっと昔は普人族の国が守護していたらしいんだけど、その1000年前の戦争を起こした元凶として追放されたからね。たしか、ボー、ボーグ?」
「ボーグアラデシア帝国、今のロンデシア帝国の母体国だね。当時はこの世界の3分の1を支配していたって聞いた事があるね」
シンジの心許ない記憶をレアイアが補助してくれる。
「そうそう!ってあ! そのゴメン! ルアルにとっては敵の国だったね」
「ううん、いいの。昔からろくなことしない国だって判ってよけいに負けられないって思えたから」
静かにそう言っているルアルだけど、シンジとレアイアは背筋に悪寒が走るのを感じていた。
「とりあえず、僕達の当面の目標はそのロンデシア帝国に捕まっているルアルのお母さんを助ける事だね」
「そうね、でも何でロンデシアはルアルのお母様、お妃様だけを捕まえたのかしら?」
シンジの言葉にレアイアが疑問を投げかける。
どうしてルアルの母だけ生きて捕まえられたのか。
実際、ルアルのお父さん、ダイアファレス王は捕らえられた後、公開処刑をされている。
その事を知ったルアルが暴走し始めた為呪縛の呪いを掛けられたという事だった。
そのルアルもロンデシア帝国には逃走中に捕まり部下共々殺されたと伝わっているというのが一般的な世間の話だった。
「良くは、解りません。もしかしたら母は国民から聖女としても人気がありましたから、ロンデシアの支配下となっている、ダイアファレスの民への見せ付けなのでは?」
重々しい雰囲気で話すルアル。
自分の母さんが辛いであろう事を話すのは気が思いのだろう。
「確かにそうかもね。お妃様には自害すればダイアファレスの民を根絶やしにするとか言っといて、その反対に、ダイアファレスの民には自分達が崇拝するお妃様の命と引き換えに、ロンデシア帝国に忠誠を誓えとか言ってるかもしれないね」
レアイアの推測にルアルは手を奮わせ怒りの表情を隠すことなく現す。
そんなルアル以上に怒っている人物がいた。
「あー!!物凄く腹が立つ!同じ普人族の血が半分流れてるかと思うと嫌になる!」
「そんな事言ったら私なんか普人族そのものなんだからもっと嫌になるよ。」
シンジの怒りにレアイアも同調する。
「絶対に、ルアルのお母さんを助ける! そしてダイアファレスの人も助ける!! そして普人族の皆が全て悪い人で無いことも知ってもらう!」
シンジは拳を高らかに挙げ力強く宣言する。
そんなシンジお見て、ルアルは毒気を抜かれた様に冷静になれた。
そしてどうしてこんなに人の事で一生懸命になれるのか不思議だった。
実際、シンジが自分を助けてくれてからまだ日が浅く、私の事なんか良くも知らないだろうにと思っていた。
「シンジ、どうしてそんなに私の事の為に命の危険が在るかもしれないのに親身になってくれるの?」
ルアルの質問に、シンジはキョトンとする。
「どうしてって? う~ん、女の子だから?」
「はあ?」
予想もしていなかったシンジの返答にマヌケな言葉がつい出てしまったルアル。
「何それ?! そんな理由で命を掛ける馬鹿が何処にいるのよ!」
あまりにの返答に声を荒げるルアル。
「でも、母様も言ってたよ? 困っている女の子がいたら助けるのが格好良い男だって。それに、ルアルあの時泣いてたもの」
「あの時?」
「うん、ルアルの暴走を止めようとしていた時。ルアル泣いて助けを求めてた。だから助けるって決めたんだ」
なんの気負いもなく当たり前の様に言うシンジに対して呆れて物も言えないルアルだった。
「べつに良いじゃないの? シンジは一度こうと決めたら梃でも動かないからね。それにルアルを助ける絶対の理由が他にもあるだろ?」
レアイアはシンジが助ける理由があると言う。
よく考えてもそんな事あっただろうかと頭を悩ますルアルに、レアイアは自分の額に指を当てながら、口を大きく開けて何かを噛む仕種をして見せた。
「!!」
その仕種にルアルは直ぐに反応し、シンジは頭の上に?マークをいっぱい飛ばしていた。
ルアルは思い出し、自分の額に巻いてある額当ての上から角を触る。
そういえば、シンジに角噛まれてたんだ。
鬼人族にとって婚姻の証となる痕を不可抗力であったとはいえシンジに付けられたルアルにとってそれは、無視出来ない出来事だった。
ただ、初めはハーフとはいえ、普人族とハイエルフのハーフのシンジを良くは思ってなかったはずだった。
でも今はルアル自身でもはっきりとは言いきれない感情があるのは自覚していた。
「そうですね。最終的にどうなるかは別としても、シンジにはちゃんと責任を取ってもらう必要がありますね」
半分苦笑い気味に言うルアルに対し、レアイアは大きく頷き、シンジは相変わらず?マークをいっぱい頭から出していた。
「でも良いんですか? レアイアさん」
「何が?」
「このまま本当に私がシンジと、その、何かあったらレアイアさん大丈夫かなって?」
「!!!!!! な! 大丈夫も何も!」
急に慌て出すレアイアの顔が赤くなっていた。
「案外、レアイアさんって乙女ですね。いつからシンジのこと思ってたんです?」
あまりに反応が解りやすかったので、ルアルは少し悪戯心が出てきたようだ。
「ば、馬鹿やろう! そ、そんな事あるはずが・」
「無いのですか?」
ルアルはレアイアに近づき下から覗き込む様にして顔を伺う。
「う、・・・・・・・くそ! 4年くらい前シンジと初めて出会った頃からだよ!」
ルアルと視線を合わせないように横を向きながら吐き捨てるように話す。
「か、可愛い! レアイアさんって歳の割に目茶苦茶可愛いですね!」
「歳の割にとか言うな! これでもまだ18歳だぞ!」
「十分じゃないですか。私は11歳ですよ?」
「それに、レアイア気づいてます? それってロリコンですよ?」
「!!・・!!」
「アハハハ!ハハ!!」
レアイアは恥ずかしいのか怒っているのか判らないくらい、全身を真っ赤にしているルアルを睨みつける。
しかしその反応が面白かったのか、腹を抱えて笑い転げるルアル。
それから少しの間その状態が続いたが、どちらからと判らずに顔を見やり、いつの間にか二人で笑い合っていた。
そんな二人の様子を見ていたシンジは、あれ?あの二人あんなに仲良かったかな? とか思っていたりする。
「シンジ! これからどなるか判らんけど私たち二人を宜しく頼むよ!」
唐突のレアイアの言葉に一体何を宜しくするのか今ひとつ解らなかったが、二人が楽しそうに笑っている姿を見て、まあどうでも良いや、と思えるシンジだった。
シンジの言葉を聞いたルアルは、走るのを止め立ち止まった。
「私の国は確かに赤の森の守護を任されているけど、巫女が誰なのかは不明だったんだ」
「それはどうして?」
レアイアもいつの間にかシンジ達の側に居て話を聞いていたようだ。
「我が王家でも王を継承した者以外は知る事は許されていなかったの。当然私も知らないわ。だから大精霊様に会ってみたいとずっと思ってた」
ルアルが昔を思い出しながら語るその表情はどこか寂しそうに見える。
「そうか。まあこの青の森もずっと昔は普人族の国が守護していたらしいんだけど、その1000年前の戦争を起こした元凶として追放されたからね。たしか、ボー、ボーグ?」
「ボーグアラデシア帝国、今のロンデシア帝国の母体国だね。当時はこの世界の3分の1を支配していたって聞いた事があるね」
シンジの心許ない記憶をレアイアが補助してくれる。
「そうそう!ってあ! そのゴメン! ルアルにとっては敵の国だったね」
「ううん、いいの。昔からろくなことしない国だって判ってよけいに負けられないって思えたから」
静かにそう言っているルアルだけど、シンジとレアイアは背筋に悪寒が走るのを感じていた。
「とりあえず、僕達の当面の目標はそのロンデシア帝国に捕まっているルアルのお母さんを助ける事だね」
「そうね、でも何でロンデシアはルアルのお母様、お妃様だけを捕まえたのかしら?」
シンジの言葉にレアイアが疑問を投げかける。
どうしてルアルの母だけ生きて捕まえられたのか。
実際、ルアルのお父さん、ダイアファレス王は捕らえられた後、公開処刑をされている。
その事を知ったルアルが暴走し始めた為呪縛の呪いを掛けられたという事だった。
そのルアルもロンデシア帝国には逃走中に捕まり部下共々殺されたと伝わっているというのが一般的な世間の話だった。
「良くは、解りません。もしかしたら母は国民から聖女としても人気がありましたから、ロンデシアの支配下となっている、ダイアファレスの民への見せ付けなのでは?」
重々しい雰囲気で話すルアル。
自分の母さんが辛いであろう事を話すのは気が思いのだろう。
「確かにそうかもね。お妃様には自害すればダイアファレスの民を根絶やしにするとか言っといて、その反対に、ダイアファレスの民には自分達が崇拝するお妃様の命と引き換えに、ロンデシア帝国に忠誠を誓えとか言ってるかもしれないね」
レアイアの推測にルアルは手を奮わせ怒りの表情を隠すことなく現す。
そんなルアル以上に怒っている人物がいた。
「あー!!物凄く腹が立つ!同じ普人族の血が半分流れてるかと思うと嫌になる!」
「そんな事言ったら私なんか普人族そのものなんだからもっと嫌になるよ。」
シンジの怒りにレアイアも同調する。
「絶対に、ルアルのお母さんを助ける! そしてダイアファレスの人も助ける!! そして普人族の皆が全て悪い人で無いことも知ってもらう!」
シンジは拳を高らかに挙げ力強く宣言する。
そんなシンジお見て、ルアルは毒気を抜かれた様に冷静になれた。
そしてどうしてこんなに人の事で一生懸命になれるのか不思議だった。
実際、シンジが自分を助けてくれてからまだ日が浅く、私の事なんか良くも知らないだろうにと思っていた。
「シンジ、どうしてそんなに私の事の為に命の危険が在るかもしれないのに親身になってくれるの?」
ルアルの質問に、シンジはキョトンとする。
「どうしてって? う~ん、女の子だから?」
「はあ?」
予想もしていなかったシンジの返答にマヌケな言葉がつい出てしまったルアル。
「何それ?! そんな理由で命を掛ける馬鹿が何処にいるのよ!」
あまりにの返答に声を荒げるルアル。
「でも、母様も言ってたよ? 困っている女の子がいたら助けるのが格好良い男だって。それに、ルアルあの時泣いてたもの」
「あの時?」
「うん、ルアルの暴走を止めようとしていた時。ルアル泣いて助けを求めてた。だから助けるって決めたんだ」
なんの気負いもなく当たり前の様に言うシンジに対して呆れて物も言えないルアルだった。
「べつに良いじゃないの? シンジは一度こうと決めたら梃でも動かないからね。それにルアルを助ける絶対の理由が他にもあるだろ?」
レアイアはシンジが助ける理由があると言う。
よく考えてもそんな事あっただろうかと頭を悩ますルアルに、レアイアは自分の額に指を当てながら、口を大きく開けて何かを噛む仕種をして見せた。
「!!」
その仕種にルアルは直ぐに反応し、シンジは頭の上に?マークをいっぱい飛ばしていた。
ルアルは思い出し、自分の額に巻いてある額当ての上から角を触る。
そういえば、シンジに角噛まれてたんだ。
鬼人族にとって婚姻の証となる痕を不可抗力であったとはいえシンジに付けられたルアルにとってそれは、無視出来ない出来事だった。
ただ、初めはハーフとはいえ、普人族とハイエルフのハーフのシンジを良くは思ってなかったはずだった。
でも今はルアル自身でもはっきりとは言いきれない感情があるのは自覚していた。
「そうですね。最終的にどうなるかは別としても、シンジにはちゃんと責任を取ってもらう必要がありますね」
半分苦笑い気味に言うルアルに対し、レアイアは大きく頷き、シンジは相変わらず?マークをいっぱい頭から出していた。
「でも良いんですか? レアイアさん」
「何が?」
「このまま本当に私がシンジと、その、何かあったらレアイアさん大丈夫かなって?」
「!!!!!! な! 大丈夫も何も!」
急に慌て出すレアイアの顔が赤くなっていた。
「案外、レアイアさんって乙女ですね。いつからシンジのこと思ってたんです?」
あまりに反応が解りやすかったので、ルアルは少し悪戯心が出てきたようだ。
「ば、馬鹿やろう! そ、そんな事あるはずが・」
「無いのですか?」
ルアルはレアイアに近づき下から覗き込む様にして顔を伺う。
「う、・・・・・・・くそ! 4年くらい前シンジと初めて出会った頃からだよ!」
ルアルと視線を合わせないように横を向きながら吐き捨てるように話す。
「か、可愛い! レアイアさんって歳の割に目茶苦茶可愛いですね!」
「歳の割にとか言うな! これでもまだ18歳だぞ!」
「十分じゃないですか。私は11歳ですよ?」
「それに、レアイア気づいてます? それってロリコンですよ?」
「!!・・!!」
「アハハハ!ハハ!!」
レアイアは恥ずかしいのか怒っているのか判らないくらい、全身を真っ赤にしているルアルを睨みつける。
しかしその反応が面白かったのか、腹を抱えて笑い転げるルアル。
それから少しの間その状態が続いたが、どちらからと判らずに顔を見やり、いつの間にか二人で笑い合っていた。
そんな二人の様子を見ていたシンジは、あれ?あの二人あんなに仲良かったかな? とか思っていたりする。
「シンジ! これからどなるか判らんけど私たち二人を宜しく頼むよ!」
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