31 / 32
第4章 旅立ち
XⅢ
しおりを挟む
「それであなた達の素性を聞きたいのだけど?」
未だに不機嫌そうな顔を隠しもせずに、正座するリルダさんとフィティさんにガンを飛ばし威圧していた。
「その、ですね。私の素性をお話すると、あなた達に大変迷惑をお掛けする事になりますので、どうかここは何も聞かずに私達を見逃していただけませんでしょうか?」
少しフラムに怯えながらも、真っ直ぐに僕の目を見つめて、はっきりと訴えて来るリルダさん。
どう見ても、普通の女の子と言うのは無理がある。
それに、ここまで関わってしまったのに、そんな事を言われて、はいそうですか、とはいかないのだけど・・・ルアルの事もあるからあまり目立ちたくはないのだけど・・・どうしたものかな?
そんな事を僕が想い悩んでいると、ルアルが僕の方に近づいて来た。
「シンジ、私、この人達を見捨てる事は出来ない。たぶん追われている。行き場が無いのだと思う。だから見捨てたくない」
真剣な眼差しで、僕に訴えかけてくる。
ルアルにとっては、他人事には思えないのだろうな。
「大丈夫。僕も事情は知らないけど、命を狙われている人を簡単には見捨てるつもりはないよ。それに悪い人にも見えないもの」
僕の答えに、ルアルの表情が一気に明るくなった。
「どうしてそこまで、私達の事を考えて下さるのですか? どう見ても厄介ごとにしか見えませんでしょうに?」
リルダさんが真剣な眼差しで僕に尋ねてくる。
「さっきも言ったけど、命を狙われている人をほっとけないし、それによく母様が女の子が苦労しているのに何もしない男は最低だって言われているからね」
「は、そんな事だけの理由なのですか?」
そうとうに驚いているみたい。
でも僕にとってそれが理由の全てだからなぁ。
「それだけの理由で十分だよ」
「・・・・・・・・・・・・」
そうとう困惑しているみたいだ。
「リルダさん、でしたよね? シンジがこう言ってくれているのだから甘えちゃいなさい。それに頑固よ、シンジは。一度言ったら折れないからね。何が何でもあなた達を助けるわよ? 私達としてはあまり綺麗な女の子がシンジの傍に居るのは、嬉しくないけどね」
レアイアが、フォローしてくれる。けど僕ってそんなに頑固だろうか?
「私も、本音を言ったら関わってほしくないけど、シンジだからね。おせっかいが大好きだから諦めなさい。私も諦めるから」
ルアル、僕が融通が利かない、頑固者みたいに言わないでほしいな。
リルダさん達を説得してくれるのは嬉しいけど。
「・・・・姫様、ここはシンジ様達を信用して、お願いしてみてはどうでしょう?」
「フィティ! でもそれでは・・・」
「今の私達だけでは、生きるだけでも相当に難しい。ここはシンジ様達に甘えさせていただき、先ずは生き延びる事だけを考えませんか?」
フィティさんの言葉に、顔を俯かせ必死に何かと戦っている様に見えるリルダさん。
「分かりました。改めてお願いいたします。私達に是非お力をお貸しください」
そう言って、リルダさんが深々とお辞儀をすると、それに合わせてフィティさんも同じように僕にお辞儀をしてきた。
「そ、そんなに畏まらないで下さい!」
「いえ! ここはケジメとしてこれくらいはさせて下さい。それとただ甘えるだけでは本当に申し訳ありませんので、私達の護衛として雇わせていただく形にさせて下さい」
「護衛ですか?」
「はい、私達を、ノーダス領の領主殿の所まで送っていただき、そこまでの護衛をお願いしたいのです」
「で、でも・・」
「いえ! 決めました! シンジ様も頑固でしょうが私も負けておりません! これは決定事項です!」
言いきるリルダさん。
その表情は決意に固く、曲げそうには見えない・・・仕方ないか。
「ただ、シンジ様、今は持ち合わせがございませんので、ノーダス領に着きましたらその時点で護衛の料金を支払わせていただいますので」
別にお金が欲しい訳じゃないけど、その方がお互い気兼ねないかもね。
「分かりました。それで良いですよ」
「やりましたね、姫様! こんな形で冒険者の方々を雇えたのはラッキーでした」
「そうですね。私達もまだまだ運気に見放されてないという事でしょう」
二人は喜び合っている。
未だに不機嫌そうな顔を隠しもせずに、正座するリルダさんとフィティさんにガンを飛ばし威圧していた。
「その、ですね。私の素性をお話すると、あなた達に大変迷惑をお掛けする事になりますので、どうかここは何も聞かずに私達を見逃していただけませんでしょうか?」
少しフラムに怯えながらも、真っ直ぐに僕の目を見つめて、はっきりと訴えて来るリルダさん。
どう見ても、普通の女の子と言うのは無理がある。
それに、ここまで関わってしまったのに、そんな事を言われて、はいそうですか、とはいかないのだけど・・・ルアルの事もあるからあまり目立ちたくはないのだけど・・・どうしたものかな?
そんな事を僕が想い悩んでいると、ルアルが僕の方に近づいて来た。
「シンジ、私、この人達を見捨てる事は出来ない。たぶん追われている。行き場が無いのだと思う。だから見捨てたくない」
真剣な眼差しで、僕に訴えかけてくる。
ルアルにとっては、他人事には思えないのだろうな。
「大丈夫。僕も事情は知らないけど、命を狙われている人を簡単には見捨てるつもりはないよ。それに悪い人にも見えないもの」
僕の答えに、ルアルの表情が一気に明るくなった。
「どうしてそこまで、私達の事を考えて下さるのですか? どう見ても厄介ごとにしか見えませんでしょうに?」
リルダさんが真剣な眼差しで僕に尋ねてくる。
「さっきも言ったけど、命を狙われている人をほっとけないし、それによく母様が女の子が苦労しているのに何もしない男は最低だって言われているからね」
「は、そんな事だけの理由なのですか?」
そうとうに驚いているみたい。
でも僕にとってそれが理由の全てだからなぁ。
「それだけの理由で十分だよ」
「・・・・・・・・・・・・」
そうとう困惑しているみたいだ。
「リルダさん、でしたよね? シンジがこう言ってくれているのだから甘えちゃいなさい。それに頑固よ、シンジは。一度言ったら折れないからね。何が何でもあなた達を助けるわよ? 私達としてはあまり綺麗な女の子がシンジの傍に居るのは、嬉しくないけどね」
レアイアが、フォローしてくれる。けど僕ってそんなに頑固だろうか?
「私も、本音を言ったら関わってほしくないけど、シンジだからね。おせっかいが大好きだから諦めなさい。私も諦めるから」
ルアル、僕が融通が利かない、頑固者みたいに言わないでほしいな。
リルダさん達を説得してくれるのは嬉しいけど。
「・・・・姫様、ここはシンジ様達を信用して、お願いしてみてはどうでしょう?」
「フィティ! でもそれでは・・・」
「今の私達だけでは、生きるだけでも相当に難しい。ここはシンジ様達に甘えさせていただき、先ずは生き延びる事だけを考えませんか?」
フィティさんの言葉に、顔を俯かせ必死に何かと戦っている様に見えるリルダさん。
「分かりました。改めてお願いいたします。私達に是非お力をお貸しください」
そう言って、リルダさんが深々とお辞儀をすると、それに合わせてフィティさんも同じように僕にお辞儀をしてきた。
「そ、そんなに畏まらないで下さい!」
「いえ! ここはケジメとしてこれくらいはさせて下さい。それとただ甘えるだけでは本当に申し訳ありませんので、私達の護衛として雇わせていただく形にさせて下さい」
「護衛ですか?」
「はい、私達を、ノーダス領の領主殿の所まで送っていただき、そこまでの護衛をお願いしたいのです」
「で、でも・・」
「いえ! 決めました! シンジ様も頑固でしょうが私も負けておりません! これは決定事項です!」
言いきるリルダさん。
その表情は決意に固く、曲げそうには見えない・・・仕方ないか。
「ただ、シンジ様、今は持ち合わせがございませんので、ノーダス領に着きましたらその時点で護衛の料金を支払わせていただいますので」
別にお金が欲しい訳じゃないけど、その方がお互い気兼ねないかもね。
「分かりました。それで良いですよ」
「やりましたね、姫様! こんな形で冒険者の方々を雇えたのはラッキーでした」
「そうですね。私達もまだまだ運気に見放されてないという事でしょう」
二人は喜び合っている。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる