ヨッシーのショートshort

ヨッシー@

文字の大きさ
11 / 31

耳人(みみびと)

しおりを挟む
ヨッシーのショートshort「耳人(みみびと)」

ふわぁ~、
変なアクビがでた。

眠い、
昨日の徹夜が効いたのか?
頭を振ってみる。
カラン、カラン、何か音がした。
何だ?
耳垢でも溜まっているのかな?
久しぶりに耳掻きでもするか、
私は、引き出しから耳掻き棒を取り出した。
耳掻きをする。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
気持ちいい~
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さなパンのような物が出て来た。
つまんで見てみる。
茶色い生地、丸い形、香ばしい匂い。どっからどう見てもパンだ。
不思議なことがあるものだ、パンに似た耳垢。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けた。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さな皿のような物が出て来た。
つまんで見てみる。
陶の材質、平たい形、白い色、どっからどう見ても皿だ。
不思議なことがあるものだ、皿に似た耳垢。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けた。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
何か大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さなスプーンのような物が出て来た。
つまんで見てみる。
金属の材質、平たい楕円形の先、長い持ち手。どっからどう見てもスプーンだ。
不思議なことがあるものだ、スプーンに似た耳垢。
パンに皿にスプーン、まるで食事だな。
私は、少々変に思ったが、耳掻きを続けした。
ガサッ、ガリ、ガリ、ガリ、
コロン、
何だ?
今度は、かなり大きいものが出た。
取り出す。
中から、小さな人のような物が出て来た。
つまんで見てみる。
手足があり、ズボンを履き、シャツを着ている。どっからどう見ても人だ。
不思議なことがあるものだ、人に似た耳垢。
すると、
「おい」
何だ?
「おい、お前だよ」
小さな人が話しかけてきた。
「さっきから、俺の食事の邪魔ばかりしやがって」
小さな人は怒っていた。
「俺が食事をしていると、耳掻き棒でガリガリとかき回し、挙げ句の果てに、パンを持っていった」
「そして、黙っていたら、今度は皿とスプーンもだ」
「どういうつもりなんだよ!」
「えっ?」
私は、突然の状況に理解が出来なかった。
「あなたは、誰ですか?」
「知らないのか、耳人だよ」
「耳人?」
「耳人ってのはな、お前が生まれた時から耳の中に住んでいるんだよ」
「ええっ、私が生まれた時から!?」
「そうだよ、生まれた時からな」
「どうやって?」
「知らないのか?」
「はは~ん、学校で教わってないな。人間はな、みんな生まれた時に、耳一つずつに俺たちみたいな耳人が入るんだよ」
「し、知りませんでした」(汗)
「まったく、お前は無知だな~」
「あなたは、私の耳の中で何をしているのですか?」
「それも知らないのか?」
「お前の耳に入ってくる音を、振り分けているんだよ」
「振り分けている?」
「そうさ、必要な音、必要で無い音、それを俺が振り分けているんだ。いわゆるミキシングってやつだな」
「そうだったのですか、いつも有難うございます」
「まあな、仕事だからな」
「俺たちが居ないと大変だぞ。何でも聞こえてしまって、頭がパニックになってしまうぞ」
「それは困ります」
「まあな」
「そう言えば、たまに、キーンという耳鳴りが鳴る時がありますが、あれは何ですか?」
「悪い悪い、あれはミキサーの調整でな、ハウリング現象だ」
「そうだったのですか」
「しかし、補聴器をしている人はどうしているのですか?」
「ああ、補聴器をしている人は、俺たちみたいな耳人が死んでしまっているんだよ」
「死んでしまっている?」
「そうさ、俺たちも食事をとらないと死んでしまうからな」
「死んでしまうと、ミキシングができくなってしまうんだ。だから、補聴器で補うんだ」
「大変ですね」
「ああ、大変だ。だったら気をつけてくれ」
「解りました。気をつけます」
「これからはな、耳掻きをする時はちゃんと連絡をしてから耳掻きをしてくれ」
「解りました。しかし、どうやって?」
「スマホに電話してくれ、LINEでもいいぞ、ほい、連絡先」
連絡先を渡す耳人。
「解りました。必ず電話します」
「解ったら、悪いが、俺とパンと皿とスプーンを元に戻してくれないか。食事の途中だったからな」
「はい、解りました」
私は、そーっと彼を耳の中に戻した。
途中、彼は最後に一言言った。
「反対側にはな、別の耳人が住んでいるからな」

えっ!誰だろう?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

処理中です...