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醜い男
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世の中には「因果応報」って言葉がある。
今からする話は悪いヤツには悪い運命が訪れるって話だ。
オレも生まれてこのかた特に良いこともないまんま、気づけば203x年になっちまってた。
これも「因果応報」なのかね?
今の時代、景気も悪けりゃ、政治も悪い。やれリストラだ、やれ増税だなんだとあんまり明るい話もなくなっちまって世知辛い世の中だ。
そんだけならまだマシだったんだが、国がしばらく前にひどいタワゴトを言い出した。
その名も『容姿税』。
その内容は名前の通り容姿の良い奴に税金を掛けようっていうデタラメなものだ。
国民みんなまさか実現するまいと思ってたが、国はよっぽど金に困ったのか、あれよあれよと法案が通ってしまいホントに施行されやがった。
人の醜美の判定パターンを学習したAIってやつが、人間様の顔を数十段階で判定して税額が決定される。
ただこれの一番悪いところは税金が増えちまうってトコじゃなくって、国から顔の良し悪しがハッキリと判定されちまうところだった。
勿論、各々の判定結果は個人情報として厳重に管理されちゃあいるが、そんな判定があるってこと自体が問題で、みんなどうしてもその「判定」を意識せずにはいられない。
美人な「高額納税者」は建前上は増税で大変だなんて言っちゃあいるが、自他ともに「国から認められた美人」と思っちまって、鼻にかけるヤツもいれば、周りからは前以上に妬まれちまう。
逆にオレみたいなブサイクなやつは「免税者」なんて言われてバカにされるし、国から正式に「お前はブサイクだ」なんて認定されれば卑屈にならずにはいられない。
兎にも角にも、「容姿税」はその税額以上に国民に重くのしかかって、日本はギスギスしたイヤーな空気に包まれていた。
そんな時代に超美男子に生まれたもんで、最高額の『容姿税』を掛けられている男がいた。
男の名前は水野ショウ。
確かに最高税率を掛けられるに違わぬ見目の良さで、キリッとした男前な顔立ちに背はスラーっと高くてモデルのようだった。
しかし、その中身は見た目と違って、このイヤーな時代の悪い部分を煮詰めたみたいな奴だった。
♢♢
俺はこれまで顔がいいおかげで色々得をしてきた。学生の頃から黙ってても女は寄ってくるし、そこら辺の男は俺の引き立て役だ。特に「免税者」のヤツらはすぐ俺の言いなりになる。ソイツらに何をしたって周りは俺を褒めそやすし、パシッたり、笑いモノにしたって誰も文句は言わねえ。
高校生の頃パシッてやったヤツは特に惨めなヤツだった。ムシャクシャしたら殴ったり、カネがなけりゃソイツからフンだくったりもしたが、少しの反抗すらしてこなかった。
そんな風に過ごしてきて、今でも周りには俺を持て囃すヤツらばかり集まってくる。俺は今ナンバーワンホストで毎晩、ウン百万という金を稼いでいるから容姿税を取られたって痛くもない。
この日も朝まで店で客どもの相手をした。どいつもこいつも「免税者」顔ばっかりで楽しくもねぇ。けどこれが一番楽に稼げるんだから辞められない。
店が閉まると、いつものように呼びつけたタクシーに乗って家に帰る。俺は自宅である都内のタワーマンションの前の大通りでタクシーを停めさせた。
店から家へ帰ってくると、タクシーが左車線に停まるから、マンションに入るために大通りを渡る必要があった。
大通りを渡ってマンションに入り、その一室に帰ると、アケミが俺の帰りを待っていた。
「おかえりなさい」
「ああ」
アケミは元々店の客だったが、料理が上手いから家に置いてやっている。本人は俺と付き合ってるつもりらしいが、俺にはサラサラそんな気はなかった。アケミの顔はヒキガエルのように醜く、間違いなく容姿税「免税者」だ。俺と全く釣り合っていない。せいぜい召使いがいいところだ。むしろそんな風に思い込むアケミにゾッとしていた。
「どうする、ご飯にする?」
「いい、寝る。起きた時適当に作っとけ」
「うん、わかった。ショウはお仕事でお疲れだものね、おやすみなさい」
俺は部屋に行って眠った。
次に起きたときには昼過ぎだった。
アケミは言いつけ通り、俺が起きる時間に合わせて朝メシを作っていた。
けれど、アケミのやつケチりやがって安いトーストを出してきやがった。俺はパンにはこだわりがあるんだ。前にいつもの店以外で買ってきたパンを出したときも、怒鳴りつけてやったのに。
「おい、なんでパンがいつもと違う?」
「ごめんなさい、いつものところ売り切れてたのよ。けど、ほかのお店で近いパンを買ってきたのよ?」
「うるせぇ! 使えねえヤツだな!」
俺は目の前の机を蹴り飛ばした。アケミが用意した朝食が床に散らばる。
「そこまですることないじゃない。このパンだって結構高かったのよ。ショウはお金だって出してないのに」
口答えしやがって。食費など諸々はアケミに払わせていたが、それはアケミが好きでやっていることだ。
「押し付けがましく言いやがって! いいじゃねえか、どうせお前は『免税者』だからカネはその分あるだろッ!」
そう言ってやると、アケミは一瞬カッと顔を歪ませたがすぐに俯いた。
「そうね……。ごめんなさい、気をつけるわ」
アケミは俺から離れられない。だから強く言い返せない。
「もういい、俺は外へ出てくるからソレ片付けとけよ」
アケミは「はい」とだけ言うと床を片付け始めた。
その次の日の朝も俺はいつものようにタクシーで家まで帰った。
そしていつものように家の前の大通りでタクシーを降り、横断歩道を渡ろうとした。
しかしその時、歩く俺を目がけて信号無視の車が突っ込んできた。
なんとかぶつかるのを避けようとしたが、サイドミラーに横殴りにされ転倒。
俺は意識を失った……。
♢♢
起きると病院のベッドの上だった。
「よかった! ショウ、起きたのね!」
横を向くとアケミが座っていた。
「覚えてる? あなた車にぶつかったのよ? けど幸い大きな怪我は無いって」
俺は自分の体を確かめる。たしかに全身怪我はなさそうだ。けど、すぐに自分の顔に違和感があるのに気がついた。
「これは……」
自分の顔に触れてみると、鼻の辺りに包帯が巻かれていた。
「それは……、転んだ時に顔面を打ったそうよ。それで」
「アケミ、鏡貸せ」
「え、ええ」
俺はアケミから鏡をふんだくって自分の顔を覗き込んだ。包帯の巻かれた顔はよく見えなかった。俺は包帯を力任せにほどいた。
「あ、まだ包帯は取っちゃダメよ」
「黙れ!」
包帯を全てほどき終え、鏡を覗いて俺は絶句した。
俺の顔は鼻が潰れて酷く醜くなっていた。
「な……ウソだ! こんなの俺の顔じゃねえ!」
こんな顔じゃホストもできないし、もう生きていけねぇ。
「ショウ……」
呆然とする俺の肩にアケミがそっと手を置いた。
「ショウもこれで「免税者」ね。大丈夫、これからは私がショウを支えてあげる……」
アケミはそう言って歪んだ笑みを浮かべた。
俺は絶望の淵に落とされた……。
♢♢
こうして水野ショウの華々しい人生は脆くも崩れ去りましたとさ、めでたしめでたし。
あの嫌な野郎が酷い目に遭ってせいせいしたぜ。死ななかったのは残念だったがな。リスクを冒して、アイツを轢き殺そうとした甲斐もあったってもんだ。突っ込んでいって避けられたときは驚いたが、サイドミラーが上手く引っかかってくれた。
え、オレは誰かって?
なぁに、水野が言いなりにさせてきた「免税者」の一人さ。
おっと、インターホンが鳴った。そろそろ警察がやってくる頃だ。
言っただろう?
これは悪いヤツには悪い運命が訪れるって話だ。
今からする話は悪いヤツには悪い運命が訪れるって話だ。
オレも生まれてこのかた特に良いこともないまんま、気づけば203x年になっちまってた。
これも「因果応報」なのかね?
今の時代、景気も悪けりゃ、政治も悪い。やれリストラだ、やれ増税だなんだとあんまり明るい話もなくなっちまって世知辛い世の中だ。
そんだけならまだマシだったんだが、国がしばらく前にひどいタワゴトを言い出した。
その名も『容姿税』。
その内容は名前の通り容姿の良い奴に税金を掛けようっていうデタラメなものだ。
国民みんなまさか実現するまいと思ってたが、国はよっぽど金に困ったのか、あれよあれよと法案が通ってしまいホントに施行されやがった。
人の醜美の判定パターンを学習したAIってやつが、人間様の顔を数十段階で判定して税額が決定される。
ただこれの一番悪いところは税金が増えちまうってトコじゃなくって、国から顔の良し悪しがハッキリと判定されちまうところだった。
勿論、各々の判定結果は個人情報として厳重に管理されちゃあいるが、そんな判定があるってこと自体が問題で、みんなどうしてもその「判定」を意識せずにはいられない。
美人な「高額納税者」は建前上は増税で大変だなんて言っちゃあいるが、自他ともに「国から認められた美人」と思っちまって、鼻にかけるヤツもいれば、周りからは前以上に妬まれちまう。
逆にオレみたいなブサイクなやつは「免税者」なんて言われてバカにされるし、国から正式に「お前はブサイクだ」なんて認定されれば卑屈にならずにはいられない。
兎にも角にも、「容姿税」はその税額以上に国民に重くのしかかって、日本はギスギスしたイヤーな空気に包まれていた。
そんな時代に超美男子に生まれたもんで、最高額の『容姿税』を掛けられている男がいた。
男の名前は水野ショウ。
確かに最高税率を掛けられるに違わぬ見目の良さで、キリッとした男前な顔立ちに背はスラーっと高くてモデルのようだった。
しかし、その中身は見た目と違って、このイヤーな時代の悪い部分を煮詰めたみたいな奴だった。
♢♢
俺はこれまで顔がいいおかげで色々得をしてきた。学生の頃から黙ってても女は寄ってくるし、そこら辺の男は俺の引き立て役だ。特に「免税者」のヤツらはすぐ俺の言いなりになる。ソイツらに何をしたって周りは俺を褒めそやすし、パシッたり、笑いモノにしたって誰も文句は言わねえ。
高校生の頃パシッてやったヤツは特に惨めなヤツだった。ムシャクシャしたら殴ったり、カネがなけりゃソイツからフンだくったりもしたが、少しの反抗すらしてこなかった。
そんな風に過ごしてきて、今でも周りには俺を持て囃すヤツらばかり集まってくる。俺は今ナンバーワンホストで毎晩、ウン百万という金を稼いでいるから容姿税を取られたって痛くもない。
この日も朝まで店で客どもの相手をした。どいつもこいつも「免税者」顔ばっかりで楽しくもねぇ。けどこれが一番楽に稼げるんだから辞められない。
店が閉まると、いつものように呼びつけたタクシーに乗って家に帰る。俺は自宅である都内のタワーマンションの前の大通りでタクシーを停めさせた。
店から家へ帰ってくると、タクシーが左車線に停まるから、マンションに入るために大通りを渡る必要があった。
大通りを渡ってマンションに入り、その一室に帰ると、アケミが俺の帰りを待っていた。
「おかえりなさい」
「ああ」
アケミは元々店の客だったが、料理が上手いから家に置いてやっている。本人は俺と付き合ってるつもりらしいが、俺にはサラサラそんな気はなかった。アケミの顔はヒキガエルのように醜く、間違いなく容姿税「免税者」だ。俺と全く釣り合っていない。せいぜい召使いがいいところだ。むしろそんな風に思い込むアケミにゾッとしていた。
「どうする、ご飯にする?」
「いい、寝る。起きた時適当に作っとけ」
「うん、わかった。ショウはお仕事でお疲れだものね、おやすみなさい」
俺は部屋に行って眠った。
次に起きたときには昼過ぎだった。
アケミは言いつけ通り、俺が起きる時間に合わせて朝メシを作っていた。
けれど、アケミのやつケチりやがって安いトーストを出してきやがった。俺はパンにはこだわりがあるんだ。前にいつもの店以外で買ってきたパンを出したときも、怒鳴りつけてやったのに。
「おい、なんでパンがいつもと違う?」
「ごめんなさい、いつものところ売り切れてたのよ。けど、ほかのお店で近いパンを買ってきたのよ?」
「うるせぇ! 使えねえヤツだな!」
俺は目の前の机を蹴り飛ばした。アケミが用意した朝食が床に散らばる。
「そこまですることないじゃない。このパンだって結構高かったのよ。ショウはお金だって出してないのに」
口答えしやがって。食費など諸々はアケミに払わせていたが、それはアケミが好きでやっていることだ。
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そう言ってやると、アケミは一瞬カッと顔を歪ませたがすぐに俯いた。
「そうね……。ごめんなさい、気をつけるわ」
アケミは俺から離れられない。だから強く言い返せない。
「もういい、俺は外へ出てくるからソレ片付けとけよ」
アケミは「はい」とだけ言うと床を片付け始めた。
その次の日の朝も俺はいつものようにタクシーで家まで帰った。
そしていつものように家の前の大通りでタクシーを降り、横断歩道を渡ろうとした。
しかしその時、歩く俺を目がけて信号無視の車が突っ込んできた。
なんとかぶつかるのを避けようとしたが、サイドミラーに横殴りにされ転倒。
俺は意識を失った……。
♢♢
起きると病院のベッドの上だった。
「よかった! ショウ、起きたのね!」
横を向くとアケミが座っていた。
「覚えてる? あなた車にぶつかったのよ? けど幸い大きな怪我は無いって」
俺は自分の体を確かめる。たしかに全身怪我はなさそうだ。けど、すぐに自分の顔に違和感があるのに気がついた。
「これは……」
自分の顔に触れてみると、鼻の辺りに包帯が巻かれていた。
「それは……、転んだ時に顔面を打ったそうよ。それで」
「アケミ、鏡貸せ」
「え、ええ」
俺はアケミから鏡をふんだくって自分の顔を覗き込んだ。包帯の巻かれた顔はよく見えなかった。俺は包帯を力任せにほどいた。
「あ、まだ包帯は取っちゃダメよ」
「黙れ!」
包帯を全てほどき終え、鏡を覗いて俺は絶句した。
俺の顔は鼻が潰れて酷く醜くなっていた。
「な……ウソだ! こんなの俺の顔じゃねえ!」
こんな顔じゃホストもできないし、もう生きていけねぇ。
「ショウ……」
呆然とする俺の肩にアケミがそっと手を置いた。
「ショウもこれで「免税者」ね。大丈夫、これからは私がショウを支えてあげる……」
アケミはそう言って歪んだ笑みを浮かべた。
俺は絶望の淵に落とされた……。
♢♢
こうして水野ショウの華々しい人生は脆くも崩れ去りましたとさ、めでたしめでたし。
あの嫌な野郎が酷い目に遭ってせいせいしたぜ。死ななかったのは残念だったがな。リスクを冒して、アイツを轢き殺そうとした甲斐もあったってもんだ。突っ込んでいって避けられたときは驚いたが、サイドミラーが上手く引っかかってくれた。
え、オレは誰かって?
なぁに、水野が言いなりにさせてきた「免税者」の一人さ。
おっと、インターホンが鳴った。そろそろ警察がやってくる頃だ。
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