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プロローグ
第16話 前哨の舌戦
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話し合いは終わった。
転移者4人には、今後の拠点として王城内に1人1部屋が与えられた。3食付きの無償貸与らしい。
自室へ移動したチーム池田は、今後について話し合うべくテーブルを介して向かい合った。
「ええと、早速ですが……」
「その前に。貴様は羞恥心がないのか。よくも王の御前で自分の素肌を曝せるものだ。早く服を着ろ」
「あ、ああ…」
そうだ。今の俺は腰布一丁だった。気づいてしまえば恥ずかしさが膨らむ。バッキバキの腹筋姉さんの前でプヨプヨのお腹を曝すなど赤面ものである。
立ち上がりクローゼットっぽいのを開ける。中には何着か服が掛けてあった。
「これ、借りちゃっても大丈夫ですか?」
「基本的に部屋内のモノは召喚者に授与されたモノとなる。問題ない」
「了解です」
適当に一着を選び、いそいそと着込む。ほぼ初対面の女性の前で着替えることとなるが、今まで腰布姿だったのだ。恥ずかしさは希薄だ。
着替えが完了し、席に戻る。
「失礼しました。では早速ですが、何点か確認させていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」
いよいよ質問タイムへ移る。ウィンター王に確認できなかった分をこの場で明らかにしよう。
ヴァネッサは俺の眼をジーっと見つめると、かぶりを振りつつ話し出した。
「答えるのは容易い。だが貴様は私の話を信じられるのか」
「と、言いますと」
「赤の他人が話した内容を真実として受け入れるほど貴様は馬鹿なのかと聞いている」
怖いほど直視されている。真剣な証拠だ。
確かにヴァネッサは信頼を置ける人物と言い難い。というよりもこの建物内において信頼できる人物など存在しない。
ヒトは話して、聞いて、初めて関係性を持ち、信頼へつながるからだ。
「私が何か話したところで貴様は信じない。ならば話さぬことと同義。そうは思わないか」
「そう………は、思いませんね」
思わない。当然だ。
何故なら"虚偽の内容を伝えるかもしれない"と俺に話した時点で、嘘をつく可能性がグッと低くなったからだ。
本物のペテン師ならば素直に質問へ応じ、何食わぬ顔で嘘を吐く。事前に嘘をつくかも、と予防線を張るメリットがない。
裏の裏も考えたが、本当の意味で何も知らない俺に対してそこまで複雑に考える必要はない。
そして何より。眼が語っている。私は噓をつかんと。信じざるを得ない強い眼差しをしている。
勘違いならそれまでだ。人を見る目が無かったと諦めよう。何も信じられないと殻に閉じこもるよりはマシだ。
「虚偽かどうか判断するのは私です。あなたが質問に答えないという話にはならない」
「この時点の嘘は致命的だぞ。聞かないという選択肢もある」
「そんな選択肢はない。そもそも貴女はウィンター王に命じられたのではありませんか。召喚者の質問には答えるようにと。内容はどうであれ、回答義務は存在するのでは?」
「…………………」
沈黙が下りる。ただし眼力は衰えていない。
少々白熱してしまった。質疑の内容ではなく、質問するかしないかが議論に発展するのは予想外ではあるものの、彼女の主張を受け入れるわけにはいかない。
召喚魔法が生き抜くための力なら、情報は生き方の指標となる。嘘かもしれないから聞かないはあり得ないのだ。
空間を占めるのは強力なヴァネッサの圧。それと微かな良い香り。今更だが女性と2人きりで個室にいる現実が信じられない。
まずい。ちょっと興奮してきたな。
「………分かった。確かに、質問に対する回答義務は存在する。答えよう。ただし、回答は明日だ。それまでに質問内容をまとめておけ。ではな」
彼女はそう言うと、こちらの返答を待たずに部屋から出て行った。
「あー………」
行ってしまった。
そうか。
とりあえずは質疑応答タイムを設けてもらえるようだ。
「…………………」
明日か。
殺すぞ、と言われた理由も聞かないとな。
転移者4人には、今後の拠点として王城内に1人1部屋が与えられた。3食付きの無償貸与らしい。
自室へ移動したチーム池田は、今後について話し合うべくテーブルを介して向かい合った。
「ええと、早速ですが……」
「その前に。貴様は羞恥心がないのか。よくも王の御前で自分の素肌を曝せるものだ。早く服を着ろ」
「あ、ああ…」
そうだ。今の俺は腰布一丁だった。気づいてしまえば恥ずかしさが膨らむ。バッキバキの腹筋姉さんの前でプヨプヨのお腹を曝すなど赤面ものである。
立ち上がりクローゼットっぽいのを開ける。中には何着か服が掛けてあった。
「これ、借りちゃっても大丈夫ですか?」
「基本的に部屋内のモノは召喚者に授与されたモノとなる。問題ない」
「了解です」
適当に一着を選び、いそいそと着込む。ほぼ初対面の女性の前で着替えることとなるが、今まで腰布姿だったのだ。恥ずかしさは希薄だ。
着替えが完了し、席に戻る。
「失礼しました。では早速ですが、何点か確認させていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」
いよいよ質問タイムへ移る。ウィンター王に確認できなかった分をこの場で明らかにしよう。
ヴァネッサは俺の眼をジーっと見つめると、かぶりを振りつつ話し出した。
「答えるのは容易い。だが貴様は私の話を信じられるのか」
「と、言いますと」
「赤の他人が話した内容を真実として受け入れるほど貴様は馬鹿なのかと聞いている」
怖いほど直視されている。真剣な証拠だ。
確かにヴァネッサは信頼を置ける人物と言い難い。というよりもこの建物内において信頼できる人物など存在しない。
ヒトは話して、聞いて、初めて関係性を持ち、信頼へつながるからだ。
「私が何か話したところで貴様は信じない。ならば話さぬことと同義。そうは思わないか」
「そう………は、思いませんね」
思わない。当然だ。
何故なら"虚偽の内容を伝えるかもしれない"と俺に話した時点で、嘘をつく可能性がグッと低くなったからだ。
本物のペテン師ならば素直に質問へ応じ、何食わぬ顔で嘘を吐く。事前に嘘をつくかも、と予防線を張るメリットがない。
裏の裏も考えたが、本当の意味で何も知らない俺に対してそこまで複雑に考える必要はない。
そして何より。眼が語っている。私は噓をつかんと。信じざるを得ない強い眼差しをしている。
勘違いならそれまでだ。人を見る目が無かったと諦めよう。何も信じられないと殻に閉じこもるよりはマシだ。
「虚偽かどうか判断するのは私です。あなたが質問に答えないという話にはならない」
「この時点の嘘は致命的だぞ。聞かないという選択肢もある」
「そんな選択肢はない。そもそも貴女はウィンター王に命じられたのではありませんか。召喚者の質問には答えるようにと。内容はどうであれ、回答義務は存在するのでは?」
「…………………」
沈黙が下りる。ただし眼力は衰えていない。
少々白熱してしまった。質疑の内容ではなく、質問するかしないかが議論に発展するのは予想外ではあるものの、彼女の主張を受け入れるわけにはいかない。
召喚魔法が生き抜くための力なら、情報は生き方の指標となる。嘘かもしれないから聞かないはあり得ないのだ。
空間を占めるのは強力なヴァネッサの圧。それと微かな良い香り。今更だが女性と2人きりで個室にいる現実が信じられない。
まずい。ちょっと興奮してきたな。
「………分かった。確かに、質問に対する回答義務は存在する。答えよう。ただし、回答は明日だ。それまでに質問内容をまとめておけ。ではな」
彼女はそう言うと、こちらの返答を待たずに部屋から出て行った。
「あー………」
行ってしまった。
そうか。
とりあえずは質疑応答タイムを設けてもらえるようだ。
「…………………」
明日か。
殺すぞ、と言われた理由も聞かないとな。
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