こいつ弟の彼女だから【R18】

まきします

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それぞれの過ごす冬

どうしてお兄さんの家にいるのかなぁ

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 まだ「おはよう」と挨拶をしておかしくない時刻、通りを歩いてゆく女性がいた。
 その子はさらりとした黒髪をしており、首元には温かそうなマフラーを巻いている。歩調はどこか機嫌良さそうで、これからデートにでも行くのかなと周囲の者たちは思う。

 長いまつげに縁どられた瞳、そして清純な顔立ちとあって周囲の目をことさらに引くのだが、それは母から借りたニットが影響しているかもしれない。

 色気というものは、ほぼほぼ外見で生じるものだ。子作りできることを身体の発育具合が知らせており、また美しい顔立ちは優良な子が宿せることを保証する。
 それらは本人の意識と関係なく、だからこそ茜は無自覚に色気を撒き散らして周囲の目を引いている。
 しかしさほどの興味も浮かべずに茜という名の女学生は歩き続ける。

 外見については無自覚だが、ふとした仕草や服装、表情については別だ。それらは全て意図的な誘惑であり、実際に茜は鏡を見ながら練習することもある。
 クラスから孤立して以来、他人への興味が極端に乏しいというのに、なぜそうするのか。答えは簡単。己に好意を持って欲しいと思える相手がいるからだ。

 伊勢崎 徹。
 天童寺 千夏。
 天童寺 志穂。

 他にも大事にしている者はいるが、この3人は別格だ。特別であり極上であり、茜にとっては大粒のダイヤモンドのように感じている。
 親、恋人、妹。そんなごく狭い関係であるにも関わらず私生活に満足しているし、もしも許されるなら彼らを宝石箱にしまい、うっとりと眺めたいとさえ思っているのだからよっぽどだ。

 しかし、そんな彼女が興味深そうに眺めてものがある。それはなんの変てつもないただのスマホであり、画面には地図らしきものが表示されていた。
 そこに映される「千夏」という文字を見て、すうっと茜の瞳は細められる。

「不思議だなー。どうして千夏がお兄さんの家にいるのかなぁー」

 そうつぶやいた瞬間、冬の風は凍てつくような冷たいものに変わり、周囲の者たちは一斉に身体をぶるっと震わせていた。
 

     §


 いつになく俺は怖気づいていた。肩紐で吊っただけのスポブラに指を入れたところで腰がゾクリとしたんだ。
 他の人ならともかく、千夏ちゃんに手を出したらいけない気がする。なんでか分からないけど嫌な予感がするんだ。

 そんな逡巡を嗅ぎ取ったのだろうか。
 は、や、く、と少女の唇が動いて、そのすぼめた唇には艶があった。
 カーテンを閉ざした薄暗い部屋で、不意に彼女はお下げを解く。すると明るい髪がはらりとほどかれて、ひとつ頭を振ると両肩にまとわりつく。

 ふう、と息を吹きかけられた。それはどこか女の子の香りがして、再び俺の頭は霞がかるのを感じる。
 気づいたら彼女の肩を撫でていた。すべすべで張りがあって、すごく撫で心地が良い。指には肩紐が引っかかっていて、ふるんっと震えて先端が露わになった。
 淡い先端は幼子おさなごのような色であり、ぽてっと膨らむ形は大人とそう変わりない。

 乳房を異性に見られるのは、とても恥ずかしいことだろう。でもソファーに腰かけた俺の前で膝立ちになっているのは少女自身だ。
 隠しもせずこちらの肩に手を乗せており、はあはあという興奮を感じさせる息づかいが俺の髪をくすぐる。

 薄暗い居間で、いずれ義妹になる子の裸体を見るという行為に、ぞくりと再び悪寒が走る。守るべきモラルをすでに踏み潰しているのだから当然かもしれない。
 汗ばんだ匂いと共にはっきりと欲望を嗅ぎ取れる。性に目覚めたばかりの少女であり、その欲は驚くほど純粋で強い。発する空気は独特で、こちらの性欲にまで影響を及ぼしているのを感じた。

 たぶん抱きついたが最後、タガが外れたように身体を重ね合うと思う。ひどく動物的に。
 そんな恐れを抱きながらも俺は発育十分な乳房から目を離せない。

 誘われるままスポブラの内側に指を入れて、ぺたりと触れてみる。吸いつくような肌をしていて、ずらすと丸みを帯びた乳房を隠すものがなくなった。

 冬になり、千夏ちゃんはさらに女性として綺麗になったと思う。外で遊ぶことが減って小麦色の肌は本来の白さに戻りつつあり、また手に乗った乳房の重みが女であることを主張する。

「あ、あぁ……ー……」

 じっくりコネ始めると切ない声を上げて、裸体が熱を高めていく。明るい色の髪を揺らし、羞恥で頬を染めながらも身を隠すことはない。
 カーテンを閉ざした薄暗い部屋で、互いの興奮した呼吸音だけが響いているというのは、やはり「いけないこと」だと自覚させる。

 そっと撫でるだけで少女の息を荒くさせて、やわらかな先端を指で挟むと、ビクと腰が震える。鎖骨に息を吹きかけるだけですぐに肌が泡立って、呼吸はより早くなる。

 千夏ちゃんはかなり興奮していた。それは姉の恋人相手という背徳感によるものかもしれない。これまで何度となく少女が誘惑しても全て空振りだったのに、今日の俺はこらえ性がまるで足りなかった。

 ーー結果、これまでに溜まっていた性欲が溢れてきた。

 おしゃべりな少女はすっかり静かになり、揉みしだかれてゆく己の乳房をただ見下ろす。いやらしく卑猥な形にされるのを見て、瞳がだんだんぼうっとしてゆく。

 細い腰に手をやり、背筋の辺りをぎゅっと押す。するとゾクゾクと身体を震わせて、こらえきれず少女は唇をわずかに開く。
 ふっ、ふっ、と唇をすぼめて呼吸する様子は、すでに仕上がりつつあると告げている。なにをかというと女としての準備をだ。

「徹、さわりかた、やらしい……」
「千夏ちゃんのほうがエッチだと思うけど」

 そう答えながら腰をさすり続けると、ぞくん、ぞくんと少女は揺れる。わずかにのけ反って、それから熱い息をゆっくりと吐く。

 ふうううー、という呼吸はたぶん我慢をしている。興奮し過ぎないように自制していると感じたが、しかしズボンが窮屈だと思えるほど勃起している俺は、この幼い女性を芯から溶かすことを願っていた。

 これまでじっくりと胸を揉んでいた動きをだんだん早くする。はあ、はあっ、と千夏ちゃんは息を荒げてゆき、胸への愛撫に合わせて腰を動かし始めていた。

 やがて血流が良くなり、胸がだんだん張ってゆく。苦しいとさえ少女は思ったかもしれない。乳頭がさらに膨らんで、先ほどよりもずっといやらしい形になっていたんだ。
 ジンとした熱がそこにある気がしたし、口をゆっくりと近づけてゆくだけで千夏ちゃんは吐息を震わせていた。

 小さな手に頭を引き寄せられながら思う。
 彼女はすでに溶けつつある。身体を溶かし、思考を溶かし、大きなものを呑み込む準備をしつつある。
 伊豆以来の久しぶりであるのだし、前準備を長くしようと思っていたけど、その必要はなさそうだった。

 はやく、と見つめられるなか、もったいぶるように口をゆっくりと開く。はやく、はやく、と言いたそうな顔を見つめながら指先一本ぶんの距離を俺は埋めた。

 ちゅぽりと乳頭を口にすると、彼女の吐息が降ってくる。はぁーー、という湿度と熱がこもったものであり、また体内の仕上がり具合を伝えるものだった。

 しっかりと頭を抱かれるなかで、ものすごくしてはいけないことだと互いに分かりきっておきながら、胸を揉みしだいて舐めるという行為を止められない。やわらかく弾み、それに合わせて心地良いあえぎ声を少女は漏らす。

 もうひとつ前掛けのボタンを外す。シャツの隙間に手を入れて、ふかっと乗る下乳の感触を楽しんでから乳房をさらに外に出す。
 外気に触れたのを感じたのだろう。ふと見上げると、千夏ちゃんは虚空をぼんやりと見つめながらわずかに舌を覗かせていた。

 年齢に合わない欲情した顔を楽しみながら、シャツの内側に手を入れてゆく。そうして背筋を直接撫でると、ぞくん、ぞくんという震えが増す。
 お尻の少し上、尾骨の辺りが弱いらしい。くるくると円を描いて、たまに指の腹で引っかくと「う……っ」と呻く。

 それからシャツに挟まれて誇張された魅惑の谷間、これ以上なくやわらかい場所に俺は鼻を埋めることにした。頬を包んでくる乳房はやはりすべすべで、言いようのないやわらかさがあって、女の子の濃い匂いがしていた。
 後ろ頭を支えられながら息を吸い、ゆっくりと吐く。そんな吐息だけで千夏ちゃんはまたぞくんっと震えて、荒げる呼吸音が上から聞こえてきた。

 とくとくと小鳥のように鳴る心音。それを感じながら谷間の一番奥に口づける。ビクと裸体が震えて、垂れてきた汗が頬に触れる。
 すごくいい匂いだった。欲情の香りというべきか、不思議といつまでも嗅いでいられる匂いだなと思う。

「と、徹のエッチ……」

 そう囁かれて、乳房に挟まれながら顔を上げる。しかし文句を口にしながらも瞳は「もっと」と誘っていた。そのことに少女は気づいているだろうか。

「エッチって……官能小説を書いている子に言われても困るなぁ」
「あー、言ったな。ボクはもうプロなんだから、ちゃんと敬わないとダメなんだぞ」
「じゃあ、エロ小説作家様」
「んー、んー、なんか釈然としないけど……。でも徹だからいいよ。いつも助けてくれるし、そんなに嫌いじゃないし」

 そう言って、額に口づけをされた。むちゅーっという子供みたいな感じだったけど、嫌な気はぜんぜんしない。髪を撫でてくれるし、大きな瞳が間近で見つめてくれるしさ。

 キス、したいなぁ。
 そういう顔つきを千夏ちゃんはした。

 でも俺はというとなぜかまずい気がしていた。吐息を繰り返している唇には艶があり、もしも触れあえたら気持ちいいのは分かっている。
 理由のない嫌な予感のせいで動けずにいると、そっと頬を撫でられた。

「徹、気持ちいいよ。キスをしたらすごく気持ちいい」
「う、だけどそれは……」
「ただ口がくっつくだけ。大した意味なんてないし、同い年の子はみんなしてることだよ」

 隙ありということか、つんっと唇で軽くつつかれる。つん、つん、となおも続いて「もうしちゃってるし」と囁かれる。
 それから、ぱくっとひと思いに食まれた。

 内側は湿りけがあり、やはり温かくて張りのある唇だった。その弾力を楽しむように細かなキスを繰り返されて、俺はこらえきれずに食み返す。

 ああ、口が小さいな。
 互いの背中を撫でながら、半開きの唇から出てきた舌が触れあう。ぬるんとした感触があり、ぬるん、ぬるんという心地良さを楽しむ。
 気づいたら内側を丹念に舐められていた。

 小さな舌が好き勝手に舐めてくるのを感じて、こらえきれず俺も甘美な舌を舐め返す。かぽりと隙間なく唇を重ねて、思うがまま互いの舌が動く。

 顔を斜めにして、舌がより密着するように。
 互いの頭を支えて行為に集中できるように。

 そんな交尾のようなキスをして、もはやどちらのか分からない唾液をゴクッと飲み込んで、やがて息苦しさに唇を離す。

 はーー、と熱い息を吐く。
 新鮮な空気を吸って落ち着きたかった。だけど少女はそれを許さない。膝立ちのまま「まだする」と言うように吸いついてきたし、逃さないようにまたがってきた。

 よく漫画とかのキスシーンで唾液の糸を垂らすシーンってあるよね。思春期のころは少しだけエッチだなと思ったけど、大人になるとどうでも良くなったあの表現。
 それをいま俺はしている。

 細かなキスを繰り返されて、離れてゆく唇を追うように舌を伸ばす。千夏ちゃんはもったいぶって、舌がもうすぐ触れるところで動きを止める。
 たらりと唾液が垂れてきてこちらの舌に乗り、あっと思ったときには甘露な舌が絡みつく。

 もごりと動かすだけで発情と欲情の味が増す。驚くほど上手いし、たぶんこれは官能小説作家による妄想の産物だと思う。
 だらしなく口を開いたまま舌で舐め合い、のぷっとまた唇全体を重ねる。それがまだ幼さを感じる相手とあって、癖になりそうなほど心地良い。
 顔を見れば性的なキスに味をしめているのは丸わかりだった。

 少女のあごまで垂れた唾液を舐める。恍惚とした表情のままぞくりと身体を震わせて、千夏ちゃんは抱きついてきた。
 
 んっ、んっ、というささやかな喘ぎ声を聞きながら、求められるまま首筋に口づける。
 やはり肌はすでに熱く、敏感な首に次々とキスを灯すと半裸の身体はわななく。ぎゅっと頭に抱きついてきたとき、俺からは無防備にさらけ出した乳房が丸見えだった。

 こうして見ると子供と大人が混ざっているみたいだなと思う。胴が短くて、そのぶん乳房やお尻の大きさが際立つ。
 その向こう、またがった股間はズボン越しに愛液を染み出させており、魅惑的な光景に誘われるまま俺は指を伸ばす。

 ビクッと痙攣を起こすと千夏ちゃんは強く抱きついてきた。ズボンの上から大事なところを指でつまんだからだ。
 湿り気があって、やわらかくて、ほんのりと熱い。恥骨のすぐ下、クリの辺りに親指を置いてじっくり撫でてゆくと、千夏ちゃんは腰を小刻みに震わせた。

「興奮してる、千夏ちゃん?」

 そう問いかけると熱っぽい瞳に見つめられた。愛撫に合わせて吐息を震わせる少女は、こくっと遅れてうなずく。

「ここ、もうすぐ見られちゃうね」

 指で刺激しながらそう言うと、ゾックと腰を強く震わせる。とたんに呼吸が早くなり、少女の肌が汗ばむのを感じた。
 撫でると揉むの中間くらいが一番良いらしくて、女の匂いを漂わせながら千夏ちゃんはすがりつく。それから小さな声が耳元で聞こえてきた。

「徹、言葉がエッチだよぉ……」
「でも興奮しちゃう?」
「…………」

 こくんと小さく頷かれた。よしよしと頭を撫でるあいだも大人しくて、なんだか子供相手にいけないことをしているみたいだった。まあ、実際そうなんだけど。
 こんなことを教えて本当に平気かなぁと悩みはするが、すでに半ズボンから液体が染み出している。呼吸は早くなり、体温もさらに高まった。
 もうすぐだなと思ったとき、嫌々と千夏ちゃんはかぶりを振った。

「こ、こんなに早くイクはずは……」

 ない、と言いたかったのかな?
 それどころじゃないらしくて、こてんと肩に頭を乗せてきた。オーガズムを迎えることにすっかり集中しているらしく、自然と俺の太ももに股間をこすりつけてくるのが可愛らしい。
 そんなごく弱い刺激のなかで、彼女の待ち望む瞬間が訪れる。

「あっ、う゛っ……!」

 可愛い顔をくしゃりと歪ませて、ひときわ大きく腰を震わせた。太ももでぎゅーっと強く挟んできて、余程の衝動があったのか、腰を「の」の字にくねらせる。
 女性にしか味わえないオーガズムの時間を楽しみ、そして千夏ちゃんはゆっくりと顔を上げる。その表情に、思わず俺はうめいた。

 唾液とたくさんの汗で濡れて、乳房全体が光沢を生んでいた。たらりと流れ落ちる先には形の良いおへそがあり、胸元と胴だけ日焼けしていないせいか女性の魅力を強調されているように思う。

 ぼうっとした瞳で俺を見つめながらゆっくりと腰を浮かせて膝立ちになる。太ももをしとどに伝う愛液に構うことなく、ふううーと熱い息をする様子に驚いたんだ。

 うっ、これで本当にC学生の色気か。
 気づけばセックスを始めるカウントダウンが始まっていて、年齢にそぐわない肌で感じるほどの色気によって俺は動けない。

 たぶんこれは小説の影響だ。官能小説の世界にどっぷりと浸かり、寝ても覚めても彼女は妄想し続けた。
 俺は読むことしかできないけど、小説家とはそういうものかもしれない。極めて密度の濃い妄想によって、まるで己で体験したように感じたことだろう。そうでなければ読者が興奮するような文章など書けやしない。

 これが千夏ちゃんの裏の顔だ。そう俺は悟る。
 幼い言動のせいで気づけないが、本人の気づかぬうちに身体はすっかり女になっていた。目覚めて、花開いて、あとはもう本番のときを待つばかりという状態なんだ。

 気づけば彼女の半ズボンのボタンに指をかけていた。少し力を込めるだけで外れて、もうっとした女の匂いが立ちのぼる。
 思わず視界がくらむほど魅力的な匂いであり、彼女もそれに気づいたらしく腰をグイと寄せてきた。

 ほつれた髪をそのままに、ぼうっとした表情の千夏ちゃんに見つめられている。促されるまま、精子でパンパンになった下半身の欲望に背を押されるまま、ジイ、イ、とチャックを外してゆく。このとき俺はかなり息が荒かったと思う。

 ぬめりけのある下着にはかすかに陰毛が透けていて、背徳感に責め立てられるなかチャックをさらにおろしていく。ああ、指が震える。
 張りついていたせいでぷっくりと膨らんだクリがまず見えて、まっすぐの線が目の前で露わになる。こらえきれず下着の内側に指を入れて、たくさんの愛液に絡みつかれたとき……。

 ーークポォ、クポポォ?

 唐突におかしな電子音が聞こえた。
 一瞬だけ指が止まったのだが、こちとら朝方に寸止めされてからムラムラしっぱなしなんだ。早いとこ吐き出したくて仕方ない。
 ああ、俺は最低さ。告白を断っておきながらセックスはセーフという異次元の判定が行われているしさ。でもそうしないと収まらないくらい、俺の理性がかなり危うい。

 しかしだな、ざあっと血の気のが引いた千夏ちゃんを見たら、溢れんばかりの性欲が消えてゆく。彼女がスマホを手に取るよりも早く、俺はクポォという効果音の意味を悟ったんだ。

「おおお、お姉ちゃんが近いよおおお!」
「おわああああああーー!」

 俺たちは揃って悲鳴を上げた。
 そう、さっきのクポォは位置情報アプリを逆手に取った「茜ちゃん接近警報」だ。完全に憶測だが、こういうときのために千夏ちゃんはアラームをセットしておいたのだろう。
 さすがは千夏ちゃん、グッジョブと言いたいところだけど、画面を見てさらに顔を真っ青にさせる様子に……ざあっと俺の血の気まで引いちゃうよね。具体的に言うとアソコに集まっていた血がすべて元ある場所に戻った。

「す、すごく近いし真っ直ぐ来るヨオオ!?」
「こらこら、パニックを起こすんじゃない。落ち着け千夏ちゃん」

 ロスタイムが何秒あるかは知らないが、俺は「まだ慌てる時間じゃない」のポーズと表情をする。しかしやっていることは将来の義妹のおっぱいをスポブラに収めるという条例的にも常識的にも問題のある行動なのだから締まらない。

 千夏ちゃんはなかなかパニックから立ち直れない様子だった。どうしようどうしようと繰り返し言うだけで、いくらなだめても落ち着いてくれないんだ。まあ、それくらい緊迫した状況なんだよね。

「だけど手がないわけじゃない。うちの玄関には鍵をかけてあるから……」

ーーがちゃん!

 戦慄した。ぞっとしたし近年稀にみるほどの恐怖を感じた。チャイムを鳴らすことなくノータイムで解錠という、いわば「合鍵くらい持ってますけどなにか?」という行為に恐れおののいたんだ。

 でもなかなか玄関が開かない。
 鍵はもう外れたのに、茜ちゃんはなぜか姿を現さない。そのせいで次から次へと嫌な汗が噴き出てきた。

 はぁー、怖い。
 はぁぁー、怖いよぉ。
 この静寂が怖いし、俺たち2人の心臓が痛いくらい鳴っている。
 そろりと四つん這いになって玄関を見ると、やはりそこには誰もいない。すりガラスの向こうに人影もない。

 それでいて振り返ると千夏ちゃんが泣きそうな顔でスマホを向けてくる。そこには「お姉ちゃん」という文字があって、わずか数メートルの距離にいるのだと地図情報が告げていたんだ。ゴックと喉が鳴ったよ。

 なにコレぇ! すっごい怖い!
 ああああ、怖い、怖い、怖いよぉ! たぶん相手が見えないせいだ。そのせいでたくさん想像しちゃうんだ。茜ちゃんの恐ろしい顔を。

 そのとき、俺は気づいた。気づいてしまった。閉ざしたはずのカーテンの隙間から、茜ちゃんが無表情で居間を覗いていることに。
 ビビクンと腰が痛くなるくらい俺は震えた。

「「ぎゃっああああああ!」」

 千夏ちゃんと抱き合って、俺たちは悲鳴を上げた。すぐ隣からじょっという音とともに生温かい液体が溢れたのは……彼女の名誉のためノーコメントにしておこう。
 


 ぐすんぐすんとすすり泣く声と「ごめんね、驚かせちゃって」という謝罪の声が聞こえてくる。
 しかし衣服を洗っているらしき音も聞こえるので、俺は絶対に脱衣所を覗けないんだよね。きゃあ、エッチという展開はラブコメのなかでだけやって欲しい。

 ああ、お腹が痛くなってきた。寸止めとお預けをされて溜まりきった精子のせいだ。
 まあ、そんなひどい状況なので俺は大人しく廊下にうずくまっている。しかし気になることもあるので、姿の見えない女性に問いかけた。

「びっくりしたよ、茜ちゃん。玄関の鍵が開いたと思ったら窓にいるんだもん」
「ごめんなさい。やっぱり勝手に入ったら怒られるかなと思って、居間のほうに回り込んだんです」

 それってつまり合鍵を持っているってこと? 鍵を貸した記憶もないんだけど、あれって簡単に複製できるものなのかな。

 そう思っていると、ひょいと彼女は脱衣所から顔を覗かせる。綺麗な黒髪をしており、こうして不意をつかれると胸がどきっと鳴るくらい可愛い子だ。合鍵のことなんて頭から消えてしまいそうで……いや、さすがに無視できんわ。

「まさか合鍵を……」
「お兄さん、玄関の鍵は開いていましたよ」

 本当に? そう問いかけたかったけど、えもいえぬ迫力ある笑みによって俺の口は勝手に閉じていく。伸ばされた手が俺の頭をなでなでして「分かりましたね」とお姉さんぶって畳みかけられると、こくっとうなずかざるを得ない。

 脱衣所から聞こえるザブザブという水音は、たぶん千夏ちゃんがパンツを洗っているのだろう。
 あ、怪我の功名だったのかな。かなり濡れていたと思うし、こうなるともう疑われることはないのか。

 ひそかに胸の内でホッとしながら、ちょいっと茜ちゃんを指で招く。そして近づいてきた彼女に問いかけた。

「千夏ちゃんの替えの服はどうしようか。コンビニので良かったら買ってくるけど」
「あ、そうですね。どうしましょうか……」

 地域によるかもだけど、最近ではそんな物まで扱っているんだよね。なのでそう提案したところ茜ちゃんではなく脱衣所から返事をされた。

「ドライヤーで乾かすから平気。お漏らししてパンツを買ってもらうなんて絶対にヤダ」

 涙声で千夏ちゃんはそう言うと、ひょいと顔だけ覗かせてくる。不機嫌そうだしまだ鼻は赤いけど、涙はだいぶ引っ込んでいた。

「小説の件で悩んでいることがあって……あ、お姉ちゃんもいるならちょうどいいかな。お願いがあるんだけど、言ってもいい?」
「え? ええ、いいけど……」

 思わずという感じで茜ちゃんはうなずいてから、きょとりとした兎さんみたいに可愛い瞳を俺に向けてくる。もちろん俺だって首を傾げるよ。だってついさっき小説の悩みを解消したと思っていたんだし。

 そんな俺たちの視線を集めて、にこりと千夏ちゃんは笑う。なんとなくその笑みは、ろくでもないことを言いだす気がした。

「お姉ちゃん、徹、これから2人でエッチしない? どうせボクがいなかったらしてただろうし」

 ーーは?
 俺と茜ちゃんは揃って口をあんぐりと開いた。
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