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三章 ブーガを狩る娘

47話

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アスカと冒険者数十名がダンジョンから出てきた俺達を出迎えた。
ハイブーガの討伐を報告すると冒険者から歓声が上がった。

ギルドマスターのリーガンへの報告を済ませた後、ギルドを出たところで冒険者から酒場に誘われた。

ルーテの一件を知らない者たちにとってはこの任務は大成功だろう。だが、俺は早く宿に帰り、冷水を頭から浴びたかった。

「セツ、こうゆう時は飲もう。主役が居ないと場が冷めるってもんだろ?」

レイナはそう言って、俺を半ば強制的に酒場へと押し込んだ。そして、いつものように笑い、いつものようにエールを飲んだ。

冒険者から一気飲みの勝負を持ちかけられれば快諾し、その全てに勝利していた。

俺はレイナのペースに合わせるようにただエールを流し込んだ。エールはやけに冷たく、いつもは喉に心地よく刺さる炭酸の刺激が、今日はやけに不快に感じた。

気づいたら、酒場で飲んでいるのは俺とレイナだけになっていた。ほとんどの冒険者は帰っていて、何人かは酒場の床で酔いつぶれていた。

コップいっぱいに注がれたお代わりのエールが4つテーブルに置かれる。

「今日は好きなだけ飲んでってくださいね。いつでもお呼びください」

店員はそう言って店の奥の方へと姿を消した。

「気を使わせちゃったかな」

レイナが照れくさそうに笑う。

「付き合わせてごめんね」

俺は首を横に振った。

「ダンジョンの中のこと、変に勘ぐられても困るからさ」

冒険者には、大量発生の根源だったハイブーガ2体を討伐したとだけ伝えた。アスカとリーガンにも同様に報告した。ルーテ、そして妹の死体は燃やしたため、俺たちしか事実を知らない。
作戦は大成功。そこからの流れを断ち切らないことでルーテとの約束を守ったのだと、俺はいまさら気付いた。

「貴女は好きな人と一緒になってね」

レイナは、ルーテの言葉を口にする。

「セツ、一緒になる?」

突然の言葉に驚き、飲みかけていたエールで少しむせる。

「酔ってるのか?」

「少しね……」

レイナは少し眠そうな顔をしているが、顔色も通常通りで特に酒に酔った様子はない。

「セツ、私を女として見れる?」

「見てるよ。レイナは素敵だ。前にも言っただろ?」

「私の裸を見ても?」

レイナの言葉で、忘れることにした記憶が蘇った。

今日の朝、俺は水浴び場でレイナの裸を見た。

しなやかに鍛え上げられたレイナの肉体は程よく引き締まり、とても美しかった。褐色のきめ細かい肌には水が滴り、いつも以上に輝いていた。


そして……、臀部には異物が見えた。
それは、全てのブーガに付いてる尻尾に似ていた。

「私はハーフ・ブーガだ」

レイナの告白は俺だけに届いた。
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