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とある王命により、不自由な生活を強いられている令嬢の独白
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「貴女は、この者を愛することを誓いますか?」
私へと優しそうに微笑む司祭様。
ごめんなさい、先に謝っておきますわ。
一切の曇りのなかった貴方の経歴に、本日私が曇りを作ってしまいますもの。
「いいえ、誓いませんわ。」
この言葉によって。
「それでは、え?」
ウフフ、いつもならば粛々と進められますもの。
私の言葉を理解しきれずに、そのまま進めようとなさいましたわね。
驚いたお顔が、なんだか可愛らしいわ。
「この婚姻は、白いものとなりましょう。」
愛することを誓いませんと告げてから、白い婚姻の宣言をしなければなりませんの。
白い婚姻にしていただきませんと、私はとても困ってしまいます。
ウフフ、お兄様ったら、それはまだ早いですわ。
「何を言っているんだ?!」
あらまぁ、どうして驚いておられますの?
「この婚姻は政略で成ったものですけれど、たとえ本意でないとしても一応は婚約者となった私を守ろうとすらしない方を、夫として遇する必要性が見い出せませんわ。」
一応、理由はお話しいたしますわ。
理解していただけるかは分かりませんけれど、きっと思考回路が違いますもの仕方ないわよね。
「は?!」
あら、きちんと理由をお教えいたしましたのに、やっぱり理解出来ませんのね。
ここから見える参列者の皆様も、面白いお顔をなさっておられるわ。
どれだけの方が理解してくださるのかしら。
「婚約者である私へと贈られた贈り物を、その国の王女とは言え他人が身に付けていても気付かない方が夫だなんて、信じられませんわ。」
あらまぁ、参列者の方々がざわざわとし始めましたわね。
これらは我が国で起きた出来事ですし、この場にいる皆様の多くは知らないのでしょうね。
我が国に駐在しておられた大使の方はご存知の筈ですけれど、どうして驚いておられるのかしら?
「あちらの国で私が嫌がらせを受けていても、気付いておられないのか、見て見ぬ振りをなさっておられたのかは分かりませんけれど、放置なさいましたわよね?
そのようなことを平気で行える貴方様のことです。
この国で私が嫌がらせを受けていても、きっと気付かないのでしょう?
もしも気付いていたとしても、見て見ぬふりをなさるのでしょう?
今までもそうでしたもの。」
皆様にきちんとご説明いたしませんと納得していただけないでしょうから、具体的な事例をお話しいたしましょうね。
「私とのお茶会で、私と言葉を交わしたのはどのくらいでしたか?」
ウフフ、貴方様は覚えておられるかしら?
「は?いつも普通に交わしていただろう?」
あらあら、貴方様の中ではあれが普通なのですか?
会話というものをご存知ないのかしら?
「1年に1回のお茶会の度に、私が話したのは1言ずつですわ。
具体的にご説明いたしますと、私が花嫁教育を受けていたために遅れてしまった際に、貴方様が
『遅かったな。』
と仰られた際には、
『申し訳ございません。』
とお答えしておりましたわ。
その言葉の後に、遅くなってしまった理由をご説明しようといたしますと、
『言い訳は聞きたくない。
疲れたから、今日はもうお開きで。』
と仰られまして、お部屋へとお帰りになられましたわね。
そして、最初から参加出来た際には、
『おはようございます。』
と私がご挨拶をしたならば直ぐに、王妃様の侍女が呼びに来てしまいまして、王妃様が呼んでおられるからとその場を離れさせられておりましたわ。
貴方様は、婚約者との交流が出来ていないことに何の疑問も持たずに、私との交流のために我が国へと訪れている筈の日々を、我が国の王女殿下や王妃様と共に過ごしておられたのでしょう?」
王妃様の侍女は、今か今かと見計らってましたものね。
貴方様には見えないところで、いつもチラチラと見ておりましたわ。
「遅れる方が悪いだろう。」
そう仰られるのだろうとは思いましたけれど、本当に仰られましたわね。
お兄様、もう少し我慢してくださいませね?
「あちらの王妃様によって、必要の無い花嫁教育を詰め込まれておりましたの。
婚約者としての交流の為に貴方様が滞在する日に、花嫁教育を詰め込むなど愚行ですけれど、画策しているのは王妃様なのです。
貴方様が苦言を呈さなければ、このような愚行も許されるのだそうですわ。」
お茶会の日に、必要の無い教育を受けさせようとする王妃様が一番悪いのだとは思いますけれど、婚約者としての交流が出来ていないことに苦言を呈さない貴方様も、十分に悪いですわよね。
「お前の出来が悪いのだろう?」
まぁ、必要の無い教育だと申しておりますのに、そのような解釈をなさるのですね。
愚かな方の思考回路、勉強になりますわ。
「貴方様は、公国や帝国、皇国の兵法を学んでおられますか?」
お兄様が放ってくださった密偵により、貴方様がこれらの勉学をしておられないことは知っておりますわ。
「は?専門が違うのだから、学ぶ訳ないだろう?
そもそも、何故兵法を花嫁教育で学ぶんだ?」
ウフフ、貴方様は本当に何も知らないのね?
国同士の思惑あっての婚約なのですから、密偵くらい放っておくべきですわ。
*
私へと優しそうに微笑む司祭様。
ごめんなさい、先に謝っておきますわ。
一切の曇りのなかった貴方の経歴に、本日私が曇りを作ってしまいますもの。
「いいえ、誓いませんわ。」
この言葉によって。
「それでは、え?」
ウフフ、いつもならば粛々と進められますもの。
私の言葉を理解しきれずに、そのまま進めようとなさいましたわね。
驚いたお顔が、なんだか可愛らしいわ。
「この婚姻は、白いものとなりましょう。」
愛することを誓いませんと告げてから、白い婚姻の宣言をしなければなりませんの。
白い婚姻にしていただきませんと、私はとても困ってしまいます。
ウフフ、お兄様ったら、それはまだ早いですわ。
「何を言っているんだ?!」
あらまぁ、どうして驚いておられますの?
「この婚姻は政略で成ったものですけれど、たとえ本意でないとしても一応は婚約者となった私を守ろうとすらしない方を、夫として遇する必要性が見い出せませんわ。」
一応、理由はお話しいたしますわ。
理解していただけるかは分かりませんけれど、きっと思考回路が違いますもの仕方ないわよね。
「は?!」
あら、きちんと理由をお教えいたしましたのに、やっぱり理解出来ませんのね。
ここから見える参列者の皆様も、面白いお顔をなさっておられるわ。
どれだけの方が理解してくださるのかしら。
「婚約者である私へと贈られた贈り物を、その国の王女とは言え他人が身に付けていても気付かない方が夫だなんて、信じられませんわ。」
あらまぁ、参列者の方々がざわざわとし始めましたわね。
これらは我が国で起きた出来事ですし、この場にいる皆様の多くは知らないのでしょうね。
我が国に駐在しておられた大使の方はご存知の筈ですけれど、どうして驚いておられるのかしら?
「あちらの国で私が嫌がらせを受けていても、気付いておられないのか、見て見ぬ振りをなさっておられたのかは分かりませんけれど、放置なさいましたわよね?
そのようなことを平気で行える貴方様のことです。
この国で私が嫌がらせを受けていても、きっと気付かないのでしょう?
もしも気付いていたとしても、見て見ぬふりをなさるのでしょう?
今までもそうでしたもの。」
皆様にきちんとご説明いたしませんと納得していただけないでしょうから、具体的な事例をお話しいたしましょうね。
「私とのお茶会で、私と言葉を交わしたのはどのくらいでしたか?」
ウフフ、貴方様は覚えておられるかしら?
「は?いつも普通に交わしていただろう?」
あらあら、貴方様の中ではあれが普通なのですか?
会話というものをご存知ないのかしら?
「1年に1回のお茶会の度に、私が話したのは1言ずつですわ。
具体的にご説明いたしますと、私が花嫁教育を受けていたために遅れてしまった際に、貴方様が
『遅かったな。』
と仰られた際には、
『申し訳ございません。』
とお答えしておりましたわ。
その言葉の後に、遅くなってしまった理由をご説明しようといたしますと、
『言い訳は聞きたくない。
疲れたから、今日はもうお開きで。』
と仰られまして、お部屋へとお帰りになられましたわね。
そして、最初から参加出来た際には、
『おはようございます。』
と私がご挨拶をしたならば直ぐに、王妃様の侍女が呼びに来てしまいまして、王妃様が呼んでおられるからとその場を離れさせられておりましたわ。
貴方様は、婚約者との交流が出来ていないことに何の疑問も持たずに、私との交流のために我が国へと訪れている筈の日々を、我が国の王女殿下や王妃様と共に過ごしておられたのでしょう?」
王妃様の侍女は、今か今かと見計らってましたものね。
貴方様には見えないところで、いつもチラチラと見ておりましたわ。
「遅れる方が悪いだろう。」
そう仰られるのだろうとは思いましたけれど、本当に仰られましたわね。
お兄様、もう少し我慢してくださいませね?
「あちらの王妃様によって、必要の無い花嫁教育を詰め込まれておりましたの。
婚約者としての交流の為に貴方様が滞在する日に、花嫁教育を詰め込むなど愚行ですけれど、画策しているのは王妃様なのです。
貴方様が苦言を呈さなければ、このような愚行も許されるのだそうですわ。」
お茶会の日に、必要の無い教育を受けさせようとする王妃様が一番悪いのだとは思いますけれど、婚約者としての交流が出来ていないことに苦言を呈さない貴方様も、十分に悪いですわよね。
「お前の出来が悪いのだろう?」
まぁ、必要の無い教育だと申しておりますのに、そのような解釈をなさるのですね。
愚かな方の思考回路、勉強になりますわ。
「貴方様は、公国や帝国、皇国の兵法を学んでおられますか?」
お兄様が放ってくださった密偵により、貴方様がこれらの勉学をしておられないことは知っておりますわ。
「は?専門が違うのだから、学ぶ訳ないだろう?
そもそも、何故兵法を花嫁教育で学ぶんだ?」
ウフフ、貴方様は本当に何も知らないのね?
国同士の思惑あっての婚約なのですから、密偵くらい放っておくべきですわ。
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