早々にシナリオ崩壊?!

神谷 絵馬

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「赤ちゃんについて、物騒なことを叫ぶ愚か者がいると聞いたのだが?」

「あ、それって多分ここですー。
このお嬢様がその愚か者ですよー。」

あ、やっと来ましたね?
憲兵さーん、愚か者ならこっちですよー。
なるべく身体に触らないように止めておくの、かなり面倒だったんですよー?
頑張ったんで、誰か褒めてほしいなぁ。

「はぁ?!あんた何よ!!」

「我が国での赤ちゃんとは、神聖な存在である。
それを、消せと言ったそうだな?」

「私のモノであるあの人と引き離すようにと言っただけよ!
赤ちゃんを殺せとは言ってないわ!!」

「ふむ...船長と船長が抱く赤ちゃんを引き離すようにと命じたのか......。
今、入国審査をしている者に確認したが、あの赤ちゃんは船長の子供だと登録されているそうだ。
親子を引き離せとは...何様のつもりなのであろうか?
拘束して詰め所へと連行する!
あ、君にも証言してほしいのだが...構わないか?」

「あ、はーい!行きます行きます。
お嬢様に言われたことを、そのまま証言すれば良いんですよね?
あ、一応僕のことも拘束しときます?
どうぞどうぞ、ご遠慮なく!」

「いや、君は拘束せずとも良い。
一応、この腕輪だけ嵌めてくれ。」

「はーい!」

拘束されなくて良かったー。
昔、このお嬢様の身代わりにされたときに着けられたことあるけど、重たいし、痛いんだよねー、あれ。
重要参考人が着ける腕輪を渡されたのだけど、こっちは軽くて良いね!
お嬢様ったら恨みがましくこっちを見てるけど、自業自得でしょー。
ちゃーんと償ってよね?
今度は、ちゃんと、自分で...さ?

という未遂事件があったりして、ルシアの警備は堅くなりましたとさ?

__________

「まぁ!可愛らしい!
是非とも仲良くいたしましょうね?」

いぃーやぅーでぇーすぅー。
顔をしかめたくなる程度には香水臭いし、顔は笑ってるけど目ぇ据わってて笑ってないし、どう見ても貴女も貴女の後ろにいる侍女?メイド?も、私を敵視してるよね?
アンタの抱っことか、断固拒否します!
だから、勝手に触らないでってばー!!

あ、私、お庭で日向ぼっこしてたんだよねー。
小さめのお花が所狭しと咲くお花畑の前にミシャードさんが敷布を敷いてくれたから...そこでハイハイしてみたり、前世で見たことがある匍匐前進を2種類くらいやってみたり、ただひたすらコロコロしたりしてました。

それでね?今は、パパさんがお手洗いに行ってるの。
ミシャードさんは、突如悪臭が漂ってきて...私がその臭さに唸り出したからとその異臭騒ぎを確認しに行ってしまって、私の側にいるのがアイリーンさんだけになっちゃってたの。
そしたら、誰にも招かれていないのに、3人の女を引き連れた女が勝手に入って来たのよ。
これって、立派な不法侵入だよね?
私を守るように私の前に立って不法侵入者達の対応をしようとしたアイリーンさんを、無駄に膨らませた宝石をゴッテゴテに縫い付けている悪趣味なドレスでドンと押し退けるなんて!なんて酷い所業!
私、ルシア、叫びまぁーす!!

「やー!!パッパ!パッパ!パッパー!!」

「おっ、ルシア?どうした?よーしよし。
パーパはここにいるぞー?」

「パッパ!」

よし、叫んだ瞬間にドドドドッと大きい音を立てながら爆走してきた...お手洗い帰りのパパさんを確保。
この人達が、臭いし怖いのよー。
ここ、パパさんとミシャードさんとの共同所有の家なのに、なんで勝手に敷地内に入ってきてるんだろうね?
あーあ、また門壊されてるじゃーん...。
かれこれ私がここに来てから3回目になるんだけど...最近では5日前に壊されて、やっとこさ来てくれた職人さんが呆れながらも昨日直してくれたのにねー。
パパさんに背中をポンポンされて、肩をムギュッと掴んでパパさんの首に擦り寄って、甘えるのー。
ハンカチ噛んでキィーーーッ!とか言いたそうな感じに睨んでくるお付きの人達に言いたいんだけど、1歳になったばかりの赤ちゃんを睨み付けるとか、心狭ーい。
仲良くする気、髪の毛1本程も見付けられないんだけど?

「まぁ!お久しぶりですわ!
ウフフ、私、赤ちゃんをお拾いになられたとお聞きしましたの。
それで、育児に長けた者をお手伝いとしてご紹介しに参りましたの。」

え?育児に長けた者をお手伝いとしてご紹介とか言ってるけど、連れてきてるの皆若くない?
1番上の人で、20過ぎてるかなー?くらいでしょ?
全然育児には長けてないと思うけど?
かなり香水臭いし、私はこの人達嫌いですー。





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