早々にシナリオ崩壊?!

神谷 絵馬

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「あらあら、人にぶつかって転けさせておいて謝りもしないの?
まぁ...そうよね、不法侵入者なのですもの...常識が無くても仕方ありませんわよね。
ま、今は良いわ!

そこの人、育児に長けた者をご紹介するとか仰っておられましたけれど、どうにも......育児に長けた者には見えませんわ。
まさか、育児というものはただ身の回りの世話をすることだとでも思ってらっしゃるの?
ウフフ、育児というものはね?
してもいいこととしてはいけないこと、物の名前や危険な物のことなど...生活する上で必要な常識を教えることも大事ですのよ?」

「は?赤ちゃんの世話をするのだから同じことじゃない!」

「まぁまぁ、大変だわ!
きちんとご説明してさしあげましたのに、どうして理解出来ないって顔をするのかしら?
あぁ、きっと頭が沸いてらっしゃるのね?
早めに、きちんとしたお医者様に診ていただいた方が良いわ!
良いお医者様を紹介してさしあげましょうか?」

「なっ?!」

「ばぁやさん、格好良い!」

「ばーや!」

あ、私は、女性達が臭いからと少し離れてパパさんと一緒に野次ってます!
アイリーンさん、頑張れー!
あ、でもでも、その人貴族っぽいけど大丈夫かな?

「ばーや...」

「ウフフ!ルシアちゃん、ばぁやはね?
この国では、ゴードフリード辺境伯爵家と縁がありますの。
だから、このお嬢さん方が貴族の方でも心配無用よ。」

「ばーや!」

私が心配したことに気付いたらしいアイリーンさんが、ウフフと品よく微笑みながら新たな事実をぶっちゃけてきました。
正直に言うと、ゴードフリード辺境伯爵家ってどんなところなのか知らないけれど、辺境伯爵家だから貴族だよね!
なら、あのお嬢様とやらにも意見できる立場なんだよね?

「ゴードフリード辺境伯爵家と縁ある...ですって??
あんたみたいな老婆、知らないわ!
頭沸いてるのはそっちでしょう??!」

「あら?私、前ゴードフリード辺境伯爵の妹でしてよ?
今の辺境伯爵様は私の甥っ子になりますの。
私が嫁いだのは貴女が産まれる前でしょうから、私のことを知らなくても仕方ありませんわ。」

「え...?」

「私は他国へと嫁ぎましたけれど、旦那様も亡くなられましたし...子供達も巣立ちましたから、故郷へと戻って参りましたの。
陸路では最短でも2年はかかってしまいますからどうしようかと悩んでおりましたら、こちらの船長さんに快く船に乗せていただきましたの。
初めての子育てだとお聞きしましたから、ルシアちゃんの子育てのお手伝いをしておりますのよ?
自分の子供を5人、途中までですけれど孫を7人育てた経験がありますわ。」

アイリーンさんって子沢山なんだよね...そんなに若々しくて細いのに、尊敬します。
そして、可愛らしく頬に手を添えてマシンガンのように捲し立てるアイリーンさんが格好良い!
あ、後ね?辺境伯爵家の方だったって聞いたパパさんが、目を見開いて驚いてるよー。
無意識に、私の頬っぺたにムギュッとパパさんの頬っぺたが密着してますです。

あ!ミシャードさんだぁー!
眉間に皺寄ってるよ?大丈夫?
そう、跡にならないように丁寧に揉みほぐしてね。
ミシャードさんに険しい顔をされると、やっぱりとっても怖いんだよねー。
流石はリザードマン!凛々しいお顔立ちなのです。

「やれやれ、これはかなり面倒ですね。
アイリーンさん......出来れば、私にだけでも教えておいてほしかったです。」

「ウフフ、ごめんなさいねぇ?
でも、私がいると知ったところで憲兵は頭が固いから対応はそんなに変わらないと思うわよ?
私は他国に嫁いだ身なのですもの...。」

「アイリーンさんはこの国の貴族家のご出身なのですから、憲兵達にはアイリーンさんを守護する義務があります。
他国に嫁いだことは関係ありません。

もしもそれでも動かないと言うのであれば、憲兵達との取引は今後一切出来ませんね......全く信頼出来ませんから。」

苦笑するアイリーンさんにニッコリと微笑みかけるミシャードさん、お2人とも笑顔がかなり怖いのよ?
ミシャードさんは蟀谷に浮き上がった青筋がピクピクしてるし、いつも以上ににんまりしてる感じ?
私が、ミシャードさんに怒られても気にせずに再度悪戯をしても、こんなに怖い顔して怒らなかったよ?
ミシャードさんって憲兵さん達のことが嫌いなのかな?
いつも温厚なミシャードさんが嫌うってことは、きっと面倒な人達なんだろうね...会いたくないわぁ。





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