(改稿版)あら...私は一欠片も悪くありませんわよ?

神谷 絵馬

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4 : お父様は、頭がおかしいのですね。

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「よし、もう馬車で通っても良いぞー!!」

「ありがとう!
それにしても、突然こんなことがあると大変だな!
仕事お疲れ様!!」

「おう、あんたも気を付けてな!!」

ロランド...この短時間で、憲兵さんと随分仲良くなってません?
2人共、声の調子が軽いですわ。

「ジーク様、ロランド兄さんが、また、たらしこんでますよー。」

「ロビン、呆れないでやってくれ。
ロランドは、相手の懐に入るのが得意なんだよ。
これも、貴重で大切な特技だよ。」

「そうですか?
僕には、節操なくたらしこんでるとしか思えないんですけど。」

確かに貴重な才能ですわね。
ロビンは納得出来ないみたいですけれど、味方は多い方が良いでしょう?
あんな風に出会って直ぐにたらしこめるロランドは、味方を直ぐに作れますのよ?
短時間で情報収集も出来ますので、雇う側の貴族としてはとても重宝いたしますわ。
ウフフ、ただの馬狂いでは無いということですわね...。

「ロビン、窓の外を見てくださいな?
そろそろ、ドルヴォルザール公爵邸が見えるかしら?」

「......はい、見えました。
そろそろ着きますね。」

「ありがとう。」

「公爵邸に着いたら、僕にはやらなければならないことがあるから、ナリア、アリアとリュシーを頼むよ。」

「かしこまりましたわ。」

「僕はご一緒しても大丈夫ですか?」

「ああ、ロビンは僕と来てくれ。」

そんなに離れてはいませんし、そろそろなのではと聞いてみたらドルヴォルザール公爵邸が見えてきたのね...良かったわ。
ルミナス伯母様は、お母様の事故のことを...もうご存知なのかしら?

公爵邸が近いと聞いて、お兄様が9歳という幼さに似合わない厳めしいお顔になられましたわ。
お兄様の邪魔にならないように、私はリュシーと大人しくしておきましょう。
それにしても、いつもは笑顔の可愛いロビンが、今日は少し悪どい笑顔に見えますわね。
気合いが入っているからかしら?

「お兄様も、ロビンも、お気を付けて...怪我して帰ってきたら、分かっておられますわよね?」

「そうよ?おにぃたまもロビンも、げんきにかえってきてね?」

「うん、分かっているよ。」

「はい、皆様!到着いたしました。」

「ロランド。」

「了解です。」

お兄様の合図で、ロランドさんが御者席から突然消えましたわ。
なにかあったのでしょうけれども......凄い脚力ですのね。
一瞬で馬車を飛び越えてしまいましたのよ?

───コンッコンッコンッ───

「どうぞ。」

───カチャッ───

「さぁ、皆様、お足元にご注意くださいませ。」

「えぇ、ありがとう。」

あの...ロランド?
貴方の足元で白眼を剥いて背中を踏みつけられているのは、きっと、私達を狙っていた刺客なのよね?
完全に伸びてらっしゃいますけれど...あの一瞬で、なにがあったのかしら?
その方に気付いたから、始末する為に跳びましたのね......流石だわ。

「ジークレン様!アリアお嬢様!リュシーお嬢様!
事情はお聞きしておりますわ!
さぁさぁ、お早くお入りくださいませ。
奥様がサロンでお待ちですわ!」

「マリネさん、妹達をお願いします。
僕は、やらなければならないことがありますので、少し出てきます。」

「ジーク坊ちゃま、アレストリッド大公様がいらっしゃってますわ。
是非とも、お会いしてから、お出かけなさってくださいませ。」

「大公様が...?
分かりました、お会いします。」

私達が馬車を降りますと、いつもは淑やかなマリネさんが飛び出して来られましたの。
私達のもとへと走り寄ると、不安そうなリュシーを軽々と抱き上げてから早く中に入るようにと促されました。
マリネさんの後からメイドさんが3人程出てこられて、ナリアと協力して私達の荷物を運び込んでくださっていますわ。
マリネさんの言う通り、早くルミナス叔母様やアレストリッド大公様にお会いする方が良いわね。

「お兄様?もしかして...大公様も、もう事故のことをご存知なのかしら?」

「そうかもしれないな...どうしてこんなにも早く知っておられるのかは分からないけど、ここにおられるということはきっとご存知なのだと思うよ。
マリネさんの言う通り、早く会っておいた方が良いんだろうね。」

「えぇ、そうですわね。」

予期せぬアレストリッド大公様との応対に、緊張した面持ちのお兄様。
えぇ、勿論私も緊張しておりますわ。
けれど、その前に、お手洗いをお借りしてもよろしいかしら?
そろそろ、限界ですわ!





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