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「こちらの、凛々しくお美しい第2王子殿下が、お前の婚約者となる方だ。
明日、顔合わせの茶会があるからくれぐれも粗相をしないようにしろ。」
と、冷たい眼差しで3歳の私を睨み付けるように見ながら姿絵を投げ渡してきた...重厚感漂うお高そうな執務机に座る男は、一応、血の繋がった私の実の父親らしいです。
少しどころじゃなく大分後退した禿げかけ...多分茶色だと思われるけど、私の位置からは髪なんてほとんど見えないから少しだけ見えた部分で判断してますので、違ったとしても悪しからず。
で、切れ長と評されるのだろうキリッとしてる目は、鮮やかな青でした。
この父親らしい男が何歳なのかは、誰からも聞いてないので知りません。
顔のシワもそれなりにあるし、なにより禿げてるので、見た目的には50過ぎかな?と、勝手に予想してます。
私と父親らしい男の丁度真ん中の辺りにある壁際にて、私の父親らしい男を柔和な笑みを浮かべながらも冷めた目で眺めつつ、絶妙に存在感を消している優しい執事。
この部屋に優しく抱かれて案内されながら、これから会うのが私の父親だということを教えてもらいました。
こちらの優しい執事は、目の前の男よりも濃いだろう茶色の髪を全部後ろに流していて、くすんだ青い優しげな垂れ目です。
それにしても、だいぶ無理なことを頼まれましたねぇ...だって、3歳ってまだまだ幼い筈ですよね?
教育なんて一度も受けたことが無いし、私の記憶が正しければこの父親に会うのすら今回が初めてなんですけど?
粗相をしないようにとか言われても、普通は婚約者が決まったとしても教育もまだのこんな幼女を、招待客が身内だけなのだとしてもお茶会なんかに出さないでしょ?
頭沸いてるの?この人?
あぁ、沸いてるのは招待しただろう王家も...かな?
なんて思いながらも、幼女に拒否権などある筈もなく...何故か嬉々とした優しい執事によって、きちんとした仕立て屋さんが呼ばれました。
そりゃあ、私の部屋にあるクローゼットには、優しい執事の手によって何度も繕われてきた継ぎはぎだらけのボロいワンピースしか無かったもんね?
あの、私の父親らしい男は明日お茶会があるとか宣ってたけど、お茶会に参加する為のきちんとしたドレスやワンピースが無いのに、参加出来るかー!って話しです。
柔和な笑みを浮かべながら私の部屋に入ってきた男性1人と女性3人の仕立て屋さん達は、日当たりが悪いので薄暗くて、ベッドと机と椅子と備え付けのクローゼットしかない小さい部屋を見て、唖然としていました。
そして、私の着ている継ぎはぎだらけのワンピースを見てまた唖然として、直ぐに目を据わらせてから備え付けのクローゼットを開け放って...異口同音に吠えました。
「伯爵家なのに!!
娘に貧民にも劣る服を着せてるとか馬鹿なの??!!」
と...本当ですよねー。
私、自分の部屋や部屋に置かれている家具、そして自分が着ている服を見ても、爵位のある娘とは思えませんでしたもん。
伯爵家の娘が、継ぎはぎのある服しか与えられていないのはおかしいですよね?
成長して短くなったり、幼子故に破いてしまったりしてしまうのは当然のことで、爵位のあるお家なら新しく仕立てさせるか既製品を買うよね?
でも、この家は、何故か買わないの。
成長して短くなったり、薄くなって破けてしまったりした私のワンピースを繕う度に、優しい執事はにこやかに微笑みつつ、低い声で呪詛のような言葉をひたすらに呟いてました。
仕立て屋さん達もおかしいと思ってくれたのなら、私にはちゃんと常識があるのだと安心出来るよね。
あー、そうそう、私に前世の記憶が戻ったのは、3歳の誕生日を迎えた日...今から3日前のことでした。
ここにいる優しい執事が、1人だけで祝ってくれたのです。
用意してくれていた可愛らしい私1人用の小さなケーキも、優しい執事のお手製でした。
あ、そう言えば、優しい執事が名前を教えてくれないのは何故なのでしょう?
あ、私の姉かららしい贈り物はありましたよ?
自分はもう嫁いでしまったので、妹の3歳の祝いに来れないことが寂しいという内容のお手紙もありました。
私にはまだ読めないので、優しい執事が私を膝に抱いて見えるように持ちつつ読んでくれました。
姉からの贈り物は、口には2本のデカイ牙が生えていて、額には1本の鋭利な角が生えていて、そして、私の3倍はあろうかという大きさの生きたウサギでした。
種族名は、バトルジャンキーラビットと言うそうです。
戦闘狂いのウサギとか...なんだか嫌な名前だけど、キュウキュウ言いながら全身でスリスリしてくるのが可愛いんですよ。
もっふりとしたお腹をワシャワシャと強めに撫でると、とても喜びます。
野生動物にとっては急所なのに、こんなに無防備に触らせても良いのかな?
父親が呼んでるからと、私を呼びに来た偉そうな態度の執事に噛み付いたときは、獰猛な光を宿した目をしていて、まるで別なウサギみたいで怖かった。
噛まれた腕を庇いつつ私に怒鳴りつけてきた偉そうな態度の執事の首を締めて気絶させ、部屋の外に放り出してくれた優しい執事曰く、一度主を決めると命をかけてでも守ろうとする健気な種族らしいです。
うん、後でちゃんと相応しい名前を決めて、ずーっと大事にするからね。
*
明日、顔合わせの茶会があるからくれぐれも粗相をしないようにしろ。」
と、冷たい眼差しで3歳の私を睨み付けるように見ながら姿絵を投げ渡してきた...重厚感漂うお高そうな執務机に座る男は、一応、血の繋がった私の実の父親らしいです。
少しどころじゃなく大分後退した禿げかけ...多分茶色だと思われるけど、私の位置からは髪なんてほとんど見えないから少しだけ見えた部分で判断してますので、違ったとしても悪しからず。
で、切れ長と評されるのだろうキリッとしてる目は、鮮やかな青でした。
この父親らしい男が何歳なのかは、誰からも聞いてないので知りません。
顔のシワもそれなりにあるし、なにより禿げてるので、見た目的には50過ぎかな?と、勝手に予想してます。
私と父親らしい男の丁度真ん中の辺りにある壁際にて、私の父親らしい男を柔和な笑みを浮かべながらも冷めた目で眺めつつ、絶妙に存在感を消している優しい執事。
この部屋に優しく抱かれて案内されながら、これから会うのが私の父親だということを教えてもらいました。
こちらの優しい執事は、目の前の男よりも濃いだろう茶色の髪を全部後ろに流していて、くすんだ青い優しげな垂れ目です。
それにしても、だいぶ無理なことを頼まれましたねぇ...だって、3歳ってまだまだ幼い筈ですよね?
教育なんて一度も受けたことが無いし、私の記憶が正しければこの父親に会うのすら今回が初めてなんですけど?
粗相をしないようにとか言われても、普通は婚約者が決まったとしても教育もまだのこんな幼女を、招待客が身内だけなのだとしてもお茶会なんかに出さないでしょ?
頭沸いてるの?この人?
あぁ、沸いてるのは招待しただろう王家も...かな?
なんて思いながらも、幼女に拒否権などある筈もなく...何故か嬉々とした優しい執事によって、きちんとした仕立て屋さんが呼ばれました。
そりゃあ、私の部屋にあるクローゼットには、優しい執事の手によって何度も繕われてきた継ぎはぎだらけのボロいワンピースしか無かったもんね?
あの、私の父親らしい男は明日お茶会があるとか宣ってたけど、お茶会に参加する為のきちんとしたドレスやワンピースが無いのに、参加出来るかー!って話しです。
柔和な笑みを浮かべながら私の部屋に入ってきた男性1人と女性3人の仕立て屋さん達は、日当たりが悪いので薄暗くて、ベッドと机と椅子と備え付けのクローゼットしかない小さい部屋を見て、唖然としていました。
そして、私の着ている継ぎはぎだらけのワンピースを見てまた唖然として、直ぐに目を据わらせてから備え付けのクローゼットを開け放って...異口同音に吠えました。
「伯爵家なのに!!
娘に貧民にも劣る服を着せてるとか馬鹿なの??!!」
と...本当ですよねー。
私、自分の部屋や部屋に置かれている家具、そして自分が着ている服を見ても、爵位のある娘とは思えませんでしたもん。
伯爵家の娘が、継ぎはぎのある服しか与えられていないのはおかしいですよね?
成長して短くなったり、幼子故に破いてしまったりしてしまうのは当然のことで、爵位のあるお家なら新しく仕立てさせるか既製品を買うよね?
でも、この家は、何故か買わないの。
成長して短くなったり、薄くなって破けてしまったりした私のワンピースを繕う度に、優しい執事はにこやかに微笑みつつ、低い声で呪詛のような言葉をひたすらに呟いてました。
仕立て屋さん達もおかしいと思ってくれたのなら、私にはちゃんと常識があるのだと安心出来るよね。
あー、そうそう、私に前世の記憶が戻ったのは、3歳の誕生日を迎えた日...今から3日前のことでした。
ここにいる優しい執事が、1人だけで祝ってくれたのです。
用意してくれていた可愛らしい私1人用の小さなケーキも、優しい執事のお手製でした。
あ、そう言えば、優しい執事が名前を教えてくれないのは何故なのでしょう?
あ、私の姉かららしい贈り物はありましたよ?
自分はもう嫁いでしまったので、妹の3歳の祝いに来れないことが寂しいという内容のお手紙もありました。
私にはまだ読めないので、優しい執事が私を膝に抱いて見えるように持ちつつ読んでくれました。
姉からの贈り物は、口には2本のデカイ牙が生えていて、額には1本の鋭利な角が生えていて、そして、私の3倍はあろうかという大きさの生きたウサギでした。
種族名は、バトルジャンキーラビットと言うそうです。
戦闘狂いのウサギとか...なんだか嫌な名前だけど、キュウキュウ言いながら全身でスリスリしてくるのが可愛いんですよ。
もっふりとしたお腹をワシャワシャと強めに撫でると、とても喜びます。
野生動物にとっては急所なのに、こんなに無防備に触らせても良いのかな?
父親が呼んでるからと、私を呼びに来た偉そうな態度の執事に噛み付いたときは、獰猛な光を宿した目をしていて、まるで別なウサギみたいで怖かった。
噛まれた腕を庇いつつ私に怒鳴りつけてきた偉そうな態度の執事の首を締めて気絶させ、部屋の外に放り出してくれた優しい執事曰く、一度主を決めると命をかけてでも守ろうとする健気な種族らしいです。
うん、後でちゃんと相応しい名前を決めて、ずーっと大事にするからね。
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