引っ越先はファンタジーな島でした。

神谷 絵馬

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ハジマリ

うん、そりゃあ荒れてるよね。1

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えーっと、中に入るためには、取り合えずこの門を開けなきゃなんだけど、門の鍵はどれかな?
ん?...あれ?この南京錠、鍵穴が無い?!
え、鍵穴が無いとか意味分からないんだけど、え、この門をどうやって開けと??
駄目元で登ってみる...ってのは、うん、無理だよねー。
手紙が来てから知らなかったことを突然知らされて、こっちに来るために手続きしたり準備したりと色々あったからかなり疲れてるんだよね。
私、あんまり運動とか得意じゃないし、この門なぜかかなり高いし落ちる気しかしないわぁ。

「開けゴマ!」

うん、さっきの人が魔法とか言ってたから一応やってみたけども、そりゃあ開かないよね...誰もいないから出来ることなんだけど、ちょっと恥ずかしい。

「ねぇ、私、家に入りたいんですけど?
鍵さん、開けてくれませんかね?」

<チィー...タラセ>

アハハ、鍵に尋ねても開くわけないか...ん?なんか喋った?
え、この南京錠から聞こえたの?
声がちっちゃくてよくは分からなかったんだけど、チィーってのは血のこと?で、それを垂らせってことなのかな?
うーん、なんか物騒なお願いだなぁー...一応垂らしてみようか?
もう大分暗くなってきてて、これからもっと暗くなってくるんだろうし、中に入れないと怖くて寝れないもんね。

「えっと、どのくらい垂らせば良いのかな?」

<チョピーット...デ、ヨカヨー>

「たしか、持ち運び用の裁縫箱がこの辺に...あった!
で、どこに垂らすの?」

<モンショウ...ノトコ、オネガイ!>

この南京錠、受け答えがなんか可愛いんだけど、魔法がかかってるのかな?
それとも、もしかして生きてるのかな?
不思議なこともあるもんだ。

<ア、アリガトー!
ハイハイ、アッキマース!
ドウゾ、オキヲツケヲー!>

「え?!」

<ドゾドゾ、ゴシュジンシャマ、オハイリヲー!
ア、ヤダ...カンジャッタァ!
ゴシュジンサマ、オハイリヲー!>

うん、やっぱり可愛いや。
可愛いんだけど、え、鍵が開いただけじゃなくて門が消えたんだけど、これって普通?
いや、普通はゴゴゴッと開くんじゃない?
これ、なんか膜張ってるようには見えてるけれども...門は確実に消えてるよね?

<ハイラナイノデスカ?>

「門はどこにいったの?」

<モン?ァ!モンハ、ボクデース。
ハイ、ゴシュジンサマノマリョクモラエタデスカラ、ケッカイニキリカエマシタデス!
ボクガ、ゴシュジンサママモルデスヨ?>

「うん、ありがとう。
私は、この家を相続した中山 琴音って言うの。
あなたのお名前を聞いてもいいですか?」

<ジョー・ナンキンデス!>

「誰が名付けたの?」

<サクラコオクサマデス!>

「そう...ジョー、これからよろしくね!」

<コチラコソ、ヨロシクオネガイシマスデス!>

そりゃあ、そんな名前つけるの日本人しかいないよね...桜子さんね、親族にその名前の人がいるとかは聞いたことないけど、後で写真とか無いか探してみよう。
人と話せるのが嬉しいのか、声が弾んでるジョー・ナンキン。
ブンブンと振られる尻尾が見える気がする...なんだろ、遊ぼうって誘ってる子供のハスキーが見えるんだけど?
幻覚とかが見えてるんだとしたら危ないな...気をつけなきゃ。
時々、話しにここに来ようかな。

「さて、私は、取り合えず寝られるようにしなきゃだね。
ジョー、また明日ね!」

<ハイデス!>

あぁ、尻尾が元気な子供のハスキーがお座りしてる...可愛いー!
1人という寂しさで、おかしくなってるのかな?
今日は早く寝よう。





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