思い付き短編集

神谷 絵馬

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アホな旦那様は放っておいて...1

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「奥様、側室の方がお見えですが、どうなさいますか?」

「あら?先日、子供が産まれたばかりですのに、どうなさったのかしら?」

「何故かは分かりませんが、とても怒ってらっしゃいます。」

「あら...旦那様がもしかしたらやらかしてらっしゃるのかしらね?
良いわ、お会いするからこちらにお通ししてくださいな。」

「畏まりました。」

「リリス、旦那様は王宮でお仕事ですから、そうね、私の具合が悪いからとでも理由を付けて呼んでもらえる?」

「畏まりました。」

はぁ、旦那様には困ったものだわ。
別邸に住んでいる子供を産んだ側室が、本邸のまだ懐妊していない正妻へと文句を言いに来るなんて、社交界へと良い噂話しを提供してしまうわね。

「アリーシア様が着きました。」

「どうぞ、お入りになられてくださいませ。」

「失礼いたします。」

メイドが取り次いでくれて、の寝室へと入室してきたアリーシアさんのお顔が、随分と強張っているわね。
あのアホな旦那様は、今度は何をやらかしたのかしら??

「アリーシアさん、ごめんなさいね。
私、三日前から熱を出してしまいまして...お医者様に寝台から出る許可がいただけておりませんの。
寝台の上からですけれど、お話しをお聞きいたしますわ。
どうなさったのかしら?」

「フレイリアナ様、私の息子をどこに隠されましたの??」

「アリーシアさんの息子さんですか?
私はどこにも隠しておりませんわ。
もしかして、誘拐ですの??!
憲兵を呼ばなければなりませんわ!!」

「いいえ、誘拐ではありませんわ。
その、息子は夜泣きが多々ありまして...私が起きたのは朝というより昼に近かったのですが、起きたら...もうおりませんでしたの。
慌てておりましたら、別邸のメイドに預けられたフレイオルト様のお手紙が!!
息子は本邸で教育するからとだけ...書いてありました。
どうか、お願いです。
私は日陰の身であると理解しております。
ですから、私から息子を取り上げないでくださいませ!!」

「...オルトったら、またやらかしてくださいましたわね。
今度こそギタギタにしてやるわ......。

アリーシアさん、私は、子供は母と共にあるのが一番良いと考えておりますわ。
今回の元凶である旦那様を呼んでおりますから、少しお待ちくださいませね。」

「え?元凶?フレイリアナ様、どういうことですの?
フレイリアナ様が進言なさったのではありませんの??」

旦那様は、私を随分と悪い女としてアリーシアさんに刷り込まれてらっしゃいますのね?
私は、とても寂しい幼少時代を過ごしましたから、母と子を引き離すだなんてどちらにも幸いとならないことなどいたしませんわ。
それに、アリーシアさんは決して日陰の身などではありませんわ。
あの阿呆な旦那様のせいで勘違いしておられますのね?
旦那様ったら、アリーシアさんのお立場を、自分からきちんと説明しておくと仰られましたのに、これでは何にも説明出来て無いではありませんか。
ハァー...私、そろそろ怒りますわよ?

「奥様、お身体が冷えますからカーディガンを羽織ってくださいませ。」

「えぇ、分かったわ。
ねぇ、私、旦那様に怒っても良いわよね。
リリス、私また倒れるかもしれないから、お医者様に先に謝っておいてもらえる?」

「畏まりました。
一応お伝えしておきますが、呉々もお倒れになられないように、お気を付けてくださいませね?」

「ウフフ、確約は出来ませんわ。
私、本当に怒っておりますもの。」

「あの、フレイリアナ様?」

あら、ずっとご不安な気持ちを抱いてらっしゃいますのに、私ったらアリーシアさんを放置してしまいましたわ。
ごめんなさいね。
悪気はありませんのよ?





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