俺だけのアルカディア

当麻 旭

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第一章『ミナト転生』

第9話:しょうがないよね。うん。

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 『ミナト様、是非お城にお越しになって下さい。助けていただいたお礼がしたいですわ!』

 シェリー王女が手を合わせて思いついたように話す。

 『そうだな。ここではなんだし王宮に招いてきちんと礼をしたい。ミナト殿。都合はよろしいか?』

 アルドベルトも賛同する。

 (礼がしたいのは多分本当なんだろうな・・・。
だけど、さっきの【マジックアロー】を見て十分過ぎるほど驚いていた。
この世界では上級魔法もあまり使用出来るものはいない。
魔法師のレベルも高くなさそうだし、中級魔法が平均なんだろう。
だとすると、俺を道具にされる可能性があるな。ここは断っ、、、)

 ミナトが考えている途中、アルドベルトが口を開いた。

 『我が国は水の都と呼ばれていてな。我が城でなく、城下も美しい。特に水あげされる魚介類は絶品。美味しい食事でも食べながら話そうではないか』

 《美味い食事!是非とも!》
 『ええ。わかりました。そういう事なら謹んでお受け致しましょう』

 《しょうがないよね。うん。ここまで歓迎されたら行かないのは逆に失礼だよね。うん。もしも何かあったら魔法でどうにかすればいいよね。うん。》

 決して美味い食事ミナトにとっては人生に目がいったわけじゃない。

 アルドベルト国王、シェリー王女、護衛者たちにほっとした空気が流れる。

 海蛇竜シーサーペントを瞬殺したミナトをこのまま放っておくのはあまりにも惜しい。ましてや他国に取られては心痛い。

 そんな会話をしているとやっと増援船と一つ大きく豪華な船が来た。

 『陛下~!』

 声を荒げ国王の元に脇目も振らず走ってくる。

 『陛下!ご無事でしょうか!?』

 『ああ、大丈夫だ。すまんな、ディートハルトよ。この者が助けてくれたのだ』


 『すまぬ。陛下と王女を助けていただき感謝する。我はリムリア王国護衛隊隊長ディートハルトと申す』

 ディートハルトがミナトに礼をする。

 『これからミナト殿を城に招き、歓迎の儀を催す。城に連絡を入れ準備に取り掛かれよ』

 アルドベルトは護衛隊に指示する。

 『さあ、ミナト殿。船に乗ってくだされ。城までは数刻かかる。それまで船内でゆっくりしてくだされ』

 ミナトはもう既に至れり尽くせり状態。だが、ミナトは警戒しつつも鑑定スキルで船を調べる。

 結果。
 揺れ防止・適温・衝撃緩和・気配探知・迷彩と多数の魔法が組み込まれてあった。

 《流石だ》

 王族が使っているだけあって高級感が滲みでている気がする。
そうミナトは思った。

 船に乗るミナト。
 水の都リムリア。
 それは、どんなに綺麗な町なのか。どんな城なのか。アルドベルトやシェリーとも良い関係が築けそうだ。

 《・・・どんな御飯が食べれるんだろ?》
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