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13章
出会い
千紗が初めてバイトとして入ってきた時、眼鏡の下の素顔がとてもかわいいことにはすぐに気づいた。
これはほかの男性社員も同じだ。
女性同士はファッション含めた総合で格付けをしあいたがるが、男は正直素の顔と体にしか興味がない。
千紗はいささか不愛想ではあるが、飾り気のない素朴なかわいらしさが魅力だった。
仕事の伝達ミスで、千紗の作成したデータに不備があったことがある。もともと優秀なこともあり、バイトとしてはありえないような量の仕事をこなしていた。
書類の不備は社員の責任だが、千紗は夜遅くまで残って膨大な量をやり直ししていた。
見かねて声をかけたが千紗は頑なだった。
「高倉さん、これは君の責任じゃないんだ。俺がやるから、帰っていいよ。終電なくなるよ」
「私が確認しなかったから悪いんです。だから明日の朝にはできているように終わるまでやります」
「いや……君の責任じゃないって」
「私の責任です」
無表情で答える。社員の女子たちからは感情表現の薄さから鉄仮面ロボとかAIと呼ばれている千紗。
──やっぱりこの子は人と関わりたくないんだろうか。
バイトなんだからいいよと言う言葉が出かかって、見下していると思われそうで、呑み込んだ。
この子は自分のプライドをかけてやっているのだ。
しばらくしてこっそり再び様子を見に行くと、誰もいなくなった社内で千紗は泣いていた。
あの震える小さな背中に恋してしまった。
──なにがロボだよ。強がってるだけの繊細な女の子じゃん。
どうしてあんなに頑ななのか、理由はわからないが、感情がないわけじゃない。
それからも気になって頻繁に声をかけたが、千紗は人を受け付けない負のオーラを出していたし、声をかけても塩対応のままだった。
そのあと、ひょんなことから、千紗が動画を配信していることを知り、田吾作と名乗って交流を始めて、もっと好きになってしまった。
『親の借金を返すまでは、頑張る』
『そっか。でも女の子の一人暮らしだし、安全だけは気を付けてね』
『うん。田吾作さんみたいな人が彼氏ならよかったのにな……』
そんなかわいいことを言う千紗に、井村はイチコロで堕ちた。
会社では、男どもを寄せ付けないのに、オンラインだと別人だった。
もしかしたら他のファンともこうやって交流しているのかもしれないと思うと、胸が焦がれたが、いきなりリアルの知り合いですと言えば、自分がストーカー扱いされかねない。
というか、実際ストーカーのように千紗に詳しくなってしまっていた。
だからこそ千紗の安全を守れたので後悔していないが、千紗からすればドン引きであろう。
全てを知られて、嫌われない自信がなかった。
☆
「井村さんみたいな人が、私みたいな非モテ女子をストーカーするなんておかしいですよ。ほかにもっといるでしょう」
「根暗でも不愛想でも、当たりがきつくても構わない。俺は君がいい」
まっすぐに見つめられ、そう言われた。
随分な言われようだが、根暗で不愛想なのは事実なので否定はしない。
思い込みが激しい性格なのか、そういう性癖なのかわからないがとても怖い。
なにも知らないまま、個人情報やら、恥ずかしいところを上司に晒してしまった。
本当なら今すぐ消えたいけれど、どちらかといえば、千紗より井村のがやっていることはヤバいのでなんとか消えずにいられた。
これはほかの男性社員も同じだ。
女性同士はファッション含めた総合で格付けをしあいたがるが、男は正直素の顔と体にしか興味がない。
千紗はいささか不愛想ではあるが、飾り気のない素朴なかわいらしさが魅力だった。
仕事の伝達ミスで、千紗の作成したデータに不備があったことがある。もともと優秀なこともあり、バイトとしてはありえないような量の仕事をこなしていた。
書類の不備は社員の責任だが、千紗は夜遅くまで残って膨大な量をやり直ししていた。
見かねて声をかけたが千紗は頑なだった。
「高倉さん、これは君の責任じゃないんだ。俺がやるから、帰っていいよ。終電なくなるよ」
「私が確認しなかったから悪いんです。だから明日の朝にはできているように終わるまでやります」
「いや……君の責任じゃないって」
「私の責任です」
無表情で答える。社員の女子たちからは感情表現の薄さから鉄仮面ロボとかAIと呼ばれている千紗。
──やっぱりこの子は人と関わりたくないんだろうか。
バイトなんだからいいよと言う言葉が出かかって、見下していると思われそうで、呑み込んだ。
この子は自分のプライドをかけてやっているのだ。
しばらくしてこっそり再び様子を見に行くと、誰もいなくなった社内で千紗は泣いていた。
あの震える小さな背中に恋してしまった。
──なにがロボだよ。強がってるだけの繊細な女の子じゃん。
どうしてあんなに頑ななのか、理由はわからないが、感情がないわけじゃない。
それからも気になって頻繁に声をかけたが、千紗は人を受け付けない負のオーラを出していたし、声をかけても塩対応のままだった。
そのあと、ひょんなことから、千紗が動画を配信していることを知り、田吾作と名乗って交流を始めて、もっと好きになってしまった。
『親の借金を返すまでは、頑張る』
『そっか。でも女の子の一人暮らしだし、安全だけは気を付けてね』
『うん。田吾作さんみたいな人が彼氏ならよかったのにな……』
そんなかわいいことを言う千紗に、井村はイチコロで堕ちた。
会社では、男どもを寄せ付けないのに、オンラインだと別人だった。
もしかしたら他のファンともこうやって交流しているのかもしれないと思うと、胸が焦がれたが、いきなりリアルの知り合いですと言えば、自分がストーカー扱いされかねない。
というか、実際ストーカーのように千紗に詳しくなってしまっていた。
だからこそ千紗の安全を守れたので後悔していないが、千紗からすればドン引きであろう。
全てを知られて、嫌われない自信がなかった。
☆
「井村さんみたいな人が、私みたいな非モテ女子をストーカーするなんておかしいですよ。ほかにもっといるでしょう」
「根暗でも不愛想でも、当たりがきつくても構わない。俺は君がいい」
まっすぐに見つめられ、そう言われた。
随分な言われようだが、根暗で不愛想なのは事実なので否定はしない。
思い込みが激しい性格なのか、そういう性癖なのかわからないがとても怖い。
なにも知らないまま、個人情報やら、恥ずかしいところを上司に晒してしまった。
本当なら今すぐ消えたいけれど、どちらかといえば、千紗より井村のがやっていることはヤバいのでなんとか消えずにいられた。
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