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14章
悪意
立花ミホは久々に出社してきた憎き高倉千紗を苦々しい目で見つめていた
「今月で仕事はやめさせて頂きます。母が体調を崩していまして……」
「いやぁ、高倉さん優秀だったから、いなくなるとみんな困ると思う」
高倉千紗が久々に出社した。井村部長に付き添われて──。
皆、彼女がやめるのを惜しんでいる。
。以前井村が交際を宣言したため、二人は公然の仲となっており、皆微笑ましい目でみていた。立花がいくら千紗のことを悪く言っても、最近はもう皆その話はいいからと言わんばかりの態度だった。
──母親が病気なんて嘘に決まってる。猥褻動画で稼いでたのがバレたから逃げる気なんだわ。
「あの二人、ホントに付き合ってたんだね。意外だけどさ、高倉さんマトモなファッションしたら可愛いから」
「まぁ、ああいう世間慣れしてなさそうな子って純朴そうだし、ツンデレっぽくて懐いてくれたら最高だよな」
社員たちが呑気に噂しているのも気に入らない。真面目そうな顔をして、裏でとんでもないことをしていたのに、誰も信じない。
「許せない」
一人帰宅して呟く。
立花のプライドはずたずただった。
あの動画を上げていたのは、高倉千紗に間違いない。裏で人に言えないことをしていたのも苛立つし、清純な振りをして井村部長を騙して付き合っているのも許せない。
ストーカーに襲われたのはいい気味だ。あんな格好を世界に晒したのだから、危険に遭うのは本人の責任だ。
いっそもっとひどい目に遭えばよかったのに。
特に努力もせずに、おいしいところだけかっさらっていく高倉千紗のような女が大嫌いだった。
立花ミホは努力家だった。生まれついた容姿も頭脳も多分人並みかそれ以下だった。
だが、持ち前の根性で努力を惜しまなかったから、いつも人の前を進んできた。学歴も美貌も、仕事での華々しい活躍も全て並々ならぬ努力をして得たものだった。
SNSだって、キラキラした投稿を続けて5年かけてようやく5000人突破したというのに、高倉千紗は破廉恥コスプレで一年でチャンネル登録者数十万人というのも気に入らない。
エロで釣って人気者だと勘違いするバカな女。
純朴な振りをして井村を落としたのが許せない。
完全にズルだ。どうせ無駄にでかい胸と、裏での淫乱さのギャップで釣ったに違いない。
しかも井村と交際した途端、バイトもやめるとはどういうことだろう。まさかたぶらかして結婚の約束でもしたのだろうか。
一人暗い部屋でパソコンを開き、千紗のことを調べ上げる。人事部が保管している高倉千紗の履歴書をこっそりくすねて、コピーしてきた。
──このまま騒動が沈静化したら、面白くないもの。
立花は炎上ネタを専門に扱うインフルエンサーの一人に匿名でメールを送った。
タマ=高倉千紗であること、千紗は素行不良で高校を退学になったこと。それから最近の顔写真。むしろ千紗が容疑者を誘惑し、事件を自ら招いたこと。
会社でも複数の男性社員と見境なく関係を持ち、トラブル三昧でやめたこと。
なるべくリアリティがあるように、詳細に根拠を書いていく(もちろん立花の創作である)。
「あのような格好で配信すること自体、女性の尊厳を貶め、なおかつ犯罪を助長するもので到底同情の余地はありません」
メールの最後はそう締めくくる。
すぐに返信が来た。かなりニュースで大々的に取り上げられた事件だから、金になると踏んだのだろう。
立花はリーク元を明かさないことを条件に、知りうる限りの千紗の個人情報を伝えた。
「今月で仕事はやめさせて頂きます。母が体調を崩していまして……」
「いやぁ、高倉さん優秀だったから、いなくなるとみんな困ると思う」
高倉千紗が久々に出社した。井村部長に付き添われて──。
皆、彼女がやめるのを惜しんでいる。
。以前井村が交際を宣言したため、二人は公然の仲となっており、皆微笑ましい目でみていた。立花がいくら千紗のことを悪く言っても、最近はもう皆その話はいいからと言わんばかりの態度だった。
──母親が病気なんて嘘に決まってる。猥褻動画で稼いでたのがバレたから逃げる気なんだわ。
「あの二人、ホントに付き合ってたんだね。意外だけどさ、高倉さんマトモなファッションしたら可愛いから」
「まぁ、ああいう世間慣れしてなさそうな子って純朴そうだし、ツンデレっぽくて懐いてくれたら最高だよな」
社員たちが呑気に噂しているのも気に入らない。真面目そうな顔をして、裏でとんでもないことをしていたのに、誰も信じない。
「許せない」
一人帰宅して呟く。
立花のプライドはずたずただった。
あの動画を上げていたのは、高倉千紗に間違いない。裏で人に言えないことをしていたのも苛立つし、清純な振りをして井村部長を騙して付き合っているのも許せない。
ストーカーに襲われたのはいい気味だ。あんな格好を世界に晒したのだから、危険に遭うのは本人の責任だ。
いっそもっとひどい目に遭えばよかったのに。
特に努力もせずに、おいしいところだけかっさらっていく高倉千紗のような女が大嫌いだった。
立花ミホは努力家だった。生まれついた容姿も頭脳も多分人並みかそれ以下だった。
だが、持ち前の根性で努力を惜しまなかったから、いつも人の前を進んできた。学歴も美貌も、仕事での華々しい活躍も全て並々ならぬ努力をして得たものだった。
SNSだって、キラキラした投稿を続けて5年かけてようやく5000人突破したというのに、高倉千紗は破廉恥コスプレで一年でチャンネル登録者数十万人というのも気に入らない。
エロで釣って人気者だと勘違いするバカな女。
純朴な振りをして井村を落としたのが許せない。
完全にズルだ。どうせ無駄にでかい胸と、裏での淫乱さのギャップで釣ったに違いない。
しかも井村と交際した途端、バイトもやめるとはどういうことだろう。まさかたぶらかして結婚の約束でもしたのだろうか。
一人暗い部屋でパソコンを開き、千紗のことを調べ上げる。人事部が保管している高倉千紗の履歴書をこっそりくすねて、コピーしてきた。
──このまま騒動が沈静化したら、面白くないもの。
立花は炎上ネタを専門に扱うインフルエンサーの一人に匿名でメールを送った。
タマ=高倉千紗であること、千紗は素行不良で高校を退学になったこと。それから最近の顔写真。むしろ千紗が容疑者を誘惑し、事件を自ら招いたこと。
会社でも複数の男性社員と見境なく関係を持ち、トラブル三昧でやめたこと。
なるべくリアリティがあるように、詳細に根拠を書いていく(もちろん立花の創作である)。
「あのような格好で配信すること自体、女性の尊厳を貶め、なおかつ犯罪を助長するもので到底同情の余地はありません」
メールの最後はそう締めくくる。
すぐに返信が来た。かなりニュースで大々的に取り上げられた事件だから、金になると踏んだのだろう。
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