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やみくも

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7章―A ー閉情編ー

140.死の怒り 〜vs氷の巨大狼〜

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曖人「ッチ!何をした!」

バレンタイン「いくらリヴォリーターといっても、器は人間。真っ向で戦って勝てないなら、搦め手を使うまでよ。」

 先手を取られた。彼女が能力を発動したところを捉えられなかった。 
 つまり、トラップが敷かれている。或いは……“地面の下に攻撃ユニットが埋め込まれている可能性がある”。
 何とか抜け出そうと藻掻くが、蚊に刺された箇所から、冷たい感覚が広がっていく。凍傷効果があるのだろう。

バレンタイン「どこまで耐える?威風曖人。」




      ー洞窟入口ー


 ウィンターとの交戦が開始してしばらく経った。一つ一つの攻撃範囲は広いが、鈍足といった感じだ。

ウィンター「魔術:アイスブレス」

深雅「砕け逆鱗。」

 ブーメランのように自律した逆鱗が氷柱を砕き、ウィンターに一発斬撃を入れ戻ってきた。
 
ウィンター「相性悪いや。邪魔だ。」

 刹那、ノータイムで深雅の足場が沈降し、落下した。

心明「深雅!」

ウィンター「あの程度で死ぬ奴では無かろう。さて、一人ずつ丁重に始末しようか。目覚めた直後で空腹なんだ。」 

 すると奴は咆哮を放ち、その巨体に冷気を纏った。
 周囲の気温は一気に低下し、氷柱がそこらに生えてきた。

李朱樹「大技か。俺が止める。」

心明「えっ?ちょっ李朱樹!」

 周りの声は聞こえていないといった感じで李朱樹はエネルギーを拳に纏い、ウィンターの眼前に飛び掛かった。

李朱樹「拳術:超火力・デュアルアッパー」

 彼の拳がヒットしようとしたその時、ウィンターの牙に冷気が集中し、強大な魔力を纏った。

ウィンター「魔術:氷牙輝」

 牙が突き出され、李朱樹の肉体を貫いた。彼は致死量の血を流し、地面に落下した。
 
心明「李朱樹!!」

 致命傷では無い。初めて明確に帰らぬ人となったのだ。

ウィンター「あのエネルギー数値。喰らっていたらひとたまりもなかっただろう。だが……単調過ぎる。脳筋が一人で突っ走るからそうなるのだ。」

心明「よくも……仲間を!」

 私は怒りに身を任せ、拳にエネルギーを纏って飛び掛かろうとした。しかし、萌愛がそれを止めた。

心明「邪魔しないでよ!」

萌愛「確かに悔しいよ……けど!今までみたいに粘れば勝てる相手じゃない。見たでしょ?あの李朱樹が即死したんだよ!素直に退くか、考えて頑張るしかないよ!」

心明「……ごめん。熱くなりすぎちゃった。」

 彼女の言う通りだ。仲間の死を目の当たりにして動揺してたけど、そこから何も学ばなかったら、彼の死が無駄になってしまう。
 ここは戦場。いつかは誰かしらこうなるんだ。大切なのは、それをどう活かしてあげるかなんだ。

ウィンター「喧嘩は終わりか?さあ、食料となってもらう。」

 そう言って、奴は突進してきたが、私達はそれを回避する。そして、避け際に萌愛は結で斬り付けたようだ。
 奴の元々遅い動きは、より鈍った。

ウィンター「魔術:アイスブレス」

 態勢を整えるまでに時間がかかるためか、足止めと言わんばかりに奴はアイスブレスを振り撒き、氷柱で追撃しようとした。
 しかし、そんなのは読めた事だ。奴の攻撃は強力だが、手数が少なく避けやすい。常にそれを念頭に置いて動けば、そこまで苦戦する相手では無いはず。

心明「拳術:薔薇強打」

 氷柱を掻い潜って奴の懐に入り込み、一撃喰らわせた。すると奴は李朱樹を即死させたあの牙攻撃をする前隙を見せたため、私はすぐに後退した。

ウィンター「グッ……。(さっき落としたあの男ばかりに目がいっていたが、こいつも中々の強さだ。全く当たらない。)」

 ウィンターは背中の氷塊に冷気を集中させ、何かをする構えを取った。

萌愛「ッ!心明ちゃん後ろ!」

心明「ッ!」

ウィンター「串刺しにしてやる。魔術:氷柱ミサイル」

 背中の氷塊が撃ち出され、まだ万全な態勢じゃない私に迫った。

深雅「剣術:薙梨」

 しかし、沈降した穴から跳び出した深雅が、全て薙ぎ払った。

深雅「大丈夫か。」

心明「うん。ありがとう。」

深雅「感謝は後だ。萌愛!」

 無防備な背中に忍び寄っていた萌愛は結にエネルギーを宿し、奴の頭部を狙った。

萌愛「刃術:愛痺桜」
 
 頭部に結が刺さり、ウィンターの全身が麻痺した。
 その隙に深雅は逆鱗にエネルギーを纏い、頭部に振り上げて斬った。

深雅「剣術:灰狼星」

ウィンター「グァァァ!この俺が人間如きに…!」

 巨大なフェンリルは地面に倒れ込み、人の姿に戻って倒れた。息は無い。
 何とか勝利はしたが、戻らない犠牲が出てしまった。

深雅「……終わったか。」

心明「でも…李朱き……」

深雅「辛いだろ。何となく分かってる。彼の姿は見えないし、ここに戻ってくる最中、二人の異様な殺気が感じ取れたから。」

 逆鱗を納刀した深雅は李朱樹の死体の前に立ち、手を合わせた。

深雅「お前の死は無駄にさせない。必ず標的を打ち破る。ゆっくり休みな。」

 そう言って、彼は李朱樹の死体を担いだ。

深雅「二人はこいつを連れて下山しろ。精神的にも危ないし、李朱樹の腐敗は避けたい。故郷の墓に埋めてやりたいから。」

 私達に李朱樹の死体を託し、彼は一気に山を駆け登った。


 
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