思想で溢れたメモリー

やみくも

文字の大きさ
180 / 240
8章ー静夜の駆け引き編ー

180.分担

しおりを挟む
ゼノン「ぐっ…!」

 人工島の中にある監獄にて、ゼノンは黒いフードを深く被った何者かに毒針を刺されて苦しんでいた。

???「しぶとい……どうやら噂は本当だったみたいだ。だが……全く効き目がない事ではなさそうだ。」

ゼノン「……ほざいてろ。いつまでも優勢だと思うなよ!」

???「はは、もう三ヶ月は経つぞ?助けが来ると思うのか。笑わせてくれる。」

ゼノン「返すぞ、その言葉。敗走者が……」

???「その余裕、果たしていつまで続くことやら…見ものだ。」







 結界付近でゲートを開き、ナイフを投げ入れた。その後大量のゲートを周りに開いて、ナイフを高速で通過させた。
 すると稲妻が空を切り、結界が破れた。

テル「破れましたね……」

コード「正確に言うと時空を歪めて結界に亀裂を入れた。破片が時空の狭間に漂っているだろうよ。」

テル「不思議なメカニズムだ……。」

コード「まぁそれは一旦置いておこう。…さて、今回の潜入人数はたったの二人だ。ゼノンと合流するまでは派手に暴れることも出来ない。俺がこの作戦にテルを選抜した理由……分かるか?」

テル「……どうでしょうか…敵陣かつ集団戦で生き延びられる人として挙がった…そうですよね。」

コード「その通りだ。本戦前に全員戦場に出しておきたかったという思惑もあるが、敵陣、少人数という条件下ではお前が最適性だった。」

テル「……役割分担は?」

コード「テルには敵を一か所に集中させてほしい。ゼノンは恐らく檻の中だ。隅々まで探すことに神経を使いたい。」

テル「分かりました。合流出来たら何か合図を送ってください。」

コード「ああ、そしたら基地を一掃しよう。」

 破れた結界の中に突入し、テルは正面二階から、俺は建物の後ろから挟むようにして突撃した。



敵兵A「敵襲だ!直ちに迎撃せよ!」

 堂々と正面から現れるテルの姿を目撃した敵兵は笛を鳴らし、基地中の仲間を呼び込んだ。集まった敵兵は魔力球や剣技を用いてテルに襲い掛かった。
 しかしテルは慌てる様子も見せず、ただ棒立ちしていた。

テル「……。」

敵兵B「おいおい、正面から攻めてきた割には戦意が無いじゃないか。物量で腰を抜かしたか?」

 その挑発すら全く相手にせず、彼は立ち続けていた

テル「良し、適正範囲。」

敵兵A「……?!遠距離兵は全員直ちに離れろ!」

テル「無駄だよ。気付くのが遅い。」

 剣を持った敵兵が彼の半径6m以内に入ったその時、彼は練り上げた魔力を放出し、炎のギターを形作った。

テル「魔術:バーンアウト」

 炎のギターの弦を弾くと、彼の周りから炎の渦が四つ出現し、接近していた敵兵を巻き込んで火力を増しながら広がっていった。
 20倍の人数差をものともせず、一瞬で焼き尽くした。

敵兵B「う、うわぁぁぁ!」

 俊敏な敵兵一人は渦から逃れられたが、力の差を感じて背を向けて逃亡を図った。

テル「今は深追いする必要ないかな。威圧感は充分に与えられた。すぐに数を増やして戻ってくるはず。」

 一度戦闘態勢を解き、テルは次の交戦に向けて魔力を練り直し始めた。







 正面の方から炎が燃え滾る音がした。そして、窓から見えていた敵は俺が建物に入る頃にはもぬけの殻。
 気を引くことには成功したようだ。

コード「テルは上手くやってくれたみたいだ。俺も急がないとな。」







???「…あ?何の音だ。」

 監獄前でゼノンをサンドバッグにしていた黒フードは地上階が騒がしい事に気が付き、立ち上がった。

ゼノン「……。(テルの炎だ。やはり時間が掛かってでも来るものだ。)」

???「地下深くにも響くほどの攻撃音……只者じゃない。」

 そう呟きながら黒フードはゼノンを強力なツタで檻に縛り付け、背を向けた。

???「俺は様子を見に行く。そのツタは貴様が何かを仕掛けようとしたら自爆する。……下手な真似は…しない方が身のためだぞ。」

 そう言い残し、黒フードは監獄を後にした。



 黒フードが去って早々、ゼノンは意識を攻撃ユニットに繋いだ。

ゼノン「内部干渉は感知されないみたいだ……。そもそも、自爆されたところで致命傷になる可能性は低いけど。」

 基地中に設置された攻撃ユニットから外の様子を伺うと、正面玄関に向かっていく敵兵と、もぬけの殻となった基地の裏側を探索するコードの姿があった。
 
ゼノン「この広い基地で隅々まで探す気だったのか。彼が地下監獄に繋がる隠し扉を見つけるまで何ヶ月かかることやら……。それも見越して、足跡を付けてきて正解だった。……ステルス解除。」

 彼がステルスを解除すると、檻の外に付けられた攻撃ユニットが可視化された。

ゼノン「解除確認。奴の能力が欠陥品のままで助かった。……これで見つけ出してくれ…コード。」

 今できる役目を終わらせたゼノンは、攻撃ユニットを通してあまり意味のない監視をしながら、助けを待つことにしたようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...