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8章ー静夜の駆け引き編ー
199.託し人
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バブル管轄下から遠く離れた島国。俺は人生が動き出した場所に足を運んだ。
コード「ジェビでの生活からもう何年経ったことやら。懐かしいな……」
敗戦した故郷から逃れ、右も左も分からない地上で世話になった組織ジェビ。今やその本拠地は焦土と化している。内部崩壊が起きたあの日の焼き討ちから、時が止まっているかのように。
地上に降り立ち、俺は斜塔を見上げた。
コード「……ファルズ師匠、フィネロ団長、ルイン様、そして誇り高きジェビの戦士達よ……どうか見守っていてください。マインダーからの圧制の時代を終わらせてみせます。」
そう祈りを捧げた後、俺は帰路に飛び立った。天都にもジェビにも追悼の儀式を終えた。思い残すことは何もない。
コード「…臨戦だ。マインダー…」
_____
ゼノラ大陸の時計塔。リヴォリーター会議が終わり水晶が曇ると、部屋が閑散とした空気に戻った。
スレイ「ユリアの奴、余計な事まで話しやがって……気にすることでもないか。」
そんな事を呟きながら、水晶を定位置に戻そうとすると、水晶に反射する自分の姿が目に映った。
スレイ「……何故、ユリアは俺を訪ねてきた。自分でも、この『畏怖の眼』を見たくないというのに……血も涙もないこの眼を……」
ユリア「ごきげんよう。スレイ。」
先日、治療薬の調合をしている最中音も無くユリアが現れ、声を掛けてきた。
スレイ「…お前いつから…」
ユリア「たった今よ。」
スレイ「何の用だ…」
ユリア「薄銀の天使から聞いたわ。スレイも彼らの作戦に協力してくれるそうですね?今度顔合わせがあるのですが一緒に……」
スレイ「断る。水晶を通して内容だけ見させてもらう。そう伝えておけ。」
ユリア「……。」
しばらく沈黙が流れ、ユリアはそっと言った。
ユリア「…気付いていないかもしれませんが、私は最初から貴方に対して怒ってません。きっと貴方が一番辛いでしょうし……」
スレイ「同情なんて要らない。俺が大勢の人を殺した。その事実は消えない。そこに意識や理性が伴わなかったとしても……」
ユリア「…そう…ですか。突然押しかけてきてすみませんでした。私はそろそろ…」
何か言い淀んだが、彼女は足早にその場を去って行った。
スレイ「…追い返してすまないな戦姫ユリア。俺には…まだ時間が必要なんだ。」
過剰な思い込みだっていうのも重々承知の上で、何故俺は彼女の来訪に疑問を持つのか。理由なんて分かりきっているのに。
スレイ「……俺は許されない存在だ。お前や仲間達が許しても、俺自身が許せないのだから。」
棚からようやく完成した治療薬とお面を取り出してそれを身に纏い、俺は扉を開いた。
スレイ「贖罪の旅を終えにいこう。また…お前達と肩を並べられるように。」
_____
新しい朝が来た。深雅が亡くなってから既に4日が経過して、受け入れる覚悟は充分にできた。
外に出ると、ラビリンスフォレストビレッジの民達が物資をジェット機に積み込んでいた。
ミィル「おはよう曖人!」
するとこちらに気付いたミィルが駆け寄ってきて元気良く挨拶をしてきた。
曖人「おはよう。村の皆朝からご苦労様。助かるよ。」
ミィル「英雄の門出なんだからこれくらい当然だよ!うちからも沢山の戦士が合流するし、曖人が旅に出てる間、私達も一生懸命準備してたんだよ!」
曖人「そうか……皆も頑張ってるはずだもんな。」
リダクテッド「それは曖人、そなたもじゃろう。」
ミィル「あ、おじいちゃん。」
そう話していると、リダクテッドさんがこちらに来た。
曖人「お久しぶりです。リダクテッドさん。」
リダクテッド「ああ。…巨龍から始まり、色々あったようじゃな。もうわしにはついていけんわ。歳だしのぉ…」
するとリダクテッドさんはお守りのような物を懐から取り出して、俺の手に握らせた。
リダクテッド「そいつを持っていけ。きっと奇跡を起こしてくれるはずじゃ。」
曖人「ありがとうございます…!」
リダクテッド「んじゃ、頑張ってこい!わしらはここから応援しておる!」
ミィル「未知の脅威だって曖人達が晴らしてくれるって私達は信じてるよ!」
不意に泣きそうになった。やっぱりここは温かいから。皆の期待に応えなければならない、この日々が続くように。
曖人「……その想い、受け取ったよ。二人とも、ラビリンスの事は任せたよ。」
リダクテッド「うむ、任せろ。」
ミィル「代表して言うね。行ってらっしゃい!」
曖人「ああ、行ってきます!」
そう言って俺はジェット機に乗り込み、メンバーが揃い出発するのを待っていた。
コード「ジェビでの生活からもう何年経ったことやら。懐かしいな……」
敗戦した故郷から逃れ、右も左も分からない地上で世話になった組織ジェビ。今やその本拠地は焦土と化している。内部崩壊が起きたあの日の焼き討ちから、時が止まっているかのように。
地上に降り立ち、俺は斜塔を見上げた。
コード「……ファルズ師匠、フィネロ団長、ルイン様、そして誇り高きジェビの戦士達よ……どうか見守っていてください。マインダーからの圧制の時代を終わらせてみせます。」
そう祈りを捧げた後、俺は帰路に飛び立った。天都にもジェビにも追悼の儀式を終えた。思い残すことは何もない。
コード「…臨戦だ。マインダー…」
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ゼノラ大陸の時計塔。リヴォリーター会議が終わり水晶が曇ると、部屋が閑散とした空気に戻った。
スレイ「ユリアの奴、余計な事まで話しやがって……気にすることでもないか。」
そんな事を呟きながら、水晶を定位置に戻そうとすると、水晶に反射する自分の姿が目に映った。
スレイ「……何故、ユリアは俺を訪ねてきた。自分でも、この『畏怖の眼』を見たくないというのに……血も涙もないこの眼を……」
ユリア「ごきげんよう。スレイ。」
先日、治療薬の調合をしている最中音も無くユリアが現れ、声を掛けてきた。
スレイ「…お前いつから…」
ユリア「たった今よ。」
スレイ「何の用だ…」
ユリア「薄銀の天使から聞いたわ。スレイも彼らの作戦に協力してくれるそうですね?今度顔合わせがあるのですが一緒に……」
スレイ「断る。水晶を通して内容だけ見させてもらう。そう伝えておけ。」
ユリア「……。」
しばらく沈黙が流れ、ユリアはそっと言った。
ユリア「…気付いていないかもしれませんが、私は最初から貴方に対して怒ってません。きっと貴方が一番辛いでしょうし……」
スレイ「同情なんて要らない。俺が大勢の人を殺した。その事実は消えない。そこに意識や理性が伴わなかったとしても……」
ユリア「…そう…ですか。突然押しかけてきてすみませんでした。私はそろそろ…」
何か言い淀んだが、彼女は足早にその場を去って行った。
スレイ「…追い返してすまないな戦姫ユリア。俺には…まだ時間が必要なんだ。」
過剰な思い込みだっていうのも重々承知の上で、何故俺は彼女の来訪に疑問を持つのか。理由なんて分かりきっているのに。
スレイ「……俺は許されない存在だ。お前や仲間達が許しても、俺自身が許せないのだから。」
棚からようやく完成した治療薬とお面を取り出してそれを身に纏い、俺は扉を開いた。
スレイ「贖罪の旅を終えにいこう。また…お前達と肩を並べられるように。」
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新しい朝が来た。深雅が亡くなってから既に4日が経過して、受け入れる覚悟は充分にできた。
外に出ると、ラビリンスフォレストビレッジの民達が物資をジェット機に積み込んでいた。
ミィル「おはよう曖人!」
するとこちらに気付いたミィルが駆け寄ってきて元気良く挨拶をしてきた。
曖人「おはよう。村の皆朝からご苦労様。助かるよ。」
ミィル「英雄の門出なんだからこれくらい当然だよ!うちからも沢山の戦士が合流するし、曖人が旅に出てる間、私達も一生懸命準備してたんだよ!」
曖人「そうか……皆も頑張ってるはずだもんな。」
リダクテッド「それは曖人、そなたもじゃろう。」
ミィル「あ、おじいちゃん。」
そう話していると、リダクテッドさんがこちらに来た。
曖人「お久しぶりです。リダクテッドさん。」
リダクテッド「ああ。…巨龍から始まり、色々あったようじゃな。もうわしにはついていけんわ。歳だしのぉ…」
するとリダクテッドさんはお守りのような物を懐から取り出して、俺の手に握らせた。
リダクテッド「そいつを持っていけ。きっと奇跡を起こしてくれるはずじゃ。」
曖人「ありがとうございます…!」
リダクテッド「んじゃ、頑張ってこい!わしらはここから応援しておる!」
ミィル「未知の脅威だって曖人達が晴らしてくれるって私達は信じてるよ!」
不意に泣きそうになった。やっぱりここは温かいから。皆の期待に応えなければならない、この日々が続くように。
曖人「……その想い、受け取ったよ。二人とも、ラビリンスの事は任せたよ。」
リダクテッド「うむ、任せろ。」
ミィル「代表して言うね。行ってらっしゃい!」
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そう言って俺はジェット機に乗り込み、メンバーが揃い出発するのを待っていた。
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