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9章ー総力決戦編ー
212.元親友
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塔の右側。大量のコンテナが積まれた広い部屋にテルは足を踏み入れた。
テル「この辺りに飛ばしたはずだが…潜伏されたか…?」
ライガ「安心しろ。俺は逃げも隠れもしない。」
テル「……ライガ!」
するとコンテナの上から足音が聞こえて、見上げるとギターを肩に提げたライガの姿があった。
ライガ「言ってたっけなテル?“いつかお前の目を覚ませる”と。…最初から目など閉じていないのにな!魔術:ボルトアルペジオ」
ライガがギターを弾くと、赤・青・緑の雷撃が部屋の四方八歩に広がり、襲い掛かってきた。
その速度はほぼ音と同時であり、何をされたか分からないまま俺に命中した。
テル「…ッ!しまった…身体が言うことを聞かないな…」
幸い即死級の威力は無く、五体満足とまではいかないものの身体は動かせる。しかし、その命中は腕だった。彼の狙いは考えるまでもなくすぐに分かった。
テル「…俺の身体能力はそこらの一般人と大差ない。ここ十数年、ずっと魔術主体で戦ってきた。何がしたい?ライガ…」
ライガ「何とはなんだ?手の内が割れているからこそ早急に無力化する。合理的じゃないか。」
テル「ああ、言ってることは間違ってない。ただ、俺が聞きたい返答じゃないな。…離反した理由。もといマインダーの下に就いた理由だ。うたた寝していたら、いきなり知らない場所に飛ばされてて、まだ何も飲み込めていない中で俺はお前に殺されかけた。あの後、失踪したお前を捜すために山奥を彷徨って、何度も死にかけた。…もしもドルフィオンに拾われていなかったら、俺はとっくに死んでいたぞ。」
この世界に迷い込んだ日、ライガは何故か持っていた毒ガスをばら撒き、姿を眩ませた。
連鎖的に起きた非現実な出来事は夢にしか思えなかった。しかし、何日経とうが頬をつねろうが、夢から醒めることは無かった。“これでも現実なんだ”そう思わされた。
テル「それから二年後、俺達が再会したことは覚えているか?まぁ……その時、もうお前は変わり果てていたけどな。」
_____
テル「久しぶりだな捜したぞ……それで、この惨状は全てお前の仕業か?ライガ…」
電源はショートし、感電死と思われる人が横たわる小さな町に、ただ一人立ち尽くすライガ。
おかしな様子だが親友を信じたかった俺は恐る恐る訊ねた。否定して欲しかった。
ライガ「ああ…俺だ。エンデス教祖の指示のもと、この町は滅ぼしてやった!」
テル「……今からでも遅くない。目を覚ませよ!ライガッ!」
親友の奇行に俺は怒鳴りつけた。彼のろくでもない噂話だけは、何度も耳にしていた。決して許されないような行為もいくらか耳にしていた。
それでも反省するならば、せめて俺だけは許してやりたかった。ここに来てからの全てのことを。
しかし、俺の声は届かなかった。
ライガ「まさか生きていたとはな…まぁいい。今ここで終わりにしてやろう!」
テル「…ッ!」
するとライガはエレキギターを取り出して、魔力を纏わせた。刹那、空気はビリビリと魔力に淀み、全身が痺れるような感覚に陥った。
その身で感じたことのないその力に、生存本能は警鐘を鳴らした。まともに相手できない。逃げなきゃ死ぬと。
テル「…ライガ!いつかもう一度お前に会いに行く!そしてお前の目を覚ませる!“ちさ達”と交わした約束を守る為にもな!」
そう言って俺は炎で造ったギターを弾き、辺り一面を火の海に変えた。
ライガ「何だこれはっ!一瞬でこんなに燃え広がるだと!?……やはりお前も馴染んでいたか…テルッ!」
後ろでライガが何か叫んでいたが、振り向かずに走り去った。限界出力で放ったがために息切れ状態だったが、そんなの気にも留まらないくらいに命の危機を感じていたのだ。
夜明けまで走り続けて、何とか仲間と合流できた。
_____
テル「あの後、ゼノンからお前がドライ教の一員になったことを聞いた。七代思想宗派…つまりはマインダーの手下。今思い返せば、最初からおかしかったんだ。この世界に飛ばされた時から何もかも、お前の目論み通りに事は進んでいたんだろう?」
ライガ「……ははっ…ははははは!」
そう尋ねると彼は少し間を置いて、不適に笑い始めた。
ライガ「目論み通りでは無いさ。最優先事項をここまで後回しにする羽目になったのだから!」
テル「だろうな。…ライガ、改めて問おう。お前は何がしたい?」
彼は俺の想像通りの答えを返してくれた。
ライガ「まだ見ぬ刺激を追求すること…そしてテル!お前を亡き者にすることだ!」
そう言ってライガは魔力を練り上げ、再び弦に爪を掛けた。
話しているうちに少しは動くようになった腕でギターを担ぎ、俺も臨戦態勢に入った。
テル「一つだけ言っておく。俺はお前を諦めていないからな!ライガ!」
ライガ「なぁテル。この世にはお世辞と戯言という言葉がある。何を信じるかは俺次第なんだよ!」
ほぼ同じタイミングでギターの音が鳴り響き、俺の炎の渦とライガの雷は瞬く間に部屋中に広がった。
テル「この辺りに飛ばしたはずだが…潜伏されたか…?」
ライガ「安心しろ。俺は逃げも隠れもしない。」
テル「……ライガ!」
するとコンテナの上から足音が聞こえて、見上げるとギターを肩に提げたライガの姿があった。
ライガ「言ってたっけなテル?“いつかお前の目を覚ませる”と。…最初から目など閉じていないのにな!魔術:ボルトアルペジオ」
ライガがギターを弾くと、赤・青・緑の雷撃が部屋の四方八歩に広がり、襲い掛かってきた。
その速度はほぼ音と同時であり、何をされたか分からないまま俺に命中した。
テル「…ッ!しまった…身体が言うことを聞かないな…」
幸い即死級の威力は無く、五体満足とまではいかないものの身体は動かせる。しかし、その命中は腕だった。彼の狙いは考えるまでもなくすぐに分かった。
テル「…俺の身体能力はそこらの一般人と大差ない。ここ十数年、ずっと魔術主体で戦ってきた。何がしたい?ライガ…」
ライガ「何とはなんだ?手の内が割れているからこそ早急に無力化する。合理的じゃないか。」
テル「ああ、言ってることは間違ってない。ただ、俺が聞きたい返答じゃないな。…離反した理由。もといマインダーの下に就いた理由だ。うたた寝していたら、いきなり知らない場所に飛ばされてて、まだ何も飲み込めていない中で俺はお前に殺されかけた。あの後、失踪したお前を捜すために山奥を彷徨って、何度も死にかけた。…もしもドルフィオンに拾われていなかったら、俺はとっくに死んでいたぞ。」
この世界に迷い込んだ日、ライガは何故か持っていた毒ガスをばら撒き、姿を眩ませた。
連鎖的に起きた非現実な出来事は夢にしか思えなかった。しかし、何日経とうが頬をつねろうが、夢から醒めることは無かった。“これでも現実なんだ”そう思わされた。
テル「それから二年後、俺達が再会したことは覚えているか?まぁ……その時、もうお前は変わり果てていたけどな。」
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テル「久しぶりだな捜したぞ……それで、この惨状は全てお前の仕業か?ライガ…」
電源はショートし、感電死と思われる人が横たわる小さな町に、ただ一人立ち尽くすライガ。
おかしな様子だが親友を信じたかった俺は恐る恐る訊ねた。否定して欲しかった。
ライガ「ああ…俺だ。エンデス教祖の指示のもと、この町は滅ぼしてやった!」
テル「……今からでも遅くない。目を覚ませよ!ライガッ!」
親友の奇行に俺は怒鳴りつけた。彼のろくでもない噂話だけは、何度も耳にしていた。決して許されないような行為もいくらか耳にしていた。
それでも反省するならば、せめて俺だけは許してやりたかった。ここに来てからの全てのことを。
しかし、俺の声は届かなかった。
ライガ「まさか生きていたとはな…まぁいい。今ここで終わりにしてやろう!」
テル「…ッ!」
するとライガはエレキギターを取り出して、魔力を纏わせた。刹那、空気はビリビリと魔力に淀み、全身が痺れるような感覚に陥った。
その身で感じたことのないその力に、生存本能は警鐘を鳴らした。まともに相手できない。逃げなきゃ死ぬと。
テル「…ライガ!いつかもう一度お前に会いに行く!そしてお前の目を覚ませる!“ちさ達”と交わした約束を守る為にもな!」
そう言って俺は炎で造ったギターを弾き、辺り一面を火の海に変えた。
ライガ「何だこれはっ!一瞬でこんなに燃え広がるだと!?……やはりお前も馴染んでいたか…テルッ!」
後ろでライガが何か叫んでいたが、振り向かずに走り去った。限界出力で放ったがために息切れ状態だったが、そんなの気にも留まらないくらいに命の危機を感じていたのだ。
夜明けまで走り続けて、何とか仲間と合流できた。
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テル「あの後、ゼノンからお前がドライ教の一員になったことを聞いた。七代思想宗派…つまりはマインダーの手下。今思い返せば、最初からおかしかったんだ。この世界に飛ばされた時から何もかも、お前の目論み通りに事は進んでいたんだろう?」
ライガ「……ははっ…ははははは!」
そう尋ねると彼は少し間を置いて、不適に笑い始めた。
ライガ「目論み通りでは無いさ。最優先事項をここまで後回しにする羽目になったのだから!」
テル「だろうな。…ライガ、改めて問おう。お前は何がしたい?」
彼は俺の想像通りの答えを返してくれた。
ライガ「まだ見ぬ刺激を追求すること…そしてテル!お前を亡き者にすることだ!」
そう言ってライガは魔力を練り上げ、再び弦に爪を掛けた。
話しているうちに少しは動くようになった腕でギターを担ぎ、俺も臨戦態勢に入った。
テル「一つだけ言っておく。俺はお前を諦めていないからな!ライガ!」
ライガ「なぁテル。この世にはお世辞と戯言という言葉がある。何を信じるかは俺次第なんだよ!」
ほぼ同じタイミングでギターの音が鳴り響き、俺の炎の渦とライガの雷は瞬く間に部屋中に広がった。
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