思想で溢れたメモリー

やみくも

文字の大きさ
236 / 240
9章ー総力決戦編ー

236.ルミ豹変

しおりを挟む
ギルム「剣術:血核殲判」
 
 下層へと流れるクローン兵をギルム達が抑えていた。素早い連携攻撃で手際よく敵を減らすが、終わりは見えなかった。
 
ギルム「チッ…どうして奴らが急に集まりはじめた…」

ファーマ「さぁな。ただ一つだけ分かることがある。」

ギルム「ああ。同じことを思ってるだろうよ。…狂暴化している…あるいは操られている。」

ファーマ「…他組織の仲間も既に疲弊しているはずだ。連携がますます重要になる。なぁフュエル。」

 無線機に向かってそう言うと情報部のフュエルが応じた。

フュエル『その通りだ。ファーマ達が戦っていた間、他の部隊でも激戦が起こっていた。我々の戦力もかなり削がれている。』

ファーマ「見れば分かる…どこもかしこも息絶えた同志の姿が嫌でも目に入るからな。…他は今、どんな様子だ?」

フュエル『君達と同様に、それぞれの近場で雑兵を引き受けている。あとは上層階で主戦力を相手している状況だ。曖人は……分からない。全体に目を配っているが、情報部も忙しない。ただ曖人なら…』

ファーマ「…心配はいらないよな。彼らの戦いは信じるしかない。」

 二人は曖人の勝利を願った。自分の戦いに集中しながらも、頭の片隅で祈っていた。

ギルム「……そろそろいいか…」

フュエル『あぁ…悪いな。敵の進行路を特定して、殲滅に最適な地点を割り出した。案内するからそこへ向かえ。』

ファーマ「了解!」

ギルム「行くぞ。」

 ファーマとギルムは敵を薙ぎ倒しながら、フュエルの指示に従った。







 ルミの放った赤い閃光が俺の身体を貫いた。だが一瞬、何か守られるような感覚があった。

ルミ「この距離で撃ったから私も痛いけど、これで……ッ!」

曖人「はぁ……何が…起こった…」

ルミ「…あり得ない……重傷のその身体で、回避も防御もせずに受けきれるはずがない!」

 俺が立ち上がると、彼女は困惑した。体力とエネルギーは概ね回復したものの、蓄積されてきた傷で身体は弱っている。自分でも不思議に思った。
 ともあれ俺は剣を握り、炎を纏わせた。

曖人「受けきった…その事実だけでは不充分か?…剣術:熱躪」

 冷静だった装いから一変、焦りと困惑が見られるルミに俺は先制する。
 しかし彼女の反射神経に狂いはないようで、赤いオーラを纏わせた刀で俺の剣を弾いた。そのまま流れるように斬撃が飛んでくるが、俺は躱しながら構え直し、踏み込んで斬り掛かる。

ルミ「くっ…空調:凍傷冷房コールドルーム

 すると能力で周囲の温度を下げられ、力が少し抜けた気がしたので剣を強く握りしめて、斬撃をお見舞いした。

ルミ「剣術:ロア」

曖人「…!」

ルミ「これで痛み分けね。」

 斬撃を与えた後、隙かさずルミは反撃してきて俺も同じ部位に切り傷を負った。



 しばらく固まったまま呼吸を整えると、俺とルミは同時に動いた。

ルミ「剣術:ダージリンフラッシュ」

曖人「剣術:鰤億雷列」

 力を込めた刃がぶつかり合い、エネルギー波が周囲に飛び広がって木々を薙ぎ倒した。力を押し付け合いながらルミは言った。

ルミ「どちらかが折れなければ、一生終わりそうにないね。」

曖人「そう…だな。」

 すると彼女は少し寂しげな顔を浮かべ、刀に膨大なエネルギーを送り込みながら言った。

ルミ「威風曖人……違う形で出会っていれば、いいライバルになれたかもしれない。…でも、私はこの道を信じた。だから……消えて?」

 刹那、拮抗していた力がルミに傾き始め、俺は閃光の斬撃を受けた後、爆風で遠くの地面に転がり落ちた。
 気配に注意を払いながら重い足取りで剣を手に取り、身構えた。すると彼女は閃光の斬撃波を飛ばしながら飛び掛かってきた。
 
曖人「剣術:殲滅のラピス砂風」

 飛んでくる斬撃波を掠りながらも弾き、最後のルミの剣撃は剣で受け止めた。助走の勢いが乗らなくなると、彼女は俺を踏み台にして後退した。

曖人「…それがお前の本気ということか。随分と大胆になるな。」

ルミ「冷静に取り繕っても無意味だと判断したまで。思想釈放……私はこれを我武者羅の状態と解釈している。救世主様の為に、私は命を失っても貴方を仕留める!」

 そう言って彼女は過剰なまでの思想エネルギーを纏う刀を俺に向けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...