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2章:ジャンボ海水プール
#10.MemoryAbyss
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ロッカーから財布を持ち出して合流した僕達はシーサイドショップへと立ち寄った。
「ちょっと混雑しているね……まぁ時間も時間だし仕方がないか……」
「そうですね。」
時間はまだまだ沢山あるため、休憩も兼ねて気長に並ぶことにした。
「……ありがとうね。私を誘ってくれて。」
急に東風さんがそう感謝を伝えてきたため少しびっくりしたが、すぐに言葉を返した。
「どういたしまして。早彩が楽しそうで良かったよ。」
「……!い、今……早彩って…?」
ほんの数秒間、意味が分からず直前の記憶を遡ってみると、彼女の反応の意味が分かった。
「あ……だいぶ無意識に近かったよ…まぁでも、これを機に呼び捨てでもよくない?丁寧語だと何か気を遣っちゃう気がするし。…僕はね、早彩とも仲良くなりたいんだ。楽しいから。」
そう言うと彼女は驚き、顔を少し逸らしながら消えてしまいそうな小さな声で言った。
「……そう言ってもらえるのは初めてです……こんなに嬉しいのも……」
「そっか。これからも仲良くしてくれるかい?」
「は…はいっ!こちらこそよろしくお願いします、爽真君。」
こうして直接言葉を交わして、僕と早彩は両者了承の友人関係になることができた。
面識はずっとあったのにも関わらず、ほぼ仕事上の関係だったが、ようやく馴れ合いの会話ができるくらいの仲にはなったと思う。
「……何だろうこの宣誓…」
「確かに……何でしょうねこれ。」
自分ら自身でもよく分からないノリに思わず笑い合って過ごしていると、時間はあっという間だった。
かき氷で頭を冷やし、パークサイドレストランでお腹を満たし、楽しい休息の時間を過ごした。
あれから何だかんだ1時間ほど経ち、琉威が待機していた場所へと戻った。
「ごめん、けっこう待たせたね。琉威は昼食とか摂った?」
そう尋ねると、ゴーグルをアイマスクのようにして寝ていた琉威は上半身を起こした。
「食事は合間を縫ってしてきた。みさかなが先に戻ってきたからな。」
「みさかな……?」
「美咲と奏翔の総称だよ。僕達にとって割と共通言語になっているから早彩も把握しておいて。」
「は…はぁ……なるほどです……」
「それで、みさかなが見当たらないってことは、もう振り回しに行ったってことで合ってる?」
「正解。俺はお前らが迷わないように休憩していたという訳だ。」
「そっか。なら尚更待たせたて悪いね。そろそろ僕達も動こうか。」
レジャーシートを片付け、僕達は場所を移動しながら次は何をするかを考えながら辺りを見渡した。
炎天下ではあるが活気があり、涼し気な雰囲気もあった。実際、午前中で暑さにも慣れてしまった。
その光景の中には、インパクトの強いスライダーがいくつかあるが、その中でも一際目立つものがあった。
「ねぇ二人とも、私あれ行きたいです!」
そう言って早彩が指を指したのは、例のそのスライダーだった。
正直、ブーメランツイストを推した彼女なら行きたいと言うと想像がついていた。
「メガアビスか………そりゃ行きたいよね。いいと思うよ。」
「ああ、俺も賛成だ。……てか、爽真もうトラウマ払拭したのか…食後だろ?」
「知ったこっちゃない。あれだけ列があれば消化しきれるでしょ。とりあえず、折角なら皆で乗りたいしあの二人に連絡入れてみるよ。」
みさかなとも合流して、僕達は期待を膨らませながら長蛇の列を並んでいた。
初上陸から1か月すら経っていないので、やはり大人気なよう。
「もうすぐ私達の番だよっ!ワクワクしない?早彩ちゃん!」
「うん。とってもワクワクしてる。CMで初めて見た時から楽しみにしてたんですよ!」
「分かる~!」
「だってさ爽真。東風さんのこと誘って良かったな。」
楽しそうな女性陣の会話を横目に、琉威は僕にそう言った。
「あれほど喜んでもらえると嬉しいものだね。美咲も話相手ができたからか、いつもより元気がある気がする。」
「分かる。今日はいつにも増して美咲の熱量が凄い。お陰で俺の体力はローだよ……」
「はは……多分奏翔は普段からもう少し運動した方がいいと思うな……」
僕は苦笑いをして、奏翔にそう助言をしておいた。助言というよりは皮肉に近いが……。
残り4組程度で順番が回ってくる。多分これが最後のスライダーになるだろう。
先程と同じように浮き輪に乗り込み、今度は左右に激しく揺れるメガアビスへと落ちた。
それからもジャパーンやサーフィンプールで1日中遊び通し、ジャンボ海水プールを大満喫した。
『今日はナガシマジャンボ海水プールを満喫しました。ブーメランツイストやメガアビスなどの大型スライダーも体験し、刺激的な1日になったと思います。何より、早彩が楽しそうにしていて、本当に誘って良かったと思っています。提案してくれた琉威には感謝しないと……。』
今日一日の日記を書き終え、僕は遊びの合間に撮っていた写真を見返して一日を振り返っていた。
こうして静かな夜の寝室で思い出を振り返っていると、何だか寂しい感じもする。
しかし、まだ夏休みは序章も序章なのだ。まだまだ沢山の思い出を作っていく時間があるという訳だ。
「明日はどんな一日になるんだろ……今日は疲れたし、早めに寝よ……」
眠い目をこすり、ページの余ったところに詩を刻んでから、僕はノートをしまった。
電気を消して布団に倒れ込み、僕はすぐに眠った。
『照る日差し 打ち付ける水 流れる水 笑顔と活気が 溢れた底』
「ちょっと混雑しているね……まぁ時間も時間だし仕方がないか……」
「そうですね。」
時間はまだまだ沢山あるため、休憩も兼ねて気長に並ぶことにした。
「……ありがとうね。私を誘ってくれて。」
急に東風さんがそう感謝を伝えてきたため少しびっくりしたが、すぐに言葉を返した。
「どういたしまして。早彩が楽しそうで良かったよ。」
「……!い、今……早彩って…?」
ほんの数秒間、意味が分からず直前の記憶を遡ってみると、彼女の反応の意味が分かった。
「あ……だいぶ無意識に近かったよ…まぁでも、これを機に呼び捨てでもよくない?丁寧語だと何か気を遣っちゃう気がするし。…僕はね、早彩とも仲良くなりたいんだ。楽しいから。」
そう言うと彼女は驚き、顔を少し逸らしながら消えてしまいそうな小さな声で言った。
「……そう言ってもらえるのは初めてです……こんなに嬉しいのも……」
「そっか。これからも仲良くしてくれるかい?」
「は…はいっ!こちらこそよろしくお願いします、爽真君。」
こうして直接言葉を交わして、僕と早彩は両者了承の友人関係になることができた。
面識はずっとあったのにも関わらず、ほぼ仕事上の関係だったが、ようやく馴れ合いの会話ができるくらいの仲にはなったと思う。
「……何だろうこの宣誓…」
「確かに……何でしょうねこれ。」
自分ら自身でもよく分からないノリに思わず笑い合って過ごしていると、時間はあっという間だった。
かき氷で頭を冷やし、パークサイドレストランでお腹を満たし、楽しい休息の時間を過ごした。
あれから何だかんだ1時間ほど経ち、琉威が待機していた場所へと戻った。
「ごめん、けっこう待たせたね。琉威は昼食とか摂った?」
そう尋ねると、ゴーグルをアイマスクのようにして寝ていた琉威は上半身を起こした。
「食事は合間を縫ってしてきた。みさかなが先に戻ってきたからな。」
「みさかな……?」
「美咲と奏翔の総称だよ。僕達にとって割と共通言語になっているから早彩も把握しておいて。」
「は…はぁ……なるほどです……」
「それで、みさかなが見当たらないってことは、もう振り回しに行ったってことで合ってる?」
「正解。俺はお前らが迷わないように休憩していたという訳だ。」
「そっか。なら尚更待たせたて悪いね。そろそろ僕達も動こうか。」
レジャーシートを片付け、僕達は場所を移動しながら次は何をするかを考えながら辺りを見渡した。
炎天下ではあるが活気があり、涼し気な雰囲気もあった。実際、午前中で暑さにも慣れてしまった。
その光景の中には、インパクトの強いスライダーがいくつかあるが、その中でも一際目立つものがあった。
「ねぇ二人とも、私あれ行きたいです!」
そう言って早彩が指を指したのは、例のそのスライダーだった。
正直、ブーメランツイストを推した彼女なら行きたいと言うと想像がついていた。
「メガアビスか………そりゃ行きたいよね。いいと思うよ。」
「ああ、俺も賛成だ。……てか、爽真もうトラウマ払拭したのか…食後だろ?」
「知ったこっちゃない。あれだけ列があれば消化しきれるでしょ。とりあえず、折角なら皆で乗りたいしあの二人に連絡入れてみるよ。」
みさかなとも合流して、僕達は期待を膨らませながら長蛇の列を並んでいた。
初上陸から1か月すら経っていないので、やはり大人気なよう。
「もうすぐ私達の番だよっ!ワクワクしない?早彩ちゃん!」
「うん。とってもワクワクしてる。CMで初めて見た時から楽しみにしてたんですよ!」
「分かる~!」
「だってさ爽真。東風さんのこと誘って良かったな。」
楽しそうな女性陣の会話を横目に、琉威は僕にそう言った。
「あれほど喜んでもらえると嬉しいものだね。美咲も話相手ができたからか、いつもより元気がある気がする。」
「分かる。今日はいつにも増して美咲の熱量が凄い。お陰で俺の体力はローだよ……」
「はは……多分奏翔は普段からもう少し運動した方がいいと思うな……」
僕は苦笑いをして、奏翔にそう助言をしておいた。助言というよりは皮肉に近いが……。
残り4組程度で順番が回ってくる。多分これが最後のスライダーになるだろう。
先程と同じように浮き輪に乗り込み、今度は左右に激しく揺れるメガアビスへと落ちた。
それからもジャパーンやサーフィンプールで1日中遊び通し、ジャンボ海水プールを大満喫した。
『今日はナガシマジャンボ海水プールを満喫しました。ブーメランツイストやメガアビスなどの大型スライダーも体験し、刺激的な1日になったと思います。何より、早彩が楽しそうにしていて、本当に誘って良かったと思っています。提案してくれた琉威には感謝しないと……。』
今日一日の日記を書き終え、僕は遊びの合間に撮っていた写真を見返して一日を振り返っていた。
こうして静かな夜の寝室で思い出を振り返っていると、何だか寂しい感じもする。
しかし、まだ夏休みは序章も序章なのだ。まだまだ沢山の思い出を作っていく時間があるという訳だ。
「明日はどんな一日になるんだろ……今日は疲れたし、早めに寝よ……」
眠い目をこすり、ページの余ったところに詩を刻んでから、僕はノートをしまった。
電気を消して布団に倒れ込み、僕はすぐに眠った。
『照る日差し 打ち付ける水 流れる水 笑顔と活気が 溢れた底』
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