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2章:滑轍ハイウェイ
17日目.車道①
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しばらくすると空は完全に暗雲に覆われて、雨風が強く吹き付け始めた。俺はワイパーを動かして、通信を繋げる。
「咲淋、そっちは?」
数秒空いた後、スマホから彼女の声が聴こえた。
『前兆のようなものは何もなかったわ。ほんと急に天候が荒れ始めたようね。』
「そうか……続けて。」
『ええ、蓮斗の方も健闘を祈っている。』
そうして、彼女は通話を切った。
霧の時もそうだったが、恒夢前線に科学の常識は通用しない。摩訶不思議な存在だ。しかし、そこに存在するということは、何らかの原因は必ずある。
隠れた原因を暴き出すためには、多角度から徹底的に観察していくのが確実だ。今から行っていくのは、その一角度に過ぎないが、どれか一つ情報が欠ければ、最悪答えに辿り着けなくなるだろう。
任された役割の重要性を心と頭に刻み込んだ上で、俺は夕焚と協力してくれるドライバーの方々に通話を繋げた。
「現在時刻午後七時。夕焚、現場の状況は整っているんだよね?」
『はい。多くの方のご理解とご協力の上、この調査は公認で行います。我々の車両以外にも、スタントマンさんの運転する車両も走っています。数が多い方が当時の状況を再現しやすいでしょう?』
用意周到だと思った反面、不覚にもこいつヤバいと思ってしまった。
確かに当時の状況を作り出すのは確実性が高い手段だといえるが、危険の及ぶ人数を増やしてくるとは。現実主義者が恐ろしすぎる。
「まぁ……そうだね。」
一応全員任意の上で集まった訳だし、これ以上はツッコまない事にした。
「前回のデータから算出できたおおよその危険地点があれば先に共有を頼む。」
『先日の事故では、連鎖が始まる前に事故を起こした車のタイヤは異様に濡れていましたが、雨がずっと降っているものなので、それだけでは情報が不充分…といった具合です。』
「……なんか違和感が……気のせいかな?」
確かな違和感は正直感じていたが、こんなところで考えても意味がない。今からそれを照合すれば確証が得られる。
俺はエンジンをかけて、シートベルトを着用した。準備完了だ。
「こっちはいつでも出られるよ。他のドライバーさんの準備はどうですか?」
スマホ越しにそう尋ねると、周辺に駐車されている協力者の車のワイパーが動き始めた。どうやら、全員準備は出来ているようだ。
咲淋の方は別の動きをしているため、また後で合わせていくことになる。
『こちらも数台のカメラから状況が確認出来ています。それでは……調査を開始しましょうか。』
「不自然な点があったら報告頼んだ夕焚。」
『はい。』
俺はスピーカーモードに切り替えて、助手席にスマホを置いた。
アクセルを踏み込み、走行を開始した。ミラーで後ろの状況を確認すると、協力者ドライバーの車も動き始めていた。
パーキングエリアを抜けて、九州自動車道上に入った。
今のところ問題は起こっていない。強いていうなら、フロントガラスに水滴が付着するスピードがワイパーが拭き取るスピードを上回ってきた。
勿論、これが原因の可能性も考えられるが、だとしたら原因なんて分かりきっているはずだ。これも重なっているとは思うが、他にも外的要因があると考えるのが自然だろう。
それからしばらく進んだ頃、事故は起きた。
「……!全員一度停車しろ!」
後方から、衝突したような音が聴こえたため、停車指示を飛ばした。遅延が少なかったお陰でゆっくりと減速して、それ以上の事故は免れた。
エンジンを切り、俺は車の外に出た。
「本当に起こったな……連鎖事故。」
自分が事故る想定だったが、まさかのかなり後列の方で起こっていた。
一台が車線を大きく外れるように前に出ており、それによって衝突された車が前の車を押し出して連鎖したようだった。
俺の目から直接確認が取れていないが、目撃者は沢山いる。ひとまず状況の再現が完了したため、ここから調査に移る。
「点呼を取りたいので一旦全員車から降りて下さい!」
メガホンを使って奥までそう指示を飛ばすと、ドライバーと助手席に座っていた人が次々に車から降りてきた。
「咲淋、そっちは?」
数秒空いた後、スマホから彼女の声が聴こえた。
『前兆のようなものは何もなかったわ。ほんと急に天候が荒れ始めたようね。』
「そうか……続けて。」
『ええ、蓮斗の方も健闘を祈っている。』
そうして、彼女は通話を切った。
霧の時もそうだったが、恒夢前線に科学の常識は通用しない。摩訶不思議な存在だ。しかし、そこに存在するということは、何らかの原因は必ずある。
隠れた原因を暴き出すためには、多角度から徹底的に観察していくのが確実だ。今から行っていくのは、その一角度に過ぎないが、どれか一つ情報が欠ければ、最悪答えに辿り着けなくなるだろう。
任された役割の重要性を心と頭に刻み込んだ上で、俺は夕焚と協力してくれるドライバーの方々に通話を繋げた。
「現在時刻午後七時。夕焚、現場の状況は整っているんだよね?」
『はい。多くの方のご理解とご協力の上、この調査は公認で行います。我々の車両以外にも、スタントマンさんの運転する車両も走っています。数が多い方が当時の状況を再現しやすいでしょう?』
用意周到だと思った反面、不覚にもこいつヤバいと思ってしまった。
確かに当時の状況を作り出すのは確実性が高い手段だといえるが、危険の及ぶ人数を増やしてくるとは。現実主義者が恐ろしすぎる。
「まぁ……そうだね。」
一応全員任意の上で集まった訳だし、これ以上はツッコまない事にした。
「前回のデータから算出できたおおよその危険地点があれば先に共有を頼む。」
『先日の事故では、連鎖が始まる前に事故を起こした車のタイヤは異様に濡れていましたが、雨がずっと降っているものなので、それだけでは情報が不充分…といった具合です。』
「……なんか違和感が……気のせいかな?」
確かな違和感は正直感じていたが、こんなところで考えても意味がない。今からそれを照合すれば確証が得られる。
俺はエンジンをかけて、シートベルトを着用した。準備完了だ。
「こっちはいつでも出られるよ。他のドライバーさんの準備はどうですか?」
スマホ越しにそう尋ねると、周辺に駐車されている協力者の車のワイパーが動き始めた。どうやら、全員準備は出来ているようだ。
咲淋の方は別の動きをしているため、また後で合わせていくことになる。
『こちらも数台のカメラから状況が確認出来ています。それでは……調査を開始しましょうか。』
「不自然な点があったら報告頼んだ夕焚。」
『はい。』
俺はスピーカーモードに切り替えて、助手席にスマホを置いた。
アクセルを踏み込み、走行を開始した。ミラーで後ろの状況を確認すると、協力者ドライバーの車も動き始めていた。
パーキングエリアを抜けて、九州自動車道上に入った。
今のところ問題は起こっていない。強いていうなら、フロントガラスに水滴が付着するスピードがワイパーが拭き取るスピードを上回ってきた。
勿論、これが原因の可能性も考えられるが、だとしたら原因なんて分かりきっているはずだ。これも重なっているとは思うが、他にも外的要因があると考えるのが自然だろう。
それからしばらく進んだ頃、事故は起きた。
「……!全員一度停車しろ!」
後方から、衝突したような音が聴こえたため、停車指示を飛ばした。遅延が少なかったお陰でゆっくりと減速して、それ以上の事故は免れた。
エンジンを切り、俺は車の外に出た。
「本当に起こったな……連鎖事故。」
自分が事故る想定だったが、まさかのかなり後列の方で起こっていた。
一台が車線を大きく外れるように前に出ており、それによって衝突された車が前の車を押し出して連鎖したようだった。
俺の目から直接確認が取れていないが、目撃者は沢山いる。ひとまず状況の再現が完了したため、ここから調査に移る。
「点呼を取りたいので一旦全員車から降りて下さい!」
メガホンを使って奥までそう指示を飛ばすと、ドライバーと助手席に座っていた人が次々に車から降りてきた。
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